新卒採用のトレンドは学生優位と早期化!トレンドに対応する3つの方法とは?
新卒採用担当者の方で、自社の採用環境が市場のトレンドをきちんと反映できているか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現在の新卒採用のトレンドとして『学生優位』と『早期化』が顕著であり、トレンドに合わせた打ち手が必要になります。
今回は、新卒採用のトレンドを改めて整理し、トレンドに対応するための方法を紹介します。今後の採用戦略の設計のお役に立てると幸いです。
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目次
市場のトレンドは、『学生優位』と『早期化』
採用市場のトレンドとして抑えるポイントを、大きく2つ紹介します。
ポイント1つ目は、学生優位の市場であることです。
ワークス大卒求人倍率調査によると、2020年卒の大卒求人倍率は1.83倍としており、依然として売り手市場が続いています。端的に言えば、新卒市場全体として仕事が余っている状態であり、一部企業(大手BtoC企業など学生人気が高い企業)を除いて、学生優位の環境と言われています。
BtoBや中小企業などの普段から学生と接点を持つ機会が少ない企業は、企業認知が高い大手企業などと比べて、候補者集団形成し辛く苦戦しやすい傾向もあります。
そしてポイント2つ目は、採用市場早期化が進んでいることです。
就職白書2019の『採用活動プロセス毎の開始時期』を見てみると、2020年卒から過去3年間で採用活動が早期化傾向にあることが確認できます。とりわけ『自社の説明会・セミナー(対談)』の『10月以前』でのデータを確認すると、2020年卒では2019年度と比べて3.1ポイント増加する結果となり、より早期化傾向が見られます。
企業の採用フローにおいて、学生に企業求人を認知してもらい、選考に進んでもらうためには、早い段階からの動き出しが必要でしょう。
以上から、新卒の採用市場の現在の環境では、学生優位に加え採用の早期化が進んでいることを念頭に置いたアプローチが重要です。
採用担当者が積極的に学生に会いにいく必要あり
学生優位に加え採用の早期化が進んでいることを念頭に置いたアプローチの1つ目に、『採用担当者が積極的に学生に会いにいく』ことが重要です。
候補者集団形成の段階で選考に進む人数を担保する必要があり、企業認知が低ければ、候補者集団を形成するのに苦戦する場合があるでしょう。
その中で、ナビサイトなどいわゆる『待ち』の採用手法で候補者集団形成ができなかった場合、『待ち』以外の採用手法を検討する必要があります。
採用担当者が候補者集団を担保するために、自ら学生にオンライン、オフライン問わず採用したい学生に会いに行き、自ら口説く姿勢が必要です。
『待ち』『攻め』のアプローチの選択は、自社の採用課題に合わせて検討しますが、現在の採用環境のトレンドとして、『待ち』と比べて採用担当者の使い方次第で採用結果に影響を与えやすい『攻め』のアプローチが注目されています。
一方通行ではダメ!学生との双方向の理解コミュニケーションが必要
学生優位に加え採用の早期化が進んでいることを念頭に置いたアプローチの2つ目に、『学生と双方向のコミュニケーション』が必要になってきます。
採用市場が企業優位であった時代のように、企業都合の一方的な情報発信だけでは、学生と企業との相互理解が促進しにくくなり、各採用フローで歩留まりが起こりやすくなるだけでなく、入社後ミスマッチへの影響が考えられます。
また、採用結果で見ても、入社時点では採用人数に対して結果が出たとしても、定着率や活躍度合いなど入社後の経年見る採用結果では、望ましい結果が出ないかもしれません。
双方向のコミュニケーションを意識するためにできることとして、会社説明会を例に挙げると、学生の知りたいことを反映させたスライドを作る、プレゼン形式の会社説明の後、現場社員を呼んで座談会を開き、学生の質問に対して出来るだけカジュアルに応答できる場を作るなど、学生の気持ちを汲み取る施策が必要です。
出来るだけ相互理解を踏まえて、企業の魅力づけを行なって候補者集団を形成し、選考以降も相互理解を意識して企業と学生が接触していく必要があります。
『学生優位』と『早期化』に対応するには?
採用市場のトレンドである『学生優位』と『早期化』に対応するには、大きく以下3つのポイントが重要です。
- 採用したい学生像を設定する
- 早期から学生と会える採用手法を検討する
- 学生と早期に会うためのコンテンツを設計する
この3つのポイントが重要な理由は、学生優位の売り手市場では、買い手市場よりも学生が
『動きにくくなった』ことが理由が考えられます。
『動きにくくなった』例として、学生優位の売り手市場における学生のエントリー数の減少が挙げられます。
新卒採用サポネットによると、学生のエントリー数の経年の推移を見ると、2004年卒が90.4社に対して、2019年卒では29.3社となっています。つまり約15年間で学生の平均エントリー数が61.1社減少した結果になります。
企業は、学生のより少なくなったエントリー数を確保するために、より早くに採用活動を開始して、いち早く学生と接点を持つ必要性が出てきました。
しかし、早くに採用活動するものの認知度が低い企業は、認知が高い企業のように大人数を集めて選考で厳選する方法では、通用し難いでしょう。
ですので、学生1人1人と向き合ってコミュニケーションして、企業のことを知ってもらい、採用したい学生と関係性を保ちながら、採用決定までの学生と地道に並走する必要があります。
地道に1人1人と向き合う中で、当然採用チームの人的リソースにも限りがあります。ですので、採用したい学生像を事前に決定しておく必要があります(採用したい学生像を決定するのは、入社後のミスマッチを防ぐ狙いもあります)。その後、早期から動き出せる手法を決め、関心を持ってもらえるコンテンツを投入する必要があります。
では、以上の理由を踏まえて3つのポイントを順に紹介します。
【方法①】採用したい学生像を決める
採用市場の『学生優位』と『早期化』に対応するポイント1つ目に、採用したい学生像を明確にする必要があります。採用したい学生像を設計する方法は、大きく分けて2種類あります。
1つ目は、事業や組織内を分析して課題を洗い出し、そこから事業課題を解決することに必要な『理想の人物像』を想像して設計する方法です。
『理想の人物像』を採用したい人物像として設定する場合、事業課題などに対して方向性の変更幅が大きいケース、または新規事業などで既存の社員像では対応が難しいケースを想定して、その課題を解決できる理想像として設定する狙いがあります。
2つ目は、現場で高い成果を上げているハイパフォーマーの社員から行動特性など抽出し、『現実的な人物像』を設計する方法です。
現実に存在する人物像を参考して採用したい人物像を設計する場合、事業環境が安定しているなどハイパフォーマーの特性がそのまま活かされやすい場面で効果的でしょう。
【方法②】早期から学生と会える採用手法を検討する
採用市場の早期化に対応する方法2つ目に、早期から学生と会える採用手法を選択する必要があります。
早期から会えるチャンスを作る観点から、一例として『攻め』の採用手法であるダイレクトリクルーティングとリファラル採用の2つを紹介します
ダイレクトリクルーティング
早期から学生と会える有効な採用手法として、ダイレクトリクルーティングが1つ目に挙げられます。
ダイレクトリクルーティングが有効な理由として、『攻め』の採用手法と言われる通り、自社で採用したい人物像に基づき、採用担当者自らが気になる学生に声をかけることができます。
ダイレクトリクルーティングのサービスにもよりますが、データベースに登録された学生に対して、『オファー』などの形で学生にメッセージを送ることができます。
オファーメッセージの一例として、「あなたの〇〇な経験が、弊社の〇〇事業の〇〇で活躍できるのではないかと思い、メッセージしました。ぜひ一度、個別にお話しませんか?」など、学生の登録情報と採用したい人物像の定義を検討しながら、積極的に口説きに行くことができます。
学生と早い段階で接点を持つためにも、ダイレクトリクルーティングサービスのような、学生がいる場所に対して採用担当者から話しかけに行ける手法が有効でしょう。
当然ですが、ナビサイトなど『待ち』の採用手法と比較して、『攻め』では泥臭い試行錯誤が必要になってきます。
リファラル採用
早期から学生と会える有効な手法として、リファラル採用が2つ目に挙げられます。
リファラル採用が有効な理由して、社員の人脈を活用して従来の『待ち』のように、学生からのエントリーを待たずに採用メンバー(採用担当者、リクルーターなど)から学生にアプローチできることです。
新卒リファラル採用では、比較的社歴が浅い入社1年目〜3年目程度の若手社員の人脈を使います。
リファラル採用では、リクルーターに学生とアポイントを取ってもらい(場合によっては採用担当者が連絡をとる場合も考えられるが、個人情報の取り扱いに注意)、例えば大学の研究室、部室、大学最寄りのカフェ、もしくは会社など状況に合わせて会う場所も設定します。
仮にその学生が採用したい人物像とズレがあっても、アポイント自体の満足度が上がれば、その学生の口コミによる企業認知アップなど副次的な効果も期待できます。
学生と早い段階で接点を持つためにも、リファラル採用のような、学生との既存の接点を有効に使って採用担当者から接触に行ける手法が注目されています。
【方法③】学生と早期に会うためのコンテンツを設計する
学生と早期に会うために、採用手法に加えて、最適なコンテンツを設計する必要があります。
コンテンツ自体は数多く存在しますが、ここでは早期から会えるチャンスを作る観点から、トレンドの一例として以下を紹介します。
- インターンシップ
- web面談
- 採用オウンドメディア
以降、順に紹介していきます。
インターンシップ
学生と早期に会うためのトレンドのコンテンツとして、1つ目にインターンシップがあります。
インターンシップが有効な理由として、早期から就職活動を行う学生のニーズが、企業理解に加えて業界理解など、就活のスタートとしての勉強の意味が含まれることがあります。そのニーズに合わせてコンテンツ設計すると、企業認知が低くとも学生の関心を引ける可能性があります。
例えば、夏インターンであれば、業界、職種理解の内容など、社会人として働く大枠が理解できるコンテンツを提供し、冬など社会人として働くことの大枠の理解度が深まっている状態とするならば「じゃあ、この会社では何をするの?」「どんな雰囲気の会社なの?」など、学生が個別企業への選考意識が比較高いことを想定してコンテンツ設計することが有効でしょう。
学生のニーズを汲み取った情報提供することで、早い段階で接触できる機会を作れます。
web面談
学生と早期に会うためのトレンドのコンテンツとして、2つ目にweb面談があります。
web面談が早期接触に有効な理由として、直接対面で会うことに抵抗があったり、物理的に遠くて気軽に接触することが難しい課題を解消できる手段であることが挙げられます。
例えば、直接会って面談するに当たって、会議室を確保したり、スケジュールの調整をしたりすることが学生と接触するハードルになっているならば、LINEやSkypeなど学生が使いやすいツールに合わせて、「30分間カジュアルに話しましょう!」など場の設定をすることで、学生にとっても気軽に接触できます。
直接会うことが、企業と学生に双方にとってハードルが高ければ、代替の選択肢としてweb面談が有効でしょう。
採用オウンドメディア
学生と早期に会うためのトレンドのコンテンツとして、3つ目に採用オウンドメディアがあります。
採用オウンドメディアで採用にまつわる情報発信(学生が就職活動する中で、企業情報などを取得するのに有用な情報)を行う媒体を運営することで、早期に接触した学生に対して関心を促し、接点を持ち続けるのに有効であることが理由として挙げられます。
例えば、採用オウンドメディアで自社のインターン情報求人情報などの一般的な採用情報を流すことはもちろん、より詳しい事業の紹介や社員の1日の仕事内容のタイムスケジュールの紹介、社風など社員や職場が映った画像や動画を発信することにより、早期接触はもちろん、学生への企業理解度を深めることに使うなど、採用担当者の工夫次第で多様な施策ができます。
採用オウンドメディアは、自社の採用サイトなど新規で立ち上げる場合、数十万〜数百万程度コストがかかるでしょう。しかし採用に関わる広義のメディアとしてなら、Twitter・Facebook・Instagramなど、立ち上げコストをかけずに始めることもできます。その際は、採用したい学生がどのメディアを普段から活用しているか、採用したい学生の特徴を加味しながら決定しましょう。
まずは採用メディアとして、SNSなど立ち上げコストをかけずに、小さく情報発信を始めてみるのもいいかもしれません。
最後に
今回は、新卒採用トレンドを抑えて、きちんとトレンドを理解した上で、次年度の採用戦略の役に立てる情報を紹介しました。
新卒採用のトレンドは『学生優位』と『早期化』であり、以下2つのポイントを念頭におく必要がありました。
- 採用担当者が積極的に学生に会いにいく
- 学生との双方向の理解コミュニケーションをとる
そして学生優位と早期化に対応するために、以下3つの方法が重要でした。
- 採用したい学生像を設定する
- 早期から学生と会える採用手法を検討する
- 学生と早期に会うためのコンテンツを設計する
以上を踏まえて、新卒採用のトレンドが自社で抑えられている点、いない点を整理して、自社の採用の課題をもう一度整理するきっかけになれば幸いです。
ぜひ、トレンドを抑えた採用戦略を設計してみてください。
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