【2028年卒】新卒採用市場の動向とは?企業・学生の変化と採用課題
新卒採用市場では、売り手市場が続くなか、採用活動の早期化や学生との接点の多様化が進んでいます。企業側は、採用人数を確保するだけでなく、自社に合う学生との接点をどのようにつくり、選考・内定まで関係を維持するかがより重要な状況です。
本記事では、2028年卒の新卒採用を考えるうえで押さえておきたい市場動向を、求人倍率や企業の採用状況、学生の特徴といった観点から整理します。
人事ZINEでは、28卒の学生動向や企業の採用活動を整理した「これだけ見ればわかる!28卒 新卒採用 市場予測レポート」をご用意しています。これからの市場環境を把握し、自社の採用方針や施策を検討する際の参考資料としてご活用ください。

目次
【2028年卒】新卒採用の求人倍率と市場動向

2028年卒の採用環境を見通すには、直近の2027年卒における企業の求人動向と学生の就職活動を押さえることが重要です。ここでは最新データをもとに、2028年卒採用で想定される市場動向を解説します。
全体の求人倍率

出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2027年卒)」
2028年卒も、企業側の求人数が学生の就職希望者数を上回る状況が続く可能性があります。「ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」によると、2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍で、2026年卒の1.66倍から0.04ポイント低下したものの、依然として1倍を大きく上回っています。
2027年卒の求人総数は74.8万人、民間企業への就職希望者数は46.2万人で、求人が約28.6万人上回りました。求人倍率は2年連続で低下していますが、企業の採用需要そのものは高い水準にあります。2028年卒でも、幅広い企業で人材獲得競争が続くことを前提に採用計画を立てる必要があるでしょう。
従業員規模別の求人数

出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2027年卒)」
2027年卒では、5,000人以上の企業を除き、各従業員規模で求人数が前年を下回りました。300人未満は38.5万人、300~999人は15.1万人、1,000~4,999人は15.8万人に減少し、5,000人以上のみ5.5万人と前年比4.0%増加しています。
なお、2027年卒からは学生側の調査対象が変更されたことに加え、学生の就職志望や就職活動が特定の従業員規模・業種に限定されない傾向を踏まえ、従業員規模別・業種別の求人倍率は公表されていません。
業種別の求人数

出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2027年卒)」
業種別では、2027年卒の求人数に大きな差が見られます。建設業は12.8万人で前年比16.3%増、金融業も1.0万人で10.6%増となりました。一方、製造業は26.2万人、流通業は26.4万人で、それぞれ6%前後減少しています。
情報通信業は3.6万人で前年比2.5%減、サービス業は4.8万人で0.8%減でした。全体の求人倍率だけでは、自社が属する業界の採用難易度までは判断できません。2028年卒の採用計画では、業界ごとの求人数や競合企業の採用動向も確認しながら、必要な母集団や採用チャネルを検討することが重要です。
夏時点での内定率

出典:株式会社キャリタス「7月1日時点の就職活動調査 キャリタス就活 学生モニター2027」
2027年卒では、夏の時点ですでに多くの学生が内定を獲得している一方、就職先を決めずに活動を続ける学生も一定数います。キャリタスの調査によると、2026年7月1日時点の内定率(内々定を含む。以下同)は85.5%でしたが、就職先を決めて活動を終了した学生は61.6%でした。前年同期の67.2%から5.6ポイント低下しています。
活動を継続している学生は28.8%で、14.3%はすでに内定を持っています。継続学生が選考中または受験予定として残している企業は平均3.4社です。また、「企業規模にこだわらず活動する」と回答した学生は49.2%で、6月時点の41.3%から上昇しました。
この動きから、夏以降も中堅・中小企業が学生と接点を持つ余地はあると考えられます。
【2028年卒】新卒採用をめぐる企業の動向

2027年卒では、採用予定数を維持・拡大する企業が多い一方、採用活動の早期化や人材獲得競争も続いています。キャリタス「2027年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2026年2月調査)」をもとに、2028年卒採用を考えるうえで押さえておきたい動向を見ていきましょう。
2027年卒の採用見込み

出典:株式会社キャリタス「2027年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2026年2月調査)」
2027年卒も、企業の新卒採用意欲は高い水準にあります。キャリタスの調査では、前年より採用数を「増加」すると回答した企業が21.7%、「増減なし」が58.6%でした。両者を合わせると80.3%となり、8割以上の企業が前年以上の採用数を見込んでいます。
従業員規模別でも、300人未満、300~999人、1,000人以上のすべてで「増加」が「減少」を上回りました。業界別でも同様の傾向がみられ、企業規模や業種を問わず採用意欲は底堅い状況です。
一方、「増加」と回答した割合は3年連続で低下しており、採用拡大のペースには落ち着きもみられます。採用意欲が弱まったというより、計画人数を十分に採用できず、採用予定数が高止まりしている企業もあると考えられます。
採用活動のスケジュール見通し

出典:株式会社キャリタス「2027年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2026年2月調査)」
新卒採用のスケジュールは、2027年卒でさらに早まっています。調査では、12月までに面接を開始した企業が39.6%となり、2026年卒の実績27.4%を10ポイント以上上回りました。1月までに面接を始めた企業は51.6%と、すでに半数を超えている状況でした。
内定出しも早く、2月以前に開始する企業は48.4%でした。夏のインターンシップやオープンカンパニーで学生と接点を持ち、年内から面接・内定へ進む流れが広がっています。
2028年卒でも、3月の採用広報解禁後から母集団形成を始めるのでは遅いケースが増えると考えられます。夏季プログラムから広報、選考までを一連の採用スケジュールとして設計する必要があるでしょう。
近年の採用充足率

出典:株式会社キャリタス「2027年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2026年2月調査)」
企業の採用充足率はやや改善したものの、依然として採用計画を達成できない企業が多い状況です。2026年卒の採用予定数に対する内定者の割合は平均73.1%でした。前年の70.3%から上昇していますが、平均では計画人数の4分の1程度を確保できていません。
特に、調査時点で採用活動を終了していない企業の充足率は52.8%にとどまりました。企業規模による差もあり、採用選考を終了した割合は1,000人以上の企業が78.1%だったのに対し、299人以下では67.4%です。
2028年卒でも、採用予定数を設定するだけでは必要な人材を確保できない企業が少なくないと考えられます。母集団の人数に加え、ターゲット層との接点、選考辞退、内定承諾まで含めて採用計画を管理することが重要です。
学生との接点の多様化

出典:株式会社i-plug「【27卒学生/企業対象】27卒学生の意識と選考実態に関する調査(2026年2月)」
学生との接点は、ナビサイト中心の採用から複数のチャネルを組み合わせる形へ広がっています。弊社i-plugの調査では、2027年卒採用で利用する手法として「ナビサイト」が73.1%、「ダイレクトリクルーティング」が69.2%となりました。ダイレクトリクルーティングは、新たに導入した採用手法でも16.7%と最も高くなっています。
現在は、次のような手法を採用目的やターゲットに応じて組み合わせる企業が増えています。
- ダイレクトリクルーティング・スカウトサービス
- インターンシップ・オープンカンパニー
- ミートアップ・採用イベント
- カジュアル面談
- 採用代行
- AIを用いた採用支援
採用代行やAIなどの支援手段も含め、2028年卒では「どの媒体を使うか」だけでなく、複数の接点をどう組み合わせて学生との関係をつくるかが重要になります。
理系人材の獲得競争
理系人材は、採用計画に対して十分な人数を確保できていない企業が多く、獲得競争が続いています。厚生労働省の調査を紹介したJILPTの記事によると、2025年新規学卒者について、採用計画数に内定者数が達していない事業所は「大学卒(理科系)」で56%でした。「大学卒(文科系)」の48%を上回っています。
特に中小規模の事業所ほど人材確保に苦戦する傾向があります。2028年卒でも、理系学生を採用する企業は早期から研究内容や専門性に合った接点をつくり、自社で携われる技術・業務やキャリアを具体的に伝える必要があるでしょう。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「採用計画数に採用内定(配属予定)が達していない事業所割合は『高校卒』で56%、『大学卒(文科系)』で48%」
初任給の傾向

出典:株式会社帝国データバンク「初任給に関する企業の動向アンケート(2026年度)」
初任給を引き上げる企業は多い状況です。帝国データバンクの調査では、2026年度に新卒社員の初任給を前年度から引き上げる企業は67.5%でした。引き上げ額は平均9,462円で、前年の9,114円を上回っています。
初任給額では「20万~25万円未満」が61.7%で最も多い一方、「25万~30万円未満」は17.8%と前年から6.4ポイント増えました。
ただし、企業規模によって差があり、特に小規模企業では引き上げ割合が低くなっています。2028年卒の採用条件を検討する際も、自社だけで判断せず、同業種や同規模の企業が提示する水準を確認しておく必要があります。
Z世代の学生の特徴

近年の学生は、企業の安定性や給与・待遇に加え、社内の雰囲気や働き方も重視しています。調査データをもとに、企業選びや就職活動で見られる主な特徴を紹介します。

安定志向が強い

出典:株式会社i-plug「【27卒学生/企業対象】27卒学生の意識と選考実態に関する調査(2026年2月)」
安定した事業や休日など、長く安心して働ける環境を重視する傾向が見られます。弊社i-plugの調査では、企業の魅力として「完全週休二日制」を挙げた学生は64.3%で、前年から5.1ポイント上昇しました。「安定した事業」も前年から6.6ポイント増えています。
一方、「成長できる環境」は前年から5.6ポイント低下しました。成長機会を重視しなくなったとまではいえませんが、企業選びでは事業の安定性や休日など、働き続けるうえでの安心感を以前より重視している様子がうかがえます。
社会的な評価も参考に意思決定する
学生は企業から提供される情報だけでなく、SNSをはじめとする複数の情報源を使いながら企業や業界を比較しています。キャリタスの2027年卒学生調査では、業界研究で役に立っている情報源として、イベントや就職情報サイトに加えてSNSも挙げられている状況です。
採用サイトや会社説明会で伝える内容だけを整えるのではなく、外部から見た企業イメージも意識する必要があります。SNS上での発信や社員・候補者との日常的な接点も含め、学生からどのような企業として見られているかを把握しておくことが重要です。
出典:株式会社キャリタス「27卒学生の11月後半時点の就職意識調査 キャリタス就活 学生モニター2027調査結果(2025年12月発行)」
人間関係を重視する

出典:株式会社i-plug「【27卒学生/企業対象】27卒学生の意識と選考実態に関する調査(2026年2月)」
学生にとって、社内の雰囲気や一緒に働く人は企業選びの重要な要素です。i-plugの調査では、「社内の雰囲気が良い」を魅力として挙げた学生は66.0%で、調査項目のなかで最も高い割合でした。
仕事内容や待遇だけではなく、社員同士の関係性や職場の空気感まで知ったうえで企業を選びたい学生が多いと考えられます。企業側も67.6%が「社内の雰囲気が良い」ことを採用上の魅力として発信しており、学生と企業の認識が一致している項目です。
給与・休日などの待遇面を重視する
給与や休日、働き方などの待遇面を重視する学生は増えています。i-plugの調査では、学生の62.9%が「給与、待遇が良い」企業に魅力を感じると回答し、「完全週休二日制」も64.3%に達しました。
一方、給与・待遇を自社の魅力として学生にアピールしている企業は20.8%にとどまり、学生側との認識に大きな差があります。採用条件だけでなく、その内容を学生に分かりやすく提示する重要性も高まっています。
出典:株式会社i-plug「【27卒学生/企業対象】27卒学生の意識と選考実態に関する調査(2026年2月)」
オンラインとオフラインを使い分けている

出典:株式会社i-plug「【26卒学生/企業対象】就職活動の選考過程に関する調査(2025年1月)」
学生は就職活動をすべてオンラインまたは対面のどちらかに限定するのではなく、目的に応じて使い分ける傾向があります。i-plugの学生調査では、69.5%がオンラインと対面を組み合わせた選考形式を希望していました。
オンラインを希望する理由では「移動時間を削減したい」が73.1%と多い一方、対面を希望する理由では「企業の雰囲気や社風を知ることができる」が79.3%で最多でした。説明会や初期選考はオンラインで参加しやすくし、社員との交流や職場の雰囲気を伝えたい場面では対面を取り入れるなど、それぞれの特徴を踏まえた設計が求められます。
【2028年卒】新卒採用で見えてきた課題・対策

2027年卒では、母集団形成や学生との関係構築、選考・内定辞退に苦戦する企業が目立ちます。2028年卒採用では、早期から学生との接点をつくり、選考まで継続して関係を築く採用設計が重要です。
自社の採用要件に合う母集団形成
2028年卒採用では、応募者数を確保するだけでなく、自社が求める人材との接点を増やすことが重要です。キャリタスの調査では、2027年卒採用で「母集団形成」を課題に挙げた企業が68.7%と最も多く、実際の応募者数が想定より少ない企業も54.4%に達しました。
同時に「採用重点層へのアプローチ」も40.8%の企業が課題に挙げています。特定の採用媒体に依存せず、大学との連携やダイレクトリクルーティング、説明会などを組み合わせ、採用したい学生へ接点を広げる必要があります。
出典:株式会社キャリタス「採用活動の感触等に関する緊急企業調査(2026年5月調査)」
学生との関係構築・辞退防止
早期に接点を持った学生との関係を維持し、選考・内定辞退を防ぐことも重要な課題です。2027年卒採用では、「インターンシップやプレ期接触からのつなぎとめ」を47.4%、「選考中辞退/内定辞退」を42.4%の企業が課題として挙げています。
インターンシップ参加後から本選考まで期間が空く場合は、社員との交流や企業情報の提供など、継続して接点を持つことが有効です。内定後も、仕事内容や配属、キャリアについて具体的に伝え、学生が納得して意思決定できるようにする必要があります。
出典:株式会社キャリタス「採用活動の感触等に関する緊急企業調査(2026年5月調査)」
待遇・職場環境の改善

出典:株式会社i-plug「【27卒学生/企業対象】27卒学生の意識と選考実態に関する調査(2026年2月)」
給与や休日、職場環境は、学生が企業を選ぶ際の重要な判断材料です。i-plugの2027年卒学生調査では、「社内の雰囲気が良い」が66.0%、「完全週休二日制」が64.3%、「給与、待遇が良い」が62.9%と、いずれも企業の魅力として上位に挙がりました。
採用競争が続くなか、競合企業と比べて給与水準や休日、福利厚生などが大きく見劣りしていないかを確認する必要があります。ただし、待遇だけで差別化するのではなく、仕事内容や成長機会、人間関係なども含め、学生が働き続けたいと思える環境を整え、その実態を採用活動で具体的に伝えることが重要です。
インターンシップ・採用活動の早期化
2028年卒採用では、夏のインターンシップやオープンカンパニーを含め、早い段階から学生との接点を確保する必要があります。キャリタスの調査では、2026年夏にインターンシップなどを実施予定の企業は75.8%で、実施予定企業のうち、前年より受け入れ枠を増やす企業も32.4%でした。
さらに、2028年卒採用で注力したい施策として「プレ期の活動の強化」が59.6%、「インターンシップ等の実施・強化」が59.0%に上っています。2028年卒では、夏季プログラムを単発の企業説明で終わらせず、その後の情報提供やイベント、本選考まで含めて学生との接点を設計することが重要です。
出典:株式会社キャリタス「採用活動の感触等に関する緊急企業調査(2026年5月調査)」
まとめ

新卒採用市場について、求人倍率や企業の採用動向、Z世代の学生の特徴、企業が直面する採用課題と対策を紹介しました。自社の採用方針を考えるうえでは、売り手市場の状況だけを見るのではなく、企業規模や業種による採用環境の違い、学生の志向や情報収集行動の変化まで捉えることが重要です。
今後の新卒採用では、早い段階から学生との接点をつくることに加え、自社の採用要件に合う母集団を形成し、選考から内定後まで継続的に関係を構築する必要があります。初任給や職場環境などの条件面に加え、学生が企業を選ぶ際に重視するポイントを把握し、自社の魅力を適切に伝えることも欠かせません。
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