T型人材とは?I型人材やπ型人材との違い、メリット、育成するポイントを紹介

1つの分野において豊富な知識と優れたスキル、経験を持ち合わせながら、他ジャンル(経営センスやビジネスモデルなど)においても幅広い知見がある「T型人材」。しかし人事・採用担当者としては、他の人材タイプとの違いや確保するメリットが分からなければ、T型人材は自社に必要なのか判断に迷うことも多いかもしれません。

そこで本記事では、T型人材の特徴や育成・確保するメリットなどについて詳しく解説します。また、T型人材を育成するためのポイントもご紹介しますので、人事・採用担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

T型人材とは?

T型人材とは?

T型人材とは、特定の分野を究めながら、その他のジャンルにおいても幅広い知見がある人材の呼称です。「なぜT型と呼ばれるのか」「注目される理由は何か」といった点について詳しくご説明します。

T型人材の意味

専門的な知識・スキルを併せ持ち、専門外においても幅広いジャンルの知見がある人材を意味する「T型人材」。「T」という字の縦線を「専門性の深さ」、横線を「視野の広さ」に見立てたものです。またT型人材は、1つの分野において専門性を究めた「I型人材」と、幅広い知識に精通する「一型人材」を掛け合わせたハイブリッド型ともいわれています。

T型人材が注目される理由

近年、さまざまな人材タイプのなかでもT型人材が特に注目されている理由を見ておきましょう。

T型人材は、専門分野において優れた知識や経験を持つ「スペシャリスト」と、幅広い知識で多角的な視点を持つ「ゼネラリスト」の2つの要素を併せ持っています。

ITが急速に発展し、移り変わりの激しい現代において、マーケットでの競争は以前よりも激化しており、各企業は競争優位性を高めるため、専門知識と別分野の知見を融合してイノベーションを起こせる人材を求めているのです。

専門性の深さと視野の広さを兼ね備えたT型人材の存在価値が高まるのは必然でしょう。

T型人材とその他の人材タイプとの違い

一般的に用いられる人材タイプの分類には、T型の他にも、さまざまな種類があります。ここでは、以下5つの人材タイプとT型人材との違いを押さえておきましょう。

  • I型人材
  • π型人材(パイ型)
  • H型人材
  • △型人材(トライアングル型)
  • J型人材

I型人材との違い

I型人材とは、専門性に特化したスペシャリスト的な人材です。技術革新が急速に進んだ高度経済成長期以降、日本企業が求め続けてきた人材タイプの1つであり、主に技術職に多く見られます。

T型人材にも「I型人材」の要素が含まれていますが、同時に、幅広いジャンルの知見を持ち合わせているかどうかが、I型人材とT型人材の大きな違いです。

π型人材(パイ型)との違い

π型人材とは、2つ以上の専門分野を究め、かつ、さまざまなジャンルの知識を併せ持つ希少性の高い人材です。究めている専門領域が1つであればT型人材、2つ以上であればπ型人材となります。

複数の専門分野に関する知識やスキル、そして幅広い知見を持つπ型人材は、独創的な発想を生み出せる人材としてT型人材よりも重宝されやすい傾向にあります。

H型人材との違い

H型人材とは、自らが特定の分野を究めているだけでなく、別分野の専門家と横のつながりを築ける人材です。Hの横線には、専門性に特化したスペシャリスト(I型)同士の架け橋になれるという意味が込められています。T型人材には、この架け橋の要素は含まれていません。

多様性が求められやすい現代において、他社との境界線を越えてつながりが持てるH型人材もまた、必要とされる人材タイプの1つです。

△型人材(トライアングル型)との違い

△型人材とは、3つの分野を究めた人材で、「トリプルメジャー」と呼ばれることもあります。究めた専門分野はT型人材よりも多いですが、幅広いジャンルの知見があるかは問われません。それでも、複数の専門領域に通じている△型人材の需要は高めです。

J型人材との違い

J型人材とは、高い専門性を持ちながら、さまざまな分野のスペシャリストと交流できる人材です。その分野に特化した専門家や第一人者とコンタクトが取れるので、専門外の分野においても効率よく学べます。T型人材はすでにさまざまな分野に広く精通している状態ですが、J型人材は幅広いジャンルについて学んでいる状態にあります。

T型人材を育成・確保するメリット

T型人材を育成・確保するメリット

企業がT型人材を育成・確保するメリットは、主に以下の2つです。

  • 独自性のあるアイデアが創出される
  • さまざまな分野との協業が可能になる

T型人材の必要性を知りたい人事・採用担当者の方は、ぜひチェックしてみてください。

独自性のあるアイデアが創出される

専門的知識・スキルと幅広い知見を持つT型人材は、多角的な視点からさまざまなアイデアを生み出します。

従来は、特定の分野を究めたI型人材が人気でしたが、I型人材はともすれば固定観念にとらわれやすく、縦にしか発想を展開できないという見方もありました。一方で、特化した専門的知識・スキルに加えて「幅広いジャンルの知見」という発想の広がりがあるT型人材からは、独自性のあるアイディアが生まれやすいとされているのです。

特に新しいプロジェクトを立ち上げる時は、T型人材が活躍してくれることでしょう。

さまざまな分野との協業が可能になる

専門知識だけでなく幅広い視野を持つT型人材は、さまざまな業種・業界の専門家と共通言語で会話できるので、お互いにストレスなくスムーズなやり取りが可能になります。

これにより幅広い分野や業種とのコラボレーションも実現しやすくなるため、ビジネスを拡張したい企業にとってT型人材は欠かせない人材となるでしょう。

T型人材に必要なスキル

T型人材に必要なスキル

T型人材になるためには、次の4つのスキルが必要です。

  • 応用力
  • 情報収集力
  • 実行力
  • 提案力

こういったスキルを備えた、T型人材と呼べる社員は自社にいるのかチェックしてみましょう。

応用力

専門分野と異なる分野を結び付けて新たな価値を生み出す応用力は、T型人材ならではのスキルの1つです。自らの知識やスキルを軸に、さまざまな視点から異なる分野を組み合わせ、創造性や独自性のあるアイデアを生み出します。

応用力がなければ、いくら専門的な知識や幅広い知見があっても上手く発揮できず、持て余してしまうでしょう。「自分が究めた専門性に、どのジャンルの知識を組み合わせると新たな方策を導き出せるのか」までを考える応用力が必要です。

情報収集力

複数のジャンルにおいて幅広い知識を持っていても、そのままでは陳腐化してしまうでしょう。情報は常にあふれており、すでに知見のあるジャンルでも新しい情報が入ればその都度更新しなければなりません。情報収集力が高い人ほど、新鮮な情報をより多く取得できます。

加えて、現状に満足せず自主的に情報収集しようとする「学習意欲」や「知的好奇心」もまたT型人材には必要となる素質です。

実行力

T型人材には、成し遂げたいことを実行に移す行動力も必要です。新たな企画やビジネスを創出できたとしても、実行力がなければ、せっかくの方策は表に出ず埋もれてしまうでしょう。しっかり提案できるよう自律的に行動したいものです。

掲げた目標を達成するためには「いつ」「どこで」「どのような行動をとるのか」を具体化し、その通りに実行することが大切です。

提案力

問題を自分のことと受け止め、解決方法を考える力もまた、T型人材にとって欠かせないスキルです。

移り変わりが早く複雑性や不確実性を兼ね備えた今の時代は、先を予測しにくい社会となっています。「先のことが分からないなら、今提案してもボツになるリスクは高いだろう」と諦めるのではなく、先行きが不透明であっても自分なりに導き出した答えを提案できる力が必要です。

T型人材を育成するポイント

T型人材を育成するポイント

T型人材の育成を目的に、社内研修を実施する場合は以下5つのポイントを押さえておきましょう。

  • 専門的な研修を実施する
  • ジョブローテーションを取り入れる
  • 他部署との連携を図る
  • 人材の多様性を確保する
  • 働き方の柔軟性を高める

専門的な研修を実施する

T型人材になるためには、まずは1つの専門分野を究めたスペシャリストでなければなりません。そのためには、1つの業務に深く携われるようにしたり、専門性の高い研修を取り入れたりする工夫が必要です。特定の専門領域はT型人材にとって軸とされる部分です。しっかり基盤を作るためにも、効果的な育成計画を立てて実施できるかが鍵となります。

ジョブローテーションを取り入れる

ジョブローテーションとは、複数の能力を開発することを目的に行う人材育成手法の1つです。社員の職場や職務を定期的に変更し、さまざまな業務に携わるようにします。

1つの部署で長期的に働き続ければ、その部署のスペシャリストとして活躍できますが、他の分野への視野は一向に広がりません。T型人材においては多角的な視点も求められるので、ジョブローテーションを通じて視野を広げるのも重要です。

他部署との連携を図る

他部署との連携によって仕事の視野を広げるのも、T型人材の育成において重要です。研修や会議などに参加したりディスカッションしたりすると、さまざまな刺激を受けられ、多角的な視点を持たせられます。また、経営者目線の視点を持たせるのを目的に、管理職・上層部クラスの会議に参加させてみるのもよいでしょう。

人材の多様性を確保する

研修では同世代の社員ばかり集めるよりも、多様な人材を集めたほうが、柔軟な思考を促進できます。

例えば、子育て中の女性や高齢者、外国人といったように、性別や年代、人種などの異なる多様な人材のなかでは社員の柔軟性が養われ、また互いに刺激を受けて感性が育まれるので、さまざまな観点から方策を打ち出すというT型人材に必要な能力が身につくのです。さらにテレワークが導入されていれば、ネットワークを通じてコミュニケーションを取れるので、多様性をより高められるでしょう。

働き方の柔軟性を高める

働き方の柔軟性を高めることも、思考の幅を広げるうえで役立ちます。

例えば副業は、社内では未経験の業務に携われます。副業で培った知識・スキルは、新たなアイデアを生み出す際に役立つでしょう。もちろん、余暇での趣味や娯楽も同様です。企業としては社員が知見をさらに増やせるように、働き方の柔軟性を高める取り組みを進めることも大切です。

まとめ

T型人材はますます価値の高まる存在

T型人材について、注目される理由や他の人材タイプとの違い、育成・確保するメリットなどをご紹介しました。

ITの発展やグローバル化を背景に、マーケットでの競争が激化する現代において、専門性の深さと視野の広さを持ち合わせるT型人材は、多くの企業にとってぜひ採用したい人材です。また自社でT型人材を育成する際は、ポイントを踏まえて効果的な育成計画を実施できるよう工夫しましょう。

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本レポートは新卒採用の市場動向について、最新の調査結果をもとに考察しております。また、各章ごとに新卒採用に関する有識者の見解を交え、採用動向や変化の背景をわかりやすく解説しています。23年卒、24年卒採用に向けた情報収集にお役立て頂けますと幸いです。
人事ZINE 編集部

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