【企業向け】グループディスカッションのテーマ例・選び方と評価方法
新卒採用において、自社が求める人材を見極める手段としてグループディスカッションは定番の1つです。しかし、「どのようなテーマを選べば効果的なのか」「適切な評価方法は何か」とお悩みの採用担当の方も多いのではないでしょうか。効果的なグループディスカッションを実施するためには、テーマ選びから評価基準の設定まで、綿密な準備が必要です。
本記事では、グループディスカッションの基本的なポイントや主な目的、他の選考形式との違いを解説します。さらに、自由討論型、課題解決型、選択型のそれぞれの特徴と具体的なテーマ例や評価ポイントの設定方法についても詳しく説明します。
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目次
グループディスカッションの基本的なポイント
グループディスカッションとは、参加者を複数人のグループに分け、あるテーマについて一定の形式のもと議論をしてもらう取り組みです。協調性や発想力、コミュニケーションスキルなどを総合的に評価しやすく、新卒採用において広く取り入れられています。ここでは、グループディスカッションの主な目的、他の形式との違い、また形式の種類について解説します。
グループディスカッションの主な目的
グループディスカッションでは、参加者を複数のグループに分けてあるテーマについて決められた形式に沿って議論をしてもらいます。ディスカッションをもとに、コミュニケーションスキル、協調性、積極性などを含め、「自社が求める人材に近いかどうか」を多面的に評価できます。
また、グループディスカッションは複数のグループで同時に進行させられるので、多くの応募者を効率的に評価できることもメリットです。そのため大企業など、応募者が多い会社で用いられます。
他の形式との違い
新卒採用における、個人面接、集団面接、グループディスカッションの特徴は下記の通りです。
面接の種類 | 学生と評価者の人数 | 特徴 |
---|---|---|
個人面接 | 学生:1名 |
学生1名を面接するので、じっくりと会話ができる。また学生が他の学生を気にすることがないため、本音を聞き出しやすい。 |
集団面接 | 学生:3~5名程度が一般的 |
複数人を一度に面接するので、学生の比較ができる。また選考時間の短縮にもつながる。 |
グループディスカッション | 学生:参加者全体を3~5名程度のグループに分ける |
学生同士のやり取りから、協調性や積極性、リーダーシップなどを評価できる。また選考時間の短縮にもつながる。 |
グループディスカッションの種類
グループディスカッションにはさまざまな形式がありますが、ここでは主な3つの種類を紹介します。
- 自由討論型
- 課題解決型
- 選択型
自由討論型
自由討論型は多くの場面で使われている形式です。結論や主張方法も個々に任せることが多く、自由な意見が出やすい特徴があります。
この形式では、テーマに対して自由なアイデアや独自の意見を生む発想力、意見が飛び交うなかで他の意見を尊重し議論を深める協調性やコミュニケーションスキルを評価しやすいでしょう。
課題解決型
課題解決型は、具体的な問題や課題に対する解決策をグループで考える形式です。こちらもポピュラーな形式であり、学生の考える力が発揮されやすいと言えます。
この形式は、問題を体系的に分析し根拠のある解決策を導く論理的思考力、実現可能な施策を提案する問題解決能力、チームで協力し合いながら目標達成を目指すチームワークを評価するのに向いています。
選択型
選択型は複数の選択肢に優先順位をつけたり、2つの選択肢からどちらか良い方を選んだりする形式です。
この形式では、自分の意見を持ち最終的な結論につなげる意思決定力、限られている選択肢のなかで論理的に主張し他者の理解を得る説得力、異なる意見を調整し全体の結論をまとめる合意形成能力を評価しやすいでしょう。
グループディスカッションのテーマ例
新卒採用のグループディスカッションで学生を正確に評価するためには、適切なテーマ選びが不可欠です。ここでは、自由討論型、課題解決型、選択型ごとのテーマ例と、それぞれの評価ポイントについて詳しく解説します。
自由討論型のテーマ例
自由討論型のグループディスカッションでは、学生が自分の意見や考えを自由に述べられるテーマが設定されます。
【テーマ例】
- 理想の社会人とは?
- 社会人と学生の違いは?
- 10年後の〇〇業界はどうなっている?
- AI(人工知能)の発展はホワイトカラー人材にどのような影響をもたらすか?
- 持続可能な社会を実現するために〇〇業界でできる取り組みは?
- 日本は再生可能エネルギーを推進すべきか?その理由は?
自由討論型では、自身の考えを発信する表現力や、他者の意見を尊重しながら議論を深める姿勢を評価できます。上記の「理想の社会人とは?」というテーマでは、学生が自分の価値観や職業観を表現する力が試されます。「AIの発展はホワイトカラーにどのような影響をもたらすか?」というテーマでは、テクノロジーへの理解度や、時事問題を自分ごととして解釈し直す力を見極められるでしょう。
これらのテーマは、学生の発想力や論理的思考力、協調性を観察するのに最適です。特に、他者の意見に対する受容性や議論をリードする力、柔軟な思考力を見極められます。
テーマ設定のコツとしては、「身近なところから議論を進めやすいように自社の業界や職種に関連したテーマを選ぶ」「結論ありきではなく、人によって意見に個性が出やすいオープンなテーマにする」などが挙げられるでしょう。
課題解決型のテーマ例
課題解決型のグループディスカッションでは、具体的な問題や課題に対する解決策をグループで考えてもらいます。
- 少子高齢化社会の問題点と解決策は?
- AI時代で非IT人材がAIを使いこなすための施策は?
- 〇〇地方で生産年齢人口増加につながる施策は?
- 当社の商品Aの売上を伸ばすためのアイデアは?
- 〇〇業界で働き方改革を促進するために必要な取り組みは?
課題解決型は、学生が「現実の課題をどのように分析し、具体的な解決策を提案できるか」を評価する際に便利です。例えば、「少子高齢化社会の問題点と解決策は?」というテーマでは、学生が「一般的な社会問題に対して最低限の関心・知識があるか」「現実的な打ち手を考える力があるか」を判断できます。また「当社の商品Aの売上を伸ばすためのアイデアは?」では、「自社の商品についての知識はあるか?」なおかつ「顧客や市場にも目を向けることができるか」といった点も評価できるでしょう。
このディスカッション形式は、学生の問題解決能力や論理的思考力、創造性を観察するのに最適です。特に、問題を体系的に分析し、根拠のある解決策を導き出す力、実行可能なプランを提案する力、そしてチームの一員として協力する姿勢が評価ポイントとなります。
テーマを選ぶ際は、具体的で現実的な課題を選び、学生が実際のビジネスシーンを想定して議論できるようにすることが重要です。課題の背景情報を事前に共有しておくと、学生が予習しやすくなり、リサーチ力や参加意欲を判断しやすくなります。
選択型のテーマ例
選択型のグループディスカッションでは、複数の選択肢から最適なものをグループで選び出してもらいます。意思決定力や説得力、合意形成能力を測るのに適した形式です。
【テーマ礼】
- 「親」「友達」「お金」の優先順位をつけてください
- 無人島に持っていくのは「ライター」「水筒」「懐中電灯」のどれか?
- 「テレビCM」と「YouTube広告」はどちらが有効か?
- 日本にとって良いのは「円高」か「円安」か?
- 「オフィスワーク」と「リモートワーク」はどちらが生産的か?
- 「電子書籍」と「紙の書籍」はどちらが記憶に定着すると考えられるか?
選択型は、学生が限られた選択肢のなかから最適なものを選び、その理由を論理的に説明する力を評価するのに適しています。例えば、「無人島」のテーマでは、学生が限られた資源のなかで優先順位をつける判断力や、その選択に対する説得力を評価できます。また、「オフィスワーク」と「リモートワーク」を選ぶテーマでは、「異なる働き方のメリット・デメリットを理解しているか」「比較項目の設定は適切で、両者を正確に比較できているか」を問うことができます。
まとめると、これらのテーマでは、学生の意思決定力や説得力、合意形成能力の評価に向いているでしょう。あえて明確な正解がないテーマを選ぶことで、学生の多様な視点や柔軟な思考力を引き出せるのもポイントです。
テーマを選ぶ際は、「比較する項目が複数あり、個性が出やすいものを選ぶ」と、学生を多面的に評価できる可能性があります。
グループディスカッションのテーマ選びで意識すべきポイント
効果的なグループディスカッションを実施するためには、適切なテーマ選びが欠かせません。ここではテーマを選定するうえで意識すべきポイントを解説します。
評価ポイントを整理しておく
まず、自社が求める人物像を明確にすることが不可欠です。グループディスカッションでは、発言回数やリーダーシップだけでなく、自社の評価ポイントに沿った多面的な評価が重要となります。
グループディスカッションで評価するのに適している主な項目は以下の通りです。
- コミュニケーションスキル
- プレゼンテーションスキル
- 積極性・主体性
- 協調性
- 論理的思考力
- 発想力
- リーダーシップ・決断力
自社の人材要件に応じて、上記の評価項目から重要視すべき項目を整理します。そのうえで、グループディスカッションに向けて評価シートを作成することもおすすめです。特に、複数のグループで同時にグループディスカッションを進める場合、数名の面接官で評価基準を合わせておくと一貫性がある評価がしやすくなります。
適切なディスカッション形式を選ぶ
評価したいポイントを明確にしたら、それに適したディスカッション形式を選びましょう。
先述の通り自由討論型は発想力やコミュニケーションスキルを評価しやすく、課題解決型は論理的思考力や問題解決能力を見極めるのに適しています。選択型は意思決定力や説得力を評価するのに有効です。
なお、最適な形式は、組織文化によっても大きく異なります。例えば、「エンジニア職はシステム開発が主な業務内容なので、課題解決型が適している」というのは多くの場合当てはまる可能性が高いものの、自社が自由な発想ができるエンジニアを求めている場合は、むしろ自由討論形が適しているかもしれません。あくまでも自社が求める人物像に沿って形式を選ぶのが大切です。
想定参加者の知識・関心に合うテーマを選ぶ
グループディスカッションのテーマは、参加する学生の知識や関心に合ったものを選ぶことが重要です。
専門的すぎるテーマや、一部の学生だけが詳しい内容などは避けるべきです。知識量の差によって発言が偏ると、一部の学生が本来の個性を発揮できず、実力を正確に評価しにくくなります。また、活発な議論を促すためにも、学生が興味を持ちやすいテーマを選ぶことも重要です。
グループディスカッションでのテーマ選びをはじめ、学生の興味関心やニーズを理解しておくことは、選考活動をスムーズに進めるうえで欠かせません。人事ZINEでは、人事・採用担当者の方に向けて「2025年卒の市場を分析!これからの新卒採用戦術」をご用意しております。最新の学生の傾向や採用市場の概況をもとに、新卒採用を成功させるポイントを解説しております。
役割に応じた評価方法を設定しておく
グループディスカッションでは、学生が担う役割に応じて評価すべき項目が異なります。グループディスカッションを行う際は、それぞれの役割に適した評価方法を設定しておきましょう。
主な役割は以下の通りです。
- 司会(ファシリテーター)
- 書記(レコーダー)
- タイムキーパー
司会は、「他の学生が公平に発言できるよう配慮をするなど、議論を円滑に進めるリーダーシップを持っているか」を評価します。書記は、「議論の要点を整理したうえで的確に記録しているか」を確認します。タイムキーパーは、「時間管理を適切に行い、議論の進行をサポートしているか」を見極めます。役割がないメンバーは、「積極的に意見を出し、他のメンバーと協力して議論を深めているか」を評価します。
役割に応じた評価基準を設定することで、学生一人ひとりの特性を総合的に判断できます。また、一度の発言や行動だけでなく、ディスカッション全体を通じて行動パターンを観察することが重要です。
まとめ
本記事では、新卒採用におけるグループディスカッションの基本的なポイントや他の選考方法との違い、そして自由討論型、課題解決型、選択型といったディスカッションの形式を詳しく解説しました。
グループディスカッションを通して企業が求める人材を見極めるためには、まず自社が求める人材の要件を整理したうえで、評価したい項目を判断するのに適したディスカッション形式やテーマを設定することが大切です。
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