【新卒採用】内定辞退を防ぐために大切なこととは?
企業にとって最も痛いと言えるのが、学生の「内定辞退」。様々なリソースを投資して懸命に出した内定を辞退されないためには、学生の心理状態を知ることが重要です。原因を探り、適切なフォローが取れるかどうかに懸かっています。
目次
内定辞退の現状
株式会社リクルートキャリア調べの「就職プロセス調査」によると、2019年6月1日時点で、6月1日時点で内定を獲得している学生は70%を超えており、これは同調査開始以来(2013年卒)初めてになります。
それだけ市場では未だに売り手市場が続いており、学生にとって内定を獲得しやすい状況になっていることが伺えます。
経団連の就活ルールでは6月1日より選考解禁ですが、それよりも以前に多くの学生が内定を獲得していることになります。
しかし、この高い内定獲得率同様、採用担当者の方にとっては内定辞退率も気になると思います。
株式会社リクルートキャリアによると、内定辞退率=就職辞退人数 ÷ 就職内定取得人数としています。(株式会社リクルートキャリア:【確報版】「2019年7月1日時点 内定状況」)
つまり、企業から内定を獲得した学生のうち、内定を辞退した学生の割合のことです。
同調査では、4月1日時点で、20.6%だった内定辞退率は、6月1日では43.6%にまであがっています。さらに、2019年卒の調査では学生が卒業する3月時点では67.8%の学生が内定を辞退しています。
学生は複数社選考を受けても、最終的には一社に絞る必要があるので、時期的に選考を受ける企業数が増えるにつれ、内定辞退率の上昇には仕方がない側面もあります。
内定辞退率の上昇には、売り手市場により学生は選考に対して心理的ハードルが低くなっており、多くの学生が選考を受けることが考えられます。
企業側としてはコストをかけて選考を行うからには内定辞退率を低く抑え、良質な採用活動にしたいと思います。
学生にとって自社が第一候補でなれけば、潜在的な内定辞退の可能性が潜んでいることになります。
そこで今回は、内定を出した学生に内定を辞退されないための取り組みについてお伝えします。学生が内定を辞退する主な理由をお伝えした後に取り組みやすい具体的なフォロー施策をご紹介します。
内定辞退の主な理由
学生が内定を辞退する理由はいくつか考えられますが、ポイントは内定辞退のタイミングによって辞退理由が異なることです。
内定を出してすぐに辞退されたのか、一度は入社の意思表示をしたのにも関わらずある一定期間経過後に辞退されたのか、入社直前に辞退されたのかによって辞退理由は異なります。
パターン①:内定出し間もない辞退の場合
内定出しを行って間もない場合の辞退は、「そもそも学生の入社意思が強くなかった」ことが考えられます。
学生としては、「人気のある大手の選考前に内定を獲得して安心したい」という気持ちがあり、心の中では一種の「保険」として捉えている可能性もあります。
他に本命の企業の選考がある場合の辞退は、本命企業から内定が出たため辞退されたことなどが考えられます。
どの企業を自らの第一志望にするかは学生の意思によりますが、それでも選考の中で動機付けや入社後のイメージを明確にするなど、自社が第一志望でない学生に魅力を発信することが大切です。
またその他には、就職することが最優先事項でない学生もいます。
これは就活をしていて、実際に内定を獲得した学生の中には「教員志望だが、その前に経験として就活をする」や「進学が自分の第一志望だが試験に落ちた場合は就職しようと思っているから」「民間ではなく、本当は公務員になりたい」と考えている学生は残念ながら一定数存在します。
先ほどの本命志向の学生の場合と似ており、学生のベクトルがそもそも異なるために企業側が対策を施せないこともあります。
パターン②:一度は入社意思を示したのに辞退された場合
前述したように本命が他にあった場合の辞退は、本命の選考結果次第で内定辞退される可能性があるとお伝えしました。
しかし、学生の第一志望企業で入社の意思も本当にあったのに辞退になってしまったパターンもあります。そのようなことを経験したことがある企業は、内定承諾後の学生について考えを改める必要があります。
一度も社会人として働いた経験がない学生は入社するまで、どんな方であっても少なからずの不安を抱いています。
不安がゆえに、内定を承諾している場合でも「本当にこの選択でよかったのか」「この企業でやっていけるのか」など、インターネットや書籍、友人からの口コミなどを通じて内定先企業の情報収集を行い、現在の内定先企業に入社すべきかを考えます。
内定辞退された場合は、情報収集の過程で噂や内部事情など、不安を仰ぐような断片的な情報を得てしまった可能性があります。
学生にとって企業の印象が良くない情報は、内定後の入社の意思を変えてしまうほどの影響を与えます。
また学生が内定後、不安が高い状態で自社社員と交流する際に、給与や待遇、職場環境など実際の状況が選考時のイメージと異なると認識し、内定辞退に至る場合あります。
それほど学生は、これから入社する企業の情報に敏感ということを企業は把握しなければいけません。
内定辞退者を出さない!これだけは守りたい3つ
ここまで辞退される理由について説明してきましたが、ここからは内定辞退者を減らすために企業が簡単に取り組めるフォロー施策をご紹介します。
内定辞退防止フォロー①:学生とのコンタクトを増やす
学生の抱えている不安を解消するには、コンタクトを増やすことが効果的です。
コンタクトをとることで、どんな悩みを抱えているのか、どんなことに不安を持っているかなどに気づく手がかりが見つかるかもしれません。
学生とのコンタクトは、就活や仕事のことに限る必要は全くありません。学業や趣味のことなど、お互いがリラックスしてコミュニケーションを取れる内容がベターです。
あくまでもコンタクトを増やす目的は、コミニュケーションを通して学生との信頼関係を築き、入社に対する不安を解決することです。
頻度は、学生がプレッシャーやストレスに感じない程度がベストのため、決して頻繁に連絡を取る必要はありません。
また「会うという方法に勝るコミュニケーション方法はない」と言われるように、直接会話するのが最も効果的ですが、物理的な距離や双方のスケジュール調整などで難しい場合は、電話やメールでも十分です。
内定辞退防止フォロー②:入社後の働くイメージ構築に注力する
内定承諾後に限りませんが、入社後の働くイメージを予め持ってもらうことで学生に不安抱かせないだけでなく、初期の研修・教育からスムーズに戦力化してもらえる効果が期待できます。
入社までの方法の一つとして、職場体験(OJT)に似たような、内定者インターンシップを実施することで実際に働くイメージを持ってもらったり、持っていたものとのギャップを埋めることができます。
また、入社後に具体的な給与やキャリアはどんな変化をしていくのかというキャリアアップや人事評価の実態も学生が気にしている部分です。
そういった場合のために新卒で入社した歴の浅い社員との座談会や懇親会を実施して「自分は入社して、このようにステップアップする」ということを明確にすることも大切です。
内定辞退防止フォロー③:メンター制度を取り入れる
中長期にかけて不安を解消する方法としてメンター制度があります。メンターとはアドバイザーのようなもので、仕事についてだけでなくあらゆる相談に乗ります。
仕事のことに限った話ではないため、メンターは直属の上司よりも世代が近い先輩社員が務めることで、学生はより気軽に話をすることができるでしょう。
メンターは学生から相談されることがあればとにかく丁寧な対応を継続することが必要です。その結果、強固な関係性を築くことができます。
メンターが伝えることは時に個人的な考えにもなりうるし、会社を代表する意見ともなりえます。個人の考えが会社の方針として伝わらないような配慮も忘れてはいけません。
NGな学生の囲い込み「オワハラ」
企業は何としても学生を囲い込みたいという気持ちが強いあまり、内定を出したその場で内定承諾書にサインを強要したり、内定と引き換えのような形で学生が受けている他社選考を辞退させたりしている企業が存在します。
この一連の行為のことを「就活終われハラスメント」=「オワハラ」と言います。
近年、就活生の悩みの一つにもなってるオワハラはモラルを欠いた社会通念上NGとされている行為であり、最悪の場合、「脅迫罪」や「強要罪」にもなりうる行為です。
また、一度学生間にオワハラを行う企業であることが周知されると次年度からの採用活動に大きな損害をもたらすことは想像に難くありません。
学生と企業にとって機会損失になりますので、オワハラに該当すると思われるような行為は絶対避けなければいけません。
もし内定辞退されたら・・・
あらゆる手を尽くしたにも関わらず、内定辞退の連絡を受ける場合もあります。
ただ、内定辞退の連絡をする学生の中には「決心できず、半ば相談という形での内定辞退の連絡」と「はっきりと自分の意思が固まった上での内定辞退」に分かれます。
どちらの連絡かしっかりと判断したうえで学生と向き合うように努めましょう。
辞退の意思が固く引き止めが期待できない場合
意思が固く引き止められないと判断した場合は、次年度から同じような学生の内定を避けるためにも、なぜ学生が辞退するに至ったのか知る必要があります。
学生には選考に時間を割いてくれた感謝を伝え、今後の良いより採用活動のためにいくつか質問に答えてもらえないか尋ねます。
「辞退理由ときっかけ」「今後の予定」「選考や会社に対する意見」が質問として良いでしょう。
「辞退理由ときっかけ」は、学生がどのタイミングで内定を辞退することになったのかというきっかけと、内定が出ている自社を辞退する理由を聞くことで、次年度から学生が内定を辞退しがちな時期と内定辞退させることになった原因を把握することができます。
そして「今後の予定」では他社の内定を承諾するのか(するのであれば業界・業種・企業名)進学するのか内定辞退後にどうするのかを聞くことで、自社の採用における競合を把握し、面接で卒業までのプランを聞いた時に注意すべき学生が把握できます。
最後に、「選考や企業に対する意見」では学生視点での自社の姿が浮かび上がってきます。思わぬ気づきが得られることもあるでしょうし、企業側が知らない学生の間での自社の評判やイメージを知る機会にもなります。
辞退引き止めができそうな場合
学生の中で意思が固まっていないことが伺えた場合は、内定辞退を引き止めることができるかもしれません。
その場合は電話にてもう少し詳しく話がしたい旨を伝えます。
内定辞退の意思が固まっていない学生は入社に対し懸念点があったり、勤務地などの条件などに満足してない場合があります。
電話で学生と話す際はそういった学生の懸念点、不満などの本心を聞き出すことがポイントです。
企業ができる限りの対応を取ることで、学生の内定辞退の意思を変えることができるかもしれません。
間違っても電話口で高圧的な対応をすることはやってはいけませんです。
学生からのメールに返信をしなければ「内定辞退の話をした途端に無視された」と学生に不誠実な会社であると伝わり、今後の採用活動に影響を及ぼすため注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は内定辞退の主な理由と具体的な施策をお伝えしました。
内定辞退によるミスマッチを防ぐには選考後から入社して活躍するまで、長いスパンでのフォローが不可欠です。