スカウトメールの基本例文・職種別例文と件名・本文の書き方のコツ

スカウトメールは、企業側が、潜在層を含む求職者に対して直接送るオファーです。昨今、「攻め」の採用手法や個別化されたアプローチが普及している背景もあり、スカウトメールの重要性は増しています。
しかしスカウトメールに関して、「何から手をつけるべきか分からない」という採用担当者の方も多いでしょう。そこで今回の記事では、スカウトメールの重要性や、書き方で意識したい基本的なポイントを解説します。
基本例文・職種別例文や、スカウトメール送信に役立つサービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
以下に、スカウトメールの文例集をご用意しております。9つの業界・職種別のサンプルをもとに、効果的なメール文の作り方が分かる内容です。ぜひダウンロードのうえご活用ください。

目次 [表示]
スカウトメールの重要性とは

スカウトメールは、採用担当者が特定の求職者に直接メッセージを送り、応募を促す手法です。ナビサイトや求人広告といった「待ち」の採用スタイルとは異なる「攻め」の採用手法で、企業側から特定のターゲット人材に絞り込んで主体的にアプローチします。
スカウトメールが重要とされる背景は、採用の難易度の上昇です。特に昨今は、売り手市場の傾向が強まっており、人材採用の競争も激化しています。特に知名度が高くない企業や、専門スキルを持つ人材を求める場合に、スカウトメールの価値は大きくなるでしょう。
スカウトメールは、ターゲットに合わせて文面を変えることで、特別感を演出できるのも重要なポイントです。ターゲットの応募意欲を高めやすくなるため、大量採用をしない中小企業にも有効な戦略です。
スカウトメールの書き方で意識したい基本的なポイント

スカウトメールの書き方で意識したい基本的なポイントは、以下の3点です。
- 一斉送信のような印象を与えない
- 開封されやすい件名にする
- シンプルに分かりやすく自社の魅力を表現する
それぞれのポイントを詳しく解説します。
一斉送信のような印象を与えない
まず重要なのは、一斉送信のような印象を与えないことです。スカウトメールで重要なのは、パーソナライズされた内容、もっと簡単にいえば「特別感」といえます。誰にでも当てはまるような一般的な内容ではなく、「これは自分だけに向けられて送られている」と読み手が感じられる文面を意識しましょう。
具体的には、受取人の経歴やスキル、興味に基づいてメールをカスタマイズします。読み手がキャリアで何を重視しているか(例えば成長の機会や企業文化、特定のプロジェクトへの関与など)を理解し、それに合わせてメッセージを調整するのもよいでしょう。
特に「件名」は、一斉送信のような印象を与えるかどうかの重要なポイントになるため、注意が必要です。件名の書き方について詳しくは、次に解説します。
開封されやすい件名にする
開封されやすいよう件名の書き方を工夫するのも、スカウトメールの書き方で意識したいポイントです。具体的には、件名だけで興味を持ってもらえるよう、自社の魅力を訴求する内容を盛り込むとよいでしょう。
一斉送信の印象を避けるために、求職者(受取人)の名前を入れるのも有効です。こうすることで、当たり障りのないタイトルよりも、自社を身近に感じてもらいやすくなります。ただし長すぎる件名は避け、訴求したいポイントを簡潔に伝えられるタイトルを意識しましょう。
以下は件名の例です。
- 【受取人名】様への特別提案:月収○○万円スタートで○○経験のあるITエンジニアを募集
- 【受取人名】様、平均月収○○万円を提供する私たちのグローバルチームで新しいキャリアを
- 【受取人名】様専用オファー:月収○○万円以上スタートのデザイナー求人情報
シンプルに分かりやすく自社の魅力を表現する
見やすさやシンプルさを意識するのも、スカウトメール作成時の基本的なポイントです。内容が良くても、冗長だったり、どこに何が書かれているか分かりにくかったりする文面だと読み手に伝わりにくくなります。メールには必要な情報のみを含め、メッセージを明確にしましょう。
具体的には、内容ごとに改行したり罫線を入れたり、見出しを付けたりなど見やすくなるように配慮します。こうした視覚的な整理ができると、読み手が関心のある部分を見つけやすく、途中離脱を防ぐことにもつながります。
「見やすさ」「シンプルさ」を意識できるようになったら、実際の文面で自社の魅力を伝えます。自社の文化やプロジェクト、どのようなキャリアが想定できるかなど、具体的な情報を簡潔に提示しましょう。メールの最後には、読み手が取るべき次のステップ(返信や面接スケジュールの設定など)を明確に示します。
基本的なスカウトメールの例文

スカウトメールの書き方は、実際の文章を読んでみると、理解が早くなります。ここでは、基本的なスカウトメールの例文として、「良いスカウトメールの例文」と「悪いスカウトメールの例文」の両方を解説します。
良いスカウトメールの例文
まずは、良いスカウトメールの例文です。
件名:
【受取人名】様への特別提案:月収○○万円スタートでWebエンジニアを募集!
本文:
【受取人名】様
はじめまして。株式会社●●●●の採用担当、▲▲と申します。
あなたのGitHubプロフィールを拝見し、【特定のプロジェクト】や【スキル】における卓越した技術力に感銘を受けました。私たちのチームでは、そうした才能を存分に発揮していただける環境を提供しています。
弊社では、Webエンジニアとして以下のような魅力的な機会をご用意しています。
=========================
●最先端技術の使用
私たちのプロジェクトでは、【具体的な技術やフレームワーク】を活用しています。常に【技術名】分野の最前線で活躍したい方には最適な環境です。
●キャリア成長のサポート
継続的なスキルアップを支援するための研修制度や、プロジェクトリードの機会を提供しています。あなたのキャリア成長を全力でサポートします。
●スキル・経験に応じた給与体系
平均月収○○万円スタートでご案内しておりますが、経験とスキルに応じた給与を提供しており、年に一度のパフォーマンスレビューを通じて昇給の機会を提供しています。実績に応じて、年収の5%~10%の昇給が見込まれます。
=========================
私たちと一緒に、技術を活かし、新たなキャリアを築いていきませんか?
お返事を楽しみにしております。
敬具
株式会社●●●●
【送信者の役職】
【送信者の名前】
上記の例文では、Webエンジニアの受取人が関心を持ちそうな内容に焦点を当て、具体的な技術やキャリア成長の機会を強調しています。さらにGitHubプロフィールに言及するなど、個人に対する敬意と興味を示すことで、受取人に特別感を与えられるよう配慮しています。
ITエンジニアの採用なのでGitHubプロフィールに触れていますが、営業職や事務職などであれば、Web履歴書・職務経歴書について書くとよいでしょう。
悪いスカウトメールの例文
次に、悪いスカウトメールの例文です。
【受取人名】様
こんにちは、株式会社●●●●の採用担当です。あなたのWeb履歴書を見て、弊社でのポジションにぴったりだと感じました。
弊社は業界をリードする企業で、多くのプロジェクトを手掛けています。現在どのプロジェクトが進行中かは、守秘義務のため詳しくはお話しできませんが、入社後には多くのチャンスがあります。
給与に関しては、経験やスキルに応じて相談可能です。
もし興味があれば、面接の日程を調整しましょう。あなたの長期的なキャリア形成にも役立つよう、サポートいたします。
ご返信お待ちしております。
敬具
株式会社●●●●
【送信者の役職】
【送信者の名前】
上記の例文は、企業の具体的な情報やプロジェクトの詳細がなく、受取人が応募するメリットが見当たりません。さらに受取人の経歴やスキルについての具体的な言及が不足しており、まさに「一斉送信メール」のような印象を与えるのも良くないポイントです。
職種別スカウトメールの例文と書き方のコツ

職種別スカウトメールの例文と書き方のコツを、以下の職種ごとに紹介します。
- エンジニア
- 営業職
- トラックドライバー
- 介護・医療サービス職
エンジニア
エンジニアに関しては、先ほど紹介したような例文で構いません。
件名:
平均月収○○円|【受取人名】様、【特定の技術】の専門知識を活かす機会があります!
本文:
【受取人名】様
こんにちは、株式会社●●の技術部門リーダー、●●●●です。
あなたの履歴書を拝見し、【特定の技術やプロジェクト】に対する深い理解と実績に感銘を受けました。
弊社は現在、【具体的なプロジェクト・技術分野】に取り組んでおり、あなたのような才能を持つエンジニアを探しています。
【具体的なプロジェクトや技術の詳細】
【キャリア成長の機会や研修プログラム】
【給与・福利厚生】
もし興味がございましたら、ご都合の良い時に、面談の機会をいただければ幸いです。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
エンジニア向けのスカウトメールを書く際には、特定の技術的スキルや経験に焦点を当て、受取人の興味やキャリアの目標に合わせて内容をカスタマイズするのが重要です。読み手のスキルセットが大きな影響を及ぼす分野でもあるため、求職者のスキル・経験は必ず把握しておきましょう。
営業職
営業職向けのスカウトメール例文は、以下の通りです。
件名:
【受取人名】様、あなたの営業スキルが弊社のチームを変革する
本文:
【受取人名】様
こんにちは、株式会社●●の営業部門リーダー、●●●●です。
あなたの履歴書を拝見し、特に【特定の成果やスキル】に関する実績に感銘を受けました。
弊社は現在、【具体的な市場や製品に関する情報】を拡大しており、あなたのような経験豊富な営業専門家を求めています。
【具体的な販売戦略や製品の詳細】
【キャリア成長の機会や研修プログラム】
【インセンティブ】
ぜひ、弊社にあなたのお力を貸していただけないでしょうか。興味がございましたら、詳細を話し合うための面談の機会をいただければと考えております。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
以下は新卒向けの例文です。
件名:
【受取人名】様の向上心を弊社のグローバル営業職で活かしませんか?
本文:
【受取人名】様
はじめまして!株式会社●●の採用担当をしております●●●●と申します。
弊社は電子部品を製造・販売をしている企業です。来年で設立30年となる従業員約800名の会社ですが、12年間連続で順調に売上を伸ばしており、現在の売上は○○億円となっております。
プロフィールを拝見いたしました。あなたの部活動で日々成長しようとし続ける姿勢と、ボランティア活動で学んだ周囲のために何ができるかと考え行動しようとする姿が非常にすばらしいと思いました!
そのような向上心と協調性を弊社のグローバル営業職で活かしてみませんか?
弊社では将来的にインドやバンコクで活躍していただく「営業職」の候補生を新卒で募集しています。他の企業には提供できない「20代のうちに圧倒的に成長できる」環境を提供しております。
是非一度お話ししませんか?
興味を持っていただけた場合は、まず少人数説明会に参加していただければと思います。
オファー承認後お会いできるのを楽しみにしております。
営業職は定量的な成果が現れやすい分野のため、求職者のアピールポイントに積極的に言及します。「新規開拓は一切なし」「歩合給・インセンティブ」など、営業職ならではの情報も含めましょう。
販売戦略やサービス・商品の特徴など、受取人が興味を持ちそうな点を強調するのも重要です。
トラックドライバー
トラックドライバー向けのスカウトメール例文は、以下の通りです。
件名:
【受取人名】様、あなたの運転スキルが弊社の物流を支える
本文:
【受取人名】様
こんにちは、株式会社●●の物流部門マネージャー、●●●●です。
あなたの履歴書を拝見し、弊社で即戦力としてご活躍いただけるではないかと思い、メッセージをお送りいたしました。
弊社ではトラックドライバーとして、主に関西エリアを担当していただきます。
【具体的な運輸ルートやスケジュールの詳細】
【キャリア成長の機会や研修プログラム】
【給与・福利厚生】
トラックドライバーは「孤独な仕事」ともいわれますが、弊社では定期的に自由参加の親睦会を開催しており、同僚ともコミュニケーションが深められるような環境を整えています。興味がございましたら、詳細を話し合うための面談にご参加いただけませんか?
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
トラックドライバーのスカウトメールで重要なのは、具体的な物流ニーズや運輸ルートに関する情報です。「どのようなものを配送しているのか」「どのエリアで配送しており、実際にはどこを担当するのか」など、求職者が気になりやすいポイントを短くまとめましょう。
介護・医療サービス職
介護・医療サービス職向けのスカウトメール例文は、以下の通りです。
件名:
【受取人名】様、あなたの専門知識が弊社のケアチームを強化します
本文:
【受取人名】様
こんにちは、株式会社●●の人事部、●●●●です。
あなたの履歴書を拝見し、スキルや経歴に関心を持ち、メッセージをお送りいたしました。
弊社は現在、高齢者向けの介護や保育園事業など、幅広い事業を展開しています。特に介護部門で、あなたのような経験豊富な介護・医療サービス専門家を求めています。
【サービス内容・業務詳細】
【キャリア成長の機会や研修プログラム】
【給与・福利厚生】
あなたの専門知識と経験が、弊社のケアチームに新たな視点と力をもたらすと確信しています。興味がございましたら、一度面談の機会をいただけませんか?
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
介護や医療の仕事は、一般的に感情的にも肉体的にも高いものが要求されます。介護・医療職員が直面するストレスや挑戦に対応するためのサポート体制(カウンセリングサービスやチームワークの強化、適切な休息時間の確保など)を強調するのもよいでしょう。
特定の介護施設に配属される場合は、施設長や本部などのキャリアの可能性を示すと、求職者にとっても分かりやすくなります。
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スカウトメールを通じて返信があった求職者とは、最短1日で面接設定ができます。実際にサービスを体験してみたい企業のために、無料トライアルも用意されているため、事前に使用感を確認できるのもポイントです。
まとめ

売り手市場の傾向が続き、さらに採用手法が多様化していることもあり、企業にとって求める人材を採用するハードルは段々と高まっています。従来の「待ち」の姿勢だけではなく、企業から求職者にアプローチする「攻め」の意識が、これからも重要になるでしょう。
スカウトメールは、「攻め」の採用手法の根幹になる部分です。本記事でも紹介した「基本的なポイント」を押さえつつ、例文をいくつか確認してコツを理解しておくとメール文をスムーズに作成できるでしょう。
人事ZINEでは、スカウトメールの文例集を準備しております。新卒採用でのスカウトメールを考える際に参考になるかと思いますので、ぜひご確認いただき、実務でご活用ください。
