このようなお悩みがある採用担当者の方へ。
- ナビサイトや合同説明会ではなかなか母集団が集まらない
- 新卒採用でもジョブ型採用を始めたいが、求める人物像に出会えない
- 企業認知度が低いが、コストをかけられない
大企業ではジョブ型採用をスタートしたが、企業ブランドやイメージでマッチする人材に出会えない。一方で、中小企業やベンチャーでは、ナビサイトのような「待ちの採用手法」だとエントリーが少ない。といった課題があるかと思います。
そこで、今注目されているのが、「攻めの採用手法」であるダイレクトリクルーティングです。
本記事では、ダイレクトリクルーティングのメリットと新卒採用アドバイザーの本音を紹介していきます。自社の導入を考えている採用担当者の方の参考になりますと幸いです。
また、今回ダイレクトリクルーティングの導入を検討されている方のために、「はじめてのダイレクトリクルーティング〜新卒採用編〜」という資料を用意しました。ダイレクトリクルーティングの基礎から進め方までわかりやすく解説しています。
記事を読んだあとに、ダウンロードしてみてください。

目次
ダイレクトリクルーティングの導入には個々に向き合う覚悟が必要:メリットを引き出せるかは使い方次第
【人事ZINE編集部】
本日は、ダイレクトリクルーティングについてよく言われているメリット・デメリットについて真意をお聞きしたいと思います。まず「求める人材」を “効率的に” 確保できるというのは、どのような意味が含まれているのでしょうか?
【山地さん】
まず挙げられている全ての項目に共通しているのは「ダイレクトリクルーティングに対する取り組み方次第で回答が変わる」というところですね。
“効率的に” がどんなことを指しているかにもよるのですが、もし「ダイレクトリクルーティングを使えば求める人材を”効率的に”確保できるようになりますか?」と質問されたとしたら、「適切な使い方をすればその”可能性”は上がります」とお答えします。
ー「”効率的に”確保できます」とサクっと言えるほど、簡単なことではないということですね。
はい。売り手市場の激化と求人倍率の高止まりがある以上、どんな採用手法を用いてもやはり厳しい状況であることに変わりはないです。
「どの企業もどの業界も新卒も中途もみんな厳しいよ!」、という状況で「自社が求める人材を限られたリソースの中でいかに獲得するか?」ということを考えなければなりません。
ー「採用担当者の負担が増える」という特性に関してはどうですか?従来よりも、オファー(スカウト)を送る候補者の見極めやその後のコミュニケーションの工数が増えることを指していると思うのですが。
そうですね。ダイレクトリクルーティングは、ナビサイトへの掲載やSNS・イベントでの声掛けといった「たくさん集める」ことにかける工数・コストを削減できる代わりに、「事前に絞って見極める」という個々の候補者に対する工数は確かに増えます。
効率という観点に話を戻すと、「50人集めて1人採用する」のと「5人に会って1人採用する」のとででどちらが効率的なのか?ということですよね。「たくさん集める」のも「個別に会ってお互い深く理解し合う」のもそれなりのエネルギーはかかります。
ですので、ダイレクトリクルーティングの導入を検討されている企業の採用担当者の方には「広報にかかる手間を削減することはできますが、その分候補者1人1人に向き合う誠実さと熱量は必要になりますよ。そこで初めて自社にマッチする人材を獲得できる可能性が高まります。」としっかりお伝えしています。
ここを最初に理解していただかないと、オファーメッセージ(スカウトメール)をDMのように使う会社も出てきてしまうんですよ。
ーダイレクトリクルーティングを導入するのであれば、まずは「個々に向き合う覚悟」が必要になるということですね?
“ちゃんと”向き合えば、自社のこともよく理解してもらえますし、「こんなことを不安に感じていたんだな」とか「自社にこういうイメージを持ってくれてたんだ」といった気づきも出てくるでしょう。
そうすると、企業と学生のお互いが理解・納得した上で入社してもらえますよね。そういう活用方法ができれば、自社にマッチする人材を獲得できる可能性は上がります。
それと、人材を確保する効率に影響するものとしては、採用担当者個人のパフォーマンスによるところも大きいです。
よく採用活動は営業活動に近いものがあると言われますが、成約(内定承諾)を獲得するにあたって、それぞれの担当者に必要とされる能力に近いものがあるんです。
営業活動における「提案」と採用活動における「オファー(スカウト)」で置き換えてみるとわかりやすいかと思います。
まず営業活動においては、単純に自社の商品・サービスの良いところをいっぱい伝えるだけでは提案と言えませんよね?顧客のニーズに対して自社の商品・サービスがどう役に立つか、顧客のどんな課題をどのように解決できるか、というところで顧客と意思疎通をして握手をする。
これを採用活動に置き換えると、自社の良いところだけを一方的に伝えるだけでなく、求職者ができること・やりたいことに沿った職場環境があるか、自社に入社することでどんな活躍が期待できるか、ということをお互い理解した上で内定承諾してもらう。ということになりますよね。
こういった提案力や傾聴力、合意形成力などには個人差があります。ダイレクトリクルーティングの場合は、その採用担当者個人の戦闘力の差が結果に顕著に表れやすく、採用担当者が変わった途端にうまくいき始めるということも珍しくないんです。
今挙げたようなコミュニケーションが最初からいきなりできる素養がある人もいれば、試行錯誤して徐々に感覚が掴めてくるようになる人もいると思います。
目標を「目先の採用人数」か「入社後の活躍・定着」に置くかで採用単価の基準は変わる
【人事ZINE編集部】
採用単価についてはどうですか?今聞いたお話ではダイレクトリクルーティングの活用ノウハウが蓄積するまでには一定の投資期間も必要なのかなと感じました。
【山地さん】
一般的に新卒の採用単価は平均50万円程度と言われていますが、これが高いか低いかという判定は企業によりけりです。
要するに論点をどこに置くのか?という話で、採用単価10万円で100人採用できたとしても、入社後に定着せずに離職が発生してしまったら果たしてそれは安いと言えるのか?ということです。
入社後の定着を重視し、ダイレクトリクルーティング経由で将来のハイパフォーマーが生まれるのであれば、100万円でも惜しくないと考える企業もあります。
新卒の採用担当者に「採用人数のみ」を課していて、入社後の定着は現場の育成で効果を測定するという企業があるのですが、それだと “事前に見極めて将来の活躍人材を採用する”ダイレクトリクルーティングの良さをあまり発揮できないですよね。
新卒採用は学生の年齢に近い比較的若い人事が採用担当者になることが多いのですが、その担当者個人が「定着・活躍」の重要性を理解していても求められるのは「採用人数」であったり、学生と向き合うリソースを制限されたりと、本人が感じているやるべきことと組織に求められることの板挟みになることもよくあるんです。
ですので、採用担当者1人だけでなく、経営陣を含むチームや会社全体でまず方向性を共有し、ターゲットとなるのはどんな人材か、どのくらい予算をかけられるか、目標達成のためにこれだけの工数がかかるけど対応できるリソースはあるかということを明確にした上で取り組んでいただければと思います。
このあたりはどの採用手法についても同じで、それぞれの採用手法に誠実に取り組んで、「”自社で使える”採用ノウハウ”」 をある程度確立するまでは投資期間も計画に入れておくべきかと思います。
ダイレクトリクルーティングは、自社の採用課題を解消するための選択肢の1つに過ぎず、パッと振って使える魔法の杖ではありません。
まずは計画を立ててオファーを送らなければ学生に出会うこともできないですし、ターゲットはどんなメッセージでふり向いてくれるのか、自社のどんなことを知りたいのか、また辞退した学生は何が理由で辞退したのか、と徹底的に学生に向き合うことから始まります。
そして結果をふり返り、「重点的に攻めるターゲット層を設定し直そう」「自社PRの優先順位を変えてみよう」と試行錯誤する粘り強さも必要です。
導入直後から比較的うまくいっている企業でも「なぜうまくいったか?」「改善できそうなところはないか?」と常に自社の採用ノウハウをブラッシュアップする気持ちで取り組んで頂きたいです。
ダイレクトリクルーティングを活用する準備「自社が求める人材を言語化しておかないと、検索軸にブレが生じる」
【人事ZINE編集部】
ーその企業が向き合う対象となる学生ですが、「ダイレクトリクルーティングサービスは主体的で意欲の高い学生に出会える可能性が高い」ということについて何か思うところはありますか?
【山地さん】
学生が存分に自己アピールできるようなプロフィール欄が準備されているため、それを有効活用できる学生が「主体性があって意欲が高い」可能性は確かに高いですね。
学生が登録したプロフィールや適性検査のデータベースをしっかりと見定めて、正しい使い方をすれば「主体的で意欲の高い学生に出会える可能性が高い」も見つかるかと思います。
という意味では「ダイレクトリクルーティングサービスは主体的で意欲の高い学生に出会える可能性が高い」は概ね正しいです。
1つ補足しておくのであれば「ダイレクトリクルーティングサービスに登録している学生はみんな主体的で意欲が高いというわけではない。」ということです。
ダイレクトリクルーティングという言葉が就活トレンドとして学生にも幅広く認知されるようになってきているので、単純に「みんながやってるから自分も登録しとこう」という学生も中にはいます。
ただ、プロフィール内の文言や適性検査の結果などをから企業が学生を検索できる仕様になっているため、「自社にマッチしそうな人材」を探し出すことはできます。
その際に、「自社が求める人材」が曖昧だとターゲティングも定まりにくいので、やはり最初の求める人物像の設計は重要です。
求める人物像を明確にして言語化するところまで準備しておくと、検索軸に落とし込みやすいと思います。
学生自身が気づいていない活躍人材の要素を企業が引き出してあげる重要性
【人事ZINE編集部】
ー最後に「潜在層に対する自社アピールのしやすさ」について教えてください。こちらは攻めの採用手法であるダイレクトリクルーティングならではの特性かなぁと思いました。
【山地さん】
そうですね。中途採用であれば、特定の転職サイトに登録していない、現状では転職を考えていない層にあたりますが、新卒採用においては、自社が属する業界や自社が募集している職種を志望していない学生が潜在層にあたるかと思います。
例えば、メーカー企業が、メーカー志望ではない学生にオファーをかけるということですね。
企業からすると、自社で活躍できる人材の要素を持ち合わせていれば、特定の学部の学生だけをターゲットにする必要はないのですが、学生は、「機械系なら機械メーカー」「化学系なら化学繊維・素材メーカー」と大学の専攻と企業イメージを結び付けがちなので、学生が主体となって就職先を探すとどうしても志望する業界が固まってしまいます。
そういう自社を就職先の候補に入れていない学生にアプローチをかけることができるのは、ダイレクトリクルーティングならではの強みだと思います。
ただし、ここでも注意して頂きたいのは「オファーを送ってからが本番」ということです。
先ほどお伝えした通り、ダイレクトリクルーティングは「個々の学生に向き合う覚悟」が必要です。ましてや自社のことを知らなかった学生をふり向かせて口説き落とすにはそれなりのエネルギーを消費します。
ー実際のところ、志望業界以外からのオファーに対する学生の反応はいかがですか?
結論としては、ダイレクトリクルーティングでアプローチをかけて、もともと異業界志望だった学生を採用できている企業は多いです。
広報解禁日(3年次の3月)が近づいてくるにつれて学生は志望する企業群を絞り込もうとする傾向があるのですが、まだいろいろな業界や企業を見たいと活動している3年次の夏・秋までであれば比較的オファーを承認してくれやすいです。
学生もオファーを受けると「自分のことを見てもらっている」「意外なところに自分が活躍できそうな企業があるんだ」と前向きに受け取って、積極的に話を聞こうとしてくれます。
学生自身も自己分析をするとは言え、まだまだ自分のことを客観視できる学生は少ないと思いますので、学生が自分で気づいていない部分をどんどん企業から引き出してあげて欲しいですね。
最後に
今回は、新卒採用アドバイザーの山地さんに「ダイレクトリクルーティングの特性に関するホントのところ」を語っていただきました。
インタビューを通して明らかになったことは、ダイレクトリクルーティングサービスが持つ特性はその取り組み方、熱量の入れ方次第でメリットにもデメリットにもなり得るということ。
「個々の学生と向き合う覚悟」をお持ちであれば、是非一度ダイレクトリクルーティングを実施してみてはいかがでしょうか?
まずは行動してみることが大事ですが、しっかりとした計画を立て、自社が起こしたアクションと結果のふり返りによる試行錯誤を繰り返し、常に自社の採用手法をブラッシュアップしていく気持ちで取り組みましょう!
