【2023年卒】新卒採用市場の動向・変化を考察

変化し続ける新卒採用市場において、自社の採用を成功するためには、近年の新卒採用市場の動向を正しく理解することが重要です。
採用スケジュールの早期化は、近年特に顕著になっています。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、採用手法も大きく変化し、オンラインを活用した手法が広く普及しました。
本記事では、弊社の独自調査や他社調査などをもとに、2022年卒採用市場の動向から、今後の市場を予測します。
また、2024年卒の採用市場を分析した資料をご用意しました。Z世代の特徴を踏まえ、採用戦略の策定にご活用いただける内容となっていますので、是非ダウンロードして自社の新卒採用にお役立てください。

さらに、弊社が運営するYouTubeチャンネルにおいても、2023年卒学生と企業向けに行なったアンケートの解説動画を公開しています。お時間のあるときに是非ご視聴ください。
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目次
最新の2023年卒新卒求人倍率を踏まえた市場トレンド
最新の2023年卒新卒求人倍率を踏まえた市場トレンドについて、以下3つの順に紹介します。
- 全体 求人倍率
- 従業員規模別 求人倍率
- 業種別 求人倍率
全体 求人倍率

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20220426_hr_01.pdf
来春2022年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.50倍。前年の1.53倍より0.03ポイント減少し、昨年と大きな変化はなく、2020年3月卒(1.83倍)から3年連続の減少となりました。
リーマンショック、バブル崩壊、東日本大震災などの大きな社会不安時には、求人倍率が急激に減少する傾向があるものの、2022年3月の求人倍率を見る限り、コロナ禍での求人倍率の減少には現時点では歯止めがかかっている様子が伺えます。
従業員規模別 求人倍率

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20220426_hr_01.pdf
従業員規模別に大卒求人倍率を比較すると、従業員規模300人以上の企業においては直近5年間であまり大きな変化は見られません。
一方で従業員規模300人未満の企業においては、2019年卒以降2年連続で減少し、特にコロナ禍の2021年卒では大幅な減少(‐5.22倍)が見られたものの、2022年卒では5.28倍、2023年卒では5.31倍と増加傾向にあります。
2023年卒直近の求人倍率は中小企業においても今後、同水準で推移することが予測されます。
業種別 求人倍率

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20220426_hr_01.pdf
業種別に大卒求人倍率を比較すると、直近5年間では製造業、金融業、サービス業・情報業の求人倍率に大きな変化は見られません。
一方で、2019年から2021年までの3年間で流通業は5.29ポイント、建設業は3.54ポイント減少しました。
しかし2022年卒をみると、昨年と比較して流通業は0.84ポイント、建設業は0.39ポイントと増加に転じ、2023年卒は建設業のみ1.3ポイント増加しています。(流通業は2022年卒に比較して0.35ポイント減少)。
業種別求人倍率の差は依然として大きいものの、建設業においても若干の回復基調が見られ、流通業もそこまで大幅な求人倍率の減少とならなかったため、慎重にこの推移が続いていくことが予測されます。
直近の企業側の動きと、今後3か月以内の動向予測
直近の企業側の動きと、今後3か月以内の動向予測について、以下3つの順に紹介します。
- 22卒の採用見込み
- 採用活動のスケジュール見通し
- オンライン採用の導入状況
23卒の採用見込み

https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/02/202202_kigyochosa.pdf
新型コロナウイルスが蔓延し、採用の形態が変化した2021年卒では「採用見込みが減少した」と答えた企業は27.6%と、前年2020年卒と比べて19.7ポイント増加しました。
続く2022年卒でも、「減少」と答えた企業は12.9%と2021年に比べて14.9ポイント減少、「増減なし」が8.1ポイント増加し、採用に対して慎重な様子がうかがえました。
2023年卒では「増加」と答えた企業は26.6%、「増減なし」は60.0%、「減少」は6.0%という結果となりました。コロナウイルスが蔓延する前の2020年卒並みに採用意欲が回復した状態で、採用活動が継続されていくことが予測されます。
採用活動のスケジュール見通し


2022卒と2023年卒の採用活動のスケジュールを比較すると、面接の開始時期が12月以前の企業は2022卒(5.0%)→2023卒(6.7%)と1.7ポイント増加、1月開始の企業も2022卒(5.2%)→2023卒(6.7%)と1.5ポイント増加しており、面接の開始時期が若干早まっていることがわかります。
また内定出しの開始時期に関しても、12月以前から4月下旬までをみると、2022年卒よりも2023年卒の方がこの期間に内定出しを行う企業が多く、採用スケジュールが総じて早期化していることがうかがえます。
以上のことから、今後企業側は特に早期に内定出ししている内定者へのフォローや内定辞退発生による追加選考に注力することが予測されます。
出典:株式会社ディスコ 新卒採用に関する企業調査(2022年2月調査)2023 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/02/202202_kigyochosa.pdf
オンライン採用の導入状況

https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/10/2022_kigyouchousa_kakuho-.pdf
2022卒と2023年卒のオンラインによる採用活動実施状況を見ると、「WEB面接(双方向のもの)」を導入していると答えた企業は81.0%(2022年卒:73.4%)、「WEBセミナー」を導入していると答えた企業は86.5%(2022年卒:68.6%)となり、2022年卒よりも多い8割以上の企業がオンライン採用を導入していることが明らかになりました。
一方で、動画面接や自己PR動画をオンラインで実施している(予定)の企業は3割を切っており、オンラインであっても双方向でコミュニケーションをとれるWEB面接が企業にとって重要視されている様子がうかがわれます。
今後も見極め・フォローに注力するべく、オンラインでも対面と同程度のコミュニケーション量と質が担保できるような選考プロセスを設計していくことが重要であると考えられます。

新卒採用市場の過去の動き
2022年卒の新卒採用市場の変化
新型コロナウイルスにおける経済活動の変化

新型コロナウイルスの影響によって、社会、生活、産業、事業を構成する前提条件が変化すると考えられます。これまでの経済活動は、リアルに集約し規模化して効率化を図るという経済活動がメインとなっていましたが、集約・規模化が実施できないことから、これまで通りにはいきません。
これからの経済活動は、オンラインを活用して、拠点は分散しつつ自動化しながらテクノロジーの力を使い生産性を向上させていく、経済活動に進むと考えられます。
マクロ環境における外部環境の変化

新型コロナウイルスを起点に外部環境の変化が起こっていることが分かります。特に社会・ライフスタイルにおける三密回避における変化が顕著になっています。今後、この動きは一定期間は継続されることが考えられるため、採用活動でも従来の活動に限定せずに、新たな変化に挑戦していく必要があるでしょう。
また、学生1名あたりのエントリー数にも変化が見られます。右図はサマーインターンシップへのエントリー数を表しており、昨年までは16社以上のエントリー数が10.6%に対して今年は22.2%と11.6%も増加していることが分かります。
これは急激に求人倍率が変化したリーマンショック当時と比較すると、当時と同様の変化となっています。恐らく学生の不安の現れからエントリー数に反映されていることが考えられます。
2022年卒の企業の活動状況の変化

2022年卒の企業は、社会・ライフスタイルにおける三密回避における変化の対応策として、オンライン化の導入を進めていることがわかります。
新型コロナウイルスにおける採用業務への影響を調査したところ、。影響範囲は、「面接方法の見直し・再設計(オンライン面接への移行)」(75%)と「採用スケジュール」(64%)に集中しました。このことから2022年卒も継続してオンラインを取り入れていることが想定されます。
メリット | デメリット |
---|---|
時間、場所、コストの制約が軽減。 | 学生の反応や印象を感じづらい。 |
結果、学生との接点が持ちやすくなった。 | 職場の雰囲気など、感情に訴えかけづらくなった。 |
運営工数が軽減された。 | コミュニケーションへの不安が強まった。 |
また、企業のオンライン化が進むことで、すでにわかってきたこともあります。オンラインを導入することで、メリットとデメリットが顕著に出始めています。
メリットでは、オンラインを導入することで、いままであった「時間」「場所」「コスト」の3つの制約が軽減されました。特に「時間」「場所」の制約が軽減されたことで学生との接点が持ちやすくなりました。そのことから、『2021年卒よりも学生と会いやすい』と感じられている企業も多いと考えられます。
デメリットでは、対面ではないため学生の反応や印象を感じ辛いと感じたり、職場の雰囲気など感情に訴えかけ辛くなったという声が上がっています。オンラインであることでの難しさが表面化しています。そのことから、『2021年卒よりも口説きづらい』と感じる企業様も多いと考えられます。
最後に
本記事では、弊社の独自調査や他社調査などをもとに2022年卒採用の市場動向や変化を予測した下記の調査概要を解説しました。
- 最新の2022年卒新卒求人倍率を踏まえた市場全体動向
- 直近の企業側の動きと、今後3か月以内の動向予測
- 前回の新卒市場動向調査の掲載(2020年12月 発行)
また、2023年卒の採用市場を分析した資料をご用意しました。Z世代の特徴を踏まえ、採用戦略の策定にご活用いただける内容となっていますので、是非ダウンロードして自社の新卒採用にお役立てください。
