【新卒採用】採用時の提出書類の基本を確認:禁止書類からコンプライアンスを読み解く

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採用活動の工程の中で、求職者がいざ入社、という段階で提出してもらうのが、「採用時の提出書類」です。採用が決定した際に、提出を求める書類にはどのようなものがあり、それぞれどのような役割を果たすのでしょうか。

デジタル化の波が来ても、まだ書類でやりとりしなければならないものもたくさんあります。

  • 新卒採用時の必要提出書類の代表的なものは?
  • 提出書類はどういう役割を持っているのか?
  • 提出を求めてはいけない書類があるか?
  • 新卒採用で起こり得る、アクシデントがあれば対策方法はあるか?

今回は、上記のような「採用時の提出書類」に関する疑問を、新卒採用アドバイザーの谷間さんにお答えいただきます。

また、2023年3月に「2024卒の採用市場から学ぶ!Z世代×新卒採用」という資料も作成しました。これからの新卒採用の戦略を考える際に活用していただけたら幸いです。

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採用時に求職者に書類を提出してもらうことの主な役割:業務に必要な資質の確認

ーー採用時提出書類には、どういう役割で提出を求められるのでしょうか?


【谷間さん】
採用時の提出書類には、大きく「学生時代の成績・適性・能力の証明」「身元の確認・保証を求める」役割があります。新卒採用の提出書類で代表的なものは以下の3つになります。

  • 成績証明書
  • 卒業(見込み)証明書
  • 健康診断書

この他にも、新卒採用でマストな提出書類として、

  • 年金手帳
  • マイナンバー
  • 雇用契約書
  • 給与振込先届出書
  • 各種手当支給届出書
  • 健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者 資格取得等届(本人に扶養家族がいる場合)

の6つの書類があり、マストではないですが提出してもらうことがあるのが、

  • 身元保証書
  • 資格免許証、合格証明書類(資格が必要な職務の場合)
  • 住民票記載事項証明書(最近では個人情報の観点で提出させないところもある)

の3つの書類になります。

また、中途採用だと、上記の書類に加えて、

  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

の3つの書類が追加されます。

これは正社員の採用に関してのケースなのですが、企業は一度社員の採用を決めると、法律的に中々解雇をするのが難しくなります。

ですので、社員の身元や経歴の証明をしっかりと社内に残して、後々のトラブルを防ぐ、という意味でも、現場に能力や経歴を照会されたときに参照できるように「採用時に書類を提出してもらう」ことが非常に大切になってきます。

ーー能力や成績の証明を提出してもらうのですね。そうなってくるとその書類から証明される実績を見て、採用を決めたほうが合理的な気がします。選考段階でそのような書類の提出は求めないのですか?


【谷間さん】
採用選考で大切なことは、特に新卒採用においては「経歴や経験、事実そのもの」というよりも、「経歴や経験を自分の言葉で説明でき、自分をプレゼンできる能力」であったり、「経歴を振り返って自分がどのような認識を得て、行動したのか」であったりという、入社後に活躍する能力を判断して見極めることです。

なので、選考段階では「成績証明書」などの書類はほとんど使いませんね。新卒採用では、主に「エントリーシートや履歴書」で、中途採用では主に「履歴書や職務経歴書」で選考を進めていきます。

採用時の提出書類は、入社後の社員管理業務に必要なものを集める、という目的になります。採用担当は求職者から書類を集めるところまでが仕事で、その後の事務は人事の事務担当や総務が行ないます。

提出を求めてはいけない書類とは?:コンプライアンス意識を高める重要性

――企業から提出を求めてはいけない書類にはどういったものがありますか?


【谷間さん】
そうですね、基本的には「コンプライアンスに抵触するもの」は提出を求めてはいけません。具体的に言えば、差別や偏見の元になる、戸籍謄本や住民票、家庭環境をテーマとした論文や課題、家族構成、セクシャリティ、思想や信仰が判明するものなどです。あと、人種差別を助長するような必要のない個人情報が掲載されているものも禁止です。

当たり前なのですが、そういった禁止事項を1つ1つ見ていくと、会社で仕事をしていくこと、会社で活躍することと全く関連性のないことばかりなんですよね。あくまでも採用人事は、「入社後に活躍するかどうか」という軸を持って採用活動をするもの、というシンプルな原則をしっかりと頭に置いておけば、採用活動全般を通してコンプライアンスに抵触することはないのではないでしょうか。

――健康診断書の提出はどうでしょうか?こちらも持病などあれば個人の秘匿性の高い情報になるような感じがするのですが。

【谷間さん】
健康診断書に関しては私の採用業務では提出していただいていましたし、提出させる会社は多いのではないでしょうか。

健康診断書の場合は、先程申したように、「入社後に活躍するかどうか」という採用の軸に少し関わってきます。求職者が重大な持病をお持ちの場合には、業務の遂行が困難になる場合もありますので、採用活動の目的に照らし合わせて、提出は合理的である、と解釈しています。ただし、合理的な目的以外の使用をしないよう、書類を厳重に運用する必要があると思います。

――コンプライアンスに抵触するかどうかを判断するときに、参考にしている情報はありますか?

【谷間さん】
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」というページを隅から隅まで読みます。このページの最初の、「(1)採用選考の基本的な考え方」の

採用選考に当たっては

・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力のみを基準として行うこと

の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。

公正な採用選考を行う基本は

・応募者に広く門戸を開くこと、言いかえれば、雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること
・本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと

つまり、応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことです。就職の機会均等とは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、このためには、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要です。

という記述は全採用業務に携わる方必読だと思います。

内定者に対する適切なフォローは?アクシデントを回避して書類を提出してもらう秘訣

ーー実際に内定の承諾をした求職者に対する書類を提出してもらうときに、よくあるアクシデントやトラブルなどがありましたら、教えてください。

【谷間さん】
やはり、代表的なものでいえば、「成績証明書や卒業見込証明書を大学が出すタイミングが遅く、会社側の提出に間に合わない」というアクシデントは毎年ありますね。

ただ、大学は毎年何千人、何万人の証明書事務をやっているわけで、非合理的な理由で学生に証明書を出すのが遅れる、ということはまれです。大抵、求職者側で前々から大学に請求をしていない、ですとか、1通だけ請求して汚損してしまった、などの、求職者側の段取り・見通し不足がほとんどなので、そのようなことが起こらないように、ガイドラインも含めて求職者にインフォメーションをしていくことが、内定者フォローの一環として必要だと思います。

例えば、ここまでやると細かいですが、「~大学は少し証明書を出すのが遅くなる傾向があるから、~日までに必ず請求すること」といったように具体的な指示を細かく出してあげる。会社としても事務が滞るのは防ぎたいので、前々からインフォメーションしていく、といった行動が人事として大切になってくると思います。

また学校によって、本人の単位の取得状況によっては、卒業見込み証明書の発行可能開始日が遅くなる場合があります。そのような場合でも、人事は毎年多くの求職者を見ていますし、だいたいの学校の傾向はわかっている場合が多いです。極端な話をすると入社に間に合えばいいので、御相談いただいて、後日に提出いただくようにしていました。求職者が慌てて不安になってしまわないよう、個別に声掛けをしてあげることが大切なのではないでしょうか。


ーー積極的な求職者への関わりが大切なんですね。成績証明書・卒業見込み証明書の提出のタイミングはいつに設定している場合が多いのでしょうか?

【谷間さん】
提出は「内定承諾書」と一緒に提出を求めていましたね。入社事務上、そのほうが合理的なんです。内定承諾書を提出していただくということは、そこから社員としての入社事務が始まります。そこで、大学や専門学校や高校など、在籍している学校が単位不足で卒業できないケースになると、入社取り消しになってしまい、貴重な1枠の入社人員を失うことになります。

ですので、内定承諾書と共に卒業できることを証明する書類を提出してもらうことで、確実に入社していただける人員として入社事務が行なえます。

成績証明書に限ったことではなく、採用時の必要書類の提出全般に言えることですが、新卒採用の場合は、求職者にとっても「入社事務」は初めての体験です。求職者はわからないことだらけです。内定者フォローの一環として、スケジュールを含めて人事で早め早めに期限を設定して行動させてあげることが大切なのではないでしょうか。

社内の採用や選考に関わる全員で、求職者に対する心構え、コミュニケーション方法を統一し、提出書類のスケジューリングの仕組み化やコンプライアンスの遵守など、しっかりとチームで採用活動の取り組みをしていただければ、と思います。

最後に:採用フェーズ全体でコンプライアンス意識を高めよう

今回は、新卒採用アドバイザーの谷間さんに、採用活動の締めとして必要な「採用時の提出書類」についてお話しいただきました。

コンプライアンスに抵触する書類の提出禁止は当然のこととして、書類提出の場面に限らず、説明会や面接や懇親会、連絡の電話やメールなど求職者とのタッチポイント全てで、「入社後に活躍する人材を採用する」という採用の目的から外れた、求職者個人のセンシティブな部分・コンプライアンスに抵触する部分に触れることは避けましょう。

特に面接では、そのようなコンプライアンス項目ギリギリの質問を求職者にする面接官の方も未だ少なくありません。採用活動全般において、また入社後の接し方も含めて、求職者の情報に関するコンプライアンス意識を高く持ち続けることが、価値観やライフスタイルが多様化した現代の人事としては必須になります。

会社によっては、人事の部署がなかったり、他の業務も兼任しながら採用業務を行なっていたりするところも少なくないと思います。一つ一つの業務に追われてしまいますが、入社事務のひとつとして流れ作業で処理するのではなく、一人一人の人生を決めてしまうかもしれない、という責任感を持って、採用時の提出書類を扱うようにしましょう。

Z世代の新卒採用の重要なポイントや効果的な採用手法も以下の資料で解説しています。最新の市場動向に合わせて自社の採用戦略を再設計したいとお考えの採用担当者の方はこちらの資料もご覧ください。

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人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。