内定辞退率を下げる8つの対処法とは?新卒の内定辞退理由から考える

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会社説明会から書類選考、数度の面接試験と多くの時間と採用コストをかけて、内定を出した学生から内定辞退をされるのは、企業にとって大きな損失であり出来るだけ避けたいものです。

内定辞退が多い場合には、「さらに追加で採用活動を行う」か「中途採用者を増やす」といった採用計画の見直しが必要となることもあります。では、内定を通知した学生からの辞退を防ぐためには、どのような点に気をつけたらよいのでしょうか。

また人事ZINEでは、内定者フォローのポイントを詳しく解説した資料「【内定者フォロー編】人事なら知っておきたい 採用基礎知識まとめ」をご用意しています。こちらもダウンロードしていただき、内定辞退を防ぐためにご活用いただけますと幸いです。

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目次

新卒採用活動における内定辞退率とは

新卒採用活動における内定辞退率とは

人事担当者にとって、内定辞退率は頭を悩ませる事柄の一つ。新卒の採用活動を計画通りに進めるためにも、できるだけ内定辞退率は下げたいものです。まずは「内定辞退率」について、詳しく見ていきましょう。

内定辞退と内定辞退率

「内定辞退」とはその名の通り、内定を辞退すること。複数企業から内定をもらって「他社への入社を決めた場合」や、選考の過程で「自身の希望とのギャップを感じた場合」に内定を辞退するケースが多いです。

「内定辞退率」は、就職内定を取得した学生の人数に対する「内定を辞退した人数の割合」を指します。

新卒採用における内定辞退率

就職内定辞退率

リクルートキャリアの就職みらい研究所が発表した「就職プロセス調査 (2022年卒)」の「2021年8月1日時点 内定状況」では、2021年8月1日時点の就職内定辞退率が60%を超えています(2022年卒)。

このデータは平均値なので、認知度の低い企業や、採用ブランド力の高くない企業では、もっと高い辞退率であってもおかしくありません。

学生が内定辞退をする背景

「リクルートワークス研究所」の発表した「大卒求人倍率調査(2022年卒)」によると、2022年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.50倍となっています。コロナ禍による景況感の低迷で、前年の1.53倍から0.03ポイントの微減となりましたが、いまだに売り手市場といえるでしょう。

このような売り手市場を背景に、優秀な学生には複数の企業から就職の「内定」が出されます。その結果、学生は比較検討したうえで実際に入社する企業を選び、他の企業には内定の辞退を行います。

内定辞退が起こる理由

自社への入社を希望して採用試験を受けていたはずの学生が、なぜ内定の通知を受けてから辞退を申し出てくるのでしょうか?それには、次のような理由が考えられます。

他社の方が志望順位が高いため

内定取得企業数

就職活動を行う学生は、志望する企業から採用されたかった場合を想定して「滑り止め」や「経験を積む」ことを考えます。その結果、本命でない企業、つまり志望度が高くない複数の企業へ応募をするわけです。

学生にとって自社の志望順位が高くなければ、他の企業から内定が出た段階で内定辞退の申し出があります。

2021年8月1日時点の調査では2社以上の企業から内定や内々定を取得した2022年卒大学生の割合の合計は62.8%となり、1人あたり平均1.26社の内定を辞退が起きています。

希望している条件を満たしていないため

学生は、待遇や社風、仕事の内容などさまざまな条件を比較して、多くの企業の中から応募する企業を選びます。弊社が実施した「2021年卒版 就活生の企業の魅力と働き方に関する意識調査アンケート」では、「どのような企業に魅力を感じますか?」という質問に対して、以下のような結果が出ています。

どのような企業に魅力を感じますか?
  • 社内の雰囲気が良い:75.6%
  • 成長できる環境がある:50.3%
  • 給与・待遇が良い:48.5%
  • 完全週休二日制:46.7%
  • 将来性がある:42.1%

学生は企業研究を行って「自身が魅力を感じる企業」に応募をしますが、就職活動を進める過程で重視する条件の優先順位が変わることもあります。

しかし「社内の雰囲気」を重視する学生が75%以上を占めていることは、人事担当にとって大きな指標となるでしょう。 

企業に対し当初持っていたイメージと合わなかったため

学生の企業に対する理解度は、会社訪問や面接試験などで深まっていきます。その過程で、「企業のイメージ」が変わっていくこともあります。

思い描いていたイメージとのギャップは「入社意欲低下」の原因となり、内定を出しても辞退される可能性が高まります。

内定から入社までの期間が長かったため

内定から入社までの期間が長い場合、「本当にこの企業でいいのか?」「ほかに自分に合った企業があるのでは?」といった思考に陥るケースがあります。

私自身もそうでしたが、内定者は明確な理由がなくても、上記のようなことで悩んでしまいます。そのため、企業は定期的に内定者とコミュニケーションをとることが重要です。

内定者を不安にさせないためにも「企業で働く自分」「企業での働き方」を共有し、内定辞退を避けるよう対策しなければなりません。

面接官の印象が悪かったため

企業での採用活動において、面接官や人事担当者は会社の顔となります。面接官や人事担当者の印象が悪いと、それが原因で内定辞退につながってしまう場合も多いです。

会社訪問の際にも気をつけておかなければなりません。選考時は丁寧に対応していた場合でも、会社訪問の際に印象が悪いと内定者は不安を感じてしまいます。

また、インターネット上で面接官の悪い評判を見て悪い印象を抱く場合もあります。そのため、インターネット上の評判も定期的にチェックしておきましょう。

内定通知・承諾後の対応が悪いため

内定通知・承諾後のフォローが全くない、もしくは不足している場合、長期間連絡を取らないことで不安を抱き、結果として内定辞退につながる場合もあります。

 売り手市場である以上、優秀な学生の獲得をめぐっては、他の企業との競合になります。内定を承諾してもらえたからといって過度に安堵せず、その後も入社まで丁寧にフォローする必要があります。

配属部署にも協力を仰いでコミュニケーションを取ってもらうなど、入社初日までの不安を軽減することに努めましょう。

新卒採用で内定辞退が起きるタイミング

学生が内定辞退を申し出るタイミングは、いつが考えられるのでしょうか。内定辞退が起きるタイミングは以下の図のようになります。

新卒採用で内定辞退が起きるタイミング

ここでは内定辞退が起きる「タイミング」について、詳しく見ていきましょう。

志望順位の高い企業から内定を取得した時

自社の志望順位が低い場合には、志望順位の高い企業から「内定を取得したタイミング」で辞退の判断をされます。いわゆる「受験の滑り止め」に似たもので、複数の企業へ応募しながら「優先順位」を設定しているために起こる内定辞退です。 

入社承諾書や誓約書の締め切り日が迫った時

内定通知を行う際には、入社承諾書や誓約書を一緒に送って提出を求めるのが一般的です。これらの書類には「提出期限」を設けますが、自社が応募学生にとって本命の企業でない場合、この期限が迫ったタイミングで内定を辞退するケースがあります。ギリギリまで悩んだり、他社の結果を待ったりすることで、このタイミングとなることがあります。

入社に対して不安を感じた時

1社から内定を貰っても、「この企業でいいのかな?」と常に不安を感じている学生は多いです。秋以降も採用活動を続けている企業もあるため、不安を感じた学生は、他社への就職活動を再開する可能性が高くなります。

他社への就職活動が上手くいきそうな場合は、内定辞退する学生も多いです。そのため企業は、内定通知を出しても安心せずに、しっかりと学生をフォローしなければなりません。

内定辞退率を下げるための8つ対処法

内定辞退を防いで内定辞退率を下げるには、どのような対策を行うべきなのでしょうか。対策を行うタイミングは以下の図のようになります。

内定辞退対策を行うタイミング

具体的なポイントを8つ挙げながら、対処法を解説していきます。

①会社への理解を深めるために選考に社内見学を取り入れる

社会に出たことのない学生は、会社の風土や職場環境、どんな人が働いているのか気になります。そこで、社内見学をすることにより、会社のイメージを把握することが可能です。面接前に社内見学を取り入れれば、会社への理解が深まり内定辞退率が下がります。

社内見学の際に、社員の人は忙くてもしっかりと挨拶をしましょう。挨拶を怠ると、実際の雰囲気より職場環境が悪く見えてしまいます。

そのため、事前に職場見学があることを告知し、職場見学に来た学生への応対マニュアルを用意しましょう。

②応募学生が何を優先して志望の順位を決めているのか把握する

自社の志望順位が低く、志望順位が高い企業から内定を取得した場合には、内定を辞退されます。

辞退の申し出があったら、その理由を確認してみましょう。他社を選ぶ理由を把握できれば、条件を改善できる可能性があるかもしれません。また、採用担当者の説明の仕方や対応によって、自社に対するイメージが変わることもあります。

③面接試験では面接官も学生から評価されているという意識を持つ

アンケートの結果からもわかるように、学生は「社内の雰囲気が良い企業」に魅力を感じています。これは言い換えると、「雰囲気の良さが感じられない企業」への入社は避けたいということです。

学生が社内の雰囲気を感じる機会は、そう多くありません。会社訪問や面接試験時の雰囲気が「他社より良くない」と感じさせた場合には、マイナスのイメージを与えてしまい、内定辞退へつながります。特に面接試験は、自社の魅力をアピールするチャンスです。役員を含め面接官全員が意識するようにしましょう。

④選考を通して「自社の課題」も説明する

採用活動をする上で重要なことは「自社の良い面だけでなく、悪い面含めて情報提供する」ことです。それにより、企業と就活生のミスマッチを軽減し、内定辞退率を減少させることができます。

「自社の課題」を説明することは「RJP(リアリスティック ジョブ プレビュー/Realistic Job Preview)」といわれています。企業側にとっては、「自社の課題」を説明することを躊躇する場合もありますが、より理解を深め、内定辞退率を下げるためには有効な方法です。

⑤次回の面接日程をスピーディーに決める

選考が先延ばしになるほど、他社の内定が先に決まる可能性が高まるので気を付けなければなりません。面接に2次選考以降がある場合は、次の選考スケジュールを早めに決定し、就活生に伝えるようにしましょう。

他社よりも先に内定を出すためには、選考の際に「他の企業の選考を受けているか」「他社の選考はどこまで選考が進んでいるか?」などを確認しておくことをおすすめします。

⑥面接の結果は可能な限り早めに連絡する

内定辞退を避けるために、面接の結果は可能な限り早めに連絡するようにしましょう。面接の結果を早めに連絡することにより「採用の本気度」が伝わります。

どうしても自社に必要だと思う優秀な人材と出会えた場合は、面接を行ったその日のうちに内定の連絡をするのも一つの方法です。内定辞退率を下げ、学生の志望度を上げるためには、自社に必要な人材だということをしっかりと伝えるようにしましょう。

⑦内定者フォローを行い入社まで不安を抱かないようにする

採用担当者がこまめにフォローを行うことで、内定者の不安を解消することができます。メールを送るなど、定期的に連絡を取るようにしましょう。また、内定者を集めた懇親会を開催したり、社員との交流会を行うのも良いでしょう。

⑧内定者同士の親睦を深めるため懇親会を行なう

入社までの不安を解消するためにも、内定者同士の懇親会を行いましょう。懇親会を行うことで内定者同士の親睦を深めることができ、入社するかどうか迷ってる内定者の背中を押すきっかけにもなります。

同期がいるということで安心感にもつながるので、懇親会行うことは内定辞退率を下げるために効果的です。そのため、複数の内定者がいる場合は積極的に行うようにしましょう。

内定辞退率を下げるために各企業が実施している事例

ここまで、内定辞退率を下げるための一般的な対処法を紹介しましたが、各企業では実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか。具体的な事例を3つ紹介します。

事例1:株式会社ニトリホールディングス

株式会社ニトリホールディングスでは、2019年より内定者フォローの一環として「エンプロイー・ジャーニーマップ」を導入しています。

エンプロイー・ジャーニーマップを作成する目的は、入社後達成したい目標やビジョンに対してどのような業務を通じて関わっていくか、内定者に可視化してもらうことにあります。

この取り組みによって、社員の自立性やキャリア構築を支援する社風を伝えるとともに、内定者の入社への意欲を高めることに成功しています。

事例2:株式会社パソナグループ

株式会社パソナグループでは、全ての内定者に対しe-ラーニングによるプログラミング研修を行っています。e-ラーニングのため、内定者それぞれが好きなタイミングで取り組める点が特徴です。

エンジニア職だけでなく、総合職や営業職にも必要最低限のプログラミングスキルを学んでもらうことで、入社後スムーズに業務が行えることが期待できます。

また、内定承諾後のモチベーション維持にも役立つ取り組みです。

事例3:マルホ株式会社

マルホ株式会社では、内定者専用の情報発信サイトを開設するなど、手厚い内定者フォローを行っています。サイトでは、業務や入社後の生活に関するさまざまな情報が公開されています。

また、内定者の承認欲求を満たすための取り組みとして、内々定の時期に選考結果の個別フィードバックを実施しています。個々の強みや印象を伝えることで入社を迷っている学生の背中を押し、内定辞退の防止につなげています。

内定辞退の「引き止めすぎ」は逆効果になるので注意

内定辞退を防止するための対策は、適切に行うことが大切です。無理に「引き止める」のではなく、内定者自身の入社への意欲が増すよう「フォローする」姿勢で取り組みましょう。

過度な連絡や行き過ぎた説得などの「引き止めすぎ」は逆効果です。内定辞退を加速させるだけでなく、内定者に対するハラスメントとなる可能性もあるため、十分注意する必要があります。

内定辞退率を下げるにはしっかりと内定者をフォロー

今回は、内定辞退を防止する方法について解説しました。新卒の採用には、非常にたくさんのコストと時間が必要です。

最終選考まで進んで採用内定を通知したにもかかわらず辞退されてしまうと、これまで費やした「コストと時間」が無駄になってしまいます。

採用担当者は、採用内定の通知をしたからといって安心することなく、入社するまでしっかりと内定者フォローを行いましょう。

内定辞退を防ぐフォローのポイントはこちらの資料でくわしく解説しています。こちらもあわせて参考にしてください。

【内定者フォロー編】人事なら知っておきたい 採用基礎知識まとめ
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人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

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