人事メディアの選び方とおすすめメディア6選〜業務にどう活かす?〜
人事担当者の方々は、日々変化する雇用関係の法律や、他社の人事の事例・トレンド、採用市場の動向などへのキャッチアップにも忙しくされていることと思います。最近では、人材サービス会社やコンサルティング会社などが多数「人事メディア」を立ち上げており、スマホなどからも最新情報を手軽に入手できる一方で、自社サービスの宣伝記事や広告記事も多く見られます。
「どのメディアを読めばいいかわからない」「読んでも業務にどう活かしたらいいかわからない」という人事担当者の方向けに、目的に合った人事メディアの選び方と、その業務での活用方法についてご説明します。
※なお、人事メディアには紙媒体のものとWEB媒体のものがありますが、この記事ではWEB媒体(WEBサイト)のみを対象に取り上げています。
目次
人事メディアを選ぶ基準は「目的に合った正しい知識を得られるか」に限る
まずは人事メディアを選ぶ基準についてお伝えします。忙しい人事の方々には、メルマガを購読したり、ブックマークしておいて通勤電車などでチェックする“お気に入り”をいくつか決めてしまいたいというニーズもあると思います。
情報が入って気になってからその都度ネットで検索するよりも、最新情報が掲載されるとわかっているメディアをフォローするほうが効率的だからです。新聞をとって、毎朝読むようなものですね。
では、数ある人事メディアからどのようにして自分が信頼するメディアを選べばよいでしょうか?
重要なのは「目的に合った正しい知識を得られるか」という点だと思います。
【目的別】人事メディアを選ぶときの基準と該当するメディアの例
以下に、人事メディアを読む目的ごとに、メディアを選ぶときの基準と該当するメディアをご紹介します。
目的 | 選ぶ基準 | 該当する人事メディアの例 |
---|---|---|
初めて人事になったので、人事の業務を網羅的に学びたい | 人事の業務手順が網羅的にわかりやすく記載されているか | 新卒採用成功ナビ https://saiyou-knowhow.recruit.co.jp/ (株式会社リクルートキャリア) |
人事関連のトレンドや最新ニュースを把握したい | 更新頻度が高く、更新を通知するSNSアカウントやメルマガが用意されているか | BIZ HINT https://bizhint.jp/ (ビジョナル・インキュベーション株式会社) |
人事向けセミナーの開催情報を入手したい | セミナー情報が、開催日やエリア、カテゴリ、無料/有料などの検索軸で探しやすいサイト設計か、メルマガなどでも案内されるか | HRプロ https://www.hrpro.co.jp/index.php (ProFuture株式会社) |
人事関連の業務を基礎から応用まで学びたい | 人事業務の課題に寄り添った、無料でダウンロードできる資料が用意されているか | 労務SEARCH https://romsearch.officestation.jp/ (エフアンドエムネット株式会社) |
人事関連の法改正など重要な情報は逃さず入手したい | 信頼できる情報か、無闇に不安を煽りサービスなどを勧めてくる内容でないか | 厚生労働省 人事労務マガジン https://merumaga.mhlw.go.jp/ ※厳密には人事メディアではありません。 |
人事関連書類のテンプレートなどを入手したい | ダウンロードできるファイルは安全なデータか(信頼できる発行元か) | 厚生労働省 公式サイト https://www.mhlw.go.jp/index.html ※「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準)」のページなど。 ※厳密には人事メディアではありません。 |
なお、人事メディアごとにも「カラー」があり、個人によって好みが別れたり、企業によって活用しやすい・しづらいといった相性もあります。また、メディアはその特性から、必ずしも正しい(または中立な)情報が掲載されているとは限らない部分もあります(詳細は次項)。
人事は社内の従業員の生活・人生にも影響する重大な責任を担う仕事ですので、WEB上のメディアを参考にする際には必ず「信頼できる情報」であるかどうかに注意しましょう。複数メディアをチェックして、より中立的な目線を持つことも大切です。
ひしめく数多の人事メディアには落とし穴が…。
メディアは読者にとってはほぼ無償で提供され便利なものですが、一方で、その特性から次のような「側面」も持ち合わせています。
- 人事メディアは人事を顧客とする企業にとっての「広告媒体」でもある
- オウンドメディアの運営目的はリード獲得や検索結果での順位向上
- 外注ライターや人事経験の浅いライターが不完全な知識で執筆しているものも……
- 特に法律の分野ではネット上の情報を安易に鵜呑みにしないよう注意
新聞や雑誌など紙媒体のメディアでも同様の性質はありますが、紙の広告効果が落ちるのと反対にWEB広告の効果と需要は高まり、より一層、「広告媒体」の面が強くなる傾向にあります。
ただ、当然ながら人事メディアを運営し、常に最新情報を読者に提供するためには多大なコストがかかります。手軽に無料で情報を得られる代わりに、裏には収益構造やビジネス上の意図があることもあまりネガティブに捉えずに、上手に活用していただけたらと思います。
以下、それぞれ簡単に解説します。
人事メディアは人事を顧客とする企業にとっての「広告媒体」でもある
アクセス数の多い人事メディアには、広告を出したいと考える企業(特に人事を顧客とするサービスを提供する企業)が現れます。メディアを運営している企業も、広告収入を目的としているケースがあります。そうなると、メディアの内容はただ無償で役立つ情報を提供してくれるだけのものではなくなり、特定のサービスを勧めたり、広告が表示されて読みづらいページになることもあるでしょう。
読者からは購読料を徴収しないメディアが大半ですので、どうしても、読者よりも出稿企業(広告費という多額の契約をした顧客)の側に味方しやすくなる部分があります。
オウンドメディアの運営目的はリード獲得や検索結果での順位向上
「オウンドメディア(Owned Media)」とは「自社で保有するメディア」を指します。 人事メディアは、当サイト「人事ZINE」も含め、企業が自社で情報発信をするためのサイトを運営しているものも多くあります。人事系のオウンドメディア運営会社は主に、人材サービス提供会社や、人事コンサルティング会社などです。
その目的は主に、無料で記事を読んだ読者がメルマガ購読や資料ダウンロードを申し込んでその後も接点を持ってくれること(リード獲得)や、特定のキーワードでネット検索をした際に自社サイトが上位に表示されることです。
もちろん、それだけですぐに顧客に自社サービスを提案することはできませんが、長期的に見て自社サービスの理念を理解してもらったり、サービス名を認知してもらったりという効果が見込めます。
外注ライターや人事経験の浅いライターが不完全な知識で執筆しているものも…
人事メディアやオウンドメディア全般を運営するにあたって、社内の人材だけで記事執筆をこなすことは困難であることが多くなります。その結果、クラウドワーカーやインターン生、ライティング代行業者などに記事執筆を「外注」することもあります。
もっともらしい記事を書いていても、経験や知識が十分なライターが書いたとは限りません。人事メディアに限りませんが、WEB上の情報を参考にする際には複数サイトをチェックして情報を精査したり、厚生労働省など公的機関の確実な情報と照合する、社労士や弁護士に確認するなど、少し慎重になることも重要です。
特に法律の分野ではネット上の情報を安易に鵜呑みにしないよう注意
上記と一部重なりますが、特に法律関連(現行法や判例)の情報に関しては注意が必要だと思います。法律用語は知識や“慣れ”がなければ適切な解釈ができない場合もあり、わかりづらさから誤解を産むこともあります。
また、法改正は毎年のように行われており、数年前の情報ではもう古いということもあります。法律関連は、一歩間違えば会社を「違法な状態」にしてしまう危険性があるものですので、より一層の慎重さが必要でしょう。
人事メディアでの情報収集に適したトピック
人事メディアでは、法律関連などの高い専門性・正確性が求められるものよりも、次のようなトピックが向いていると思います。
- 他社の制度や取り組みの事例、生の声
- 先進企業やベンチャーが取り入れる施策やツールのトレンド
- 専門家へのインタビュー・講演レポート
- 勢いのある人事関連サービスの情報
人事という社内でも社外でも情報発信がしづらい領域においては、「他社はどうしているんだろう?」と他社の人事の取り組みが気になることも多いのではないでしょうか?
人事メディアでは、先進企業や大手企業の人事がインタビューなどで取り組みについて語ることも多く、こうした「生の声」を入手するにはうってつけです。記事もブログのようで読みやすく、通勤電車やランチどきに読み物としても面白く読めるでしょう。
また、先に「広告媒体としての側面がある」ということも書きましたが、こうして広告費に投資できるサービスは成長の勢いがあるとも言えます。サービスを検討する際にも、人事メディアでチェックすることで一つの判断軸になるかもしれません。
人事メディアで得た情報を業務に活かす方法
さて、すでに熱心に人事メディアを読んでいるという人事担当者の方でも、「個人的には情報収集しているが、それを業務には活かせていない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?せっかく仕入れた知識をどのように活用するか、いくつかのアイディアをご紹介します。
他社事例やトレンド情報で社内を説得する
人事に関する施策や新たな取り組みをしたいと思っても、社内の説得が難しいということはよくあると思います。人事は文字通り「人の事」に関わるため、感情や法律など様々な要因が絡み合うからです。
そんなときには、「実際に同業種の企業がこうやって成功している」「世間のトレンドとしてこういう動きがあるので、自社でも取り入れたい」など、人事メディアの情報を説得材料として使ってみましょう。
夜なべして資料を作り込んだり、何日もかけて紙の資料を回覧しなくても、メールやチャットでURLを送るだけで同僚や上司と共有できる手軽さもメリットです。
SNSでシェアして採用マーケティングやブランディングに
人事メディアの記事には「SNSシェアボタン」が付いていることが多いので、容易にシェアしたりコメントを添えることができます。「採用マーケティング」や「採用ブランディング」など、自社のスタンスに関する情報発信が必要な場面では、こうした人事メディアの「シェア」を活用できるでしょう。
例えば、働き方改革の先進企業のインタビュー記事などがあればそれをSNSでシェアして、「ちなみに私たちの会社では〜」と共通点や比較した点をアピールできます。
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人事担当者間での意見交換・アイディア出しの題材にする
人事担当者同士で、毎週の気になったトピックを共有することをルーティンにしても良いと思います。人事の業務は定型業務の繰り返しも重要であることが多く、「新しいこと」を提案したり検討することが後手に回りがちという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最新ニュースやトレンドを日々意識するためにも、ぜひ人事メディアを活用して「こんなトレンドがあるようだけど自社には必要だろうか」など意見交換をしてみてください。
個人のスキルアップを極める
社内の業務になかなか活かせずとも、個人のスキルを高めることは決して無駄ではありません。人事として転職を考える際にも、実務をこなせるだけではなく、さらにレベルの高い戦略人事を提案できることは大きなアドバンテージになります。
自社の人事業務だけでは、最新の人事施策やツールについての知識が身につけられない…という担当者の方には、人事メディアによって幅広い知識を身につけていただけると思います。
終わりに:この「人事ZINE」も人事メディアの一つです
何十とある人事メディアの目的に合った選び方と、業務での活用方法についてご説明しました。人事メディアの裏側まで赤裸々に書いた部分もございますが、こうしたメディアから、正しく、役立つ知識を得られる一助となりましたでしょうか?
最後になりますが、当サイト「人事ZINE」も人事メディアです。人事ZINEは、新卒採用のダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を運営する株式会社i-plugのオウンドメディアです。
わたしたちは、初めて人事担当になられて不安な方や、一人で人事を担当されている方に寄り添えるように、教科書的な知識や情報の羅列ではなく、ここで疑問を解決していただき、業務に戻ったときに小さくても何か一つ“アクション”を起こせる後押しになるようにという理念の元、2019年に人事ZINEを立ち上げ、運営しています。
採用に関する情報を中心に、無料テンプレートや市場レポート資料、インタビュー記事など今後も幅広く更新してまいりますので、よろしければ活用いただけましたら幸いです。