面接官トレーニングで他社に差をつける!採用確度を上げる研修方法とは?
「自社に合った人材を高い精度で採用したい」という理由から、選考の質を上げたいと考えている人事担当者の方も多いと思います。そうした場合におすすめなのが、面接官のトレーニングです。
応募者を惹きつける力や、応募者の資質・真剣度を見抜くスキルなど、面接官にはさまざまな力が求められます。面接官のトレーニングによってスキルを引き上げれば、選考の質の向上を通して、会社の求める人物像に沿った人材を採用できるようになるでしょう。
本記事では、面接官トレーニングの目的や重要な面接スキル、実際の手法について詳しく解説します。
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目次
面接官トレーニングの目的
面接官トレーニングの目的はいくつかあります。
- 面接官の惹きつけ力を高める
- 面接官の見極め力を高める
- 面接官のなかでの評価基準を統一する
- 面接官にNG行動をさせない
売り手市場で学生優位とされている昨今、「面接官が選ぶ時代」ではなく、「企業が面接を通じて選ばれる時代」です。そのため、面接官に「応募者を惹きつける力」がなければ、企業は選ばれません。
それに加えて、面接官は「この人は自社が求める人物像に合っているのか」「自社で活躍できる人材となるのか」などを、短い面接時間で見抜く必要があります。見極め力を高めるといった観点でも、面接官トレーニングが必要になるでしょう。
そして面接官トレーニングは、面接官としてのスキルを高めるだけでなく、「全ての面接官での評価基準を統一する」といった側面もあります。評価基準の背景などを詳しく理解できるため、内定辞退の減少にもつながりやすくなるでしょう。
面接官にNG行動をさせないといった点も見逃せません。面接ではタブーとされる質問もいくつかあり、場合によっては企業イメージに大きな影響を与える可能性があります。
面接官がトレーニングすべき面接スキル
面接官のトレーニングで重視したいスキルは、以下の4つです。
- 適切な質問をする気付き・問いかけスキル
- 応募者の資質・真剣度を見抜くスキル
- 緊張を和らげ話しやすい雰囲気を作る力
- 自社の魅力を伝えるプレゼンテーションスキル
上記4つのスキルについてそれぞれ解説します。
適切な質問をする気付き・問いかけスキル
面接官のトレーニングをするうえで、まず理解しておきたいのが「適切な質問をする気付き・問いかけスキル」です。面接官として、適切な質問をするスキルを持つことは、応募者のスキル・経験・個性などを正確に評価するために欠かせません。
応募者が提出した履歴書を、選考という観点で詳しく読み込んでおくのはもちろん、思考を深める余地を与えるためにオープンクエスチョンを適切に織り交ぜる技術や、個々の応募者に適した質問をする力も重要です。
また「適切な質問をする気付き」を得るためには、質問力だけでなく、応募者が話す内容を深く理解する力も必要になります。
応募者の資質・真剣度を見抜くスキル
面接官のトレーニングでは、「応募者の資質・真剣度を見抜くスキル」を鍛えるのも重要です。例えば「その問題を受けてあなたはどのように行動しましたか?」「その結果はどうでしたか?」など、行動ベースの質問を意識することで、その人の資質やスキルを判断しやすくなります。
応募者の真剣度を見抜くためには、その人が話している際の「情熱」を読み取る力も重要です。行動ベースの質問のなかでも、特に具体性のあるトピックを盛り込むことで、その人の本音を引き出しやすくなるでしょう。
もちろんこうしたスキルは、理屈だけでなく、面接官の直感と経験も含まれます。
緊張を和らげ話しやすい雰囲気を作る力
「緊張を和らげ話しやすい雰囲気を作る力」も、面接官がトレーニングするべき分野です。例えば面接官としてのマナーは、応募者にもよく見られています。時間厳守、親切で尊重的な態度など、 面接官自身がプロフェッショナルな態度を崩さないように意識しなければなりません。
応募者がリラックスして面接に臨めるような会話力も重要です。面接の初めに、仕事に関連しない軽い話題(天気や交通状況など)を提供することで、応募者の緊張をいくらか軽減させられる可能性があります。いわゆる「アイスブレイク」に関する力は、面接官のトレーニングに取り入れたい要素です。
自社の魅力を伝えるプレゼンテーションスキル
「自社の魅力を伝えるプレゼンテーションスキル」も、面接官のトレーニングで欠かせません。例えば自社のビジョン・ミッションや組織文化を理解し、それを正確に伝えることができるスキルは、基本的にどの面接官にも求められます。
重要なのはただ事実を羅列するのではなく、伝えた内容が応募者にとって魅力的に映るようにすることです。時には社員の成功体験を織り交ぜたり、応募者の関心に合わせて内容をカスタマイズしたりと、オリジナリティのあるプレゼンテーションを目指すのがよいでしょう。
面接官の見極め力をトレーニングするには
面接を通して、その応募者の性格の傾向や能力が採用基準に合っているかどうかを見極めることは重要です。
能力面であれば、必要な能力を書き出したチェックリストを作成し、面接中に質問しながら採用基準に到達しているかを確認することができます。
能力面よりも難しいのがその応募者の性格の傾向を見抜くことです。どのような質問をすれば、その応募者の特徴や考え方を知ることができるのかを理解していないと、見極めるのは非常に困難になります。
しかし、企業によって求める人物像が異なるため、質問すべき内容も異なってきます。
面接官と人事担当者で話し合い、「応募者が自社に合った人物像かどうか」を見抜ける質問を考えてみましょう。
面接官の惹きつけ力をトレーニングするには
「面接官の惹きつけ力」で重要な点は、応募者に選んでもらえるようなコミュニケーションをおこなうことです。
円滑なコミュニケーションで面接を進めることができれば、面接官を通して「この企業でぜひ働きたい」と思ってもらうことができます。
そのために最低限必要になるのは、ビジネスマナーを習得しておくことと、NGな質問をしないことです。NG質問には、出生地や家庭環境に関することや、宗教や支持政党などがあります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
面接官トレーニングの手法としておすすめなのはシミュレーションです。人事が応募者となって面接をおこない、フィードバックしてあげると良いでしょう。
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面接官トレーニングで見抜き力を高める方法
外部研修や外部業者に面接官トレーニングを頼むことは、工数の節約になると同時に、専門家が面接の弱点も客観的に見つけてくれることにもなります。
しかし、「予算が合わない」「面接官が忙しい」などの理由から、外部研修や外部業者に依頼することが難しい企業も多いはずです。
そこで、以下では自社でできる面接官トレーニングについて紹介します。
面接で出てきにくい資質と引き出す質問を設定する
応募者の「コミュニケーション能力・判断の的確さ・率直さ・チームで仕事をする際の仕事の仕方」は、面接を通して判断しやすい部類の基準といえます。
これに対して、応募者の性格の傾向を見抜くことは難しいと言えます。ですので、性格傾向を引き出す質問例として、
- 「本当にやりたいことはなにか、逆にやりたくないことはなにか」
- 「あなたにとってパフォーマンスが出しやすい環境はどのような環境か」
- 「苦手な上司や同僚と意見がぶつかった時、どのように対処するか」
- 「これまでの経験から希望する職種へ活かせることはなにか」
などオープンクエスチョンを用いた質問は、応募者の性格傾向が現れやすいです。
例えば、仕事中に大きな壁にぶつかった時、どのように向き合っていくかを知りたい場合、
- 「これまでの人生において挫折したことはなんですか?」
- 「その時、どう対処しましたか?」
以上のように挫折や失敗をした時、その挫折や失敗にどう向き合っていったのかを聞くことで、主体性を持って行動できるのか、ストレス耐性はあるのか、などを見極めることができます(見極め対象の性格傾向が『主体性』『ストレス耐性』だった場合の例です。抽象度が高い場合、見極め基準を面接官で擦り合わせしておくことも必要です)。
ミスマッチを防ぐためにも、このようなオープンクエスチョンを用いて、応募者に深くアプローチをするためのトレーニングをしておくと良いでしょう。
聞き出しテクニックで見抜き力を鍛える
定型化・数値化しにくい応募者の性格の傾向を引き出すためには、候補者の過去に経験した出来事についてのエピソードを語ってもらうことも有効です。その一方で、なかなかエピソードを引き出せなかった、という経験をしている面接官の方もいることでしょう。
エピソードを引き出す有効なテクニックの一つに、時系列の活用があります。話していることに興味を持って「次どうなった、次どうなった」と質問をする相手にはつい話したくなるものです。この心理を利用するのが時系列です。
「仕事上やりたいことは何なのか」という質問に対し、「高校生のころなりたい職業は何だったのか」「大学生になったらどう考えは変わったのか」「それをするためにどのような努力をしたのか」「努力の後、どのように変わったのか」「今やりたい仕事はその努力で変化したか」と聞いていく間に、過去のエピソードは自然に集まります。
例えば、過去に得た経験をどのように次に活かすことができるタイプなのかを知りたい場合、
- 「過去に本気で取り組んだ経験・プロジェクトはありますか?」
- 「そこから得たものはなんですか?」
- 「得た経験やスキルをどこで活かすことができましたか?」
以上のように過去に起きた経験から何を学びとり、それをどのように活かしたかを聞くことで、求める人物像の性格傾向(要件)に当てはまるかを見極めることができます。
このように、過去から近い将来まで順を追って質問することで、個人の興味対象はなにか、大切にしている価値観、どのような時にモチベーションが上がり、下がっていくのか、人やチームとどのように関わっていくタイプなのか、のように細かな性格傾向を知ることができます。
面接官の傾聴力を鍛える
先にご紹介した時系列順の質問は、面接時間が許す限り応募者に多くを語ってもらうことが重要な面接の目標になります。
しかしその際に「いや、そういうことではなくて」「もう少し簡潔に言うと?」などと、発言を抑制する力のある発言をすると、応募者が語りにくくなり、情報が集まりません。
応募者の発言をまずは肯定的にとらえ、「そこが難しかったんですね」などと、応募者の発言の要点を繰り返すことが有効なテクニックです。
そのほかにも、「なぜそう思われたのですか?聞きたいですね」「その時に他の人はどうしていたのでしょうか、興味ありますね」「そうなんですか、工夫をされたんですね」などと、興味を示しながら肯定的な受け答えをすることを心掛けるだけでも、応募者に多くを語ってもらうことができます。
トレーニングの方法は、できればお互いの職務経歴など資料を持って社内のメンバー同士で面接のシミュレーションを行います。
また、上司部下・同僚同士など、面接する相手の立場を変えると、より有効なトレーニングができます。
面接官トレーニングを行う具体的な手法
面接官トレーニングを行う具体的な手法としては、以下の4つがあります。
- ロールプレイング
- ワークショップ
- 専門家研修
- メンターシップ
ここでは、それぞれの手法について詳しく解説します。
ロールプレイング
ロールプレイングは、社員同士で面接のシミュレーションを行い、そのフィードバックを通じて改善点を見つけることです。面接の進行方法、質問の仕方、候補者の反応の読み取り方などを練習するのに効果的なのが主なメリットとなります。
面接官トレーニングのロールプレイングで重要なのが「シナリオ設定」です。具体的な職種や応募者の背景、面接のステージ(一次面接なのか最終面接なのか)などを考えます。緊張がなかなか解けない人やオーバートークな人、曖昧な回答を繰り返してしまう人など、応募者のキャラクターにバリエーションを持たせるのもおすすめです。
ワークショップ
面接の知識や技術に関するワークショップも効果的です。ワークショップとは、特定のトピックやスキルについて深く学ぶための主体的なセッションやイベントを指します。質問の流れや効果的な質問の設定、非言語的なコミュニケーションの理解と実践など、さまざまな分野についての知識を養えます。
面接官トレーニングのワークショップは、あらかじめ目的と目標を明確にしつつ、実施の方法を決めておく必要があります。例えばグループディスカッションの内容や、「ケーススタディをどれだけ用意するか」など、事前準備の質によって得られる成果が大きく変わるでしょう。
専門家研修
専門家による座学研修によって、面接官のトレーニングを行うのもおすすめです。主に専門知識と経験を持つ面接官やコンサルタントなど、経験豊富な人が持っているノウハウを提供してもらいます。専門的な知見を得られ、最新かつ精度の高いスキル習得が可能になるのが、専門家研修の最大のメリットです。
さらにこうした専門家は多くの場合、他の場所でも研修やセミナーをした経験を持っており、教え方に優れているのも重要なポイントです。面接官としてのキャリアが浅い人であっても、無理なく充実した研修内容にできます。個々の参加者に対して直接フィードバックを提供してもらえると、より学習の効率が上がるでしょう。
メンターシップ
経験豊富な面接官が、新人〜中堅面接官をトレーニングする「メンターシップ」も検討してみましょう。よく見られる事例としては、実践的なフィードバックです。例えば実際の面接の状況でのパフォーマンスに対してメンターがフィードバックを提供すると、何を改善すべきかを具体的に理解できるため、効率的な学習ができます。
さらに経験豊富な面接官は、同じ会社の社員として、特定の業界・業種に関する深い知識を持っています。専門家を招く際、人選が大変になる部分ではありますが、メンターシップであればミスマッチの心配はほとんどありません。
まとめ 面接官をトレーニングすることで質の高い選考へ
面接官を適切にトレーニングすることで、面接官の「見極め力」「惹きつけ力」「見抜き力」を鍛えられます。さらに面接官のなかでの評価基準を統一したり、NG行動をしないための規範を意識づけたりと、面接官トレーニングの役割は多種多様です。
面接官トレーニングを行う際は、「ロールプレイング」「ワークショップ」「専門家研修」「メンターシップ」などの具体的な手法を用いるのがおすすめです。それぞれメリットや向き不向きが異なるため、あらかじめ組織構造やトレーニングの目的などを明確化しておくとよいでしょう。
最後に、面接で聞くべき質問やNG言動、事前準備のポイントがわかる資料「面接官マニュアル」もご活用ください。社内共有用にもお使いいただけます。