【まとめ】新卒採用にAI活用するメリット・デメリット
新卒採用にサッポロビールやソフトバンクがAIを導入したニュースが話題になっていますが、実際にどのように新卒採用にAIが使われているのか?自社でも導入を検討すべきなのか?など考えられている採用担当者様も多いと思います。
そこで今回はAIを採用選考に導入するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
目次
採用選考にAIを導入するメリット
メリット1)工数を削減できる
新卒採用選考時の工数を削減できることが最大の魅力です。
AI選考を導入している企業の多くが大幅に工数を削減できたと報告しており、自社の採用選考におけるエントリーシート選考に改善の余地があれば、導入するメリットは十分あると考えられますね。
NIKKEI STYLEによると、ソフトバンクは合格のエントリーシートと不合格のエントリーシートの振り分けを自動化できたことで、エントリーシート処理に掛かる時間を75%も削減に成功したようです。
同社は、約3万人の学生が応募するため、エントリーシートの対応に年間で800時間以上も費やす必要があり大きな課題でした。
AI「ワトソン」を導入し、過去のデータから学習させた結果、AIと採用担当者の合否判断がほとんどブレがない結果に。
AI導入によって削減できた工数を活用して、採用担当者は学生とより密なコミュニケーションが取れるようになり、相互理解を深めることに注力できるのではないでしょうか。
メリット2)人事担当者の経験に頼らない選考が行える
AIは過去のデータに基づいて判断するので、「学歴フィルター」など、採用担当者の色眼鏡のみで合否判定されることはありません。
これは学生にとって、最もメリットが大きい点の1つです。
学生目線では、学歴などの属性によって色眼鏡をかけられることなく選考に挑めるため、採用選考の公正性が担保されます。
採用の公正性は、学生にとっても、企業にとっても、重要なもの。
AIを活用する採用では、「人事担当者の気分で決まる」「学歴フィルターで読んでもらえない」という学生の認識を変え、「公正なエントリーシート選考を行っていますよ」と学生を含む社会に対して、公正性を主張できることもメリットですね。
その他にも、AIが公正性を担保した結果、採用担当者が学生に主観的なフィルターをかけて選考してしまい、優秀な学生を逃すことも防止できることもメリットとして挙げられるでしょう。
メリット3)過去の内定者のESのコピーを見抜ける
新卒採用選考を受ける学生の中には、残念ですがエントリーシートをコピーペーストで提出する学生もいます。
しかし、採用担当者は毎年膨大な数のエントリーシートに目を通すため、自社の採用選考で過去に提出された内定者のエントリーシート全てを記憶して、コピーペーストであるかどうかを判断は不可能なのが実情。
一方、AIは大量のデータを蓄積し分析した結果を元に判断します。過去のエントリーシートデータを蓄積することで、就活サイトや先輩などの内定者が提出したエントリーシートを、二次利用としてコピーペーストして提出すれば容易に判断できます。
AIを導入しデータを蓄積することですることで故意にコピーされたエントリーシートが合格することを防ぎ、公正な選考を行うことができるのです。
メリット4)担当者間の基準のズレをなくせる
明確な判断基準があったとしても、提出される学生のエントリーシートは千差万別ですので採用担当者も判断に迷うこともあります。
その場合、人間が判断している以上どうしても過去の経験に頼らざるを得ません。採用担当者の能力、採用担当者が人事経験が豊富であるかなど、個々の採用基準に差が生じてきます。
しかし、AI選考であれば経験だけに頼らない選考で、一貫性と客観性を持った結果を担保でき、採用担当者間の基準のズレをなくすことが可能です。
未だに懸念もあるAI選考のデメリット
デメリット1)学生の抵抗が根強い
AI選考を行う企業としては、工数を削減できるだけでなく、その精度向上を期待できることから導入するメリットがあります。
しかし、AI選考を受ける学生にとっては、AI = 機械に自分を判断されることに抵抗を抱く場合も。
先述した東洋経済オンラインの調査で、学生のイメージとして「人の心がない」「温かみがない」という意見は、きちんと人間に自分を見てもらいたいという気持ちが伺えますね。
学生が時間をかけて丁寧に書いたエントリーシートを、機械によって不採用と判断されることに納得いかない気持ちなのではないでしょうか。
AI採用を導入する企業は、このような学生の反応を注視しつつ導入を検討したいです。
デメリット2)機械では判断できない部分がある
エントリーシートはAIからすると単純なデータですが、エントリーシートの内容は、自社に入社したいと考えている学生の志望動機など、人間の想いを言葉にしたものです。
学生一人一人が持っている文章力や語彙力、表現力は異なり、学生の個性をAIが正しく判断できるかという懸念があります。
内容を重視している企業が誤字があるエントリーシートをAIに判断させた場合、不合格となる可能性がゼロではありません。
この点に関しては、AIによって不合格となったエントリーシートを人事担当者が直接判断すればよいですが、先述した通り、完全自動化して選考全てをAIの判断を任せるには課題があります。
デメリット3)判断に必要なデータの蓄積が必要
エントリー数が多い企業が導入する場合と、ベンチャーなどのエントリー数が少ない企業では、AIが蓄積できるデータ量に差が出ます。
AIは蓄積したデータをビッグデータとして分析するため、一定量データが集まるまで、判断の精度が採用活動で期待できるレベルに到達しないことも。
大規模の企業の場合では、正確な判断に必要なデータを比較的短時間で収集できるかもしれませんが、小規模な企業の場合では、AI採用を本格的な採用手法の1つとして確立するまでに時間がかかる可能性があります。
AI採用は、データが集まるほど判断精度も向上するので、採用人数が少ない場合ではAI導入がデメリットになり得るでしょう。
デメリット4)ES選考以降での導入が難しい
エントリーシート選考は大量のデータの蓄積によって、採用担当者の判断とほぼ同じ判断をAIが行うことは可能になる場合もあります。
しかし、それ以降の選考、特に面接においてはまだまだ課題があるのが現状。
先述したの東洋経済オンラインの調査では、面接にAIを導入することに対し賛成である学生は全体の1割ほどです。加えて同調査では、学生全体の約半数は反対しており、「面接でじっくり話を聞いてもらいたい」というのが学生の意見のようです。
同様に、先述したIT mediaビジネスONLINEによると、面接は単なる選考ではなく、学生志望度を高めてもらうための要素も含まれ、担当した面接官の印象によって志望度が変わる学生も多く、面接では相互作用による影響も重要視されるとしています。
また、面接は採用担当者と学生の受け答えという特性上、質問を重ねることで、内容を掘り下げて、互いの理解を深め合うこともあります。
コミュニケーション能力は定量的な数字を用いてAIで判断できたとしても、学生の答えに対して深掘りをしていくというのは、現状の技術では難しいでしょう。
基本的はコミュニケーション能力など、定量的な情報を見極める際には役に立つかもしれませんが、深く学生の適性や能力を探ることができない点はデメリットです。
まとめ
今回は新卒採用におけるAI活用についてお伝えしました。
テクノロジーは日々着実に進歩しており、データの蓄積が進む毎にAIの精度が上がっていくと言われています。
実際既に本選考にAI採用を活用している企業もあり、成果をあげているのも事実です。自社の採用によって導入を検討してみる際に参考になれば幸いです。
ただし、学生と向き合い相互理解する事が最も大切だと言う事を忘れないで頂ければと思います。