コンプライアンス遵守とは?法律遵守との違いや取り組みを解説!

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「コンプライアンス遵守とは?」「法律遵守とは違う?」「何をすればいいの?」などコンプライアンス遵守をどのように進めるのか悩んでいる人事担当者もいらっしゃるのではないでしょうか?

相次ぐ企業不祥事を背景に、コンプライアンス遵守が強く求められていますが、コンプライアンス遵守には企業行動規範の策定や体制の構築が不可欠です。

ここでは、コンプライアンスの意味、コンプライアンス遵守の背景などをわかりやすく説明するとともに、コンプライアンス遵守に向けた企業行動規範の策定や取り組みについて解説します。

コンプライアンスの意味

コンプライアンスとは、直訳すると「要求、命令などに応じること」となりますが、ビジネスでは「法令遵守」と訳されることが多くあります。

しかしながら、近年、法令違反に留まらず、社会規範の逸脱による企業不祥事が相次いたことを背景に「コンプライアンス」は法令遵守だけではなく、倫理などの社会規範を含む広い範囲の言葉に変化しています。

例えば、公務員は「国家公務員倫理法」によって、利害関係が生じる相手から接待や贈答を受けることは禁止されていますが、公務員以外は法律上、利害関係者からの接待や贈答は禁止されていません。ただし、公務員以外であっても、利害関係が生じる相手から過度な接待・贈答を受けることはコンプライアンス違反と考えられます。

法令違反でなくても、倫理や社会規範を遵守することがコンプライアンスの範囲に含まれているのです。

なぜコンプライアンス遵守が必要か

なぜコンプライアンス遵守が必要か

まず、コンプライアンス遵守が求められる背景や、コンプライアンス遵守の要素となるCSRの位置付けなどについて説明します。

コンプライアンス遵守が求められる背景

コンプライアンス遵守が重視されるようになった背景として、2000年代初頭に相次いだ企業不祥事があります。

主な例として、自動車メーカーによるリコール隠し、食品会社による牛肉偽装、建築士による耐震偽装、鉄道会社による粉飾決算などがあげられます。

このような企業不祥事を背景に、2006年に施行された会社法では大企業を対象に「内部統制システムの構築」が義務化、金融商品取引法では上場企業を対象に「内部統制監査制度」が法制化されました。

不正行為を未然に防ぐための「内部統制」を具体的に取り組む体制整備が強く求められた背景から、コンプライアンス遵守が強く求められるようになったのです。

内部統制については、「コンプライアンスとガバナンスとは?違いや関係、定義も解説!」で詳しく説明していますので、参考にしてください。

CSR意識の高まり

企業不祥事が相次ぐなか、近年、消費者の健康や環境維持などを含めたCSR(企業の社会的責任:Corporate Social Responsibility)の意識の高まりから、企業はコンプライアンス遵守の取り組みを強化をし、年々、CSRの要請が強まっています。

多くの企業が協力会社や仕入れ先などの企業に対してCSRの評価を行っているように、CSR意識の高まりから、企業はサプライチェーン全体でCSRの底上げに取り組んでいるのです。

コンプライアンスのCSRにおける位置づけ

CSRは、主に「倫理」「労務」「環境」「安全衛生」などを柱に取り組み事項としてあげられていますが、企業はこれらの社会的要求に応えた製品・サービスを提供する考え方として浸透しています。

企業は、利益を追求することはもちろんですが、法令遵守の下、従業員の安全、環境への配慮など社会への要求に応える必要があります。

このように、コンプライアンスはCSRの一つの要素となります。

コンプライアンス遵守の取り組み

コンプライアンス遵守の取り組み

ここでは、コンプライアンス遵守の取り組みに必要不可欠な企業行動規範の策定、体制整備、教育方法などについて説明します。

企業行動規範の策定

闇雲にコンプライアンスの教育を実施しても効果は限定的であり、効果的にコンプライアンスを遵守させるには、コンプライアンスに関する従業員の判断の拠り所となる企業行動規範の策定が不可欠です。

例えば、「不正な利益供与は行わない」「公表されていない情報を口外しない」などを企業行動規範として定め、従業員がコンプライアンスに関して判断に迷ったときの拠り所とします。

このように、従業員にコンプライアンス遵守をさせるためには、企業行動規範の策定が必要となりますので、まずは企業行動規範の策定に取り組んでください。

企業行動規範の策定については、「コンプライアンスとガバナンスとは?違いや関係、定義も解説!」の記事で説明していますので、参考にしてください。

また、企業行動規範の簡易版のようなもので、「エシックスカード」という名刺大のカードを配布している企業もあります。

行動規範の基本的な概念を一枚のカードにまとめたものであり、コンプライアンス相談窓口の連絡先も記載することで従業員も相談しやすくなります。またはカードではなくても、例えばPCのスクリーンセーバーに設定する、社内に掲示するということも考えられます。

企業行動規範よりも普段から目につきやすく、基本原則のようなのでわかりやすく覚えやすいものであることから、従業員に浸透させやすいメリットがありますので、ぜひ参考にしてください。

【エシックスカードの記載例】

  • その行動は、法令に違反していないか
  • その行動は、会社の理念に反していないか
  • その行動は、社会ルールに反していないか
  • その行動は、自分の良心に反していないか
  • その行動は、家族に後ろめたくないか

コンプライアンス体制の整備

小規模であれば、組織体制まではつくる必要ありませんが、一定以上の規模であれば、組織的にコンプライアンス遵守を推進するため、次のようなコンプライアンス体制の整備が必要になります。

  • 組織面では、コンプライアンス責任者の下、事業所単位で責任者や教育担当者の設置
  • コンプライアンス違反の未然防止面では、社内での自浄作用を働かせるため、コンプライアンスの相談窓口も必須
  • 組織運営としては、コンプライアンス委員会のようなものを設け、経営トップの下、コンプライアンス責任者、法務部門などの事務局で構成し、四半期毎にコンプライアンス委員会を実施するなど
  • 可能であれば、社外取締役や社外監査役をメンバーに選任すると社外の視点が入ることから効果的
  • コンプライアンス委員会の主な役割は、コンプライアンスの徹底、強化に向けて議論することであり、「コンプライアンス目標の進捗管理」「社内のコンプライアンス課題の検討」をすることなど

コンプライアンス教育の実施

コンプライアンス教育は、企業行動規範で定めた内容を従業員に浸透させることが第一の目的となります。

コンプライアンス教育の実施例をあげますので、参考にしてください。

策定した企業行動規範をどのような計画で教育をしていくかの長期計画を立て、その上で、当年度の教育計画を立案します。

例えば、四半期に一度、コンプライアンス教育研修を実施する場合、第1四半期は「ハラスメント」、第2四半期は「インサイダー取引の未然防止」といったようにテーマを決定します。

また、企業行動規範のテーマのほか、全社員に理解が必要な法律の説明や法改正事項など、取り上げてほしい業務テーマをアンケートで収集するなども有効です。

また、顧問弁護士や顧問社労士などの外部有識者を招くことも効果的です。

その上で、決定したテーマの研修資料を作成しますが、コンプライアンス教育資料は「コンプライアンス教育を社内で進めるには?資料作成方法などを解説!」で詳しく説明していますので参考にしてください。

コンプライアンス運営の振り返り

コンプライアンス遵守を推進するには、当年度の振り返りを踏まえた次年度へつなげていくことが重要です。

コンプライアンス上の課題やコンプライアンス教育、目標の達成の管理など、振り返りをしてください。その振り返りの結果、次年度への改善事項や新たな取り組みなどの課題を抽出します。

その抽出した課題をベースに、期初に当年度のコンプライアンス目標の設定を行います。事業所が工場に営業支店など多岐にわたる場合は、工場部門は〇〇、営業部門は〇〇など、各々、具体的な目標設定を各職場で設定させることも有効です。

そのうえで、期末に目標設定の結果を報告させ、コンプライアンス委員会でコンプライアンス運営の評価を行います。

このように、次年度のコンプライアンス強化につなげるよう、PDCAサイクルを回していくことで、コンプライアンスの運営が絵にかいた餅にならないよう、実効性を持たせることが肝要です。

コンプライアンス体制を整え、コンプライアンス遵守に取り組みましょう!

本記事では、コンプライアンスの意味や重視される背景、コンプライアンス遵守の体制整備や教育の進め方などを解説しました。

近年のコンプライアンス違反倒産は、年間で200件程度の推移(コンプラ違反倒産は 3 年ぶりの増加)となっているように決して少ないものではなく、企業としては、コンプライアンス遵守は取り組まなければならない重要なテーマです。

本記事を参考に、企業行動規範やコンプライアンス体制を整えて、従業員一人ひとりの意識を高めるよう、コンプライアンス遵守を推進しましょう!

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 人事・採用に関する役に立つ情報や手法を発信します。 就活生の3人に1人が利用する新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。