ブラザーシスター制度とは?導入事例やメリットを押さえて早期離職防止を

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「ブラザーシスター制度ってなに?」「メンター制度との違いは?」「どのように導入するの?」などブラザーシスター制度をどのように進めるのか悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか?

一般の新卒離職率は概ね3割程度で推移しており、若年層の早期離職問題が顕在化しています。このことから、新人の早期離職防止策として、ブラザーシスター制度を導入する企業が増えてきています。

ここでは、ブラザーシスター制度の概要やメリット、導入フローや導入事例を解説します。

また、2023年3月に「2024卒の採用市場から学ぶ!Z世代×新卒採用」という資料も作成しました。採用基準の策定時、Z世代の特徴を考慮するのにご活用ください。

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ブラザーシスター制度とは?

ブラザーシスター制度とはどのような制度なのか、内容やメリット、留意点を説明します。

ブラザーシスター制度の内容

ブラザーシスター制度とは、新人定着の施策のひとつであり、職場の先輩を兄(ブラザー)・姉(シスター)と見立て、新人の職務上の指導をするとともに、企業人として生活していくうえでの悩みや不安に対するアドバイスを行う人材育成制度です。

職務上の指導のほか、職務外の相談にのるように、広範にわたるアドバイザーとなりますので、同じ職場の近い年代の先輩がブラザーシスターの対象となります。

この制度を導入することによって、新人から職務内外の隔てなく相談しやすい環境をつくり、新人の早期離職防止に取り組むことができる制度となっています。

ブラザーシスター制度のメリット

フォローを受ける新人とフォローをするブラザーシスターの双方にメリットがあります。

新人のメリットは、年が近く身近にいる職場の先輩がフォローしてくれることにより、相談がしやすい、年齢も近く共感してもらいやすいなどで、相談ができる先輩が身近にいるという大きなメリットがあります。

ブラザーシスターのメリットとしては、先輩としての経験が今までなくてもその経験を積むことができ、マネジメントスキルを向上させることができる、企業人として成長ができるなどのメリットがあります。

また、新人をフォローするという組織風土が醸成され、新人が悩まずに仕事に取り組むことができる組織づくりを目指すことができます。

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ブラザーシスター制度の留意点

ブラザーシスター制度は、職務上のフォローから職場外の相談まで、手取り足取り、新人をフォローする必要がありますので、ブラザーシスターにとっては負担が大きい制度といえます。

しかしながら、自部門の後輩を育成するという、新人の職場としては当たり前なことを行うため、他部門の先輩が指導役にあたるメンター制度とは違い、協力は得やすい制度にはなります。

ただし、新人とブラザーシスターの双方で、信頼関係を築くことができないと、制度運用がままならないので、信頼関係を築くことが重要です。

会社が金銭補助をするなどで食事会など会合の場を設け、新人とブラザーシスターとの信頼関係を築くきっかけををつくることも有効な手段となります。

また、指導役となるブラザーシスターへの教育はもちろん、新人に対しても「教育を受ける心構え」などの教育が必要となります。

新人のやる気がない、教わる姿勢が窺えないなど感じることによって、ブラザーシスターが教える意欲を削がれることがありますので、制度の教育は新人に対しても必要であることに留意してください。

他の制度との違い

似通った制度として、「メンター制度」や「OJT」などがあります。ここでは、ブラザーシスター制度とこれらの制度との違いを説明します。

メンター制度との違い

メンター制度は、職務外の人間関係やキャリアなどにおける職場外事項の相談が対象となっており、職務上の内容は範囲外となります。

そのため、基本的には所属する職場外の先輩がフォローにあたりますが、ブラザーシスター制度は同じ職場の先輩がフォローにあたることに違いがあります。

ブラザーシスターは、同じ職場の先輩ですので身近な先輩がフォローにあたるため、新人にとっては親しみやすいメリットがあります。

OJT制度との違い

OJTは、「On the Job Taninng」の略であり、先輩社員などが新人に対して、業務上、実践的に行う教育です。

ブラザーシスター制度は、前述のとおり業務上の指導のほか、人間関係の相談や会社生活に関することなど業務外の相談事項も対象ですが、OJTは業務上のトレーニング制度であり、実務の指導に特化しているようにフォローの範囲に違いがあります。

ブラザーシスター制度は、業務内外双方のフォローを行いますので、より指導役と新人との信頼関係は深くなると考えられます。

ブラザーシスター制度の導入について

ブラザーシスター制度の導入について

ブラザーシスター制度を導入するには、明確な制度の目的を設定し、その目的に応じた制度設計をする必要があります。

ここでは、制度の導入フローとブラザーシスターへの教育について説明します。

導入フロー

ブラザーシスター制度を導入するには、上述したように、まずは制度導入の目的を明確にする必要があります。その上で、シスターブラザーの選定方法の決定、制度設計や制度の周知、教育実施のように導入を進めていきます。

制度の目的

ブラザーシスター制度の導入企業は、新人の早期離職防止が主目的になると思いますが、具体的な自社の課題によっては制度や取り組みの内容が変わってきます。

例えば、新人が馴染みにくいことが課題であれば、新人が馴染みやすい職場にすることが目的になります。この対応として、先輩社員からの声がけを積極的に行う、教える風土を醸成するというような取り組みが必要です。

このように、自社の課題から目的を設定します。

また、定量的な観点でも、離職率をどの程度まで下げることを目標にするかの指標を決め、毎年、効果測定することも重要です。

ブラザーシスターの選定方法の決定

指導役であるブラザーシスターをどのように選定するかを決める必要があります。

指名や立候補などがあげられますが、意欲を持って指導にあたってもらうには、立候補による方法が望まれます。

指名の場合、選定されたブラザーシスターに意欲がない、自身の職務で手一杯などで制度が機能しないことも考えられます。また、新人にとっては、モチベーションが低い先輩がブラザーシスターに充てられたと感じ、不公平感をもつこともあります。

立候補の場合は、意欲あるブラザーシスターが対応するため、新人との信頼関係を築きやすいメリットがあります。

また、フォローを受けた新人が先輩社員となったとき、ブラザーシスターに立候補するという好循環が生まれ、組織風土に良い影響を与えることができます。

制度導入時は選定方法を柔軟に

制度導入時は、初めて行う施策であることから、制度説明のうえで立候補を促しても、手をあげる先輩社員がいないこともあります。

先輩社員自身、そのようなフォローを受けていなければ立候補をする意欲が湧かないこと考えられるため、導入初年度のみ指名とし、翌年以降は立候補にすることも有用です。

このようにすることで、フォローを受けた新人が恩を返したいという思いで、自身がシスターブラザーに立候補するという好循環を回すことができますので、参考にしてください。

なお、「立候補者がいないは会社が指名する」といった取り決めをしておくことも有用です。

制度の内容の決定

目的設定、対象者の選定のうえで、次のような制度の内容を決定します。

制度の期間

制度の期間が長ければ、新人にとってはフォロー期間が多くなりますが、指導役であるブラザーシスターは、負担が多くなります。

また、人数が多くない企業では、年代によっては先輩社員の絶対数が少ないこともあります。

そのため、シスターブラザーの負担を考慮して、自社の人員構成なども考慮して、1年程度に押さえるなど対象期間を決めてください。

フォローの実施方法

同じ部署内での業務指導やフォローも適宜行うことも含まれますので、基本的には、他部門の先輩社員をメンターとするメンター制度のようにフォローの頻度などを細かく決める必要はありません。

ただし、業務外の相談については、新人から相談しにくいこともありますので、月に一回程度、定期的に面談を実施するなど、新人が相談しやすい体制を整えてください。

また、可能であれば、週に一回程度、「悩みはないか」「業務上、困っていることはないか」などを新人からレポートを提出してもらい、ブラザーシスターからフィードバックを行うなど、コミュニケーションを行うことも有効です。

制度の周知

ブラザーシスター制度は、基本的には新人と同じ先輩が指導役となるので自部門内での対応となることから、メンター制度のように他部門の協力は必ずしも必要ではありません。

しかしながら、組織風土としてブラザーシスター制度を浸透させていくためには、全社への共有をすることは必要不可欠です。

全社へ共有することにより、周囲の社員からもサポートを受けることができるメリットもありますので、ぜひ制度を周知してください。

指導役への教育

業務上の指導方法などについては、基本的には配属部門で完結できますが、業務外の相談事項については教育の必要があります。

人によってフォローレベルのばらつきが出ることもあり、制度運用をブラザーシスターに任せっきりにすることは禁物です。

そのため、前述した業務外の相談対応については、取り決めた運用方法で実施し、レポートを提出してもらうなど教育してください。

また、メンター制度にもいえることですが、新人の意欲を引き出すためには、「コーチングスキル」を身につけてもらうことが重要です。

コーチングとは、指導ではなく質問や傾聴により「自分で考えさせる」ことを引き出し、新人自ら解決に導く手法です。

指導である「ティーチング」の場合、やらされ感を感じて意欲的に取り組めないこともありますが、コーチングの場合は、自身で決めた目標となることから意欲的に取り組んでもらえることが期待できます。

コーチングの詳細は、「メンター制度とは?導入事例や助成金、採用活動への影響も解説!」で詳しく説明していますので、参考にしてください。

ブラザーシスター制度の導入事例

ブラザーシスター制度の導入事例を次に紹介します。

早期離職防止事例

株式会社テイルウィンドシステムの早期離職防止事例を紹介します。

同社では、ブラザーシスター制度を「ブラシス制度」として、新入社員一人につき専属の先輩が一人つき、仕事やイベントなどで後輩が困ることのないよう、1年間継続してフォローしています。

運営としては、指導役のブラシスによって、指導内容にばらつきがでることの対策として、「ブラシス白書」というマニュアルを作成し、効果的に運営しています。また、「ブラシス会」という懇親会を開催し、指導役のブラシスをねぎらうことも制度化しています。

ブラシス制度について

指導役の成長も狙った公募制事例

新入社員と指導役の双方の成長を狙ったアサヒビールの公募制事例を紹介します。

同社では、入社から4カ月間、原則入社3年目から8年目の若手社員を公募で募ったブラザーシスターが指導役として新人につき、業務指導のほか、社会人としてのマナーや基本など公私にわたってフォローをしています。

現在の社長にもブラザーがいるとのことで、同社の制度の歴史は古くから運営されています。

同制度でフォローを受けた新人は、受けた恩を返したいという思いで、ブラザーシスターに応募するという好循環が生まれています。

■ アサヒビール株式会社

ブラザーシスター制度を導入して、早期離職防止に取り組みましょう!

ブラザーシスター制度を導入して、早期離職防止に取り組みましょう!

ブラザーシスター制度の内容やメリット、他制度との違いのほか、制度の導入フロー、他社事例について説明しました。

少子高齢化の進展により新たな人材確保が困難となっているなか、若年層の早期離職問題は、各企業にとって解決しなければならない重要な経営課題となっています。

ブラザーシスター制度は、ブラザーシスターや新人が意欲をもって制度に取り組むことが重要です。本記事を参考に、自社に合った制度を導入し、若年層の早期離職防止に取り組みましょう!

また、人事担当者の方向けに、「2024卒の採用市場から学ぶ!Z世代×新卒採用」という資料をご用意しました。市場動向を押さえた上で、採用戦略に重要な3つの観点をくわしくご紹介しています。ぜひダウンロードして、これからの自社の新卒採用戦略の策定にご活用ください。

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人事ZINE 編集部

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