代休とは?知るべき賃金控除や就業規則、振替休日との違いを解説!

代休って?賃金控除すべきなの?振替休日との違いは?……なんとなくわかっていても、正確な定義や根拠は知らない人事担当者もいるのではないでしょうか?

代休は、運用を間違えると労働基準法違反リスクもあるため、人事担当者や管理者が正しく理解している必要があります。

ここでは、代休に関する法律や就業規則、計算方法や混同しやすい振替休日との違いなどについて説明するとともに、労働基準法違反のリスクを防ぐポイントも解説します。

代休とは?

代休は法律に定めがなく、就業規則に規定されていないケースもありますが、厚生労働省では次のとおり定義しています。

「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

(厚生労働省 よくある問い合わせ「振替休日と代休の違いは何か。」より)

つまり、休日出勤した代わりに、以後の労働日に休みを与えるということであり、その対価として割増賃金の支払いが必要になります。

法定休日と法定外休日の違い

法定休日

法定休日とは最低基準の休日であり、労働基準法では次のとおり定めています。

労働基準法 第35条

  1. 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
  2. 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

つまり、会社は従業員に対し「1週に1日以上」または「4週に4日以上」の休日を与えるということです。

ただし、厚生労働省の通達によると「第1項が原則であり第2項は例外であることを強調し徹底させること」(昭22・9・13発基第90号)とされています。

休日がほとんど取れないような状況が続くと、過重労働による健康悪化リスクがありますので、この通達のとおり、会社は週に1日以上の休日を従業員に与えることが原則です。

法定外休日

法定外休日とは、会社が任意に法定休日以外の日に与える休日であり、所定休日ともいわれています。

労働基準法第32条で「1週間に40時間を超えて労働させてはならない」と定められていますが、法定外休日は、この規定によって労働時間を制限されているため、会社が任意で与える休日となっています。

36協定の届け出がないと休日出勤は違法?

前述のとおり、原則として、従業員に休日出勤や時間外労働をさせることは違法です。

ただし、事前に労使間で「時間外・休日労働に関する協定届」、いわゆる36協定を締結していれば、従業員に休日出勤や時間外労働をさせることができます。

法定休日と法定外休日の割増賃金の違い

労働基準法、およびその政令では次のとおり定めています。

労働基準法第37条第1項

「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」

政令(平成6年1月4日 政令第5号)

「延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする」

従って、法定休日労働にあたる場合は35%以上、時間外労働にあたる場合は25%以上の割増賃金をそれぞれ支払わなければなりません。

このように、法定休日と法定外休日(時間外労働)では割増賃金の割増率だけでなく、時間外労働時間数などによっても違いがあるので注意が必要です。

なお、後述しますが、振替休日が適用された場合は、基本的に割増賃金は適用されません。

代休の計算方法

代休の計算方法

代休は、前述したとおり、「休日労働が行われた場合」に、その代償として以後の特定の「労働日を休みとする」ものです。

そのことから代休の処理は、次の2つをおこないます。

  1. 休日出勤手当
  2. 代休取得時の賃金控除(働いていない場合は賃金を支払う義務はないというノーワーク・ノーペイの原則による)

休日出勤手当の計算

休日出勤手当は、「割増賃金の基礎となる賃金」に規定の割増率を乗じて、次のとおり計算します。

割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間あたりの賃金の額」となります。ただし、労働に直接的な関係が薄い次の手当は、労働基準法、省令により除外することができます。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時的に支払われた賃金
  7. 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

この割増賃金の基礎となる賃金に、前述した割増賃金率を乗じて割増賃金を算出します。割増賃金率は就業規則で定めることか義務付けされていますので、自社の割増賃金率は就業規則を確認してください。

 

 ※上記は、法定休日の割増賃金率を35%、時間外労働(法定外休日)の割増賃金率を25%と定めている場合です。

代休取得時の賃金控除

このように、結果として、代休を取得したときに支払うべき給与は、割増賃金の基礎賃金を控除した割増賃金のみとなります。

したがって、この場合の代休の割増賃金は5,600円となります。

※このことから、2,000円×8時間×35%で求めることができます。

したがって、この場合の代休の割増賃金は4,000円となります。

※このことから、2,000円×8時間×25%で求めることができます。

管理監督者の場合は?

労働基準法上の「管理監督者」は、労働時間や休日の規定は適用されないとされていますので、この場合は休日出勤や時間外労働の割増賃金は発生しません。

ただし、いわゆる名ばかり管理職のように、実態は管理監督者ではない「管理職」は、休日出勤や時間外労働の手当を支払う必要があります。

就業規則の定め

法律上は、代休の定めがないことや、関連事項は、労働基準法や施行規則、通達などに定められていることは、前述したとおりです。

代休は、「休日出勤時手当」と「代休取得時の賃金控除」から成り立っていますが、これらは、それぞれ就業規則に定めるべき事項です。

しかし、代休として就業規則に定めていないケースが多くありますが、代休の制度があることや代休を命じることができる根拠を明確化したい場合は、就業規則に定めましょう。

定める場合には、「休日労働をした従業員に、会社は〇カ月以内に代休を与えることがある」などを規定することが考えられます。

代休と振替休日

振替休日とは

厚生労働省では、振替休日を次のとおり定義しています。

「休日の振り替え」とは、あらかじめ休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。

(厚生労働省 よくある問い合わせ「振替休日と代休の違いは何か。」より)

つまり、あらかじめ労働義務がない休日と出勤日入れ替えることが前提であり、事後的に入れ替えることはできません。

そのため、会社は振替休日を適用する場合、入れ替える休日と労働日が到来する前に、従業員に次の事項を周知する必要があります。

  • 出勤日とする休日
  • 振替する出勤日

代休と振替休日との違い

振替休日は、特定されていた休日を事前に他の日に変更する労働契約上の変更となることから、代休とは違い、就業規則の定め、または従業員からの個別同意が必要です。

なお、振替休日は、休日を移動することになりますので、元々休日とされていた日に、振替休日によって出勤したとしても、代休とは違い基本的には割増賃金は発生しません。

ただし、振替休日により出勤日とした週が40時間を超えた場合は、時間外労働の割増賃金が必要となります。

給与システムで週40時間の判定まで行っておらず、法定外休日は一律に時間外労働と同じ割増率を適用しているケースもあると思いますので、厳格に行いたい場合は、自社の給与システムの仕組みを確認してください。

代休ではなく、振替休日にすることの検討

あらかじめ、休日出勤日と振替休日の日を決めて従業員に事前に周知することで、代休ではなく振替休日とすることができます。

これにより、割増賃金が発生せず代休の先送りによる労働基準法違反リスクも防げます。

振替休日を行うには、就業規則に振替休日を行える旨の定めが必要ですが、あらかじめ休日出勤日と振替休日を決めておくことでこの対応が可能ですので、検討することをおすすめします。

人事担当者が理解しておくべきこと

代休の行使期限は、実態としては1カ月の間に取得するとしている会社が多いのではないでしょうか?

労働基準法には直接定めはありませんが、労働基準法の施行規則第19条の2第1項第3号において、月の時間外労働が60時間を超えた場合、その月末の翌日から2カ月以内と定められています。

そのため、限度としてはこの期限を参考にすることが考えられますが、実務的には次のとおり給与算定期間内が望ましいので参考にしてください。

代休期限は基本的に給与算定期間以内

前述の代休未消化などの労働基準法違反リスクを避けるほか、勤怠管理上の観点から、少なくとも代休を給与算定期間内に付与することが合理的です。

そのうえで、代休付与の先送りにならないように、可能な限り休日出勤日となるべく近い出勤日に代休日を設定することが望まれます。

なお、就業規則に代休の定めをしている場合は、代休の行使期限も定めていることもありますので、自社の就業規則をよく確認してください。

実務上の留意点

給与締め日に近い日に休日出勤をした場合は、給与算定期間内に代休を取得することは困難です。

基本的には、一旦、休日出勤にあたる賃金を全額支払い、翌算定期間の給与で代休を取得したときの賃金を控除する必要がありますが、あらかじめ、「締め日後〇日以内に必ず申請」とのように定めておけば、この不都合は避けられます。

ただし、全額払いの原則による労働基準法違反リスクの兼ね合いもあることから、実際に就業規則を改定する場合は、社会保険労務士などの専門家と相談のうえで、ご検討ください。

運用を間違えると労働基準法違反に

代休取得は法律で定められた期限はなく、会社で自由に決められるものです。

ただし、前述したとおり「割増賃金のみを支給する仕組みとしている会社」は、給与算定期間をまたいで代休の未消化が発生したときに、一旦、休日出勤手当の清算をしていないと労働基準法違反リスクがあります。

また、就業規則に「代休を与える場合がある」といった定めをしていない会社は、会社が代休取得日を指定できないこととなるため、従業員からの有給休暇の申請に対し、代休の取得を強制するような場合も労働基準法違反リスクがあります。

管理者へ教育しておくべきこと

労働基準法違反リスク防止や、正しい代休と振替休日の運用を徹底するには、人事担当者だけが理解していれば良いことではなく、現場で運用をする管理者への教育が必要です。

休日といっても、有給休暇や代休、振替休日、法定休日、法定外休日などさまざまな休暇の種類がありますがそれぞれ扱いや運用は違います。

管理者に対して、「代休と振替休日の違い」「代休の実質的な行使期限」「法令違反リスクを防ぐための運用や管理方法」などについて、労働基準法や就業規則の定めをふまえながら、従業員に不利益や法令違反の行為が生じないように教育しましょう。

代休は正しく運用しましょう

代休や振替休日など、旧来の業務マニュアルをベースに運用されている人事担当者も多いかと思います。今一度、労働基準法や就業規則の定め、自社の給与システムの仕組みを再確認してみてください。

もし、給与システムが割増賃金のみを支給している仕組みであった場合には、労働基準法違反とならないように運用や教育の徹底を図る、もしくは仕組み自体を検討されることが望まれます。

本記事をきっかけに、代休制度の理解を深めましょう!

人事ZINE 編集部

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