スカウトサービスのデメリットは?5つの注意点と利用メリットを解説
スカウトサービスはミスマッチの採用を防ぐ手段として効果的なサービスですが、初めて利用する場合は、どのようなデメリットがあるのか把握しておきたいものです。
少子高齢化の影響による労働人口の不足により売り手市場が続く今、ほしい人材に直接アプローチする能動的な採用手法は必須といえます。本記事では、候補者に直接アプローチできるスカウトサービスの種類を紹介したうえで、デメリットを解説します。さらにメリットや利用する際の注意点についても触れるので参考にしてください。
スカウトサービスの種類
スカウトサービスには多様なサービス形態があり、大きくわけると以下4つの種類になります。
- 求人サイトの大量配信メール
- 1人ずつ企業が配信するダイレクトスカウト
- AIなどで自動マッチング・配信型のスカウトサービス
- エージェントやヘッドハンターが送るスカウト
それぞれの特徴やメリット・デメリットを順番に紹介します。
①求人サイトの大量配信メール
- メリット:求職者へ一気に面でアプローチできる
- デメリット:すべての求職者が自社に合う人材ではない
代表的なスカウトサービスは、求人サイトのシステムから一括送信されるタイプのスカウトです。1回あたり数百通~数千通、同じ文面で大量のスカウトを一括送信する仕組みです。資格やスキル、希望する職種などがおおよそマッチする求職者に送られるため、一気に面でアプローチできるのはメリットといえます。
一括で効率的に大量配信できて工数がかからない反面、すべての求職者が自社にマッチした人材とは限らない点に注意が必要です。
②1人ずつ企業が配信するダイレクトスカウト
- メリット:自社に合った人材を狙ってスカウトできる
- デメリット:多くの人材を集めることには不向き
ダイレクトスカウトとは、企業や人事担当者などが、自社にマッチする人材へ直接メッセージなどを送って選考につなげる採用手法です。従来は、求人広告を出して応募を待つのが一般的な採用方法でした。売り手市場となり、ただ待ち続けるだけでは応募が集まらなくなったため、企業が能動的に母集団形成を行うダイレクトスカウトが流行し始めました。
また、インターネットの普及により、さまざまなサービスがスマホなどの端末で簡単に利用できるようになったことも後押しし、ダイレクトスカウトサービスが普及しています。ダイレクトスカウトは、自社に合った人材を狙って声掛けできるメリットはありますが、多くの人材をスピーディーに集めることはやや難しいといえます。
③AIなどで自動マッチング・配信型のスカウトサービス
- メリット:工数を大幅に削減できる
- デメリット:自動マッチングにずれが出る可能性もある
スカウトサービスの3つ目は、AIなどの自動マッチングや、システムによる自動メッセージ配信によるサービスです。先ほど紹介したダイレクトスカウトでは、企業がデータベースから対象者を探したりメッセージを作成したりする工数がネックとなっていました。この課題を解決するために、簡単に対象者を絞り込む機能や、メールが自動で配信される仕組みを搭載したスカウトサービスが増えてきました。
AIによる自動マッチング機能を用いれば、AIが自社にマッチしそうな人材をおすすめしてくれるため、人事の工数も大幅に削減できます。スカウト文面を考える必要もなく、いくつかの項目を選択するだけで、簡単にスカウトメールを自動で作成・配信してくれます。ただし、AIの出したマッチング対象者が希望とずれている可能性もあるため、注意が必要です。
④エージェントやヘッドハンターが送るスカウト
- メリット:自社に代わってエージェントが直接スカウトしてくれる
- デメリット:エージェントやヘッドハンターは中途採用が主流
企業に代わってエージェントやヘッドハンターが、自社に合った人材に対し直接スカウトメールを送る方法です。転職サイトの中には、エージェントやヘッドハンター向けのスカウトサービス枠も存在します。
最近では転職サイト経由でのスカウトメールにとどまらず、LinkedInやTwitterなどSNS経由でスカウトメールを打つエージェントも増えています。エージェントサービスやヘッドハンターからの紹介を利用する企業は、間接的にこれらのスカウトメールを利用していることになります。
スカウトサービスのデメリット
スカウトサービスの種類など全体像がわかったところで、改めてスカウトサービスのデメリットを見ていきましょう。スカウトサービスの主なデメリットは以下の通りです。
- 作業工数がかかる
- ライティング力やマーケティングスキルが必須
- スカウト対象者の絞り込みが難しい
- コストがかかる
- ライバルが多い
それぞれのデメリットについて解説します。
作業工数がかかる
スカウトサービスを利用するデメリットとして、代表的なのが作業工数がかかることです。
スカウトサービスは、以下のような流れで行われます。
- スカウトサービスを探す
- スカウトサービスの提供先と契約をする
- データベースを閲覧し対象者を探してグルーピングする
- スカウトメールの本文を複数作成する
- スカウトメールの送付と返信対応をする
スカウトメールの返信は平日だけとは限りません。返信が土日や夜遅くにきた際の対応も必要です。スカウトサービスの利用を検討する際は、導入後に作業時間を確保できるか慎重に判断をしましょう。
ライティング力やマーケティングスキルが必須
スカウトメール配信の際にテンプレばかり使用してしまうと、候補者の興味を引くことが難しくなってしまいます。スカウトサービスを利用するためには、魅力的な文面を作成するライティング力や、適切な対象者にターゲティングを行ってスカウトメールを配信するマーケティングスキルが必須です。
スカウトメールを配信する際、採用ターゲットとなる対象者が少ない場合は、1人の登録者に複数回にアプローチを行う場合があります。その際、文面を変えたり、2~3回目以降のスカウトに「書類選考不要」などのアピールポイントを追加したりするなど、段階的なアプローチ計画を立てていきます。ただ単純に同じ文面をばらまくのではなく、1回目、2回目のメール文面を書き分けるテクニックや、メール配信のマーケティング知識があると安心でしょう。自社でスカウトメールを内製化するのに自信がなければ、スカウトサービスの利用を外注する方法も検討すると良いでしょう。
弊社YouTubeチャンネルでは、「求人広告・スカウト文面のワークシート」をもとに、効果的なスカウト文面の作り方について解説した動画を公開しています。10分程度でご覧いただけますので、よろしければご活用ください。
スカウト対象者の絞り込みが難しい
スカウトする対象者の、大学名や住むエリア、キーワードなど複数項目で検索していくため絞り込みが難しいというデメリットもあります。
条件を絞り込みすぎると、スカウト対象者がいなくなってしまうことも少なくありません。結果として、作業工数が増えることにもつながるでしょう。
利用するスカウトサービスによっては、ログイン時間が直近でない候補者も検索にかかってしまうこともあります。条件が合ったとしても、ログイン頻度が少ない候補者にスカウトメールを送るのかも悩みどころです。
コストがかかる
スカウトサービスにはコストがかかることもデメリットといえるでしょう。スカウトサービスにかかる費用は、主にメールの本数や採用人数、使用期間によるものです。SNSを活用したダイレクトスカウトを行う場合は費用はかかりませんが、SNSには仕事探しをしていない潜在層も多く含まれるため注意が必要です。
ライバルが多い
労働人口が減少している昨今では、自社に合った人材確保のため能動的な採用スタイルであるスカウトサービスの利用を導入する企業が増えています。そのためライバル企業が多く、候補者のもとに大量のスカウトメールが届いてしまうデメリットもあります。
ライバル企業よりも自社に魅力を感じてもらわなければ優秀な人材を採用できません。他社と差別化できる、魅力的で特別感のあるスカウトメールをいかに作成できるかが重要です。
スカウトサービスのメリット
スカウトサービスのデメリットを先に確認しましたが、使い方のコツや注意点を押さえれば、多くのメリットも得られます。スカウトサービスの代表的なメリットは以下の通りです。
- 狙った人材に直接アプローチできる
- 応募率や採用率を高められる可能性がある
- マッチング機能で業務効率化できる
- 潜在層にもアプローチできる
- 自社認知を高められる
それぞれのメリットについて解説します。
狙った人材に直接アプローチできる
スカウトサービスの最大のメリットは、自社が狙った人材に直接アプローチできることです。求人情報を新卒ナビサイトに掲載したり、合同企業説明会に参加したりしながら候補者の応募を待つのではなく、自ら狙った人材に直接声掛けできるのが強みです。
少子高齢化による労働人口の減少により就活は売り手市場になっています。繰り返しになりますが、待つ採用スタイルでは人材の確保が難しくなっているのです。また受身スタイルの採用では、採用ターゲット外から応募があった際も対応しなければなりませんが、スカウトサービスではターゲットをしっかり選別してアプローチが可能です。
応募率や採用率を高められる可能性がある
スカウトサービスは、応募率や採用率を高められる可能性があるのもメリットです。スキルや知識がある候補者でも、「自分から応募したら落とされたら嫌だな」と感じて応募を躊躇していることもあります。
応募するか躊躇している候補者に、企業からスカウトメールを送り歓迎の気持ちを伝えて応募を後押しできれば、応募率を上げることができます。応募率が上がった分、採用決定率も高められる可能性があるでしょう。
マッチング機能で業務効率化できる
スカウトサービスに搭載されているマッチング機能を利用すれば、スカウト対象者探しを効率化できるのもメリットです。利用するスカウトサービスによりますが、登録者のデータから自社に合いそうな人材を紹介してくれる、マッチング機能を利用できるサービスもあります。
前述したようにスカウト対象者の絞り込みは難しく、工数がかなりかかる作業です。マッチング機能を利用すれば、スカウト対象者の絞り込み作業を効率化できます。ただし、必ずしも自社に合った人材だけがマッチングされるわけではないので注意が必要です。
潜在層にもアプローチできる
スカウトサービスの利用は、潜在層にアプローチできることもメリットといえます。「志望業界が固まっていない」「まだ就職・転職をするか決めかねている」という候補者に対してスカウトメールを送ってコミュニケーションの機会を得ることで、潜在的な候補者を開拓できるでしょう。
「今すぐ貴社に入社したいです」とはっきり意思表示をしてくれる顕在層の数は限られています。いかに潜在層にアプローチをして、動機づけを行い、母集団形成ができるかが重要です。中長期的な目線で考えると、コツコツとスカウトメールを配信して、自社に興味をもってくれる人材をプールしていける点はスカウトサービスの利点といえるでしょう。
自社認知を高められる
スカウトサービスを利用することで、自社の認知度を拡大できるメリットもあります。スカウトメールを送ってすぐに応募に至らなかったとしても、メールを通して自社を知るきっかけづくりが可能です。ただ待っているだけの採用手法では、候補者が積極的に情報を探さない限り、自社のことを認知してもらえないかもしれません。大前提として認知がなければ、応募の検討もしてもらえないのです。
スカウトサービスを使う際の注意点とコツ
ここまでの章で、スカウトサービスの種類や利用時のデメリット・メリットを説明してきました。最後に総括として、スカウトサービスを利用する際の注意点を5つ解説します。
- スカウト配信の仕組みで選ぶ
- スカウト担当を検討する
- 課金スタイルを確認する
- プロのライターにメール文作成を依頼する
- 採用条件を絞り込みすぎない
順に詳細を見ていきましょう。
スカウト配信の仕組みで選ぶ
スカウトサービスは、メール配信の仕組みで選びましょう。スカウトメールには一括で送るだけのサービスや、OfferBoxのようにスカウト送信数に上限枠が決められているものなど、それぞれルールが異なります。
- 検索画面の絞り込み項目
- 検索マッチング機能の有無
- スカウトメールのテンプレートの有無
- スカウト送信数
- スカウト受信数の制限有無 など
実際のデモ画面を見ながら、使い勝手がいいか確認してからスカウトサービスを選ぶようにしましょう。
スカウト担当を検討する
スカウトサービスを利用する際は、スカウトを送る担当者を事前に決めなくてはなりません。
スカウトの業務は決して楽ではなく、片手間ではできません。しかし、社内や上司からはスカウト業務への理解を得られないケースもあります。本来ならスカウト業務に集中する必要があるにも関わらず、他業務も任されている場合、どちらの業務にも集中できなくなる危険性があります。
- スカウト対象者の絞り込み
- スカウトメール文の作成
- スカウト送信後の応募者対応
上記のすべての工数をしっかり計算し、社内リソースを確実に確保するようにしてください。場合によっては、スカウト業務のみアウトソースすることも検討しましょう。
課金スタイルを確認する
スカウトサービスのデメリットでも説明したように、スカウトサービスには費用がかかります。各社さまざまな形態があるので、どのような課金スタイルなのかを確認したうえで契約しましょう。
課金スタイルには、登録している学生にダイレクトでスカウトメールを送るサービスでは「月定額制」と「従量課金制」があります。当然、料金は各会社によって異なりますが、相場料金は以下の通りです。
- 月定額制:3万円前後
- 従量課金制:メール1通につき1,000~1,500円前後
また、採用が決まった際の料金にも課金スタイルがあり、「定額報酬型」と「成功報酬型」の2種類が一般的です。料金相場は以下となっています。
- 定額報酬型:年間60~100万円前後
- 成功報酬型:初期費用30万円前後 + 1人当たり30~40万円前後
定額報酬型では、2名採用しようが4名採用しようが費用は変わりません。2名なら1人あたり30〜50万円、4名なら1人あたり15〜25万円の費用がかかったことになります。
一方、成功報酬型の場合は、以下のように費用が大きくなるので注意が必要です。
- 2人採用出来た場合:初期費用30万円 + 2人 × 30〜40万円=90〜110万円(1人あたり45〜55万円)
- 4人採用できた場合:初期費用30万円 + 4人 × 30〜40万円=150〜190万円(1人あたり37.5〜47.5万円)
課金スタイルによって大きくかかる費用が異なるので、採用したい人数などを考慮して検討しましょう。
プロのライターにメール文作成を依頼する
スカウトメールはテンプレではなく、学生の目を引く魅力的なメール文をつくり込む必要があります。メール文をつくるときは、候補者のプロフィールを読み込んで文章を作成するなど、作成方法をしっかり理解してから進めましょう。メール文の作成をプロのライターや、採用コンサルタントなどにアウトソースすることもひとつのテクニックです。
採用条件を絞り込みすぎない
採用条件を絞り込みすぎてしまうことにも注意が必要です。自社にマッチする人材を探すため、条件を絞り込みたい気持ちは理解できます。ただ、絞りすぎてしまうと対象者がいなくなってしまい、まったくスカウトを送れなくなるケースも少なくありません。
スカウトを送る際は完璧な条件の人材ばかりに注力せず、ある程度幅広い対象者にスカウトしていく姿勢も大切です。
まとめ
スカウトサービスは、企業から積極的に候補者にアプローチができる有効な採用手法です。一口にスカウトサービスと言っても、一括送信タイプやダイレクトスカウト型など種類があるので、それぞれの特徴やデメリットを理解して利用しましょう。
スカウトサービスをうまく活用していけば、採用ミスマッチを防いだり、潜在層にアプローチできたりするなど多くのメリットがあります。今後の採用計画に、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。