【テンプレート付】社員面談シートの必要項目・記入例と運用の流れ

社員面談は、社員の現状を把握し、成長を促すための重要な取り組みです。しかし、社員面談を実施するにあたっては、「どのような社員面談シートを準備し、どのように面談を進めればよいのか」と悩む人事・管理担当者の方も少なくないでしょう。
社員面談を効果的に行うためには、社員面談シートを用意し、評価基準や運用の流れを整理することが重要です。本記事では、社員面談シートに記入すべき項目やテンプレート・記入例、社員面談シートの活用方法と面談時のポイントを紹介します。
人事ZINEでは資料「【サンプル】採用基準策定のための現場ヒアリングシート(記入例付き)」をご用意しております。高いパフォーマンスの社員の特徴を理解する手順をまとめており、社員面談や採用基準の策定、人事評価など幅広い場面で役立ちます。人材開発や採用のヒントをお探しの際はぜひご活用ください。

目次 [表示]
社員面談シートの目的とメリットは?

社員面談の目的は、育成のために上司が部下の話を聞き、適切なフィードバックを行うことです。上司が部下の悩み・課題の解決につながるヒントを一緒に考えることで、モチベーションやパフォーマンスのアップにつなげます。
社員面談では「社員面談シート」をもとに実施することもあります。「社員面談シート」とは、「目標」や「やったこと」「困っていること」「気づき」などの項目をを可視化するシートです。
社員面談シートを活用するメリットは、面談を効率的・効果的に行うことができる点にあります。もし、何の基準や記入するシートもなく面談を実施した場合、面談というよりもただの雑談にかねません。
社員面談シートを使えば面談の内容をシートに記録できるため、面談の担当者にとっては部下の成長を把握でき、部下にとっては成長や目標達成に向けた意識付けや自己管理の材料になります。
社員面談シートに記入すべき項目

社員面談シートに記入すべき項目にはさまざまなものが考えられますが、ここでは特に重要な項目を挙げ、それぞれ書き方を紹介します。
目標・進捗状況
1つ目は目標・進捗状況です。社員が取り組む目標とその進捗は、社員面談の大きなテーマでもあります。
目標の設定は短期・中期・長期で分けるのも手です。進捗状況は数値や期限を使って定量的に表現しましょう。目標達成に向けた行動や計画も記載すると、進捗管理がしやすくなります。
【記載例】
- 短期目標:上半期で新規顧客を3件獲得する
- 進捗状況:新規顧客2件を獲得、残り1件に向けて提案書を準備中
目標設定の際は「SMARTの法則」(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)を意識すると合理的な目標を設定しやすくなります。
うまくいっていること
2つ目は「うまくいっていること」です。社員面談の目的は、社員の成果を評価し、今後の成長につなげることです。この項目は社員が「どのような成功体験を得たのか」「どのようにその成果を達成したのか」を確認するヒントとなります。
【記載例】
- 成果:新規顧客の獲得で月間売上目標を120%達成
- 行動:顧客ニーズのヒアリングを徹底し、柔軟に提案内容をカスタマイズできた
「どのようなスキルや行動が成果を上げる要因となったのか」も合わせて記載すると、社員自身の強みを再認識してもらうきっかけになります。
疑問や悩み
3つ目は「疑問や悩み」です。社員が抱える疑問や悩みを面談シートに記載すると、上司側もスムーズに支援を行えます。
【記載例】
- エンジニア職で新しい開発プロセスに慣れておらず業務効率が下がっている
- 取引先との関係構築に苦労しておりコミュニケーションのコツもわからない
疑問や悩みを具体的に記載してもらうことで、問題の本質を明確にでき、上司が効果的なアドバイスをしやすくなります。
上司からのフィードバック
4つ目は「上司からのフィードバック」です。この項目では、上司が社員に対して評価した点や改善点を記載し、次回に向けての期待を記します。社員面談においてフィードバックは社員のモチベーションアップや課題解決に役立つ重要な項目です。
【記載例】
- 肯定的な評価:顧客への丁寧なレスポンスと柔軟な姿勢が信頼につながっている
- 改善点:対応の質は高いが今後は効率性も追求するうえで対応フローの確立を目指すとよい
フィードバックを記載する際は、社員の具体的な行動や成果をもとに評価を行い、その後の改善点や課題を明確にします。評価が具体的であれば、社員も「次にどう取り組むべきか」が分かりやすくなります。
今後の課題・取り組み
5つ目は「今後の課題・取り組み」です。この項目では、「社員が直面している課題に対してどのように取り組むか」を記載します。
【記載例】
- 優先課題:システム開発のチームリーダーを担うスキルを身につける
- スキルアップ計画:要件定義・設計やメンバーのマネジメントも順次経験して必要なスキルを身につけていく
課題や取り組みは、長期的なキャリア目標と一貫性があるものにしたうえで、具体的な行動計画も添えるようにすると社員にとって効果的な指針となります。
社員面談シートのテンプレート・記入例

社員面談シートを作成・運用する際は、テンプレートを参考にすると効率的です。ここでは「ある程度の業務経験があるエンジニア職」と「マーケティング職の新入社員」の2つのケースをもとに、社員面談シートの記入例を紹介します。
若手・中堅社員用のテンプレート・記入例
若手・中堅社員用の社員面談シートの記入例は以下の通りです。職種はエンジニア職です。
項目 | 記入例 |
---|---|
目標 |
・新規プロジェクトにおけるリリーススケジュールを遵守し、全体の進行管理を行う |
進捗状況 |
・初期設計フェーズを完了し、開発フェーズに移行中。進捗は予定の90%を達成 |
うまくいっていること |
・新しいフレームワーク導入により、開発工数を5%削減 |
疑問や悩み |
・プロジェクト内でのコスト管理(特にリソース割り当て)の経験が不足している |
上司からのフィードバック |
・チームの進捗管理能力が高く、プロジェクトがスムーズに進行している |
今後の課題 |
・優先課題:チームリーダーとしての意思決定能力を向上させる |
新入社員用のテンプレート・記入例
新入社員用の社員面談シートの記入例は以下の通りです。職種はマーケティング職としています。
項目 | 記入例 |
---|---|
目標 |
・SNS広告のCTR(クリック率)を10%向上させるためのキャンペーンを企画・実施する |
進捗状況 |
・第1回のキャンペーンを実施し、CTRが5ポイント改善 |
うまくいっていること |
・成果:特定の広告キャンペーンではCTRが8ポイント伸びている |
疑問や悩み |
・広告予算配分の考え方がまだ十分に理解できていない |
上司からのフィードバック |
・広告デザインや文言が洗練され、顧客の反応が良かった |
今後の課題 |
・優先課題:デザイナー、ライターといったパートナーのディレクションスキルを向上させる |
社員面談シート運用の流れ

ここまで、社員面談シートの活用方法やメリット、作成の仕方などを解説してきました。次は、どのようにこの社員面談シートを運用していけば、効果のある面談ができるのかを説明していきます。
詳しく見ていきましょう。
社員面談をする目的を共有する
社員の方は、人事担当者から「これから社員面談を行ってください」と伝えられても、面談によってどのような効果が期待されていて、何を目的に面談を行えばよいのかのかわからないでしょう。目的がわからないと、わざわざ面談を実施しても今後に活かすことにつながりません。このような混乱を避けるために、まずは面談の担当者となる社員や面談を受ける社員と、面談をする目的を共有しましょう。
社員面談の目的は、上司が定期的に部下と面談することで、「部下の業務状況を把握し、成長を促すこと」「部下の意見を聞き、上司がフィードバックすること」が挙げられます。
このような目的、メリットなどを、事前に上司、部下ともに伝えておきましょう。そうすると、上司も部下もその目的に沿った効果的な面談を実施できます。
社員面談の日程や進め方を検討する
社員面談は定期的に実施することが重要です。できれば週に1度、それが難しければ2週間に1度、最低でも1ヵ月に1度はスケジュールに組み込んでください。
また、会社の業務が集中しない曜日に社員面談をするとよいでしょう。部下の負担を軽減するため、事前に日程を相談して適切な日を見極める必要があります。
さらに、面談の前に社員面談シートを作成すれば、社員面談のときに何を話題にしたらよいのか困らなくなります。社員面談シートに記載されている内容について話をして、最後に上司はフィードバックを行います。
社員面談の日に緊急の予定が入り面談ができなくなった場合は、キャンセルするのではなく、別日に振り替えましょう。
社員面談を実施する
社員面談を実施する際は、最初は部下をリラックスさせるために雑談から入りましょう。最近あったことや、部下の趣味、家族のことなどを聞いて話しやすい雰囲気を作ります。そのような軽い話題からも、部下の今の状態を知る手掛かりになるでしょう。
また、社員面談を実施する目的も改めて伝えてください。部下の性格によっては、社員面談という場に対して少し身構えてしまうこともあります。社員面談はあくまでも部下の成長支援であり、何か問題があれば一緒に解決するためのものであることを伝えます。
部下がこの社員面談は「自分のため」だと感じてくれれば、社員面談に対しても仕事に対しても前向きになるでしょう。
面談により社員の評価を実施する
社員を評価するときには、3者以上で実施したほうが良いです。3者とは部下、直属の上司、上司の上司です。
部下とその直属の上司の2者で実施した場合、上司の主観により評価が決まってしまいます。客観性を確保するためにも3者で評価しましょう。
また、その3者が同じシートを使って評価すると、他の人の評価に影響される恐れもあるので、個別のシートを用いて評価するのが理想です。
評価するときには、必ず評価理由も明記します。さらに、その評価をつけた根拠が必要です。理由や根拠を提示するためには、上司は日々、部下の仕事ぶりを観察しておく必要があるでしょう。
社員面談シートをもとに育成会議を開く
育成会議は、面談を行った上司2人と、その間に入って調整する役割の人を含めた3者で開きます。調整する人は、社長や人事、総務の役員クラスの人が担当してください。評価が分かれた項目は、会議の場ですり合わせを実施します。
このように複数人で育成会議を開くことにより、上司個人の育成スキルに左右されることなく、人材を育てられるようになります。評価の判断基準を統一し、部下の育成方針を決定して共有することは、育成される部下にとっても何をすればよいかの方向が明確になり、効率的な人材育成につながるでしょう。
また、育成会議を開くことにより、会社の方向性もよりはっきりし、会社に必要な人材の育成を進めやすくなるメリットもあります。
社員面談シート運用・面談時のポイント

社員面談シートは面談時の大切な資料ではありますが、社員のモチベーションアップ・目標達成の後押しをするには、運用方法や面談時の対応も重要です。ここでは運用・面談時のポイントを紹介します。
目標や目標の進捗状況を具体的にヒアリングする
まずは、具体的な目標を立てているかどうかを確認してください。目標が具体的でなければ、達成できたかどうかがわからないため、できれば定量的な数字で表されるものがよいでしょう。目標達成の期日も設定します。
また、その目標を達成することで、部下本人にどのようなメリットがあるのかも明確にしておきましょう。なぜならメリットがはっきりしていると、モチベーションを維持しやすいからです。
すでに具体的な目標がある部下に対しては、進捗状況を質問しましょう。目標達成まであとどれくらいなのか、達成の障害になっている問題はないか、最初に設定した期日までに達成できそうかなどをヒアリングします。
評価基準・フレームワークに沿って議論する
社員面談を建設的に行うためには、担当者の主観に頼りすぎず、評価基準やフレームワークをもとに議論すると効果的です。
人事評価においては業績基準(目標達成度や実績)、能力基準(スキルや専門知識の発揮度)、情意基準(協調性や意欲)の3つを意識するとバランス良く評価できます。
また目標設定や進捗確認には、以下の5つの頭文字をとった「SMARTの法則」を取り入れると効果的です。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連性がある)
- Time-bound(期限がある)
担当する上司や人事担当者によって論点や評価方法が異なると、社員の混乱を招く可能性があります。一方、このような考え方・フレームワークも適宜用いると、客観的かつ建設的な議論がしやすくなるのです。
丁寧にフィードバックを行う
社員面談シートに沿って、部下からの進捗状況や意見、感想を丁寧にヒアリングしたあとは、それに対してフィードバックを行います。
今回の社員面談の内容と、日ごろの部下の様子を観察した総合的な助言を伝えましょう。上手くいっているところは褒めたり、部下が悩んでいるところは適切な助言を与えて、できるだけ悩みを克服できるようにサポートしてください。
また、上司としての客観的な意見を伝えて、部下に次のアクションを考えさせましょう。すべて上司が指導して部下にやらせるのではなく、部下が自分で課題を発見して、その課題の解決方法にたどり着くように仕向けることが大切です。
新入社員の情報を配属先に簡単に共有できる
新入社員の短期離職を防ぐには、配属先に素早く馴染ませることが重要です。ダイレクトリクルーティングのOfferBoxならプロフィールと適性検査結果を配属先の社員に共有することが可能です。コミュニケーションの取り方の参考になるためおすすめです。

企業のオファー送信数と学生のオファー受信数に上限があるため、メールの開封率は82%の高水準という点が大きな特徴です。2024卒の就活生は246,000人が利用しており、理系・文系問わず全国の幅広い大学群・学部に所属する学生が利用しています。
成功事例や料金プランはこちら
まとめ

社員面談シートは、社員の目標達成や課題解決を支援し、成長を促すための重要な資料です。シートには目標・進捗状況や上司からのフィードバック、今後の課題など、社員の状況を具体的に記載できる項目を設けることで、有意義な面談を実施できます。
社員面談をスムーズに進めるためには、必要に応じて社員面談シートのテンプレート・記入例を活用し、明確な評価基準やフレームワークを取り入れることが効果的です。本記事で紹介した内容を例に、社員面談シートを職場に適した形で運用し、社員のサポートにつなげてください。
人事ZINEでは資料「【サンプル】採用基準策定のための現場ヒアリングシート(記入例付き)」をご用意しております。活躍している社員の特徴を特定する手順をまとめており、社員面談をはじめ採用基準の策定、人事評価など幅広い場面で役立ちます。人事・採用のヒントをお探しの際はぜひご活用ください。
