地方採用の課題をダイレクトリクルーティングで解決!中小企業が新卒を採用するためのポイント

都市部にはない課題を抱える地方での新卒採用。大手企業や都市部の企業など認知度の高い企業に学生が流れてしまい、思ったように学生を採用できないと悩んでいる地方企業・中小企業の担当者も多いのではないでしょうか。

特に、従来型の採用手法であるナビサイトを使っている場合は、大手企業と横並びに比較されてしまい、学生の興味関心を獲得するのに苦労することも少なくありません。

そのような時は、「ダイレクトリクルーティング」「逆求人」といったスカウト型の採用手法をおすすめします。

なぜなら、スカウト型の採用手法は、自社が求める条件を満たす学生を絞り込み、企業側から直接声をかけることができ、認知度の課題を克服しつつマッチングの精度を高めることが可能だからです。

この記事では、地方企業・中小企業の採用担当者の方に向けて地方における新卒採用の状況や課題、自社が求める学生を採用するためのポイントをご紹介します。

地方採用が難しい3つの理由

地方採用が難しい3つの理由

地方企業に在籍する採用担当者のなかには、「さまざまな採用施策を打ち出しているものの、なかなか人材が集まらない」と感じている方も多いことでしょう。地方の採用市場には、労働力人口の減少に伴う有効求人倍率の上昇といった、地方ならではの状況があります。

地方の労働力人口の減少

少子高齢化の進む現代社会においては、全国的に労働力人口は減少傾向にあります。

総務省が2020年に行なった「労働力調査」では、都道府県ごとの労働力人口の推移が調査されています。その結果を見ると、労働力人口が前年を上回っていたのは47都道府県のうち17都府県で、1万人以上増加しているのは東京都や大阪府などの都市部をはじめとした7都府県のみでした。

この結果から、特に地方の労働力人口が減少している状況が伺えます。

三大都市圏への人口集中

労働力人口の減少に加え、都市部への人口流出も地方での採用難に拍車をかけています。

総務省が作成した資料「都市部への人口集中、大都市等の増加について」では、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では一時期を除いて大幅な転入超過が続いている状況です。大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)と名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)においては転入超過が鈍化しているものの、3つの都市圏を合わせた「三大都市圏への転入超過数」でみると、1995年以降は上昇傾向が続いています。

また、地方ブロックは全体的に見れば転出超過傾向にありますが、札幌市や仙台市、福岡市などの都市部のみ転入超過傾向となっており、地方においても都市部への人口集中が進んでいるのが現状です。

2020年時点では、三大都市圏の人口シェアは51.8%と、全人口の半数を占める結果となっており、今後も都市部への人口集中は続いていくと予測されています。地方の人口減少がますます顕著となることから、地方採用における母集団形成はより困難になるでしょう。

有効求人倍率の上昇で依然「売り手市場」

労働力不足に伴い、有効求人倍率が上昇傾向にあることも地方企業・中小企業が採用に苦戦する一因です。

リクルートワークス研究所が行なった「第38回ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒)」によると、2022年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象にした大卒求人倍率は1.50倍でした。コロナ禍に伴う経済停滞により、2020年3月の1.83倍から0.33ポイント減少はしたものの、大手企業を中心に採用意欲は回復傾向にあるとされています。

依然として「売り手市場」の続く状況であり、企業は有効な施策を講じなければ自社の求める人材を獲得することは困難な状況です。

地方企業が抱える新卒採用の課題

地方企業が抱える新卒採用の課題

難しい状況の続く地方の採用市場で新卒採用を成功させるには、次のような課題を乗り越える必要があります。

学生との接触機会の確保

学生との接触機会を確保することは地方企業の重要な課題です。一般的に、「1人の学生に6回以上接触すると、企業に対する好感度が上がる」といわれています。回数だけが大事というわけではありませんが、接触頻度が多く交流時間が長い方が、理解が深まることは間違いありません。

地方特有の悩みとして、地方に在籍している企業は学生と接点を持つ機会を創出しにくいという点が挙げられます。1回の面接で学生を見極めることが困難なのと同様に、接触機会が少ない学生に自社のことを十分に理解してもらうのも難しいはずです。

かといって、学生に遠方まで出向いてもらう必要がある地方企業や、特に人手の足りない中小企業は個人対面で話す時間を確保することが困難です。「必要性は分かるが、学生へのフォローに十分な時間をかけられていない」という声は多く聞こえてきます。

自社の認知・興味の獲得

自社を学生に認知してもらい、興味を獲得することも課題です。

地方企業・中小企業は、業界の知名度・認知度が低く、エントリーまで結びつかない「認知の壁」にぶつかってしまうこともあります。都市部でも「条件に合う企業があれば地方で働きたい」と思っている学生や、Uターン就職を考えている地方出身の学生は、意外に多いものです。しかし、企業の認知度が低いと、そのような学生と接点を持つことが困難な上に、学生にも自社の存在を知ってもらえない、という問題が発生します。

「認知の壁」を突破して学生に存在を知ってもらうためには、壁を越えて企業側から学生へ能動的にアプローチをかけることが必要です。

都市部の有名大手企業に代わる選択肢の提示

自社が、都市部の有名大手企業に代わる選択肢の1つだと、学生に理解してもらうことも課題です。

学生は、地方企業や中小企業の選考を進めていくなかで「絶対ここだ!」という決定的なポイントがないと、「やっぱり大手企業の方がよいのではないか」と“なんとなく”の気持ちで大手企業へ流れていく傾向があります。内定をもらった時は「行きたい!」と思っていても、その気持ちを裏付ける確固たる理由が見つからないと、時間が経って冷静に考えた時に「ここで大手を選ばないのはもったいないかな……」と大手企業に気持ちが傾いてしまうようです。

なかには、両親に相談して「大手を強く勧められた」「中小・ベンチャー企業は反対された」という理由で大手企業を選択したという学生もいます。

このような状況は、売り手市場により学生の選択肢が増えているのに対し、学生が得られる情報があまりにも少なすぎることが一因といえます。就労経験がなく、企業や業界の知識が偏っている学生に対して、地方企業ならではの魅力や地方で働くことのメリットを発信し、自社も選択肢の1つとして検討してもらう機会を増やすことが大切です。

地方企業が新卒を採用するための3つのポイント

地方企業が新卒を採用するための3つのポイント

さまざまな課題が内在している地方採用ですが、この状況を打破して内定につなげるためにはどのような採用手法が有効なのでしょうか。地方採用において重要な3つのポイントを紹介します。

ターゲットとなる学生像を明確にする

候補者の絶対数が少ないなか、自社が求めている学生に的確にアプローチするためには、ターゲット像をできるだけ具体化することが重要です。具体化したターゲット像は、「ペルソナ」として設定し、採用関係者間で共有するようにします。

年齢や性別といった属性だけでなく、住んでいる場所や大学での専攻、情報収集の手段といったライフスタイルまで詳細なイメージを固めることで、「ターゲットはどのような媒体を使い、どのような条件で求人情報を検索するのか」など、より具体的に想像が膨らみます

その結果、効果的な採用手法を選んだり、ターゲットにとって魅力的な訴求を打ち出したりできるようになります。

自社の魅力や強みを整理する

ターゲットにとって魅力的な訴求を打ち出すためには、自社の魅力や強みを整理する必要があります。とはいえ、「自社にそれほど目立った特徴がない」と頭を悩ませている担当者も多いかもしれません。

まずは、「地方企業は、認知度の高い大手企業や都市部の企業と比べられている」というスタート地点に立ち返り、大手や都市部の企業にはない地方企業ならではの特徴を考えてみるとよいでしょう。

例えば、「地場経済と密接に関わっているので業績が安定している」「地方貢献になるのでやりがいを肌で感じられる」「組織規模が小さいからこそ裁量の大きい仕事ができる」など、地方企業・中小企業ならではの魅力があるはずです。大企業や都市部企業とは違った角度からアピールすれば、学生にも比較してもらいやすくなり、興味関心を獲得しやすくなります。

企業側主体の採用手法を取り入れる

従来型の採用手法であるナビサイトをメインに採用活動を行っている企業も多いことでしょう。大手のナビサイトは学生の数も多く、学生との最初の接点として有効であることは間違いありません。

しかし、「認知の壁」がある地方企業や中小企業にとってはデメリットがあることも認識するべきです。ナビサイトを使用する学生は、数多くの掲載企業を横並びにして「比較」することを目的としています。そのため、知名度や認知度で大手企業に劣る地方中小企業は比較負けしやすく、母集団形成が難しい場合があるのです。

地方企業が「認知の壁」を克服するには、ナビサイトのような「待ち」の採用手法ではなく、自社側から学生に直接アプローチする「スカウト型」「逆求人型」の採用手法を取り入れると効果的です。

地方企業・中小企業にはダイレクトリクルーティングがおすすめ

地方企業・中小企業にはダイレクトリクルーティングがおすすめ

企業側からターゲットとなる学生に直接アプローチをかける「スカウト型」「逆求人型」の手法の代表例としては、「ダイレクトリクルーティング」が挙げられます。

ダイレクトリクルーティングとは

ダイレクトリクルーティングとは、自社のターゲット像と合致する学生を、企業が直接スカウトする採用手法です。学生が登録しているデータベースをもとにスカウトメールなどを送り、自社の選考を受けてもらうようオファーします。学生からの承諾があれば、選考を進めていくという流れです。

「認知度の高い大手企業と比較され、学生の数が集まらない」など、従来型の採用手法であるナビサイトにおいて発生していた悩みを解決する手法として、近年取り入れる企業が急増しています。

ダイレクトリクルーティングが解決する課題

認知度で劣る地方企業や中小企業は、「同じ業界の大手企業との比較のなかで、学生に自社の存在や魅力を知ってもらう」という課題を抱えています。合同説明会やインターンシップでも、学生は自分が知る大手企業に流れてしまいがちです。選考辞退や内定辞退でも、大手の採用競合と比較された時に負けてしまうという問題が度々発生します。

また、「集客のハードルを乗り越えて、いかに学生との接触を増やすか」という課題もあります。「最寄り駅がなくて車通勤が必須」「その市に住んでいる学生が数十人しかいない」など、地方ならではの事情が学生を集める際に大きなビハインドになってしまうのです。

しかし、検索して絞り込んだ学生に接触する機会を、企業自らが作ることができるダイレクトリクルーティングであれば、これらの課題・悩みを解決できます。

地方・中小企業の活用状況

地方の採用状況がますます厳しくなる昨今では、さまざまなパターンの採用手法を使わないと学生が集まらず、採用まで至ることが難しくなっています。そのことを理解している企業ほど、ダイレクトリクルーティングに対して前向きな印象を持ち、実際に利用していることが多いようです。

馴染みのない採用手法で取り入れるのが難しそうと感じるかもしれませんが、積極的に学生に会って1人ひとりに向き合おうとする気持ちが強ければ、導入初年度でも一定の成果を出すことは可能です。

ダイレクトリクルーティングは新卒学生にとってもメリットが豊富

ダイレクトリクルーティングは新卒学生にとってもメリットが豊富

ダイレクトリクルーティングは、地方企業だけでなく、学生側にも多くのメリットをもたらす施策です。

新しい企業を認知するきっかけ作り

全く知らない企業や業界からのオファーは、学生にとっても新しい分野を知るきっかけになります。

学生が1人でできる業界研究や企業分析には限界があるので、学生は自分の知っている企業や業界に候補を絞り込んで、その周辺の情報ばかりを集めてしまいがちです。その結果、自分の特性を活かせる業界や企業があるのに、それに気づかないまま就活を終えてしまうことも少なくありません。

ダイレクトリクルーティングは、自分が知らない企業を探し出す術がない学生に対して、企業側から学生に新しい選択肢を提示することで、学生によりマッチ度の高い職と出会える可能性を創出することにもつながるのです。実際に、オファーを受けた学生からは「まずは一度話を聞いてみよう」という前向きな反応が多いといいます。

もちろん、良い反応を得るにはオファーをかける時のメッセージ内容が重要です。ただ自社の魅力を提示するだけでなく、学生のプロフィールを見て自社がどこを魅力的に感じたのか、「数十万人いる新卒のなかでなぜ自社はあなたを選んだのか?」を明示すると効果的でしょう。

「自分のことを見てくれている」という印象を受けた学生は、企業のことも詳しく知ろうとしてくれます。

就職活動でのミスマッチの防止

学生が業界を絞って就活することには、就活の期間が限定されているという理由もあります。何百社もある候補を1社ずつ詳細に調べることはできないため、何らかの条件を設けて企業数を絞らざるを得ないのです。さらに、その業界の選び方も「友達から聞いた」「土日が絶対休み」「楽しそう」といった断片的なイメージで決めてしまいがちです。

なんとなくのイメージで就職先を決めてしまうと、入社前のイメージと現実のギャップが大きくなり、早期離職することになりかねません。たとえ第一志望の企業から内定をもらえたとしても、より適性があったかもしれない他の業界を知らずに就活を終えることは、学生にとって長期的に満足な結果になるとはいえないのです。

そのため、検討していなかった企業や業界からのオファーで学生の視野が広がることは、ミスマッチの防止につながるといえます。

企業との深い対話の実現

1対1でしっかりと対話できるため、学生の潜在能力や本音を見出しやすいというのもダイレクトリクルーティングの特徴です。

例えば、従来型の採用で採用担当1人が学生3人と同時に面談するとします。その場合、面談時間を60分取っていても学生1人あたりにかけられる時間は20分、さらに採用担当者と学生が交互に話すので、学生1人あたりが発言できる時間は単純計算で10分程度です。学生からすれば、周りに他の学生がいると内容によっては質問することに戸惑ったり、機会を逃したりすることも少なくありません。

一方、1対1で話をする場合には、聞きづらかったことを質問できたり、個人的に思っていることやプライベートなことを口にしやすかったり、個々の学生が「その人の本音」を表現しやすくなります。

学生側にメリットがあるだけでなく、企業側にとっては「学生はこんなことを考えているんだ」「こんな懸念があったんだ」など、新たな気づきを得る機会にもなるのです。

ダイレクトリクルーティングで一番重要なのは「学生を思う気持ち」

ダイレクトリクルーティングで一番重要なのは「学生を思う気持ち」

ダイレクトリクルーティングをうまく活用している企業のなかには、学生が住んでいる地域や出身地に関係なく、採用に成功している地方企業が多くあります。初めは志望度が高くなくても、対話を重ねるごとに社風の理解や事業内容の魅力を感じてもらうことが増していき、最終的には大手企業を跳ねのけて第一志望になったというケースも多く見られます。「最初に貰ったメッセージに縁を感じて……」と選考に進んでくれる学生もいるようです。

「こちらから学生に積極的に会おう」「個々の学生としっかり向き合って理解を深め合おう」という気持ちが強い企業はダイレクトリクルーティングの特性にマッチしやすく、導入初年度から高い効果を得ている企業も少なくありません。

つまり、地方か都市部か、大手企業か中小企業かということよりも、ダイレクトリクルーティングを利用する上で一番大事なのは「学生を思う気持ち」なのです。

ダイレクトリクルーティングは、合同説明会などの採用イベントと違い、パンフレットやプレゼン資料の準備や、出張費も必要ありません。新卒採用のノウハウがなくても「学生を思う気持ち」さえあれば実行できるものです。しっかりと学生と向き合って相互理解を深めようという気持ちさえあれば、新卒採用を初めて実施するという企業でも十分な成果を挙げることができます。

まとめ

知名度や在籍地に関係なく、学生との接点を創出して深い対話を行うダイレクトリクルーティングは、地方企業にこそ取り入れてほしい採用手法です。「不便な立地にあり学生に来てもらうのも就活イベントに参加するのも難しい」「そもそも地方は学生の数が少なくて、母集団形成が困難」と感じている企業こそ、導入する価値があるといえます。

また、ダイレクトリクルーティングは企業側だけでなく、視野を広げてミスマッチを防止するなど、学生側にも多くのメリットをもたらします。

ターゲットとなる学生としっかり関係を築いていきたいという考えがあれば、採用ノウハウがなくてもダイレクトリクルーティングを活用することは可能です。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

新任人事の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 人事の方々の業務に役立つ情報を発信しております。