募集要項の11の項目と効果的な書き方・注意点

募集要項
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採用活動において求職者との接点として重要なものの1つが「募集要項」です。募集要項の内容が明瞭かつ具体的であればあるほど、求職者は自身が求める職種や職場環境を理解しやすく、より良いマッチングが期待できます。

適切な募集要項を作成するためには、法令・労働関連法を踏まえた内容選びや、職務内容の明確な記述が重要となります。本記事では、募集要項を作成する際のポイントや、記載すべき項目とその書き方、注意点などを詳細に解説します。

また、「募集要項を手軽に作成できるテンプレートをいますぐ欲しい!」という採用担当者の方のために、人事ZINEではテンプレート「募集要項サンプル」をご用意しました。新卒・中途別に記入例やNG表現も記載していますので、お急ぎの方はこちらをぜひご活用ください。

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募集要項を作成するにあたってのポイント

募集要項を作成するにあたってのポイント

募集要項とは、自社が求める人材の要件や働き方、採用フローなどを求職者に伝えるものです。募集要項を作成する際には、その定義や職務記述書との違い、そして募集要項にこだわることの重要性を理解する必要があります。

ここでは募集要項について整理したうえで、基本的なポイントについて紹介します。

募集要項と応募条件の違い

募集要項とは、職種・業務内容や勤務地、勤務時間、待遇など求職者が応募する際に知っておくべき情報や、選考フローなどの選考にあたっての流れを網羅的に記載したものです。

一方、応募条件とは、その職種に応募するために必要なスキル、資格、経験などを指します。募集要項は応募にあたっての網羅的な情報であり、応募条件は募集要項のなかの1つの項目という位置付けです。

募集要項と職務記述書との違い

職務記述書(ジョブディスクリプション)は、社員が担当する職務の範囲や内容、責任、権限、評価基準などを明示したものです。職務記述書は、主に求職者が企業と雇用契約を結んで働いてもらうにあたって職務を明確化する用途で用いられます。

一方、募集要項は求職者への情報提供を目的としており、求めるスキルや経験、職務内容、勤務時間、待遇、採用フローなど、応募するうえで必要な詳細情報を記載するという点が異なります。

募集要項にこだわることの重要性

募集要項作成にあたっては、情報を正確かつ網羅的に伝えることで、自社の採用ターゲットに対して適切に訴求することが可能となり、採用効率の向上や企業ブランドの向上につながります。さらに、応募者の期待と現実のギャップを減らすことで、ミスマッチや早期離職、その他のトラブルを回避しやすくなります。

なお、募集要項を作成する際には、テンプレートの利用も有効です。テンプレートを用いることで、各項目を正確かつ網羅的に伝えやすくなり、結果として採用効率の向上や企業ブランドの向上に寄与します。テンプレートの例は後半で紹介します。

募集要項に記載すべき11の項目と書き方

募集要項に記載すべき11の項目と書き方

ここでは、募集要項を作成する際に必要な11の項目とその書き方を紹介します。

1.職種・業務内容

「職種・業務内容」は、求職者が具体的にどのような仕事をするのかを理解するための重要な項目です。

この項目が明確でないと、求職者が仕事内容を把握しにくくなるため、書き方には細心の注意が必要です。作成にあたっては、業務内容を具体的に記載し、求職者がイメージしやすい表現にするのが重要です。

  • 文例1:「営業職として、新規開拓や既存顧客のフォローを行うほか、営業チームのマネジメントもお任せします」
  • 文例2:「エンジニアとして、新規プロジェクトの開発に参画し、チーム内での設計から実装、テストまでを行ってもらいます」

2.勤務地・転勤の有無

「勤務地・転勤の有無」は、勤務先の場所と、転勤の有無について明記します。転勤がある場合は、転勤先の地域や期間なども記載します。この項目は、求職者がワークライフバランスを考える際にも必要となる情報です。

  • 文例1:「本社(東京都港区)にて勤務していただきます。ただし、プロジェクトにより全国のクライアント先への出張・常駐もあります」
  • 文例2:「勤務地は大阪本社ですが、将来的には海外支社への転勤の可能性もあります」

3.必要なスキル・経験・資格

「必要なスキル・経験・資格」の項目は、募集しているポジションについて、自社がプロとして求める具体的な要件を記載する項目です。求職者が応募を検討する際、自身が応募要件を満たすか判断するための材料になります。

書き方には、具体性と明確性が求められます。経験やスキルについては、可能な限り明確にし、必要な資格はそれが必須か推奨かを明記することが重要です。

  • 文例1:「必須条件:営業経験2年以上、普通自動車運転免許。歓迎条件:英語ビジネスレベルのスキルをお持ちの方」
  • 文例2:「必須条件:3年以上のJavaを用いた開発経験。歓迎条件:データベース設計に関する知識をお持ちの方」

4.応募資格・条件

「応募資格・条件」の項目は、「スキル・経験・資格」の項目と同様、求職者が自身が応募要件を満たしているかの判断材料となる項目です。資格・条件に関して、採用側と求職者側のミスマッチを避けるにあたって、必要な学歴、スキル、経験、資格などを具体的に記述する必要があります。

  • 文例1:「応募資格は、大学卒以上で、IT業界における業務経験が3年以上ある方。また、チームリーダーとしての経験がある方」
  • 文例2:「求めるスキルは、ビジネスレベルの英語力(TOEICで800点以上もしくは同等の能力)、マイクロソフトオフィス(Word・Excel・ PowerPoint)の基本操作が可能な方。特にExcelについては、関数を使ったデータ処理ができること」

5.雇用形態

「雇用形態」の項目では、正社員、契約社員、派遣社員など、採用する人材の雇用形態を明確に記載します。この項目は、求職者が自身のキャリアパスを見据えるうえで重要な情報となります。「総合職」「エリア職」「一般職」のように、正社員でも職務内容や勤務地によって区分があるのであれば、違いを明確に記載することが重要です。また、その雇用形態によって求められる業務内容や責任範囲も異なる可能性があるため、それらも記載することが望ましいでしょう。

  • 文例1:「正社員として入社いただき、営業部門での新規開拓や既存顧客のフォローアップをお任せします」
  • 文例2:「契約社員として、プロジェクトごとのエンジニアリング作業を担当していただきます。プロジェクト完了後の正社員登用の可能性もあります」

6.勤務時間・休日

「勤務時間・休日」は、具体的な働き方を伝えるための項目です。この項目の内容は、求職者が自身のライフスタイルに合わせて適切な仕事を選ぶのに役立ちます。具体的な勤務時間、シフト制の有無、定休日、有給休暇等を明記するのがポイントです。

  • 文例1:「勤務時間は9:00〜18:00(1時間休憩含む)で、週40時間の労働となります。休日は土日祝日、年末年始、夏季休暇があります」
  • 文例2:「フレックスタイム制を採用しており、コアタイムは13:00〜16:00です。週休二日制(土日)、祝日、年末年始休暇、夏季休暇、有給休暇があります」

7.給与・待遇

「給与・待遇」は、企業が提供する給与やその他の福利厚生を記述する項目です。この情報は、求職者が自身の市場価値と企業が提供する報酬を比較するために必要です。具体的かつ正確な情報提供が重要で、誤解を生む曖昧な表現は避けるのが推奨されます。

  • 文例1:「年収500万円〜700万円(経験・スキルを考慮のうえ、決定します)」
  • 文例2:「昇給年1回、賞与年2回、交通費全額支給」

8.採用選考方法・スケジュール

「採用選考方法・スケジュール」の項目では、採用プロセスのステップやそれにかかる時間を記載します。これは、求職者が採用プロセスを理解し、準備するための重要な情報です。明確で詳細なスケジュールと流れを提供することが重要です。

  • 文例1:「書類選考 → 一次面接 → 二次面接 → 最終面接 → 内定(選考から内定まで約3週間を予定)」
  • 文例2:「オンラインでの一次面接、事務所での二次面接を予定しています」

9.社会保険・福利厚生

「社会保険・福利厚生」は、社会保険の加入状況や会社特有の福利厚生を記載する項目です。これは、企業の働きやすさや待遇にも関わる重要な指標であり、自社が求める人材に、魅力を感じてもらうためにもポイントとなる項目といえます。

  • 文例1:「社会保険完備(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)、定期健康診断、各種研修制度あり」
  • 文例2:「福利厚生:健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、退職金制度、育児・介護休業制度、社員旅行など」

10.会社概要・事業内容

「会社概要・事業内容」は、会社の基本情報や主要な事業を記載する項目です。この情報を正確に伝えることで、求職者は企業の規模や業界、その立場を理解しやすくなります。

  • 文例1:「株式会社〇〇は、2000年に東京で設立されました。我々はクラウドベースのCRMソフトウェアを提供しており、現在では国内外5,000社以上の企業が利用しています。私たちのミッションは、最高品質のソフトウェアソリューションを提供し、お客様のビジネス成長を支えることです」
  • 文例2:「当社、株式会社〇〇の主力製品は、消費者向けのオンラインショッピングプラットフォームで、これまでに国内外の数百万人以上のユーザーに利用されています。我々のビジョンは、テクノロジーを活用して、消費者に最も便利で快適なショッピング体験を提供することです」

11.企業風土・ビジョン

「企業風土・ビジョン」は、会社の文化や長期的なビジョンを伝える項目です。自社の理念や社風といった要素を言語化して伝えることで、求職者は企業の理念や価値観を理解し、自分がその環境に適合するか判断してもらいやすくなります。

  • 文例1:「私たちは、顧客第一を基本理念に、全ての業務を遂行しています」
  • 文例2:「当社のビジョンは、テクノロジーを通じて社会に貢献し、常に新しい価値を創造することです」

募集要項のテンプレート

募集要項を作成するにあたっては、上記のように数多くの必要項目があり、それぞれ効果的な書き方があります。募集を行う度に新しい要項を用意するのも1つの方法ですが、テンプレートを用意しておくことで効率的に作成することが可能です。

以下に、募集要項のテンプレートをご用意しました。「募集要項の書き方が分からない」「よりスムーズに募集要項を作成したい」という採用担当者の方はぜひご活用ください。

項目内容
雇用形態
業務内容
契約期間
募集対象
募集職種
応募資格
試用期間
給与(待遇)
昇給・賞与
福利厚生
教育・研修制度
加入保険
諸手当
勤務地
勤務時間
休憩時間
時間外労働
休日・休暇
会社概要
応募方法・応募先
選考フロー
PR
受動喫煙防止措置

募集要項の効果を高めるポイント

募集要項の効果を高めるポイント

募集要項の質を高め、より効果を発揮するにあたって3つの重要なポイントを紹介します。

明確かつ魅力的な表現を用いる

募集要項では、明確かつ魅力的な表現を用いることが重要です。事実を伝えるだけでなく、企業の文化や働く環境を求職者にアピールする表現を選びます。また、業務のやりがいやキャリアアップの可能性を前向きに示すことで、求職者の興味を引き付けることもポイントです。

例えば、単に「社員の成長を支援します」と言うだけでなく、「一人ひとりの成長を大切にし、充実した研修制度やメンターシステムを通じて、キャリアアップをサポートします」と具体的に求職者にメリットが伝わる表現にすることが推奨されます。

必要な情報を網羅的に記載する

募集要項を作成する際は、必要な情報を全て網羅的に記載することが求められます。これには、前半で紹介したような、職種・業務内容、勤務地、雇用形態、給与・待遇、応募資格・条件などの情報、そして採用選考方法・スケジュールといった選考に関する情報が含まれるでしょう。

また、企業のビジョン・目標、事業内容、成長戦略やパーパス・ミッションなども網羅することで、求職者に企業への理解を深めてもらうことができます。

数字・事実を用いて分かりやすく伝える

募集要項を作成する際には、具体的な数字や事実を用いて、分かりやすく伝えることが重要です。具体的な成長率、売上、利益率などの数字を用いて企業の業績や将来性を示し、社員の平均年齢、在籍年数、離職率などのデータを提供して職場環境をイメージしやすくします。また、社員のキャリアアップ事例や成功事例を紹介することで、求職者が具体的かつポジティブなイメージを持てるようにするのも手です。

例えば、職場環境をイメージしてもらいやすくするために、「社員の平均年齢は27歳で、新入社員から経験豊富なベテランまで幅広い年齢層が活躍しています。また、社員の成長をサポートするための充実した研修制度があり、3年以内に半数以上の社員が昇進しています」という詳しい説明方法が考えられます。

募集要項を書くにあたっての注意点

募集要項を書くにあたっての注意点

募集要項を作成する際には、法令や労働関連法に則った記載を行うことが重要です。ここでは、募集要項を作成する際に気をつけるべき点を紹介します。

職務内容や条件は誤解を生まない表現を心がける

募集要項に記載する職務内容や条件は、誤解を生まないように明確に記載することが必須です。応募者に誤った期待を持たせてしまうと、入社後のパフォーマンス低下や早期退職につながり、企業の信頼性にも影響を与えます。

主なポイントとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 職務内容や条件は具体的かつ明確に記載する
  • 高度な専門知識を必要とする職務にはその旨を明記する
  • 長時間労働が予想される職務は労働時間をはっきりと記載

このような点を意識することで入社後の不満・トラブルを回避しやすくなります。

法令や労働関連法に則った記載を行う

募集要項において、法令や労働関連法に則った記載を行うことは、公平な採用を実現し、企業としての社会的信頼を保つために必要不可欠です。男女雇用機会均等法、最低賃金法、雇用対策法、職業安定法などの関連法を意識しながら、法令・ガイドラインの遵守と公平性を意識した表現を徹底することが必要です。

具体的には、年齢、性別、民族、宗教に関する差別的な表現は控え、最低賃金法などの労働法規に則った給与体系を明示します。例えば、「経験やスキルに応じた給与体系。最低賃金を保証します」や、「年齢、性別、民族、宗教に関係なく、全ての応募者を公平に評価します」のような表現が考えられます。

まとめ

募集要項まとめ

募集要項は企業の顔とも言える重要な要素であり、その作成には十分な注意が必要です。職務内容や条件を誤解のないように明示し、法令や労働関連法に則った記述を行うことが求められます。また、具体的かつ魅力的な表現を用いて、必要な情報を網羅的に記載することで、求職者に対する企業の魅力を最大限に引き出すことが可能となります。

最後に、「手軽に募集要項を作成したい」という人事・採用担当者の方は、こちらのテンプレートもご活用ください。本記事では記載しきれなかった、それぞれの項目の具体的かつ魅力的な記入例をご紹介しております。

【サンプル】募集要項テンプレート(Excel)
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募集要項を作成する際に使えるテンプレートです。求職者に「刺さる」記入サンプル付き(新卒版・中途版)。NGな表現や記載時の注意点も合わせて解説しています。
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人事ZINE 編集部

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