新卒採用の配属先の決め方は?主な判断基準や失敗しないためのポイント
新卒採用において入社予定者が決まった後に検討すべき事項のうち重要なものの1つが、「採用する人材をどこの部署に配属するか」です。配属先の決め方が分からず、どうすればよいか迷っている採用・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、配属先の決め方が重要な理由や判断基準、失敗しないためのポイントなどを解説します。配属決定後のフォロー方法など、具体的な施策もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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新卒採用の配属の決め方が重要な理由

新卒採用の配属の決め方が重要な理由は、以下の3点です。
- 早期離職を防止するため
- 入社直後のパフォーマンスを高めるため
- 長期的に活躍する人材を確保するため
それぞれの理由を詳しく解説します。
早期離職を防止するため
新卒採用の配属の決め方が重要な理由は、早期離職を防止するためです。人材によって仕事の向き不向きがあるため、「どのように配属するか」で離職率が異なる場合があります。例えば人材の適性・希望と合っていない部門へ配属すると、「自分が思っていた仕事のイメージと違う」と感じ、早期離職につながるかもしれません。

「どうなる?24卒・25卒 新卒採用 市場動向調査レポート(秋冬版)」によれば、「入社後、配属先が希望以外の部署・職種となった場合、転職を考えますか?」に対して、「すぐ考える」「2〜3年後に考える」と回答した人は合計で47.6%です。「約半数の人が、配属をきっかけに転職を考えるようになる」という結果になっています。
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入社直後のパフォーマンスを高めるため
入社直後のパフォーマンスに関わるのも、新卒採用の配属の決め方が重要な理由です。希望通りの部署に配属されれば、当然モチベーションは高くなり、入社直後のパフォーマンスも安定する期待が持てるでしょう。
一方で希望以外の部署に配属されると、モチベーションの継続が難しい場合があります。例えば本人が営業職を志望していたのにもかかわらず、別の部署に配属されれば、「なぜこの仕事をしなければならないのか」と感じるのも無理はありません。
希望する部署に配属されないというのは、単にモチベーションが下がるだけでなく、「自分のスキルや強みを存分に発揮しにくい」という面もあります。個々のパフォーマンスは組織全体の生産性にもつながるため、配属先が希望通りになるかどうかは、新入社員と企業の双方にとって重要です。
長期的に活躍する人材を確保するため
新卒採用の配属の決め方が重要なのは、長期的に活躍する人材を確保するためでもあります。適切な配属によって、採用した人材がエンゲージメントの高い状態で、順調にキャリアを積み上げる可能性があるからです。
新卒採用の配属先は多様で、配属先によって形成しやすいキャリアの方向性が決まります。例えば営業部長など、営業関連の上位職へのキャリアを形成するのであれば、当然営業関連の部署に配属されるのが最適でしょう。
営業関連の上位職を目指しているのにもかかわらず、管理関係の部署などに配属された場合は、キャリア形成の難易度が途端に跳ね上がります。適切な配属によってキャリア形成を促し、将来的に自社の主力となるように育成するのが重要です。
新卒採用の配属の決め方・判断基準

新卒採用の配属の決め方・判断基準は、以下の通りです。
- 本人の希望する条件・職種・目標
- 専攻や過去の経験・スキル
- 適性検査の結果
- 配属先の上司・他のメンバーとの相性
- 採用計画の内容
それぞれの決め方・判断基準を詳しく解説します。
本人の希望する条件・職種・目標
新卒採用の配属の決め方・判断基準として欠かせないのは、本人の希望する条件・職種・目標です。採用面接や内定後の面談など、配属前に話し合いの時間を設けて、どのような職種や部署を望んでいるのか詳細にヒアリングします。
総合職のように、全国に転勤する可能性がある職種では、勤務地のヒアリングが欠かせません。「東京がよいのか」「首都圏までならよいのか」「全国どこでもよいのか」などを聞きます。
本人のキャリア目標を聞いておくのも重要です。「最終的にどのようなキャリアを目指しているのか」といった大まかな質問や、「10年後のキャリアを教えてください」など、さまざまな質問が考えられます。
専攻や過去の経験・スキル
専攻や学生時代の経験、保有資格も、新卒採用の配属の決め方・判断基準として重要です。例えば工学部や情報科学部などの専攻であれば、「技術開発や製品設計、ITシステム開発などの部署に適しているかもしれない」と想定できます。
学生時代の経験とは、アルバイトや部活、インターンシップなどです。例えば接客業や営業のアルバイト経験があれば、コミュニケーションスキルや顧客対応スキルに期待ができ、「営業やカスタマーサポートの部署に配属できるかもしれない」と想定できます。
保有資格は、例えば「基本情報技術者試験」といったIT関連の資格や、簿記など会計関連の資格などです。専門性の高い資格を持っていれば、その分野に関連する部署に配属するかどうかを検討するのもよいでしょう。
適性検査の結果
新卒採用の配属の決め方・判断基準として、「適性検査」は従来からよく使われている方法です。適性検査では、人材の性格特性や、対人関係の姿勢などを評価できます。チームワークが重要な職種や、独立して作業を進める必要がある職種など、性格が職務遂行に影響するケースで参考にするのがおすすめです。
適性検査の具体例は、主に以下のようなものがあります。
- SPI3
- Compass
- CUBIC
- GAB
- CAB
- GROW360
- DBIT
- DPI
- eF-1G
有名なものだけでも数十種類はあり、それぞれ検査項目が異なるため、導入する際は自社に合うものを選定する必要があります。
配属先の上司・他のメンバーとの相性
新卒採用の配属では、配属先の上司や、他のメンバーとの相性を考えるのも重要です。上司・部下の相性が悪ければ、パフォーマンスが低下し、組織全体にも悪影響を及ぼします。指示命令型やサポート型といった上司の管理スタイルを理解し、本人の性格や働き方とマッチするかを評価しましょう。
企業規模が大きい場合は、部署によってカラーが大きく異なります。社風やビジョンに合っていたとしても、本人が特定の部署の雰囲気に馴染めるかどうかは未知数です。こうした部署やチームメンバーと、本人の相性を評価する作業も欠かせません。
配属先の候補がある程度絞られている場合は、現場へのヒアリングを行い、本人がマッチするかどうかを考えましょう。
採用計画の内容
新卒採用の配属の決め方・判断基準として、採用計画の内容も考慮すべきです。採用計画を立てる場合、中長期的な事業戦略や年度ごとの事業計画をもとに、「どの部署が人材を必要としているか」「どのようなスキルを持った人材を求めているか」を考えます。
採用計画では採用基準も明確化するため、チームワークやリーダーシップ、問題解決力などスキルに関する条件も盛り込まれるのが一般的です。つまり、ここまで紹介してきた他の基準とは異なり、最初から配属先が決まっています。
そのため、採用してから「本人をどの部署に配属するのか」を考えるのではなく、あらかじめ設定した配属先にマッチするような人材を選んで採用しなければなりません。
新卒採用の配属決定で失敗しないためのポイント

新卒採用の配属決定で失敗しないためのポイントとして、以下の3つを意識するとよいでしょう。
- スキル・適性以外の基準も設ける
- 配属の理由を説明する
- フォローアップを実施する
それぞれのポイントを詳しく解説します。
スキル・適性以外の基準も設ける
新卒採用の配属決定で失敗しないためのポイントは、スキル・適性以外の基準も設けることです。
確かにスキルや適性は、本人が組織にマッチし、滞りなく業務を進めていくために不可欠な要素です。しかし新卒採用は、即戦力を求める中途採用とは異なり、ポテンシャルも評価して選考します。
現時点でスキルが足りていなかったとしても、配属後に身につけられればそれほど問題はありません。まずは「本人が熱意を持てる仕事かどうか」など、本人の希望を重視するのを意識しましょう。
本人が高いモチベーションを持っていれば、スキルが原因で業務でつまずくような場面があっても、熱量や努力で乗り越えられる可能性があります。
配属の理由を説明する
新卒採用の配属決定で失敗しないためには、配属の理由を説明するのも重要です。特に説明が必要になるのが、「希望する職種ではない場合」「本人の希望とは異なる部署に配属する場合」です。
もちろん本人の意思に反する配属に関して、完全に納得してもらうのは難しいでしょう。しかし何も報告せずに配属を決めてしまうと、新入社員に「自分の希望を何も聞いてくれない」という印象を与え、退職を考えるきっかけにつながります。
「こちらの部署の方があなたのスキルを活かせると判断した」など、配属理由を真摯に説明すれば、納得してもらえる部分もあるかもしれません。
フォローアップを実施する
フォローアップを実施するのも、新卒採用の配属決定で失敗しないためのポイントです。例えば定期的に面談を行い、配属後の状況を話し合う機会を設けると、新入社員の状態を理解できます。本人も、自分が考えていることを話しやすく、問題の解決や気分のリフレッシュに役立てられるでしょう。
配属先にスムーズに定着するためには、研修も欠かせません。全体研修のような座学もよいですが、特に重要なのが、配属先でのOJT研修などを通して「実際に現場で働く感覚を身につけてもらうこと」です。具体的な施策については、次の項目で詳しく解説します。
新卒採用の配属決定後のフォロー方法

新卒採用の配属決定後のフォロー方法としては、具体的に以下のような施策があります。
- 1on1ミーティングを実施する
- OJT研修を実施する
- メンター制度を導入する
それぞれの施策の定義とメリットを解説します。
1on1ミーティングを実施する
新卒採用の配属決定後のフォロー方法として適しているのは、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話をするものです。週に1回〜月に1回のペースで行うのが一般的で、主に「部下がどのような状況に置かれているか」「部下が普段何を考えて自分の仕事と向き合っているか」などを話し合います。
従来のミーティングや面談は、どちらかといえば上司(評価者)のためのもので、マネジメントの一環で行われていました。しかし1on1ミーティングは、部下の育成に重点を置いており、これこそが最大の特徴といえます。
1on1ミーティングは、部下が小さな困りごとでも気軽に相談できるため、仕事のモチベーションを保ちやすくなるのがメリットです。上司とのコミュニケーションも活発になり、組織への定着につながりやすくなります。
OJT研修を実施する
OJT研修も、新卒採用の配属決定後のフォロー方法としておすすめです。
OJT研修とは、職場や部署で必要とされるスキルや知識を、実際の業務を通して学ぶ方法です。新入社員が職場で求められるスキルや知識を習得し、スムーズに戦力として活躍できるようにするために用いられます。
OJT研修のメリットは、部署全体で本人をサポートするため、スムーズに組織に馴染める点です。特に新入社員は、人間関係をきっかけに退職を検討するケースも多いため、研修を通してさまざまな人とコミュニケーションを交わせるかどうかが重要になります。
部署全体で関わることから、本人が「自分は期待されている」という感覚を持ちやすくなり、モチベーションやエンゲージメントの向上につながるのも大きなメリットです。以上のような理由で、組織への定着につながります。
メンター制度を導入する
新卒採用の配属決定後、メンター制度を導入するのもよいでしょう。メンター制度とは、経験豊富な先輩社員(メンター)が新入社員(メンティー)に対して、仕事に関する相談を受けたりアドバイスをしたりするための制度です。
メンター制度のメリットは、新入社員にとって相談しやすい関係が整っている点です。年が離れた上司に話しにくいような話題があっても、年齢が近い先輩社員であれば、気にせず話せることもあるかもしれません。
新入社員に1人のメンターをつけるパターンもよく見られますが、複数のメンターがいれば、本人の負担も軽くなります。他部署の先輩をメンターとして設置すれば、部署の垣根を超えたコミュニケーションもでき、より組織へ馴染みやすくなるでしょう。
まとめ

新卒採用の配属先の決定は、早期離職の防止やパフォーマンス向上、長期的に活躍する人材確保に大きく関わります。判断基準はいくつかあるため、優先順位を見極めつつ、配属先を決めていくとよいでしょう。
新入社員がスムーズに組織に馴染むためには、配属決定後のフォローも必要です。1on1ミーティングやOJT研修、メンター制度などの概要を理解しておくと、フォロー施策を考える際に役立つかもしれません。
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