内定の定義とは?内々定との違いや成立要件・内定者フォローについても解説

内定とは
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採用活動(就職活動)の場面で用いられる「内定」とは、採用が内々で決まることを指します。労働が始まる前段階でありながら、労働契約が成立している状態であり、簡単には取り消しできないものです。

この記事では、「内定の定義」「内定通知書の役割や書き方」「内定辞退の現状や内定者フォロー」などについて紹介します。

内定の役割を知り、効果的な内定者フォローをしていきたいと考えている人事担当者の方は、ぜひご覧ください。

また、内定者フォローについては、こちらの資料でくわしく解説しています。本記事とあわせてご活用いただければ幸いです。

【内定者フォロー編】人事なら知っておきたい 採用基礎知識まとめ
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内定とは?採用担当者が知っておくべき基礎知識

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まずは、内定とは何か、その定義について押さえておきましょう。採用担当者が知っておくべき基礎知識とあわせてご紹介します。

内定の定義

採用活動(就職活動)における内定とは、労働が始まる前の段階でありながら、採用が内々で決まることです。新卒採用の場合、学生が在学中に締結される、卒業後を始期とした労働契約を指します。

つまり内定は、企業にとっては「卒業後はあなたを当社が雇用する」、学生にとっては「卒業後は貴社で働く」と契約することです。

内定では、労働契約の一種である「解約権留保付労働契約」を締結します。企業によって呼び方が異なる場合がありますが「内定承諾書」によって契約を締結するのが一般的です。内定承諾書に内定者がサインすることで、労働契約が結ばれることとなります。

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内定と内々定の違い

内定と似た言葉に「内々定」があります。内定との大きな違いは労働契約の有無です。

内々定は、メールや電話などで内定を出すことが決まったことを伝えた段階など、正式に「内定承諾書」のやり取りをする前の段階です。内定承諾書にサインすることで労働契約が成立し、内々定から内定へと切り替わります。

内定の役割

内定の役割の1つは、書類を取り交わして正式に契約を結び、簡単に内定を破棄できないようにすることです。労働契約を結ぶことで、内定者に対して一定の権利が保証され、企業側は正当な理由なく内定を取り下げられなくなります。

内定取り消しのリスクや、取り消しができる条件について詳しくは、後段の「内定の取り消しのリスクやルール」で解説しています。

内定通知書の役割や書き方・テンプレート

内定通知書とは、企業から採用の意志を内定者に伝達する書類です。

内定は口頭で伝えられることもありますが、内定の通知を正式に書面に残し、目に見える形にするために内定通知書が作成されます。前述の内定承諾書を内定者に差し出す際に添付するのが一般的です。

内定者はこの内定通知書を確認し、内定承諾書に記名・捺印して提出することで労働契約が成立します。

内定通知書と採用通知書の違い

内定通知書と似た書類として「採用通知書」があります。

内定通知書と同じ意味で使われることもありますが、採用通知書は一般的に、企業が採用の意思を一方的に通知するための書類です。

一方で、内定通知書は学生(応募者)の入社意志を確認できた後に出すものを指し、内定の証拠として法的な効力を持つものです。特に入社までに間が空く新卒採用の場面で作成されることが多くあります。

いずれも発行の義務がある書類ではないという点は共通です。

内定通知書の書き方・テンプレート

内定通知書に記載すべき内容は決まっているものではありませんが、一般的に書くべき項目と内容は以下の通りです。

  • 発行日:右上に内定通知書の発行日(作成日)を記載
  • 宛名:左上に内定通知を出す対象者(学生)の名前を記載
  • 差出人:宛名の下の行に右詰めで会社名と代表者名を記載
  • 本文:挨拶と、内定が決定したことを記載
  • 労働条件:労働条件について、箇条書きで要点を記載

労働条件については、部署や業務内容、勤務場所、給与、試用期間、入社日などを記載します。その他、必要に応じて提出物や必要書類、問い合わせ先などを記載する場合もあります。

内定辞退の現状と原因

内定辞退の現状と原因

内定について考える時に、採用担当者として気になるのが内定辞退の動向ではないでしょうか。ここでは、内定辞退の現状とその原因をご紹介します。

内定辞退率の推移

まずは内定辞退の現状から確認しておきましょう。

リクルート・就職みらい研究所の「就職プロセス調査(2023年卒)」によれば、22年度卒学生の10月時点での内定辞退率は63.5%で、およそ3人に2人が内定を辞退している計算になります。

同調査によると、内定辞退者が増加傾向にあることも分かっています。21年卒と23年卒を比較した場合の、内定辞退率の推移は以下の通りです。

  • 【4月1日時点】21年卒16.6%→23年卒28.9%
  • 【5月1日時点】21年卒27.7%→23年卒39.3%
  • 【6月1日時点】21年卒35.2%→23年卒51.1%

企業側は、内定の辞退を防ぐために、内定辞退の理由を分析したり、その防止策を講じたりなどの対応をする必要性が高まっているといえます。

内定辞退が起こる理由

辞退の理由は内定者によって千差万別ですが、主な理由として以下の4つが挙げられます。

  • 労働条件がマッチしないため
  • 当初のイメージと内情にギャップがあるため
  • 面接官の印象が悪かったため
  • 内定連絡が遅いため

まずは勤務地や給与などの「労働条件」が合わないため、より条件がマッチする他社へ志望を変更してしまうということがあります。

また仕事内容を詳しく知るにつれて、当初思っていた企業イメージと実際の社風に「ギャップ」を感じたという点も、よくある内定辞退の理由の1つです。

その他「面接官の印象が悪かった」「内定連絡が遅かった」など、採用活動を通じてマイナスのイメージを持ったことによる内定辞退もあります。

内定者フォローが必要な理由や主な方法

内定者フォローが必要な理由や主な方法

内定者フォローとは、入社までの間に内定者の志望度が下がらないよう、継続的にコミュニケーションを取る施策のことです。

ここでは、内定者フォローが必要な理由や主な方法について説明します。

内定者フォローの必要性

前掲のリクルート・就職みらい研究所「就職プロセス調査(2023年卒)」によれば、2023年卒の学生1人あたりの内定取得企業数は平均2.56社。つまり学生は平均で2~3社の複数企業から内定をもらい、より条件が良い企業を選んで就職していることが分かります。

このような状況では、内定者の入社へのモチベーションが下がったり、他社との競争に負けたりしないように、継続的にコミュニケーションを取って高い志望度を維持することが重要です。

特に新卒採用では内定から入社まで日数が空くケースが多いため、フォローしつつ内定者の状況を知り、志望度を維持できるよう働きかけを行っていくことが有効です。

内定者フォローの方法

内定者フォローでは、「内定の理由」に合わせて施策を実施していくことが有効です。代表的な施策として、以下の3つが挙げられます。

  • 内定者懇親会・座談会
  • 内定者研修・セミナー
  • 社内イベントへの招待

「内定者懇親会・座談会」では、フランクに内定者とコミュニケーションを取れる場をつくることで、内定者が入社にあたって気になっている疑問・不安を解消する効果が期待できます。また、内定者同士のコミュニケーションを通じて横のつながりを生み出す効果も期待できるでしょう。

「内定者研修・セミナー」で扱う内容は、社会人としてのビジネスマナーや、実際の業務に関わるスキル習得など多岐にわたります。研修・セミナーを通して、内定者に自社で働くイメージを持ってもらうことが期待できます。

その他、忘年会や新年会などの「社内イベント」を開催して、内定者フォローを兼ねて招待することもできます。自社の雰囲気や社風が伝わるのに加えて、年齢の近い社員と交流する機会にもなるでしょう。

内定の取り消しのリスクやルール

内定の取り消しのリスクやルール

前述の通り、正当な理由なく内定を取り消すことはできません。ここでは、企業側が内定を取り消すリスクや取り消せる条件などを解説します。

内定取り消しによって企業が負うリスク

内定は労働契約が成立した状態であり、内定者との合意がない限り、企業側から一方的に内定を取り消すことはできません。

不当な方法で内定の取り消しを行った場合、企業は以下のようなリスクを負うことになります。

  • 訴訟リスク
  • 企業イメージやブランド力の低下

企業からの一方的な内定取り消しは損害賠償請求などにつながるリスクがあります。やむを得ず内定を取り消す場合にも、「事前に十分な説明をして理解を得る」「他の就職先を紹介する」など、訴訟リスクを回避する措置を取ることが重要です。

また、近年ではSNSやインターネットを日常的に利用する内定者も多いため、内定取り消しによって自社についての悪い口コミ投稿が拡散されるリスクもあります。このような事態になれば、企業イメージやブランド力の低下につながりかねません。たとえ正当な理由による内定取り消しでも、内定者に対して丁寧かつ誠意ある対応を心がけることが重要です。

企業都合で内定を取り消せる条件

経営不振など、企業都合で内定を取り消す場合には、「整理解雇の4要件」と呼ばれる以下の要件を満たす必要があります。

  • 人員削減の必要性:経営上の人員整理の必要性が客観的に説明でき、整理解雇を行う必要性があること
  • 解雇回避の努力:整理解雇を回避するために、十分な経営努力がなされていること
  • 被解雇者選定の合理性:解雇するための人選基準が合理的で、具体的な人選についても公平であること
  • 解雇手続きの妥当性:解雇理由に関しての説明、協議や交渉を十分に行っていること

上記は整理解雇の際の要件ですが、企業都合の内定取り消しにも適用されるという見方が一般的です。要件を満たしているかどうかを判断するには、さまざまな要素を考慮する必要があり、弁護士や社会保険労務士など専門家の助けが必要になるケースもあるでしょう。

内定者都合で内定を取り消せる可能性があるケース

企業都合ではなく、内定者都合で内定を取り消せる可能性があるケースについてもご紹介しましょう。代表的なケースは以下の通りです。

  • 大学卒業が成立しなかった
  • 病気や怪我により就業が困難になった
  • 重大な経歴詐称をした
  • 反社会的行為を犯した

内定は通常、大学を卒業して就業できる状態での入社を前提とする契約です。そのため、内定者が大学を卒業できなかった場合や、病気や怪我により実質的に就業が難しい場合には内定を取り消せる可能性があります。

そのほか、「採用の合否に直結するような経歴を詐称していた場合」「就業に必須である資格を詐称していた場合」「企業にとって重大な犯罪歴を申告していなかった場合」なども、内定を取り消せることがあります。

まとめ

内定とは_まとめ

内定は労働が始まる前段階でありながら、法的な拘束力を持つ労働契約の一種です。そのため、採用担当者は正しい知識をもとに適切な方法で内定者への対応をする必要があります。特に内定取り消しには慎重な対応が求められます。

また内定者にスムーズに入社してもらうためにフォローを効果的に行い、内定辞退を回避することも大切です。内定者フォロー施策の参考として、下記OfferBoxの資料をぜひご参照ください。

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人事ZINE 編集部

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