【面接の心得】面接官が役割を果たすために必要なこと

面接官は採用面接で限られた時間の中で候補者の性格・能力・資質などを見抜いて適正な評価をしなくてはなりません。

しかし 新任面接官や経験値が少なく自信のない面接官は、以下のような悩みを持つ方が多いのではないでしょうか?

『一回の面接で候補者の性格が見極められない』
『どの候補者も同じように見える(良く見える)』

今回は、新卒採用において、面接官が抱えがちな悩みを解消するために面接官が持つべき心得や高めておくべき能力について、新卒採用アドバイザーの小野さんに解説していただきます。

面接官の抱える課題とは?

人事ZINE編集部
—— 昨今、面接の役割や価値が変化する中で、新任面接官はどのような悩みを抱えているのでしょうか?

小野さん
経験の少ない、もしくは自信のない面接官の方によくある悩みですと

  1. どの学生もよく見える
  2. 自社に合う学生を見極めづらくなった
  3. 限られた人材から採用しないといけない
  4. 候補者の性格の見極めや合否判断が難しい

以上のようなことが考えられますね。これらの悩みを解決できていないまま業務を進めてしまうことで、

  • ミスマッチによる現場からの不満
  • 候補者の入社意欲の低下による内定辞退
  • 採用人数・採用品質のノルマを達成できない

などにも繋がりかねません。

面接官の悩み①「どの学生も良く見える」

—— 面接の中で「どの学生もよく見える」ということはなぜ起きてしまうのでしょうか?

小野さん
現在、SNSの普及や就活生の口コミサイトができてきたことで、「こういう発言をしたら通った」というような情報がネット上に出回るようになってきたことが一因と考えられます。そのため、面接で同じ発言をする学生が増えてきているのです。

就活の口コミサイトやSNSが悪いというわけではありません。しかし、学生の発言がテンプレ化することで、面接の役割である「候補者の特徴や性格を見極める」ことが難しくなってしまい、面接官が悩みを抱える原因になっていることは確かですね。

面接官の悩み②「自社に合う学生を見極めづらくなった」

—— 学生の発言のテンプレ化による弊害は企業規模により違いはありますか?

小野さん
ありますね。大企業では毎年の応募者が多いので、その分だけ発言のテンプレ化が顕著です。

質問に対しては、堂々としっかり答えてくれるので、面接の事前準備としてかなり下調べしてきたことは伝わってきます。一方で、その場での臨機応変な質問(学生が準備していない質問)を投げかけると、急に様子が変わりボロが出てしまいます。

結果的に最初は良い人材だと思っていても、最終面接の頃には予定していた人数が集まりません。どの学生もよく見える中で、さらに自社に合う学生を見極めるということは難しいことです。

面接官の悩み③「限られた人材から採用しないといけない」

小野さん
一方、中小企業の場合はそもそも応募してくる人数が少ないため、限られた人材から「どうしても採用しなければいけない」という状況が生まれてしまいます。

例えば、3人の採用予定に対して5人の応募しか来なかった時、面接がしっかりできていないと「5人の中から3人を採用する」ではなく「5人のうち2人をどう落とすか」という判断にシフトしてしまうことがあるようです。

自社が求める人材と合致しなくても採用してしまう、もしくは採用しなければいけないということが起こり、その結果、ミスマッチの増加を加速させてしまうのです。

以上のように、企業規模による悩みの違いはありますが、共通点として「面接の役割が果たせていない」ということが考えられます。

面接官の悩み④「候補者の性格の見極めや合否判断が難しい」

小野さん
それに加え、当たり前のことではありますが、応募者は面接中、面接官に良く思われたいという仮面を被っています。面接官は限られた時間の中で『候補者本来の姿』を引き出せず、結果的に合否判断が難しくなると言えるでしょう。

また、面接官個人の主観で合否を出してしまう、もしくは出さざるを得ないことも正確な合否判断の妨げとなっています。(共通の判断基準を持っていない、もしくは採用を一人の面接官が行っているなど)

面接官が持っておくべき「面接の心得」とは?

人事ZINE編集部
—— 面接官が持っておくべき面接の心得などはありますでしょうか?

企業の代表であるという意識を持つこと

小野さん
面接官は選考フローの中で応募者と直接関わりを持つ唯一の社員なので、応募者の目には「その企業の代表」として映ります。ですので、企業を代表してその場にいるということは必ず意識しておくべきです。

加えて、その企業の代表であるということは、応募者がその企業の雰囲気などを掴む唯一のきっかけになるということです。「評価されている」という意識をもちつつ、発言には責任を持つ必要があります。

仮に企業側が「この人を採用したい」となっても、応募者の入社意欲が下がってしまうと採用には至らないので、「入社したい」と思ってもらえるような面接にすること、いわゆる「動機付け」を心がけることが大切です。

—— 「面接での動機付け」が大切とのことですが、面接をきっかけに応募者が「入社したい」と感じることは多いのでしょうか?

小野さん
「面接官の雰囲気が良くて入社を決めました」という声を聞くことはとても多いです。よく考えてみると、現場の社員が面接官になっていない限り、入社後に面接官を担当していた社員と関わることってそんなにないはずなのですが、そういった声を聞く度に面接官の重要性というものを再認識しますね。

ですので、面接の短い時間で、いかに会社の魅力を伝えられるかということも面接をする上で心がけるべき点の一つだと思います。

事前準備をしっかりと行うこと

小野さん
事前準備として

  • 候補者のどういう部分を見たいか
  • 候補者から何を聞き出したいか
  • どういう質問をするか

などを明確に決めておくことが重要です。

当たり前ですが候補者の履歴書やエントリーシートも事前に読み込んでおくことで、より具体的な質問もできるかと思います。

企業と学生のマッチングを意識すること

小野さん
どうしても採用となると採用目標人数を意識しがちですが、最終的に採用する人材と自社が上手くマッチすることが重要です。

ここでミスマッチが生じてしまうと、早期退職にもつながりかねません。企業と学生のマッチングを意識して、面接をするのが大切ですね。

面接の目的を理解すること

小野さん
ノルマや多くの課題から「そもそもの面接の目的や面接官として本質的な部分」がないがしろになってしまう面接官も多く見受けられます。

面接の目的=自社の成果を生み出す人を採用することです。

  1. 成果を生み出す人とはどんな人なのかを定める
  2. 定めた人物像はどういう考え方をしているかを明確にする
  3. 面接官の質問に対してどのような回答をした人が該当者か予め決めておく

事前に、①~③を決めて本番に臨むことで、本質を見失わずに面接ができるでしょう。

面接官が面接の役割を果たすためにできることとは?

人事ZINE編集部
―― では「面接官の心得」がわかったところで、面接官が面接の役割を果たすために出来ることはありますか?

コンピテンシー面接を取り入れること

小野さん
まずは、面接スタイルの見直しをした方がいいですね。

例えば、「各選考フェーズで聞くことを決めて、求職者の情報をきちんと掘り下げる」「複数人で面接をし、より客観性を持たせる」というのも一つの方法だと思います。

面接の弱点は「時間制限があること」だと思います。それだとどうしても質問できることが限られてしまい、「引き出すべき情報が引き出せなかった」ということになってしまいます。

コンピテンシーとは、活躍している社員に共通してみられる行動特性のことです。当然ですが業界や業種によって行動特性は異なりますので、社内で「ある職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性」を検証し、定義を決める必要があります。

分かりやすく言えば、社内で仕事のできる人や成果を継続的に出している人はどんな考え方や行動をしているか、共通点を探して、明確にすればOKです。

コンピテンシー面接を行い、選考フロー毎に引き出す情報を細かく決めてしまえば、最終的な判断に困ることは少なくなるはずです。

複数人の面接官で面接を行うこと

小野さん
面接官の主観のみで採用者を選んでしまうと、「人柄がよかった」「第一印象が良かった」など、採用基準とは関係ないところで選んでしまう「ハロー効果(※1)」を助長させてしまう要因にもなります。

※1ハロー効果とは:社会心理学の用語で、ある対象を評価する時にそれが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のことを指します。

面接官個人の主観が入ってしまうことを避けるのであれば、「複数人の面接官で面接を行うこと」で、対策は可能です。

面接官マニュアルを取り入れること

小野さん
「面接官マニュアル」を作成し、「自社の採用基準をもとに作成した質問項目」を面接官に共有しておくことでも、「選考と関係ないところでの判断」はある程度防ぐことができると思います。

面接の目的・採用したい学生像・質問事項などを自社内で共通認識にすることが重要ですね。

人事や面接官だけで完結させないことが大切!

――しかし、上記の解消法を面接官個人で実現するのは難しいのではないでしょうか?

小野さん
そうですね。人事や面接官だけで完結してしまうのではなく、現場や経営層と協力して採用に取り組む姿勢が大切だと思います。

「自社で長期的に活躍できる人材」は、面接官や人事だけではっきりとイメージできることではないので、実際に現場で活躍している人材と関わったり、その人材の良い部分を整理したりしておくと、よりミスマッチを減らすことが現実的になりますね。

なので、ここで紹介したことはあくまでも企業として取り組むべき方法です。

面接官が高めておきたい能力とは?

人事ZINE編集部
—— では個人として面接の精度を高めるために、面接官が高めておくべき能力などはありますか?

候補者をひきつける能力を高める

小野さん
一つ目は「候補者を冷静に評価し、採用の是非を判断する能力」です。面接とはいえ人と関わると少なからず情が移ってしまう可能性があるので、冷静かつ客観的に評価できる能力は採用の質を高める上で必要ですね。

候補者を見抜く能力を高める

二つ目は「候補者の入社意欲を高める能力」です。上述したように、面接で入社意欲は大きく変わるので、面接官に必要な能力としてはかなり重要です。

求職者の入社意欲を高めるために必要な条件としては、以下の5つが言われています。

  • 業界の特徴、業界の中での自社の特徴を話すことが出来る
  • 自社の仕事の面白さを自分の体験をもって話すことが出来る
  • 自社の理念・ミッションに心の底から共感し、語ることが出来る
  • 自社の魅力を自分の体験をもって語ることが出来る
  • 求職者の話をじっくり聴いた上で、自社をオススメできる

自分の体験という言葉が何度か出ていることからも分かるように、実体験を聞けることは、その企業で働いたことのない人にとっては貴重ですよね。さらに、入社後のイメージもしやすくなるので、成功体験であればより魅力付けはしやすくなります。

先天的にセンスとして持っている人もいれば、トレーニングによって飛躍的に能力が伸びる人もいますので、面接官としてぜひ高めていただきたい能力ですね。

面接官のスキルアップに必要なこととは?

—— では最後に、必須とも言える二つの能力を高めるためには、どういったトレーニングが出来るのでしょうか?

小野さん
一朝一夕で身につくものではないのですが、能力を伸ばす方法はいくつかあります。

最も経験値が得られるのは「実際に面接の現場に立つこと」ですが、全く経験のない人をいきなり面接の場に出すのはミスマッチなどのリスクがありますよね。

そのため、企業によっては面接練習を行ったり、先輩社員と面接に同席したりということもあるようです。そのほか、社外で採用担当者向けのセミナーが開催されていることもありますので、そういったセミナーを活用してみるのも良いと思います。

面接経験のない人がどうしても面接に出ないといけない場合、「構造化面接」という手法を取り入れてみるのもいいですね。

以前紹介したコンピテンシー面接も構造化面接の一つですね。自社で採用基準を決めて、それに合わせた質問項目を細かくマニュアル化して、それさえあれば誰でも面接できるような状態を作ってしまうのも有効な方法だと思います。

面接の質を高めて良い人材を獲得しよう!

今回は、新卒採用アドバイザーの小野さんに、面接官が抱えがちな悩み、そして悩みを解消するために面接官が持つべき心得や、高めておくべき能力についてお話しいただきました。

会社として面接官の能力を上げないまま採用活動に取り組んでしまうと、応募者からの辞退や入社後のミスマッチが起きる可能性も高くなり、採用計画が達成されないまま就活期間を終えてしまいます。また原因を解消できないと毎年同じようなことを繰り返し、業務的に採用活動をすることになってしまいます。

ただ、会社として面接官教育を行ない、スキルを身につけて面接官個々の能力を高めれば良いというわけではありません。

面接において企業が優位ということは過去の話です。むしろ企業は応募者に見られて比較されています。この時代で採用活動を成功させるためには、会社の魅力だけでなく、人の魅力で動機付けすることも必要です。

中盤でコンピテンシーについて触れましたが、それは面接をする側にも必須な要素です。

面接官の質だけを高めることは難しいので、全社としてコンピテンシーを明確にし、日頃から全社員が意識する必要があります。その結果、会社の魅力が面接官を通して応募者に伝わり、入社への動機にもつながるでしょう。

悩みを抱えている面接官は、自分で抱え込まず、考えていることを誰かに相談し、面接への考え方や、やり方を見直してみてはいかがでしょうか?

【サンプル】面接官マニュアル(準備チェックシート付き)
【サンプル】面接官マニュアル(準備チェックシート付き)
『面接官マニュアル』は、面接についての基本的なスタンスや流れ、面接で聞くべきことや聞いてはいけないことについて、わかりやすくまとめております。
人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部