インターンシップのやり方とは?企業向けに企画・募集・実施の流れを解説
インターンシップを実施したいと考えていても、「どのように企画すればよいか分からない」「学生にとって魅力的な内容を設計できていない」「実施後のフォローまで手が回らない」といった課題を抱える企業も多いでしょう。インターンシップは、単なる体験機会ではなく、その後の採用の成果にも影響する重要な施策です。
本記事では、インターンシップを実施する目的を整理したうえで、企画・募集・実施までの具体的な流れを解説します。あわせて、成功のポイントや法的な注意点についても紹介します。
人事ZINEでは、人事・採用担当者の方に向けて「学生を惹きつけるインターンシップの作り方 開催後のフォロー対策も紹介」をご用意しております。インターンシップの実施可否の判断から、学生に響くコンテンツ設計、実施後のフォローまで整理しています。インターンシップを採用につなげたい方は、ぜひご活用ください。

目次
企業がインターンシップを行う目的

インターンシップは、学生と早い段階で接点を持ち、企業理解を深めてもらうイベントです。採用広報の一環として活用するだけでなく、相互理解を深め、採用ミスマッチを防ぐ役割もあります。ここではインターンシップの主な目的を紹介します。
①早期に学生と接点を持つため
インターンシップを行う目的の1つは、学生と早い段階で接点を持つことです。
近年は、大学3年生の夏からインターンシップに参加する学生が多く、弊社i-plug株式会社の2025年9月調査では、2027年卒学生の80.7%が「すでに参加した」または「9月末までに参加予定」と回答しています。さらに、参加社数は「2社〜5社」が66.5%で最多となっており、2社以上参加した学生は全体の91.3%に上ります。学生は早期から複数社を比較しているため、夏期インターンシップは最初の接点をつくる場として位置づける必要があります。
この段階で接点を持てれば、自社を候補の1つとして認識してもらうことが可能です。本選考より前に関係を構築しておくことが、その後の母集団形成にもつながります。
②情報提供・採用ブランディングのため
インターンシップには、学生に対して具体的な情報を提供し、自社の魅力を伝える役割があります。
企業説明だけでは伝わりにくい仕事内容や働く環境も、業務体験や社員との交流を通じて伝えることが可能です。企業側にとっては、事業内容だけでなく、「どのような人が働いているのか」「どのような雰囲気の職場なのか」を学生に知ってもらえる場になります。
実際に、同調査ではインターンシップ参加をきっかけに「志望度は上がった」と回答した学生が78.5%で最多でした。また、参加した企業のなかで本選考に進もうと思った企業が「あった」と答えた学生は89.0%に上っています。企業理解を深める場として機能すれば、採用ブランディングにもつながります。
③採用ミスマッチを防ぐため
インターンシップは、採用ミスマッチを防ぐための機会でもあります。
学生は、求人票や採用サイトだけでは、実際の仕事や職場の雰囲気を十分に把握できないことも普通です。一方、企業側も、短時間の面接だけで学生の志向や適性を見極めるのは簡単ではありません。インターンシップを通じて相互理解を深めることで、入社後のギャップを小さくできます。
特に、業務体験や社員との対話があるプログラムでは、学生が「自分に合う環境かどうか」を判断することが可能です。企業側にとっても、「どのような学生が自社に関心を持ち、どのような場面で魅力を感じるのか」を把握できます。
企業側がインターンシップを企画・実施するまでの5つのステップ

インターンシップは、目的が曖昧なまま進めると、内容や集客の方向性がぶれやすい施策です。成果につなげるには、目的、ターゲット、プログラム、集客、実施後のフォローまでを一貫して設計する必要があります。ここでは、企業がインターンシップを企画・実施する際の流れを、5つのステップに分けて整理します。
1.インターンシップの目的・計画を決める
インターンシップ実施目的の例
インターンシップの目的は、企業の採用課題によって異なります。例えば、知名度が高くない企業であれば、まずは企業理解を深めてもらうことが主な目的でしょう。一方で、IT系職種や研究開発職のように競争が激しい領域では、夏から秋の段階でターゲット層と接点を持つことを重視するケースもあります。
最初に整理しておきたいのは、「このインターンシップが採用活動のどの段階を担う施策なのか」という点です。
【具体例】
- 企業認知の向上
- ターゲット学生との早期接点の確保
- 自社への志望度向上
- 本選考に向けた母集団形成
- 学生の適性や価値観の把握
インターンシップのターゲット選定の例
目的を整理した後は、「どのような学生に参加してほしいのか」を具体化します。ターゲットが曖昧だと、募集方法もプログラム内容も絞り込みにくくなりがちです。
また、単に「主体性がある学生」とするのではなく、「自主的に課外活動をしている」「長期留学経験がある」といった行動特性まで落とし込むと、対象像がより明確になります。ターゲットが定まると、募集媒体や訴求内容、プログラムの難易度まで一貫して設計できます。
【具体例】
- 理系学生(情報・機械・電気など)
- 営業志向が強い学生
- 成長志向の高い学生
- 地方大学の学生
- 特定の学部・研究テーマを持つ学生
2.インターンシップのプログラムを設計する
①実施期間
インターンシップの期間は、「認知獲得を目的にするのか、志望度向上を目指すのか、あるいは適性を見たいのか」といった目的によって異なります。
また、採用活動を見据える場合は、三省合意に基づく類型も踏まえる必要があります。採用活動で取得情報を活用できるのは、一定の条件を満たした「タイプ3」「タイプ4」です。制度上の位置づけも確認したうえで設計することが求められます。
【具体例】
- タイプ1:主に1dayで企業説明、簡易ワーク中心
- タイプ2:課題解決型ワーク、理解深化
- タイプ3:5日以上または2週間以上で実務に近い業務体験
- タイプ4:継続的な業務参加、適性把握
②プログラム形式
プログラム形式は、「学生に何を伝えたいのか、企業側が何を見たいのか」によって決めます。特にグループワークは多くの企業で採用されていますが、課題設計や評価観点が曖昧だと、単なる発表で終わる可能性があります。
そのため、形式を決める際は、「どの能力や特性を見るのか」まで整理しておくことが大切です。
【具体例】
- 企業説明:事業内容や仕事内容の理解促進
- 社員座談会:社風や働く人の理解促進
- グループワーク:論理思考力、協働性の確認
- ケーススタディ:問題解決力の確認
- 業務体験:実務適性の確認
3.インターンシップの参加学生を募集する
プログラム内容が固まったら、次は参加学生の募集です。ここでは、募集媒体を選ぶだけでなく、「どの学生に、どのような内容を届けるのか」まで設計します。
【具体例】
- 就職ナビサイト(マイナビ、リクナビなど)
- ダイレクトリクルーティングサービス
- 大学キャリアセンター
- SNS(X、Instagramなど)
- 自社採用サイト
近年は、ナビサイトだけでなく、スカウト型サービスやSNSを活用した募集も増えています。近年は企業規模・業種を問わずSNSを通じて学生へ直接情報発信するケースも珍しくありません。
「幅広く母集団を集めたいのか、特定のターゲット学生に絞ってアプローチしたいのか」によって、適した方法は変わります。実際には、1つの媒体だけで完結させるのではなく、複数を組み合わせて設計するケースが一般的です。
4.インターンシップを実施する
募集が完了したら、設計したプログラムに沿ってインターンシップを実施します。実施段階では、内容だけでなく、「学生にどのような体験として受け取ってもらいたいか」まで意識しましょう。満足度や志望度に影響するのは、プログラムのテーマだけではなく、社員との接点や進行の分かりやすさ、参加後に得られる納得感です。
特に新卒向けのインターンシップでは、学生が「この会社で働くイメージを持てたか」が大きな分かれ目になります。社員との座談会や業務理解につながるワークなど、仕事のイメージが具体化する要素を組み込むことがポイントです。
また、募集時に訴求していた内容と、当日の説明や体験内容にずれがあると、学生に違和感が生まれます。登壇者や担当者の間で事前に認識をそろえ、伝える内容に一貫性を持たせておくことも欠かせません。
5.学生にフィードバックを行う
インターンシップは、実施して終わりではありません。参加後に学生へフィードバックを行うことで、満足度の向上だけでなく、その後の本選考へとスムーズに移行してもらいやすくなります。特に、グループワークや業務体験を含むプログラムでは、参加中の行動や発言に対して具体的にコメントを返すことに意味があります。
フィードバックの方法としては、個別コメント、全体講評、選考案内とあわせたメッセージなどが考えられるでしょう。内容としては、良かった点と改善点の両方を整理し、できるだけ行動ベースで伝えるのが有効です。
フィードバックは単なる評価の通知ではなく、企業との関係を深める手段でもあります。参加後の印象は、その後の応募意向や志望度にも影響するため、実施後の対応まで含めて設計しておくことが大切です。
インターンシップ採用を成功させるポイント

インターンシップ採用を成果につなげるには、プログラムを実施するだけでは不十分です。「学生が何を見て志望度を高めるのか」「どのような体験を通じて本選考に進むのか」を踏まえ、内容とフォローの両方を設計する必要があります。ここでは成功のポイントを紹介します。
①社内の雰囲気を掴んでもらう
インターンシップでは、仕事内容だけでなく、社内の雰囲気も重要な判断材料になります。

出典:i-plug株式会社「【27卒学生対象】夏期インターンシップに関する調査(2025年9月)」
弊社i-plug株式会社の調査では、夏期インターンシップに参加した企業のうち、本選考に進もうと思った理由として「職場の雰囲気の良さ」が77.1%で最多でした。「事業内容」を上回っており、学生が「どのような人が働いているか」「自分に合う空気感か」を重視していることが分かります。
インターンシップでは企業説明だけで終わらせず、社員との座談会や少人数での対話、現場社員との接点を設けることが有効です。学生は複数社のインターンシップに参加して比較しているため、自社ならではの雰囲気やコミュニケーションの特徴を体感してもらう設計が求められます。
②実際に働くイメージを掴んでもらう
インターンシップ採用では、学生に実際の働き方をイメージしてもらうことも欠かせません。

出典:i-plug株式会社「28卒 新卒採用 市場予測レポート」
i-plug株式会社の調査では、学生が夏インターンで参加したいプログラムとして「仕事体験」が65.2%で最も高く、次いで「企業説明会」が55.9%、「職場見学」が48.4%でした。学生は情報収集だけでなく、仕事や職場を具体的に知る機会を求めていると読み取れます。
そのため、プログラム設計では、説明だけでなく仕事理解につながる要素を組み込むことが重要です。例えば、「実際の業務に近いワークを入れる」「若手社員が1日の流れを紹介する」「業務動画で働く様子を見せる」といった方法が考えられます。また、残業や繁忙期の実態なども必要に応じて伝えることで、入社後のギャップを抑えやすくなります。仕事体験と説明会の両方にニーズがあるため、複数のコンテンツを組み合わせた設計が有効です。
③適切な評価・フィードバックを伝える
インターンシップ後の評価やフィードバックも、採用の成功に影響します。
学生にとっては、「参加後に何を評価されたのか」が分かることで、企業理解だけでなく自己理解も深まります。企業側にとっても、「どの点を見ていたのかを伝える」ことで、選考基準への納得感を持ってもらいやすくなります。
フィードバックでは、抽象的な評価だけで終わらせず、行動ベースで伝えることがポイントです。例えば、「議論の整理が早かった」「周囲の意見を引き出していた」「結論に至るまでの考え方が明確だった」といった具体的な伝え方がよいでしょう。全員に個別コメントを返すのが難しい場合は、全体講評に加え、印象的だった行動例を共有する方法もあります。
④選考に向けたフォローを行う
インターンシップ参加後は、本選考に向けたフォローまで設計しておくことが大切です。
前述の通り、インターンシップ参加をきっかけに「志望度は上がった」と回答した27卒学生は78.5%で、本選考に進もうと思った企業が「あった」と答えた学生も89.0%でした。インターンシップ後の継続的な関係構築は、その後の応募行動に影響していると考えられます。
そのため、実施後はお礼メールだけで終わらせず、次回案内、面談、追加情報の提供などを行い、関係を継続することが必要です。
インターンシップの法的注意点

インターンシップは学生との早期接点や採用ブランディングの重要な手段ですが、法令順守や契約対応を怠るとトラブルや信用失墜につながるリスクがあります。ここでは、企業が押さえておくべき主要な法的注意点を整理します。
有給・無給インターンの違いと法的扱い
インターンシップは「有給」と「無給」で法的な扱いが異なります。
| 区分 | 内容 | 適用される法規制 |
| 有給インターン | 学生に労働の対価として賃金を支払う | 労働基準法が適用。労働契約書の締結や、労働時間管理、最低賃金遵守が必要。 |
| 無給インターン | 教育・職業体験を目的とし、労務の提供を伴わない | 原則賃金不要。ただし実質的に労働と判断される場合は法的リスクが発生。 |
プログラム内容が「教育中心」か「労働中心」かで法的取り扱いが変わるため、注意しましょう。
契約書・誓約書の取り交わし
情報漏洩や知的財産保護の観点から、契約を事前に交わしておくことが重要です。
【ポイント】
- 秘密保持契約(NDA)の締結
- 個人情報や顧客データの取り扱いルールの明示
- インターン終了後の情報持ち出し制限
インターンでトラブルがないように、学生とどのような契約を結ぶか検討しましょう。
ハラスメント・職場環境への配慮
学生にとってインターンシップは企業文化を体感する場でもあります。パワハラ・セクハラ防止の観点から、以下の対策を取ることが望まれます。
- メンターや現場担当者への事前研修
- 相談窓口や連絡体制の整備
- 不適切な対応を防ぐための行動指針の明文化
企業の信用を落とさないために、事前に対策しておくことが重要です。
まとめ

インターンシップは、学生との早期接点の創出や企業理解の促進、採用ミスマッチの防止につながる重要な施策です。目的やターゲットを明確にしたうえで、プログラム設計から実施、フォローまで一貫して設計することが求められます。
また、学生が実際に働くイメージを持てる内容にすることや、適切なフィードバックを行うことが、本選考への応募や志望度向上につながります。あわせて、法的な観点や職場環境への配慮も欠かせません。
人事ZINEでは、「学生を惹きつけるインターンシップの作り方 開催後のフォロー対策も紹介」をご用意しております。魅力的なプログラム設計や実施後のフォロー方法を具体的に整理しており、採用成果につなげるためのヒントとして活用できます。インターンシップの設計や改善を進めたい方は、ぜひご活用ください。

