企業が2024年卒の新卒採用にまだ間に合う理由と採用手法・成功ポイント
初夏を過ぎてしまうと、「新卒採用を始めるには遅いのではないか」と悩む採用担当者も多いでしょう。もちろん早めに動き出すに越したことはありませんが、ピークを過ぎた後でも、2024年卒の新卒採用はまだ間に合う可能性があります。
今回の記事では、2024年卒の新卒採用がまだ間に合う理由や今からでも取り組むメリット、採用する際に活用できる手法など幅広く解説します。2024年卒の学生の採用に成功するポイントについてもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
2024年卒の新卒採用はまだ間に合う理由
2024年卒の新卒採用がまだ間に合う理由として、「50%以上の人が大学4年で初めて内定を獲得している」「入社企業からの内定は大学4年で獲得している」の2点が挙げられます。ここでは、それぞれの理由について詳しく解説します。
学生は就職先選びで納得感を優先する傾向がある
まずは、新卒の学生は就職先選びで納得感を優先する傾向があるといった点です。
就活みらい研究所「就職白書2023」によれば、「就職活動を終了した理由」としては、「内定を取得した企業・各種団体等に入社したいと思ったから」(89.0%)がトップの回答となっています。次点の「できるだけ早く内定を取得し、就職活動をやめたかったから」(30.5%)を大きく離している状況です。
さらに1期前の「就職白書2022」では、「第1志望群に入社する学生が増加している」とされています。2020年卒〜2022年卒の学生は、いずれも半数以上が「当初の第1志望群に入社予定」と回答していました。上記のように、早期に就職先を決めてしまうというよりも、「自分が納得できる企業に入社したい」と考えている人が多いようです。
4割以上の学生が7月以降に入社予定先からの内定を獲得している
2024年卒の新卒採用がまだ間に合う理由として、「4割以上の学生が7月以降に入社予定先からの内定を獲得している」といった点も重要です。「就職白書2022」によれば、入社予定先から内定をもらう時期は「4年生の6月」がピークであるものの、4割もの学生が「7月以降」に内定をもらった企業に入社しています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、採用活動が先送りになることもありましたが、2022年卒以降は従来の傾向に戻っています。採用の早期化が起こる可能性も十分に考えられますが、統計を確認する限りでは、比較的遅い時期に内定をもらっている学生も多いようです。
2024年卒の新卒採用に今からでも取り組むメリット
2024年卒の新卒採用は、なるべく早期に開始すればまだ間に合います。今からでも取り組むメリットは、以下の通りです。
- 自社が求める学生の取りこぼしを防げる
- 多くの母集団を形成できる
- 真剣度の高い学生と出会いやすい
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
自社が求める学生の取りこぼしを防げる
「自社が求める学生の取りこぼしを防げる」のが、2024年卒の新卒採用に取り組むメリットです。早期から採用活動を始める企業が多いなか、自社が求める人材が見逃されている可能性があります。今から採用活動を始めることで、他社によって見逃された学生を採用するチャンスが期待できるでしょう。
特に採用活動がピークを過ぎた時期になると、大多数の企業が新卒の採用を終えている可能性もあり、比較的競争が少なくなります。焦らずに採用活動に向き合えるため、より適切な意思決定ができる確率も上がるでしょう。
多様な母集団を形成できる
多様な母集団を形成できるのも、今から2024年卒の新卒採用に取り組むメリットです。先ほども触れたように、「就職活動のピークは過ぎたものの、まだ内定を獲得していない学生」や「より自分の志向・価値観に合う企業を模索している学生」など、ピーク後の採用市場にはさまざまな層の母集団が存在します。
上記には、就職活動を通して新しい視点を獲得した学生など、ピーク時に出会うのが難しい人材も含まれます。これらの学生たちをターゲットにすることで、多様な視点やスキルを持つ人材を採用できるようになるかもしれません。
真剣度の高い学生と出会いやすい
真剣度の高い学生と出会いやすいというメリットも見逃せません。夏や秋頃でもまだ就職活動を継続している学生は、「まだ内定を獲得できていない」「自身の将来について合致する企業を懸命に模索している」など、就職や自分の将来について真剣に考えていることが多いといえます。
就職活動のピークの場合、「一応そこまで志望度が高くない企業に応募してみる」といったスタンスなど、学生の真剣度を見極めにくい側面があります。そうした意味では、ピークを過ぎた2024年卒の新卒採用活動では、真剣度の高い学生と出会いやすいといえるでしょう。
2024年卒の学生を今から採用する際に活用できる手法
2024年卒の学生を今から採用する際に活用できる手法は、以下の通りです。
- ダイレクトリクルーティング
- ナビサイト
- 人材紹介・エージェント
- リファラル採用
- ソーシャルリクルーティング
それぞれの手法について詳しく解説します。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、属性やスキル・志向などの要件をもとに企業が求める人材を探し出し、直接アプローチをする採用方法です。ピーク時を過ぎた新卒採用市場では、多くの母集団を形成するのは難しい可能性がありますが、専攻やキャリア志向などの要件が一致する学生をピンポイントで探す際に役立ちます。
2024年卒の学生を採用するにあたって、ダイレクトリクルーティングを成功させるためには、早期に候補者との接触を始めることが重要です。たとえすぐに採用につながらなかったとしても、中長期的に関係を築いていければ、学生の熟慮の結果として自社が選ばれる可能性もあります。
ナビサイト
ナビサイトとは、企業と求職者を結びつけるためのプラットフォームです。企業は自社の情報や求人情報を公開し、一方の学生はこれらの情報を閲覧しながら自分に合った企業を探します。従来、新卒採用の主流として位置付けられていた手法です。
ナビサイトを活用することで、企業の求人情報が大学生全体、特に就職活動を始めている学生に対して広まります。詳細な情報を提供できるため、大手企業が見逃した真剣な人材に対しても、継続的なアピールが可能です。
2024年卒の学生を採用するにあたって、企業文化やビジョン、ミッションなど魅力的かつ詳細な情報を記載するのが重要なポイントになります。
人材紹介・エージェント
人材紹介・エージェントは、企業と学生の中間に立ち、両者のマッチングをする役割を持ったサービスです。中途採用でもよく使われる手法であり、大量に採用するというよりは、自社に合った少数の学生を採用したい場合に適しています。
人材紹介・エージェントは、採用プロセス全体を理解し、特定の業界に関する深い知識を持っています。自社のニーズに適した学生を探し出してくれるため、新卒採用活動のピークが過ぎた後でも、無理なく活用できます。
2024年卒の学生を採用するにあたって、人材紹介・エージェントを利用する際は、自社が求めている人材像を明確に伝えるのが重要です。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員のネットワークを使って、学生を紹介してもらう採用手法です。必要なスキルを持った知人の紹介や、過去に同じ学校・大学で学んでいたOB・OGとして人材を紹介するケースなど、活用するネットワークの種類はさまざまです。
リファラル採用は、従来の採用プロセスでは見落とされがちな人材を発掘することが可能です。新卒採用の終わり近くになると、求める人材を見つけることが難しくなりますが、リファラル採用はその解決策にもなります。
2024年卒の学生を採用するにあたって、リファラルプログラムの設定はもちろん、評価を適切に行うことが重要です。特に採用のピークを過ぎ、それほど競争が過熱していない状態では、意思決定をじっくりと行えます。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、企業がSNSプラットフォーム(FacebookやTwitterなど)を活用して、企業のブランドや働き方を広く伝える採用手法です。SNSは、昨今の学生に広く普及していることもあり、学生に効果的にアプローチするための有力なツールとなります。
ソーシャルリクルーティングは、ナビサイトと同じように、自社の詳細情報を提供できます。2024年卒の学生を採用するにあたっては、「自社のブランド・文化・価値」などを明確に示しつつ、双方向のコミュニケーションを意識するのが重要です。
2024年卒の学生の採用に成功するポイント
2024年卒の学生の採用に成功するポイントは、以下の5つです。
- 明確なキャリアパスを提供する
- 選考フローを具体的に紹介する
- 可能な限りファストレスポンス・柔軟な対応を意識する
- 募集中の事実を分かりやすく提供する
- ネガティブな印象を持たれる表現は避ける
上記のポイントについて詳しく解説します。
明確なキャリアパスを提供する
まずは、明確なキャリアパスを提供することです。夏・秋にまだ就職先を探し続けている2024年卒の学生は、内定が獲得できていないケースもありますが、より納得感の高い会社を探している可能性も考えられるでしょう。
いずれの場合も、学生にはキャリアにおける何らかの理想や条件があります。企業がそのような学生に訴求するためには、自社ならではのキャリアパスや待遇面などをわかりやすく示す必要があります。「各職種や役職の明確化」「必要とされるスキル」「成長や昇給・昇進の機会」など、学生が求める情報を余すことなく提供しましょう。
選考フローを具体的に紹介する
選考フローを具体的に紹介することも重要です。徐々に就職活動に割ける期間が短くなってきているなか、2024年卒の学生は「選考フローがスムーズかどうか」「内定までどれくらいのステップ期間がかかりそうか」といった情報も気にすることがあります。
新卒採用の選考フローの基本構造を紹介するのはもちろん、それぞれのステップで「何が評価され」「何を準備すべきか」「選考の結果はいつ伝えられるか」など、求職者が知りたいと思う情報を明確に伝えることが重要です。
可能な限りファストレスポンス・柔軟な対応を意識する
可能な限りファストレスポンス・柔軟な対応を意識することも欠かせません。2024年卒の新卒採用において、卒業間近の学生は就職先を急いで決めなければならないため、企業としても迅速な対応が求められます。面接日程の設定や結果のフィードバックなど、採用プロセス全体をスピーディに進めることが重要です。
柔軟な対応の具体例として、オンラインでの採用活動があります。オンラインでの面接や会社説明会などを活用することで、学生の負担を軽減しつつ、より多くの学生へのアクセスが可能です。
募集中の事実を分かりやすく提供する
募集中の事実を分かりやすく提供するのも、ぜひ押さえておきたいポイントです。就職活動の全体のピークが過ぎ、夏や秋になる頃には、学生側が「もう募集中の企業は少ないのではないか」という思い込みを持っているケースがあります。
2024年卒の新卒採用において、まだ学生を募集している企業は、新卒採用活動を継続していると学生に対して示さなければなりません。Webサイトの更新やSNSの活用、大規模採用イベントの参加など、複数の方法を使いつつ募集中であるという旨を強調しましょう。
ネガティブな印象を持たれる表現は避ける
2024年卒の学生の採用に成功するためには、ネガティブな印象を持たれる表現をなるべく避けましょう。夏や秋頃にまだ就職活動を続けている学生のなかには、納得している企業と出会えていないことなど、さまざまな不安を抱えているケースもあります。
企業側は、学生がネガティブな感情を抱かないように、あくまでも前向きな言葉を意識してコミュニケーションをとらなければなりません。例えば「応募が集まらないからまだ新卒採用を続けている」「求める学生が採用できていないから続けている」といった態度を示してしまうと、ネガティブなイメージにつながる可能性があります。
「求めている学生を採用するにあたって、時期を問わず常にオープンである」といった前向きな表現をすることが重要です。
まとめ
2024年卒の新卒採用がまだ間に合う理由として、学生は就職先選びで納得感を優先する傾向があることや、7月以降に入社予定先からの内定を獲得する学生が多いことなどが挙げられます。
ピークを過ぎれば、大手企業の採用が終わっている可能性もあるため、比較的ゆとりを持って採用に取り組めるようになるでしょう。ただし夏や秋頃に採用活動を進める場合であっても、ピーク時と同様、なるべく早く動き出すことをおすすめします
キャリアパスや選考フローを明確化するなど、学生に寄り添うような取り組みを徹底すれば、良い印象を与え、採用につなげられる可能性があります。
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