新卒採用の座談会とは?開催する目的・メリットや進め方・注意点を解説

座談会の開催において
- 座談会の役割や目的がよくわからない
- 座談会を開催するにしても、どんなポイントを押さえたらいいの?
- 座談会のテーマの選択や進行方向を教えてほしい
などの悩みを持たれる採用担当者の方も多いのではないでしょうか?
さらに、新型コロナウィルス感染拡大の影響からオンライン座談会も増えています。今までと違うスタイルの開催も余儀なくされ、手探り状態でお困りの方も多いと思います。
そこで、本記事では座談会を行う目的を再確認し、オンラインを含めた座談会や進行方法、意識すべきポイントと注意点を解説します。
これからのお話を参考にしていただき、企業と学生の双方にとって実りある座談会を開催してください!
また、座談会の形式やコンテンツの準備にお悩みの採用担当者の方のために、「学生にとって魅力的な座談会をつくるポイント」をご用意しました。学生の心を惹きつける座談会を企画するポイントをフェーズ別、開催形式(オンライン/対面)別にくわしくご紹介しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

目次
新卒採用における座談会とは?

新卒採用における座談会とはどのような位置付けで、どのように開催されるものなのでしょうか。まずは、その特徴や近年の開催方式をご紹介します。
座談会の特徴
座談会とは、ひとことでいえば「社員と学生が話をする場」です。学生にとっては説明会で聞き逃したことや素朴な疑問・不安などを質問する場で、企業はより会社のことを深く伝えたり学生の意見・関心を知ったりする場と位置付ける傾向があります。
座談会の一般的な傾向は以下の通りです。
- 開催のタイミング:説明会の後や選考の初期の段階
- 企業側の参加者:さまざまな部署の若手社員を中心に複数人
- 選考への影響:選考の参考にすることも可
- 服装:「スーツやそれに準じる服装」の指定が多い
説明会は企業から学生へ伝える形式が多いものですが、座談会は「学生から会社へ」自由に質問することも可能で、リラックスした雰囲気で行われるのが特徴です。数人の社員で多数の学生を相手にすることが多く、双方向のやり取りだからこそ企業側も学生側も相互理解を深めることができます。
近年の座談会の開催形式
座談会は会社説明会の後などに対面で行われることが多くありますが、コロナ禍をきっかけに近年はオンラインでの開催も増えています。
オンライン座談会は学生が自宅から参加できるため、学生にとって服装を気にせずリラックスして参加できるメリットがあります。遠方に住む学生も気軽に参加できるため、企業側は多くの学生に自社を知ってもらえるというメリットもあるでしょう。
座談会を実施する目的

企業と学生の相互理解を深める
採用活動が大きく様変わりし、企業から学生への一方向ではない、双方向性のある採用活動(学生と企業がマッチングする採用活動)が主流になりつつあります。座談会は、学生と企業がお互いのことを知るための、双方向のコミュニケーションができる有効な手段として注目されているのです。
企業にとっては、「学生の本音の部分を見ることで選考の参考にする(採用後のミスマッチを防ぐ)」ことも目的の1つとなります。
入社後の不安を払拭する
座談会には、学生に向けて「企業の風土や現場の雰囲気などを見て、入社後のイメージをつかんでもらう」、「応募者同士が顔を合わせることで、入社後についての不安を払拭してもらう」という目的もあります。
座談会では、実際に企業で働いている社員の人柄や雰囲気、リアルな話を直接知ることで社風を体感できます。また、社員と学生、応募者である学生同士での相互理解を進めることで、入社後をイメージしやすくなるでしょう。
社内の一体感が生まれる
座談会は、採用に向けた社内の一体感を醸成することにも役立つイベントです。
座談会は採用・人事担当者だけでは開催できません。学生にとって「現場の空気感が肌で感じられるような場」とするためには、現場社員の参加やその他の協力が不可欠です。
最も学生との接点が多いのは採用・人事担当者ですが、たとえ現場経験があるとしても採用か活動を行うにあたって現場から離れていれば最新の状況をキャッチアップするのが難しいことも生じます。
そこで座談会で企業の風土や現場の雰囲気を学生によりよく伝えるには、現場の第一線で活躍中の社員にも座談会に参加してもらうことが重要となります。
このように、座談会は採用・人事部門だけでなく部門横断的な取り組みが必要となり、さらに座談会の企画運営にあたっては携わるさまざまなメンバー間の意思疎通も求められるため、社内の共通認識の醸成につながるでしょう。

学生が座談会に参加するメリット
座談会をより意義のあるものにするためには、学生にとってのメリットを理解しておくことも大切です。
まず大きなメリットとなるのが、社員と直接コミュニケーションすることを通じて、会社や社員の雰囲気が把握できることです。学生は企業の事業内容だけでなく、社風や周囲の社員相性がよいかどうかも重視しています。
このため、複数の社員から生の声を聞ける座談会を、会社の雰囲気を掴める貴重な場と捉えている学生も多いのです。
また、他の学生の質問を聞いて情報収集できること、採用担当者に覚えてもらえる可能性があることもメリットに挙げられます。学生の座談会に対する満足度を高めるには、座談会を積極的に質問できる場にすることが効果的です。
座談会の基本的な進め方

座談会のテーマと順番を決定する
まずは座談会のテーマと話す順番を決定します。座談会はフランクに話せることがメリットですが、ただ雑談をするだけではその目的を十分には果たせません。
自社から学生へ伝えたい内容を明確にしておき、具体的な仕事内容や社内の風土などのテーマを設定して話すことで、相互の理解もスムーズに進みます。テーマを設定したら、話す順番もあらかじめ決めておきましょう。
テーマとあわせて全体の流れを決めておくことで、話が脱線しにくく、前後のつながりを持たせて学生の理解を深めやすくなります。
参加社員を選定し、協力を依頼する
テーマや学生へ伝えたいことを決めたら、ふさわしい参加社員を選定し、協力を依頼します。座談会に参加する社員は学生にとってロールモデルとなる社員がふさわしく、企業の顔となる存在です。学生が「一緒に働きたい」と思えるような社員を選ぶことが、座談会の成功にもつながるでしょう。
協力を依頼する際には、座談会の目的や学生へ伝えたいことをあらかじめすり合わせ、共通の認識を持って座談会に臨んでもらうことが大切です。
座談会では社員から話し始める
座談会のスタートと同時に、学生から質問するのは難しいものです。まずは社員側から話し始めてもらいましょう。最初に話す内容は座談会の雰囲気を左右するので事前に決めておくのがおすすめです。
例えば最初は社員が自己紹介や会社紹介をしたうえで全員でアイスブレイクなどを行い、その時のテーマに沿った会話を始めていく、という流れが考えられます。
時間は最低でも10分は確保する
開催形式によりますが、グループ分けして複数の人と話すのであれば少なくても10分、グループを固定するのであれば30分は確保しましょう。
一方で座談会は、話が盛り上がると時間を忘れがちな点にも注意しましょう。特にグループで開催する場合は、ある一定の人とのやり取りに時間を取られてしまうと参加者全体では不満を感じることになります。
「参加者の平均的な満足度をあげる」「多くの参加者と接点をもち選考に進んでもらう」という目的を達成するためには時間配分を決めて進行することが重要です。
「参加者に前もって座談会の終了時刻を伝えておく」「司会者に進行を任せて従ってもらう」などの対策が有効です。
座談会を企画するうえでのポイント

では、学生は、会社説明会や面接では知ることのできない情報を求めて座談会に参加してきます。「とりあえず学生とコミュニケーションを取っておく」という姿勢では、学生側はなんのために座談会に参加したのかわからない、という結果を招きます。
以下のようなポイントをしっかりと押さえて、実りある座談会にしましょう。
テーマを明確にする
座談会を通じて参加学生に何を伝えたいのかを明確にし、テーマを設定します。現場社員が参加したフリートークというだけでは単なる雑談に終わり、自社の魅力が学生に届かない場合があるので、学生にとって有意義で魅力的なテーマを設定しておくことが大切です。
テーマの設定には、
- 各部署の仕事内容を知ってもらう
- 会社および仕事の魅力ややりがいを感じてもらう
- 配属後の仕事や職場のイメージを持ってもらう
- 会社の制度や取り組みを知ってもらう
などの切り口があり、これらを組み合わせて実施することが一般的です。
参加する社員を厳選する
テーマに応じて参加する社員の社歴や立場、部署は変わってきますが、どのようなテーマであっても、学生が「こんな人がいる会社なら入りたい」と思える社員に参加を要請します。
また、参加する社員には座談会のテーマとそれに沿って発信したい情報を事前にしっかりと伝え、会社側の共通認識を固めておく必要があります。
参加する社員の資質と言動によって座談会の成否が分かれると言ってもいいほど重要な役割ですので、経営陣や社員の上長とも緊密に連携を取って全社的な取り組みとすることも大切です。
最近では、候補となる社員了解のもとに適性検査を行い、応募者のプロファイルに相応しい社員を人選して座談会に参加させるという企業もあるほどです。
座談会参加者はテーマによってさまざまな組み合わせにする
若手社員だけ、特定部署の中堅社員だけ、若手社員と中堅社員、特定大学のOB・OG社員、女性社員だけ、上司と部下など、参加者の組み合わせはさまざまにありますので、テーマに応じてどういう組み合わせにするかが工夫のしどころです。
例えば、「配属後の仕事イメージを伝える」という内容の場合、どうしても若手社員からの情報だけでは乏しく、仕事に精通した中堅以上の社員からでないと深い話は聞き出せないものです。ただ、近い未来の仕事をイメージしてもらうには、若手社員のほうがリアル感がありますので、中堅以上の社員と若手社員の組み合わせで考えるとよいでしょう。
一方、「給与への満足度」や「休日・休暇のとりやすさ」などを本音で語ることをテーマにする場合は、やはり若手社員とフランクに話せたほうが場は活性化します。
他のイベントと同時に開催する
時期という意味では、いつがよいというものはありませんが、インターンシップ、会社説明会、選考初期の集団面接、内定者フォロー面談など、さまざまなイベントの開催時に行うとよいでしょう。各イベントがリアルの場合は特に、開催時に行うことで一連の流れで参加しやすいというメリットがあります。ただし、いつでもどこからでも参加できるオンラインでは、他のイベントとの関連にこだわることはありません。
質問させることで学生の本音を引き出す
説明会よりも社員座談会のほうが学生は質問をしやすい傾向にあります。このため座談会は、説明会や選考面接時に時間の関係で聞きそびれたことを質問してもらい、より理解を深める、志望度を高める場として役立ちます。
企業視点に立つと、学生の質問内容によって学生が自社をどう見ているのかがよく分かる機会にもなります。企業から学生という一方通行ではなく、学生から企業へ発信できる場にすることが大切です。
事前に学生の質問例を確認しておく
座談会に参加する社員には、あらかじめ学生がしやすい質問例を周知しておくと安心です。当日までに質問例をメールなどで知らせ、目を通しておいてもらいましょう。
普段は採用に関わらない現場社員にとって、座談会への参加は緊張を伴うイベントです。質問に対して心構えができれば緊張感が緩和され、学生からの質問にもスムーズに回答できるようになります。
座談会の流れが滞らず、よい雰囲気で進めることができれば、学生もリラックスして積極的に参加できます。結果として、企業への好印象につながることも期待できます。
座談会における学生の質問例

仕事や社風、求める人物像などに関する学生からのよくある質問例を、テーマ別に紹介します。自社で座談会を開催する際の参考にしてください。
仕事に関する質問
採用サイトや企業情報ではわからないリアルな情報を聞かれる傾向があります。また、よいことも悪いことも含めて理解したい、と考える学生が多いです。
- 日々の仕事のやりがいは何ですか?
- 業務を進めるうえで、大変なこと、つらいことは何ですか?
- 入社してからわかった御社の強みと弱みを教えてください。
社風に関する質問
社内の人間関係や雰囲気は、特に質問が多いテーマの一つです。学生は、自分に合っているかどうか、働きやすいかどうか知りたいと思っています。
- 社内の雰囲気をどのように感じていますか?
- 社員間の交流は活発ですか?
- 上司や先輩社員はどのような人ですか?
人物・パーソナリティに関する質問
選考対策として聞かれることが多い質問です。学生は、得られた回答をエントリーシートや面接でのアピールに活かしたいと考えています。
- 一緒に働くならどのような人材が欲しいですか?
- 入社後に必要となる資格やスキルはありますか?
- 活躍している社員の特徴を教えてください。
座談会を企画するうえでの注意点
座談会は会社の魅力を伝える格好の場ですが、あまりに力を入れすぎて情報過剰となってしまったり、フランクな雰囲気から不用意な発言をしてしまうなど落とし穴もあるので注意が必要です。以下の点には特に注意しましょう。
学生の意向度を下げないように
マッチングするための判断軸としての座談会なので、合わないと判断する学生もいるでしょう。しかし、フランクな雰囲気だからこそ企業側の軽率な発言や態度で意向度を下げないように注意しましょう。
話しやすい環境づくりを
テーマと参加する社員を厳選して開催しても、それだけでは活発で話しやすい雰囲気の座談会になるという保証はありません。特に学生の側は現場社員と話すのは緊張するものです。場が活性化するように、会が始まる前からさまざまな工夫と準備を整えておくことが必要です。
例えば、参加する学生に会社側参加者のプロファイルシートを事前に配布しておいて、それぞれの参加者に対する質問を考えておいてもらえば、その場の思いつきで質疑応答するよりはるかに効果的です。
さらに質問票をあらかじめ回収する形にすれば、質問に対する回答を準備しておくこともできます。
また、社員の側にも配慮が必要です。例えば先輩社員の話題が尽きないように、「入社を決めた理由」などよくある話題だけでなく、「仕事でつまずいた時にどう乗り越えたか」など、できるだけ具体的に職場の雰囲気が伝えられるようなトピックをまとめてもらい、その中から話題を提供するようにすることも話しやすい環境づくりに有効です。
まとめ

採用活動において双方向性を活かせる座談会の重要性に注目が集まっています。人事のみで完結した採用活動で生じがちなミスマッチを防止する効果が期待できるからです。
座談会を成功させるためには、現場社員や経営陣とも連携を密にして全社的に取り組む、十分な準備と明確なテーマ設定を行う、などのポイントを押さえることが大切です。
また、最近普及しているオンライン座談会なら、いつでもどこからでも参加できるため、他のイベントとの関連にこだわることなく開催することが可能です。
座談会は直接的に選考には関わらない一方で、応募者に会社の魅力を知ってもらうための重要な接点でもあります。
特に「応募者が現場の空気感を知り、入社後のイメージを掴みやすくなる」というメリットは座談会ならではのものです。ミスマッチを防ぐための一策として、まずは座談会で「会社の空気を伝える」ことを始めてみてはいかがでしょうか。
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