【新卒】採用計画の立て方を完全解説!環境変化を踏まえた手順とポイント

企業の経営目標を実現するには、事業計画と採用の方向性を合わせた、戦略的な採用計画が重要です。特に新卒採用は、「組織の長期的な成長」という面で、会社に大きな影響を与える要素となります。
今回の記事では、今より成果を出したい採用担当者に向けて、新卒の採用計画の立案準備・作成方法や成功のために必要なポイントを紹介します。
また、採用計画に欠かせない採用活動のKPI設定に活用できるテンプレート(Excel)をご用意しました。採用目標人数や、活動進捗の把握にお役立ていただけます。ぜひダウンロードしてご活用ください。

新卒採用計画の概要

新卒採用計画とは、新卒を採用するための核となる存在です。
以下のような流れで行います。
- 求める人物像の作成
- 採用人数や予算の決定
- 年間の採用計画の作成
まずは採用計画同様に、経営に対して現状の課題を明確にし、会社としてどんな人材を求めるかという人材像を作りましょう。この人材像が経営方針や企業目標とズレてしまうと、どれほど力を尽くしても良い採用活動にはなりません。まずは“どのような人材像を採用するか”決めて、その後に採用人数と予算を決めていきましょう。
その上で年間の採用計画を作り、実行に移していきましょう。
新卒採用計画の必要性
時代の変化に対応して企業が生き残るためにも、さらに企業にとって大切な理念を語り継いでいくために新卒採用は必要です。
採用には様々な目的や考え方があります。
例えば今困っている場合や、今年や来年だけ困っていて人手不足な場合は、その困っていることを解消できる人を中途採用することが一番効果的ですよね。
ただ時代の変化にともない、今まではそれで良かったことでも、いつ通用しなくなるか分かりません。この先何十年も企業が生きていくために若い人材且つ、新しい価値観や考え方をもった人材が必要です。さらに会社の社風や理念は必須になるため、固定概念のない新卒を採用することは企業にとって重要なミッションになります。
採用に様々な目的があるように、当然その目的に合わせた採用計画が必要になります。新卒を採用するのであれば、新卒採用計画を立てましょう。
新卒採用計画の立て方(考え方)
併せて、まずは過去の採用活動を振り返って下記3点を見直してみましょう。
- 採用基準に基づいて入社した社員(学生)が、活躍×定着できているか?
- 既存の採用基準でミスマッチが発生していないか?
- 採用基準に基づいて採用したい学生の目標数が達成できているか?
その上で、新卒採用を成功させるために、採用計画は一つ一つのことを数値化して立案する必要があります。
会社にとって人材は売上同様にかかせない存在です。
営業が売上目標を持って営業活動をするように、採用担当者は採用人数や日々の行動に数字で目標を作って活動していきましょう。
数値化すると主に二つの考え方があります。それぞれの考え方について整理したので、参考にしてみてください。
【考え方①】採用決定人数を増やすため、母集団を増やす。
次年度の採用計画を立てるとき、内定承諾人数を1人→10人にする目標を立てたとします。

目標を達成する計画1つ目に、母集団を増やすことが有効でしょう。
『通過率』を定数として10人内定承諾するために、
①エントリー人数を単純10倍すれば、結果が得られると判断したとします。
この場合、現状のエントリー数を10倍し1000人の母集団形成を行います。母集団形成数を担保できた場合に、10人の内定承諾を獲得できる試算です。
具体的な母集団を増やす施策としては、以下が挙げられます。
- マス広告を増やす
- web媒体での露出機会を増やす
- 自社サイトに採用ページを設置する
- SNS活用する
- ナビ媒体への露出を増やす
- イベント積極参加
- 合同企業説明会
- 新手法の積極活用
- OB・OGの紹介
- オンラインで合同企業説明会への参加
- キャリアセンターに求人票の設置 etc…
母集団形成のみを強化する場合、当然費用とリソースが必要になってきます。
【考え方②】採用決定人数を増やすため、通過率を上げる。
計画2つめに、通過率を上げることが挙げられます。
考え方①と同様に、次年度の採用計画を立てるときに、内定承諾人数を1人→10人にする目標を設定したとします。目標を達成する計画2つめに、通過率を上げることが有効でしょう。

母集団形成時点のエントリーを100人の定数として、各採用フローの通過率を上げることにより、10人の内定承諾を得られる試算になります。
具体的な通過率を上げる施策としては、以下が挙げられます。
【エントリー前の施策】
- 求める人物像の作成(現場担当者、関係者へのヒアリング)
- 作成した人物像に向けた募集情報の広報
- 作成した人物像に魅力的に映る説明会コンテンツの準備
【①エントリー ~ ②説明会参加】
- エントリーしてくれた学生への説明会ドタキャン防止のリマインド
- とにかく存在を忘れさせない、追いかけ続ける姿勢
【②説明会参加 ~ ③選考】
- 学生が柔軟に選択できるように複数の日程・曜日・時間を用意
- ワークの提出など、事前に参加ハードルを上げすぎない
- 当日選考のドタキャンを防ぐためのリマインド
【③選考 ~ ④内定出し】
- 採用基準をしっかり決める
- 学生の意向を高める。選考ごとにフォローアップ
【④内定出し ~ ⑤内定承諾】
- 採用したい学生確定なのでフォローアップの強化
- 内定承諾を迷う学生がいれば、理由を聞いたり親身に相談に乗る。オワハラに注意
【⑤内定承諾以降】
- 相互理解を進めるための面談の強化
- 社員との懇親会を設定
- 会社の広報情報を共有
- 社内外のイベント・研修参加
上記は、あくまでサンプルですが、数字を元に仮説を立て検証していくことが重要です。
採用計画を立案することに加えて、経営目標を作成する経営陣への報告のためにも、採用計画を数字で説明しましょう。
上記の流れで選考通過して目標数を達成しても入社後ミスマッチが起きてしまうことも考えられます。
そこで、エントリーする学生自体の質を高め、ミスマッチを防ぐためにもエントリー前に施策を打つことは効果的です。
自社の求める人物像を明確にし、的確にターゲットにささる広報活動やコンテンツの作成が重要になります。
説明会コンテンツの作成においては魅力だけを伝えるのではなく仕事内容や条件など、後々ギャップを感じないように伝えることも大切です。
採用計画の立案で必要な準備

採用計画の概要が理解できたら、次にその立案に必要な準備を確認しましょう。ここでは、重要ポイントを3つに分けて解説します。
採用の目的を明確化する
まずは採用の目的を明確化しましょう。目的から逆算する形で細かい部分を決めていくと、失敗するリスクを減らせます。
さらに目的が明確に定まっていると、関係者間で認識を統一しやすいといったメリットもあります。採用に関わるのは、人事担当者だけではありません。各部門の責任者やマネジメント層など、さまざまな人物が関わります。
組織の人間が同じ方向を向いて仕事をするためにも、採用目的の明確化は欠かせません。

過去の採用実績を参照する
過去の採用実績や結果を参照し、今回の採用計画に活用できる部分がないかを検討するのも重要です。例えば「エントリー数が目標に達していなかった」「自社に合った人材からの応募が少なかった」といった課題を洗い出しておきます。
過去の採用で発生した課題をもとに、新しい採用計画を考えます。例えばエントリー数が目標に達していなかった場合は、広報に力を入れるなど、課題に応じた戦略を練りましょう。
採用市場をリサーチする
採用市場をリサーチする作業も欠かせません。市場をリサーチする際は、まずマクロな視点で考えます。厚生労働省の求人倍率調査など、全体の市場がどうなっているかを確認し、そこから徐々にミクロな視点でリサーチを行っていきましょう。
自社の業界の動向や、競合他社(待遇など)の分析も必須です。例えば、同じ業界の企業よりも低い月収・年収を提示している場合、思ったようにエントリーが集まらない可能性があります。業界や他社の動向を見ながら、採用計画を考えましょう。
採用計画立案の具体的な手順/ステップ

新卒採用計画を立てるためには、すでに紹介した考え方に加えて以下の3つのポイントが重要です。
- 採用人数を決める(量)
- 人材要件定義を作成する(質)
- 学生へのアプローチ方法を決める
①採用人数を決める(量)
部署ごとで採用人数をヒアリングし、採用人数を決定しましょう。近年では、理系人材の需要が高まり、理系人材の採用が難しい環境になっています。
社内で新卒理系人材の採用をリストアップする場合、獲得するのが難しいことを考慮した上で、目標数を達成するために戦略を練る必要があります。
採用担当自ら積極的に社内を動き回り、必要な採用人数を把握し、適切な目標人数を決定しましょう。
②採用したい人物の明確化(質)
自社に必要なターゲットはどんな人物(学生)か明確にする必要があります。
採用人数を達成するだけの目標は昔の話。
重要な点は、採用人数がゴールではなく、自社に入社してから活躍し、定着できる人材を描くことです。そのために人材要件定義が必要になります。
人材要件定義では、採用したい人物像を言語化することからスタートします。
例えば自社で採用したい人物像の特徴を言語化した結果、チャレンジ精神、コミュニケーション能力、この2つの能力が高い学生を採用したいと考えたとします。
しかし、大多数の企業が思いつく『学生の理想像』はどこも同じになる傾向があるため、他社と競合すれば、困難な戦いになることが予想されます。
『みんなが採用したい学生の理想像』よりも『自社にとって最適な人材』の要件定義に絞ることがより良い採用につながると言えるでしょう。
例えば、
- コミュニケーション能力でも、聞き上手なのか、伝え方がうまいのか
- チャレンジ精神でも、難しい状況へも果敢に挑戦できるタイプなのか、新しいことに挑戦していくことが得意なタイプなのか
自社の環境や部署ごとにヒアリングしながらイメージとすり合わせすることが重要です。
自社にとって絶対に譲れない人材要件をピックして、整理していきましょう。
また、
- これまで入社した社員(学生)が、自社で活躍できているか
- 既存の採用基準でミスマッチが発生していないか
など過去の採用結果を元に、必要であれば人材要件を見直す必要も出てくるでしょう。
③学生へのアプローチ方法を決める
上記の2つのポイントを決めたら学生へのアプローチ方法を決定します。アプローチ方法として挙げられるのは、以下の2つです。
自社に合った方法でアプローチしましょう。
- 採用担当者が攻めの姿勢で積極的にアプローチする
- 企業と学生で少人数(できれば1対1)のコミュニケーションの機会を設ける
①採用担当者が攻めの姿勢で積極的にアプローチする
新卒採用計画を成功させるアプローチ方法の1つめとして採用担当者から積極的に学生にアプローチすることが重要です。
- 採用活動初期の母集団形成数の増加したい
- より自社が採用したい学生にアプローチしたい
その様に考えている企業は、積極的にアプローチしましょう。
例えば、過去の採用活動の母集団形成において、待ちを前提としたナビサイト活用だけでは効果がなかった場合、対策しない限り採用人数を担保することは難しいですよね。
待っているだけでは母集団形成が難しい場合、ダイレクトリクルーティングなどの採用担当自ら学生情報をリサーチし、声をかけれるような集客チャネルを設定しましょう。
採用担当者から学生に声をかければ、自社認知をしてもらい、よりマッチング濃度の高い状態で選考に進んでもらうチャンスを自ら作ることが可能です。
また、ダイレクトリクルーティングなど攻めの手法のメリットは、今まで手が届かなかった層の学生にも振り向いてもらえる点です。
OfferBox 2019年卒利用実績データによれば、学生が実際に就職した企業の業界と、もともと志望していた業界との一致度を調査をしたところ、『一致 23%』『不一致 77%』という結果になりました。
過半数の学生は、もともと志望していた業界以外で就職したことになり、就職感に対して後天的な変化が見られることがわかりました。
つまり、採用担当者のアプローチ次第で今まで手が届かなかった層の学生にも振り向いてもらえる可能性があります。
採用担当者が攻めの姿勢で採用活動をする事で、エントリー学生数の増加や、そもそも採用したい学生にのみアプローチをするため各フローの『通過率』が改善する事が期待できます。
②企業と学生で少人数(できれば1対1)の機会を設ける
新卒採用計画を成功させるアプローチ方法の2つ目は企業と学生が少人数(1対1)のコミュニケーション機会を設けることです。
集団での説明会やグループ面接を優先せず、できる限りまずは相互理解のための少人数(できれば1対1)の面談から始めましょう。
理由は、本当に採用したい学生に対して、情報や気持ちのすり合わせ不足による選考離脱や入社後のミスマッチを防ぐためです。
例えば、エントリーしてくれた学生に対して『数』として無下に扱うと、コミュニケーション不足になります。
選考通過の判断段階で企業はOKでも、学生に不安や迷いがある場合、しっかり学生の気持ちをくみ取らなければ、通過時点での選考離脱も考えられます。
対策として、面談や面接などで、「あなたの〇〇の経験の、〇〇な姿勢が、弊社の〇〇で活躍いただけるのではないかと思いました。」のような個別のフィードバックを伝えたりするなど、学生を個人として見る言動が必要です。
その結果、選考離脱や内定後の辞退抑止、入社後ミスマッチを防げるでしょう。
他にも、
- 企業の事をより理解したいと言う能動的な学生からのエントリー数の増加
- 各フローでの通過率の向上
などが期待できます。
採用活動はいかに自社が採用したい学生に会えるか、また相互理解を深めミスマッチを減らし各採用フローの通過率の向上や辞退率を改善するかが重要になってきています。
④予算・採用媒体を決める
次に予算と採用媒体を決めましょう。採用に関する予算として、大きなウェイトを占めるのが人件費です。また外部ツールやサービスを利用する場合は、そのサービス利用料がかかります。採用計画に応じて、最適な予算を決定しましょう。
採用媒体の選び方も重要です。特に注意しておきたいのが、「自社がターゲットとする人がいるかどうか」「ターゲットに対してアプローチしやすいかどうか」の2点です。コストも大切ですが、採用できる可能性が高いかどうかも考慮します。
⑤採用スケジュールを策定する
採用スケジュールの策定も欠かせません。採用活動は、比較的長期にわたって実施するケースがほとんどです。春夏秋冬で企業がとるべき行動も変わってくるため、なるべく具体的にスケジュールを決めておく必要があります。
ただしあまりにも細かく決めてしまうと、「スケジュールに縛られながら採用活動をする」という状態になってしまい、柔軟性が失われてしまいます。インターンシップや面接期間など、ある程度幅を持たせながら設定するとよいでしょう。
採用計画の立案・運用で成功するためのポイント

ここでは、採用計画の立案や運用で、特に重要とされるポイントを4つに分けて解説します。
中長期的な目線を意識する
まずは中長期的な目線を意識することです。「新規プロジェクトの人材が必要になった」「とにかく人手不足を補いたい」など、目先のニーズにとらわれてしまうと、組織全体の成長にはつながりません。
採用は、目的ではなく、あくまで「組織を成長させる」ための過程です。特に昨今では、少子高齢化の影響もあり、労働力を確保するのが難しくなっています。
総務省統計局の調査によれば、2021年の労働力人口は平均で6,860万人であり、2年連続の減少(昨年から8万人の減少)となっています。中小企業はもちろん、大手企業でも、思うように人材が集まらない時代が来るかもしれません。10年後や20年後の組織のあり方を考えつつ、採用計画を練っていくのが重要です。
計画通りに進行しているかの振り返りを行う
採用計画を立案・運用している段階で、定期的に振り返りの時間を設けるのも大切です。計画通りに行く場合もあれば、思うように結果が出ない可能性もあります。自社が想定した基準に達していない場合は、施策の見直しが必要です。
特に採用計画のどの部分が間違っているのか、どこに課題を抱えているのかを明確化しましょう。場合によっては、ターゲットの選定からやり直してみるなど、採用計画の根本から変更する方法もあります。
必要に応じて採用アウトソーシングを活用する
必要に応じて採用アウトソーシングを活用するのもおすすめです。昨今では、採用コンサルティングや採用代行などのサービスがあります。採用業務を効率化できると同時に、採用担当者の負担を軽減できるなど、さまざまなメリットが期待できるでしょう。
一方で、外部のサービスを利用する都合上、コストが大きくなる点に注意しましょう。「予算・採用媒体」を決定するタイミングで、利用できるサービスを検討するのがおすすめです。
社会情勢による採用市場の変化を考える
社会情勢による採用市場の変化を考えるのも重要になります。特に昨今、採用に大きな影響を及ぼしているのが新型コロナウイルス感染症です。新型コロナの影響を受けてからは、採用活動をオンラインで行う企業も出てきました。
オンライン採用のメリットとしては、「人員の配置・会議室の手配の手間を省ける」「臨機応変に面接時間を設定しやすい」「地方の人にもアプローチできる」などが挙げられます。一方で、コミュニケーション不足によるミスマッチや、情報発信が不十分になりやすい点には注意が必要です。
採用計画を立案・運用する際は、こうした採用市場の変化を考えましょう。例えば「自社の魅力や仕事の内容などを動画で発信する」など、オンラインならではの工夫が大切です。
市場や環境の変化を踏まえた新卒採用計画を作ろう

前半には新卒採用計画の必要性や考え方を、後半では市場や環境の変化に対応する方法を紹介しました。
新卒採用を成功させるためには以下のことがポイントになります。
- 人材の要件定義をすること
- 新卒採用計画を作ること
- 採用担当者から積極的に学生にアプローチをすること
- 採用担当者と学生の双方向のコミュニケーションをとること
- 環境の変化に合わせた採用活動を変化させること
前年度の採用結果を踏まえつつ新卒採用計画を立案してみてはいかがでしょうか。
また、採用活動のKPI設計にご活用いただけるExcelテンプレートをご用意しています。数値を入力するだけで簡単にチャネル別のKPIを算出することができます。こちらも併せてご活用いただければ幸いです。
