【企業向け】オンライン説明会の開催方法やメリット・デメリットを解説
就職活動の多様化や新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、オンライン説明会の実施を検討する企業が増えています。
しかし、社内にナレッジがなく、何からはじめたらよいか分からないという採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、オンライン説明会によって採用活動の効果を上げたいと考えている採用担当者の方へ向けて、オンライン説明会の種類とメリット・デメリット、実施に必要な準備から成功させるポイントまで、くわしく紹介します。
また、人事ZINEでは、会社説明会の開催では必須の投影用スライドを簡単に作成できるテンプレート(PowerPoint)をご用意しています。オンライン説明会においても、スライドを画面共有して投影することで学生に自社の魅力を体系的に伝えやすくなります。ダウンロードしてご活用ください。
目次
オンライン説明会とは
オンライン説明会(オンライン会社説明会)とは、対面で実施する会社説明会とは異なり、インターネットを経由して、オンラインで実施される説明会のことです。
ZoomやSkypeなどの、オンライン会議ツールを用いて行われます。このため、一度に大人数の学生に参加してもらうことができ、学生は、スマートフォンやパソコンなどの端末とインターネット環境さえあれば、場所を問わずに遠方からでも説明会に参加できます。
オンライン説明会は、対面型の説明会に代わるものとして、多くの企業が活用しています。しかし、単なる代替手段としてだけでなく、動画をアーカイブ化して参加者に何度も見返してもらうなど、オンラインならではの活用方法もさまざまです。
オンライン説明会が活用されている理由
オンライン説明会が注目されるようになったきっかけは、新型コロナウイルスの感染症拡大によって対面の説明会が開催しにくくなったためです。しかしコロナ禍が落ち着いた後も、「利便性が高く効率的な方法を好む人のニーズに応えたい」「場所を問わずさまざまなエリアの人にも参加してもらいたい」といった理由で、多くの企業がオンライン説明会を積極的に実施しています。
以下の表は、就職みらい研究所の「就職白書2024」のデータを抜粋したものです。就活生のオンライン説明会への参加率は、対面を大きく上回っています。
Webで開催される合同説明会・セミナーに参加する | 対面で開催される合同説明会・セミナーに参加する | ||
---|---|---|---|
全体 | 57.5% | 33.9% | |
文理別 | 文系 | 57.9% | 37.2% |
理系 | 56.8% | 28.7% | |
男女別 | 男性 | 51.6% | 29.4% |
女性 | 64.5% | 39.1% |
就活生がオンライン説明会を好む理由としては、「たくさんの説明会に参加できる」「交通費や宿泊費がかからない」「タイムパフォーマンスがよい」などが挙げられます。
オンライン説明会の種類
オンライン説明会は、録画配信型とライブ配信型の2種類があります。それぞれの特徴を紹介します。
1.録画配信型
録画配信型とは、説明会を事前に収録し、オンラインで配信する方法です。
録画配信型のメリットは、一度録画してしまえば何度も説明会を開催しなくて済むため、工数を削減できる点です。また、撮り直しができるため説明方法や内容をよりベターなものに修正できます。
参加者側からみても、いつでも好きな時間に視聴できる録画配信型は、参加ハードルが低い方法です。特に、YouTubeの説明会のように事前申し込みなしで視聴できるようにすれば、少し興味があるだけの人でも気軽に視聴できるでしょう。したがって、録画配信型は母集団形成の足がかりに活用できる方法でもあります。
一方、デメリットはリアルタイムで参加者と双方向のやり取りができないことです。
2.ライブ配信型
ライブ配信型とは、リアルタイムで説明会を実施し、オンラインで配信する方法です。あらかじめ開催日時を決めておき、企業が配信しているのと同じタイミングで視聴してもらいます。
ライブ配信型のメリットは、リアルタイムで双方向のコミュニケーションができることです。チャット機能を利用すれば、参加者からの質問や要望などを受け付けられます。これらのメッセージに直接回答したり、説明内容を臨機応変に変えたりすれば、ニーズに寄り添ったオンライン説明会にできるでしょう。
また、Zoomの「ブレイクアウトルーム」のように少人数でミーティングできる機能を用いると、グループディスカッションや座談会が行えます。この方法は、企業に対する親近感を高めたり、より突っ込んだ内容を伝えて志望度を高めたりするのに効果的です。
ただし、ライブ配信型は都度説明会を開催しなくてはならないため、企業の負担が大きい点がデメリットです。
企業がオンライン説明会を実施するメリット
母集団の形成
1つ目のメリットは、母集団の形成につながることです。母集団の形成は、採用活動の初期段階において非常に重要で、採用活動の成否に関わります。
オンライン説明会が母集団の形成につながる理由は、たくさんの学生に参加してもらいやすいからです。従来のオフラインで行う説明会とは違い、オンラインなら移動負担がなく、スケジュールの調整も容易です。
その結果、地方や遠方の学生でも参加しやすいために説明会に参加する学生数が増え、母集団の形成につながります。また、地理的、時間的制約を受けないことで、母集団の多様化にもつながります。
採用活動の効率化
採用活動の効率化につながることも、オンライン説明会のメリットの1つです。
対面で行うオフラインの説明会の場合、たくさんの学生を呼ぶために、社外の会場を確保して実施することもあります。しかし、オンライン説明会なら会場の確保が不要で、採用担当者などのスタッフはオフィスやリモートワークを行う自宅から参加できます。このため、移動の負担がありません。
また、オンライン説明会を録画配信型で行う場合には、何度も説明会を開催する必要がないため、スタッフの稼働削減にもなります。
このように、採用活動を効率的に行える一方で学生は気軽に呼び込めるため、オンライン説明会は少ない稼働で多くの母集団を獲得できます。
オンライン説明会を実施するデメリット
オンライン説明会には従来の説明会にないメリットがある一方で、デメリットもあります。主な3つのデメリットについて説明します。
コミュニケーションが難しい
オンライン説明会は、対面での説明会と比較すると、お互いの様子が分かりにくく、コミュニケーションを取るのが難しいというデメリットがあります。
対面での説明会では、学生の様子を読み取って説明にアドリブを加えたり、臨機応変な対応が可能です。しかしオンライン説明会の場合、画面越しに学生の表情を見ることが可能でも、とくに人数が多い場合には、1人ひとりの様子を確認することは困難です。
録画配信型の場合、学生の質問に答えることもできないため、事後にアンケートを取ってフォローするなどの対策が必要です。
雰囲気や魅力を伝えにくい
学生は説明会に参加することで、企業の公式サイトの情報からは分からない、社風や会社の雰囲気を知りたいと思っています。しかし、オンライン説明会は、スライドや一方的な説明になりがちで、会社の雰囲気や魅力を十分に伝えにくいというデメリットがあります。
デメリットをカバーするためには、学生に対して自社の魅力や雰囲気が伝わりやすい説明会の構成を意識しましょう。学生は実際に働いている人から会社の雰囲気や魅力を感じるケースが多いため、オンライン説明会のなかで、疑似会社見学のような趣向を凝らすのも1つの方法です。
興味関心の獲得が難しい
オフラインで行う説明会の場合、学生は説明会に参加するために日程を調整する必要があり、実際に参加するには、会場まで足を運ぶ必要があります。このため、「せっかく予定を空けたから行こう」「わざわざ来たのだから最後まで聞こう」という気持ちになりやすい傾向があります。
一方オンライン説明会の場合、学生は気軽に申し込める分、1つの説明会に対して熱心でない場合もあり、参加前のキャンセルや途中退席、参加しても選考ステップに進まないといったケースが見られます。
学生の興味関心を獲得するためには、説明会の前後にメールを送るなど接点を作ることや、なにより説明会の内容を充実させる工夫が必要です。
オンライン説明会の実施に必要な準備
採用活動にオンライン説明会を導入するには、事前準備が必要です。ツール、通信環境、機器などの5つのポイントを説明します。
オンライン会議ツールの選定
オンライン説明会には、オンライン会議ツールが欠かせません。一度に参加できる人数や費用、使い勝手、機能はツールによって異なるため、自社の目的に対して最適なものを選定しましょう。
オンライン会議に使用される主なツールには以下のものが挙げられます。
- Zoom
- Skype
- Google Meet
- Microsoft Teams
オンライン説明会に役立つ機能としては、集計やアンケートを行える機能、チャット機能、録画機能などがあります。
通信環境の確認
オンライン説明会をスムーズに実施するには、安定した通信環境が大前提です。通信環境が整備されていないと、配信中の遅延や停止の原因になります。学生に伝えたいことがしっかり伝わらないだけでなく、企業イメージにとってもマイナスになりかねません。
音質や画質に問題がないか必ずテストを行い、通信の安定性が不十分であれば、オンライン説明会を実施する前に整備しましょう。
情報機器の用意
オンライン説明会を実施するには、撮影用のカメラやマイク、パソコンなどの機材が必要です。パソコンさえあれば、オンライン会議ツールを通じて学生に会社説明を行うことはできますが、映像や音声の質は、コミュニケーションを円滑に行えるかどうかや、学生の説明会の印象を左右します。
自社で映像を収録し、録画配信型のオンライン説明会を実施する場合には、画像編集ソフトも必要です。
スライドなどコンテンツの準備
オンライン説明会では、説明を補足するコンテンツを用意するのが一般的です。具体的には以下のようなものです。
準備するコンテンツ | 準備のポイント |
---|---|
スライド資料 | 説明会の重要ポイントを説明したPowerPointの資料。 |
グループワーク用の資料 | グループセッションや座談会を行う時はテーマや流れなどを説明した資料 |
動画コンテンツ | 社員インタビューや自社オフィス・現場の様子など動画での説明が向く場合に準備する |
いずれのコンテンツも、説明会をよりよく理解できるか、参加者の興味を引いて志望度を高められるかを意識して作るとよいでしょう。
なお、スライド資料の作成はテンプレートを活用するのが便利です。人事ZINEでは、会社説明会に使えるテンプレート(PowerPoint)をご用意しました。これを用いることで、会社概要や事業内容といった必要な項目を漏れなく、わかりやすい流れで説明できます。以下のリンクからぜひ無料ダウンロードしてください。
スケジュール・日程の調整
オンライン説明会の日程と時間配分などを詳細に決めておきます。内容をまとめたのが以下の表です。
項目 | 内容 |
---|---|
開催日時 | 開催日時を調整して決める。 |
説明会のプログラム | 会社説明~経営幹部メッセージ~質疑応答などの流れを決めておく |
タイムスケジュール表 | 各テーマの時間配分や各質問にかける応答時間、休憩時間など |
これらはライブ配信型のオンライン説明会で特に重要です。日程調整やタイムスケジュールで難しい部分があれば、好きな時に視聴しやすい録画配信型を検討してみるとよいでしょう。
説明会への集客
オンライン説明会への集客施策も準備します。集客方法は基本的にはオフラインの説明会と変わりありません。代表的な方法は以下の通りです。
- 自社コーポレイトサイト
- 自社SNSアカウント(Facebook、X、YouTubeなど)
- 大学の研究室やキャリアセンターへの訪問
- 合同説明会やマッチングイベントでの告知
- オンライン、オフラインの広告(Web広告、SNS広告、新聞雑誌への広告掲載など)
- ダイレクトリクルーティングの個別メッセージでの誘導
このうち就活生へのアプローチで重要性を増しているのがSNSです。SNSを情報源にしている就活生は多く、オンライン説明会の開催を知るきっかけになっています。SNSは拡散力が高いため、潜在層にも知ってもらえるのがメリットです。
オンライン説明会の流れ
説明会の基本的な流れはオンラインでもオフラインでも同じです。以下に一般的なオンライン説明会の流れを示します。
順番・項目 | 内容 |
---|---|
1.会社概要の説明 | 会社概要、事業内容、組織体系など |
2.仕事内容の紹介 | 「どのような仕事をするか」「どのようなプロジェクトに参加する可能性があるか」など |
3.ビジョン・経営幹部メッセージ | 経営ビジョンや今後の事業の展望など |
4.先輩社員との交流・現場の声 | 先輩社員と参加者の質疑応答や交流など |
5.採用情報の解説 | 募集要項や今後の選考フローなど |
6.アンケート | 「どの事業に関心を持ったか」「自社は第何希望か」といった興味関心・志望度に関する情報など。また、「説明会はわかりやすかったか」「オンライン説明会と対面説明会のどちらを希望するか」など説明会への評価アンケートを実施することも |
オンライン説明会でハードルになりやすいのは、参加者とのやり取りが必要になる「先輩社員との交流・現場の声」と「アンケート」です。
しかし、先輩社員との交流・現場の声では、先述したようにチャット機能や、Zoom「オンラインルーム」のようなグループミーティング機能が使えます。上手に活用すれば、質疑応答やテーブル形式の座談会などを、対面に近い形で実現できるでしょう。
アンケートはWeb会議システムのアンケート機能を利用するか、「Google Forms」や「Microsoft Forms」などのWebアンケート先をURLで知らせる方法があります。
説明会の流れについて詳しくは下記ページで解説しています。
オンライン説明会を成功させるコツ
ここでは、オンライン説明会を成功させるコツとして、「オンラインのメリットを伸ばす」「選考への導線設計を意識する」「参加者を飽きさせないよう工夫する」「スムーズに参加できるようフォローする」の4つを解説します。
オンラインの利点を駆使する
オンラインだからこそできることを、積極的に実施していきましょう。録画配信型なら、いつでも好きなときに見られる点をアピールし、ハイライトのアーカイブ化を行ったり、SNSで発信したりすると効果的です。ライブ配信型は、リアルタイムでコミュニケーションできるからこそ可能なアンケートや質疑応答を、説明会の内容に盛り込みます。
そのほか、どこからでも参加できるというメリットを活かして、必要な要件を満たしている学生に対し、場所を問わず広く訴求するのも1つの手です。学生を退屈させないように、スライドや短時間の紹介動画なども積極的に活用しましょう。
選考への導線を作る
従来のオフラインで実施する会社説明会では、説明会の後すぐに筆記試験や面接を実施したり、アンケートを取って学生の情報や選考参加希望を確認したりして、次の選考へステップをつなげる工夫をしていました。
オンライン説明会の場合も、説明会で終わりではなく、参加した学生に次の選考へ進んでもらうため、エントリーを促す仕組みを作る必要があります。たとえば、紙のアンケートが配布できない代わりにオンライン会議ツールのアンケート機能を活用したり、チャット機能で説明会の途中にエントリーフォームを送付したりするなど、気軽に説明会に参加した学生をどのように選考へと誘導するか、しっかり考えましょう。
参加者を飽きさせないよう工夫する
オンライン説明会は対面型と比べて臨場感を演出しにくく、一方通行のコミュニケーションになりやすいため、参加者の注意力や集中力が途切れやすい傾向があります。そのため、飽きさせないためのコンテンツを挟むのが有効です。
具体的にはインパクトの強い動画を挿入したり、写真やイラスト、フリップなどの視覚情報を交えて説明したりする方法があります。録画配信型の場合は、テレビ番組のようにテロップを流して注意喚起するのも効果的です。
スムーズに参加できるようフォローする
オンライン説明会に不慣れな人が、参加エントリーで迷ったり、Web会議システムの操作に迷ったりしないように十分なフォローをすることが大切です。
事前準備としては、自社サイトで参加エントリーの方法を説明したり、Web会議システムの操作マニュアルなどを配布したりする方法があります。メールやチャット、電話による相談窓口を設けるとなお親切です。
当日のフォローとしては、「ミーティングルームに参加できない」「画面や音声が途切れる」といった参加者側の不具合に対応する連絡先を設けておくのがベターです。また、登壇者とは別に参加者からのチャットに対応するスタッフがいると、迅速にフォローできるでしょう。
まとめ
オンライン説明会が注目される理由やメリット・デメリット、成功させるコツなどについて解説しました。
たくさんの学生と非対面で出会えるオンライン説明会は、今後採用活動において定番の手段になっていくでしょう。
オンライン説明会を実施し、採用活動を成功させるには、オンラインで実施するからこその強みをうまく活用し、同時に、説明会後の学生の離脱を防ぐ工夫をすることが大切です。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひオンライン説明会を実施してみてください。
最後に、会社説明会のスライド作成には、こちらのテンプレート(PowerPoint)もご活用ください。