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2022年卒の新卒採用解禁日に向けて企業が準備することは?

2022年春卒業(以下22年卒)を予定している学生の就活スケジュール、企業の採用活動スケジュールに大きく影響する解禁日程はいつになるのでしょうか。新卒採用担当者にとって気になるところです。

本稿では、現行の就活ルールに基づく22年卒の各採用プロセスの解禁日を再確認しつつ、企業が解禁日に対応するため準備しておくべきことを紹介します。
 

2022年卒の広報解禁日は2021年3月1日

 
2018年10月、経団連はこれまでの「就活ルール」の廃止を発表しました※1。

その後は、政府主導の新たなルールの策定議論が進められています。しかし、急激なルール変更は学生のみならず企業側にも混乱を招きかねないという理由から、2021年卒・2022年卒の就活ルール(解禁日)は現行日程を踏襲する方針が表明されています。

※1)新卒一括採用、転機に 経団連が就活ルール廃止発表: 日本経済新聞 (https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36281670Z01C18A0MM8000)
 

広報解禁日の変遷

 

参照:就職みらい研究所(https://data.recruitcareer.co.jp/wp-content/uploads/2019/04/hakusyo2019_08-09_Part1_up.pdf)
 
現在の就活ルールの原形は、1953年につくられた「就職協定」にまで遡ります。この就職協定は、文部省(現・文部科学省)と大学、産業界関係者で構成された就職問題懇談会によってつくられました。当時は高度経済成長期という時代背景も手伝い「青田買い」が横行し、その防止策として、紳士協定という形でつくられたのです。

その後、会社訪問解禁日などの設定・変更が何度か行われ、1997年に日本経営者団体連盟(現・経団連)が就職協定を廃止し、それに代わる「倫理憲章」を定めました。この新ルールも「内定解禁日を10月1日以降とする」と定めただけで、就職協定と同様にルール違反に対する罰則規定がなく、次第に形骸化していくことになります。

初めて広報活動などの解禁日が明記されたのは2011年の倫理憲章改定です。この改定では以下のように定められました。
・広報活動解禁=3年時の12月1日
・選考解禁=4年時の4月1日(13年卒から適用)

次の改定は2013年に政府の要請を受けて行われ、以下のように変わりました。
・広報活動解禁=3年時の3月1日
・選考解禁=4年時の8月1日(16年卒から適用)
※また名称を「倫理憲章」から「採用選考に関する指針」と改めています。

続いて18年卒からは『選考解禁を4年時6月1日』と改定し、現在までその解禁スケジュール(就活ルール)が続いています。
 

解禁日はなぜ毎年のように変更されるのか

 
就活ルールに合わせて新しい採用スケジュールを組み立て、そのサイクルに慣れた矢先に解禁日を変更されるケースが、この10年で頻繁に起こっています。

解禁日が頻繁に変更されるその原因は、前年度の採用活動の動向を振り返って、大学や学生、企業の声・意向を踏まえて解禁日等を見直す際に、最適解を導けないまま試行錯誤を繰り返しているからといっていいでしょう。

そもそも就職協定や倫理憲章・指針は「公平・公正で透明な採用の徹底」「正常な学校教育と学習環境の確保」を目的に、経団連が年ごとの学事日程や大学側の要請を踏まえて自主ルールとして示したものです。

「公平・公正・透明な採用」は、青田買いや学生の囲い込みを防ぐ意図を持ち、「正常な学校教育と学習環境の確保」は、採用活動の早期化と長期化による学生の就活負担を軽減し、学業に専念する時間を確保することを目的としています。それを具現化するために解禁日を設けて就活・採用活動期間を限定し、企業に順守を求めたのです。

しかし、強制力のない自主規制のうえ、違反のペナルティも「注意」「勧告」「違反社名の公表」と、重大な影響を及ぼすものではありませんでした。そのため外資系企業やIT系企業、経団連未加入企業のなかには解禁日を無視した採用活動を行う企業が後を絶たない状態が続いています。
 

企業における解禁日に向けた準備とスケジュール

 
本章では、採用プロセスの各解禁日を基準とした企業側の採用活動スケジュール、そこに必要な準備について紹介します。
 

採用ターゲット(求める人物像)を明確化する

 
まず、「採用したい人物像を明確化」することから始めましょう。これは採用目標・採用目的を明確化することと同じです。ここが定まっていないと活動にブレが生じ、採用はうまく回りません。

採用したい人物像とは、自社の事業計画・課題に対して必要となる人材です。次のような視点で設定するとよいでしょう。
 

  • どの職種に何人必要か
  • どういった仕事をしてもらうか
  • どのようなスキルが必要か
  • どういった行動特性を持った人物か

 
採用担当者が一人で考えるよりは、経営層や必要としている(配属が予定されている)部署にヒアリングして複数の意見を積み上げて設定することをお勧めします。また、設定時期は3月の広報解禁までに準備することを考慮し、前年12月までには決めておきましょう。

次に、設定した人物像に基づいて、どのタイミングにどのような手法でどんなメッセージを送ればよいかなど、スケジュールを設計していきます。
 

採用ターゲットの活動を考慮して、アプローチ手法決定とスケジュール設計を行う

 
まず、ターゲットの学生がいつ活動しているか考え、それをもとにスケジュール設計を行います。ターゲットが就活していない時期に動いても時間と費用の浪費になってしまうからです。

近年は、3年時のサマーインターンシップから就活を始める学生が多いです。しかし本章では秋以降、解禁日にむけて準備することに絞って解説していきます。
 

「広報(会社情報)解禁日」=3年時3月1日に向けて(12月~2月)

 
①自社ホームページ(採用サイト)を見直す

就活への意識が高い学生は、広報解禁に向けて3年時秋頃から業界・会社研究を始めます。気になる会社のホームページを閲覧するほか、就活サイトや検索エンジンを使って関連業界・会社情報を調べるのが一般的です。候補リストに挙がった会社に知人やOBが在籍している場合、訪問して直接情報を得る学生もいます。

そうした行動に対応するため、最初に自社ホームページ(採用サイト)を見直し、必要に応じて更新を行いましょう。これまでは年度ごとに作成し直すことが通例でしたが、近年は採用ブランディングの観点から、募集要項などの一部の情報を除いて、毎年情報を差し替えるのではなく、常時公開して情報を蓄積していく採用オウンドメディアの考え方が広がりを見せています。

②就職ナビ掲載準備

採用広報解禁日に、各就職ナビは新しい採用情報を公開するとともに、プレエントリーの受付も開始されますが、就職ナビの利用率は広報解禁日の前後で比較すると、最近は解禁日前の利用率のほうが高くなっています。それまでに関心のある企業をある程度絞り込んでいるということです。

③業界セミナー、会社説明会の準備

次に業界セミナーや会社説明会の準備が必要です。対面形式で行う場合、学生が参加しやすい日程調整、会場の手配、説明会当日のコンテンツ・資料作成、プレゼンターや運営スタッフの選出・教育など、必須の準備事項は山積みです。また、個別説明会のオンライン化も現在の環境下、必須事項となっています。オンラインで実施する場合、対面形式で実施したセミナーのアーカイブを公開するケースと、配信時刻を決めてライブ配信で行うケースがあります。ライブ配信で行う場合には、学生の集中力を考慮して、講義形式で終始するのではなく、座談会形式を取り入れたり、リアルタイムアンケートによって参加型にしたりといった工夫が必要です。
さらに並行して行うべきことは、学生に配布するパンフレット類(印刷媒体)の作成です。印刷媒体は企画決定から納品まで3~4カ月かかることを考慮し、配布時期から逆算して着手することが重要です。就活サイトに掲載する場合、掲載原稿の作成も必要です。

④冬のインターンシップ受け入れ準備

メディア対応以外では、冬のインターンシップ(1~2月)が学生の業界・企業絞込みに大きな役割を果たしている昨今、その計画、受け入れ準備を行いましょう。

⑤新卒採用活動開始の全社意識共

また、学生のOB訪問などで、採用担当者以外の社員がリクルーターの役目を担うケースもあります。そのため、採用計画、採用目標、求める人物像などを社員に周知しておくことも大切です。全社をあげて有望な新卒を採用するという意識の醸成も、採用を成功に導く必須要件です。
 

「選考解禁日」=4年時6月1日に向けて(3月~5月)

 
①会社説明会参加学生への対応

基本的に3月1日の広報解禁から、学生は会社説明会に参加します。そこで志望意欲を高め、選考に進むべくエントリーシートを提出、オンラインでの適性検査を受検します。

企業が選考解禁日に向けて行うことは、大きく以下の2点です。
 

  • 会社説明会に参加してエントリーシートを提出した学生の、次ステップ(個別説明会、先輩社員との懇談会など)への誘導と絞込み
  • ステップが上がるごとのフォロー

 
「選考解禁日」でいうところの「選考」は、「時間や場所を指定しての選考」に限られます。つまり、学生が自分の都合の良い時間で対応でき、会場に出向くことなく自宅で対応できるものは、この解禁日の制約を受けません。これまでは、「エントリーシート」「オンラインでの適性検査」は解禁日以前でも実施可能とされてきましたが、コロナ禍の中で新たに1つ加わりました。それは、「動画録画型のオンライン面接」です。これまでの対面式の面接は、時間を決めて会社等へ出向いてもらう必要がありましたので制約の対象となっていましたが、学生が好きなタイミングで録画できる「動画録画型のオンライン面接」は、「エントリーシート」と「オンラインでの適性検査」と同じと扱いになったのです。

②内々定出しなど、つなぎ止めフォロー

この期間に企業によっては早々に内々定を出し、学生をつなぎとめる手段を講じます。優秀な学生は複数企業から内々定を得て、最終選考に進む企業の選別を行うので、この期間のつなぎ止めフォローは大変重要なポイントになります。

競合する企業の動きにアンテナを張りつつ、常に学生の意識を自社に向けておくために、先輩社員との面談や懇談会などを適当な間隔で行うとよいでしょう。あまり間を空けると、学生の気持ちが離れていってしまう可能性もあります。

フォローに関しては、説明会参加者に「お礼メール」を送るのも好感度アップとつなぎとめの効果があります。次ステップに進む意欲を計る手段として課題を課すことも有効です。

複数の担当者が別々に学生を絞り込む場合、「求める人物像」を全員に周知しておき、担当者によってブレがないように徹底しておくことも大切です。
 

「内定解禁日」=4年時10月1日に向けて(6月~9月)

 
①最終選考

就活ルールに沿っての採用活動では、6月1日から選考を開始します。しかし、企業によっては5月までに学生を絞込み、内々定を出した後に最終選考が行われるケースも少なくありません。「役員面接・社長面接→内定」という選考プロセスが、6月1週目くらいの間に行われることになります。

②内定式までの内定者フォロー

10月1日には採用活動の最終イベントである内定式があります。それまでに内定辞退者を出さないためにも、内定者フォローをこまめに行うことが大切です。先輩社員との懇親会や内定者同士の交流会の実施、内定者向けのSNSで情報発信するなど、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

③内定式プログラムの作成

内定式のプログラム作成も重要です。これまでは、社長や人事部長からの祝辞と内定書授与、内定者懇親会といった形式的なプログラムで終わるケースもありましたが、オンラインでの内定式となると、内定者懇親会による交流もできませんから、プログラム自体にも工夫が必要です。複数社の内定を持った学生が、両社のオンライン内定式に参加して、その雰囲気で入社する企業を最終決断したというケースも報告されています。もはや内定式への参加イコール内定承諾(入社)の意思表示にはならない時代になってきたということです。
 

まとめ

 
本稿では解禁日の変遷を再確認しつつ、2022年卒の就活ルール解禁日を軸にして、企業が準備しておくポイントを紹介しました。

まずは「採用したい学生の人物像」を定めることからスタートすべきです。その後、節目の解禁日までに採用担当者が行うべきことは多数あります。担当者または担当部署だけが新卒採用を担うのではなく、全社で取り組むという雰囲気・土壌づくりも大切です。

いま政府主導で、新就活ルールの策定が進められていますが、2022年卒までは現ルールを踏襲することが表明されています。外資系企業やIT系企業、経団連未加入企業のなかには、就活ルール(解禁日)はあってなきのごとく採用活動を展開している企業も少なくありません。しかし、学生のためを思えばこそ、ルールに沿った活動を展開してほしいものです。

それぞれの解禁日に向けての準備は、多少の時期のズレはあったとしてもやるべきことは同じです。綿密な採用スケジュール設計のもと、万全の準備を行い、計画通りの採用が実現することを願います。


2021年1月15日公開