【企業向け】インターンシップにおすすめの内容・参考事例を種類別に紹介

インターンシップは学生のキャリア形成を支援する取り組みであると同時に、企業にとっては求める人材の確保や精度の高いマッチング、また採用ブランディング強化にもつながる重要な取り組みです。
こういった目的を達成するには、企業側にとって意義があり、学生にも満足してもらえる内容を選ぶことが欠かせません。本記事では近年のインターンシップをめぐる主要な動きを振り返りつつ、おすすめの内容例を開催期間ごとにいくつか紹介します。また、インターンシップのプログラム内容を企画・設計する際のポイントも触れたうえで、魅力的なプログラムを用意している企業事例も紹介します。
人事ZINEでは「学生を惹きつけるインターンシップの作り方 開催後のフォロー対策も紹介」を用意しております。「インターンシップを開催すべきか迷っている」「学生に響く内容が分からない」といった方に向けて、魅力的なインターンシップを設計するためのポイントや開催後のフォローまで丁寧に解説しております。インターンシップの内容を検討するにあたってヒントをお探しの方はぜひご活用ください。

近年のインターンシップの動向

インターンシップの内容を企画する際は、近年のインターンシップをめぐる動きを把握しておく必要があります。ここでは、採用直結型インターンシップの流れや企業の動きをデータで紹介します。
採用直結型インターンシップの活用
2022年に政府より発表されたインターンシップの基本的考え方に関する資料では、キャリア形成支援の取り組みが以下の4つに分類され、そのうちタイプ3とタイプ4がインターンシップであると示されました。
- タイプ1:オープン・カンパニー
- タイプ2:キャリア教育
- タイプ3:汎用型能力・専門活用型インターンシップ
- タイプ4:高度専門型インターンシップ
出典:「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」
従来、インターンシップで取得した学生の情報を採用活動に用いることは困難でしたが、一定の要件を満たせばインターンシップで得た学生の情報を採用活動にも活用してよいとされ、「採用直結型インターンシップ」の取り組みを後押しするきっかけとなりました。
なお、タイプ3は以下の要件を満たす必要があります。
- 就業体験を必ず伴うこと
- インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場での職業体験に充てること
- 汎用的能力活用型では5日間以上、専門能力活用型では2週間以上の実施期間が必要であること
インターンシップを実施している企業の割合
リクルート就職みらい研究所「採用活動中間調査 データ集 2025年卒」によると、2026年卒学生を対象にした「インターンシップ等のキャリア形成プログラム」を実施予定の企業の割合は45.8%でした。特に「タイプ3」の割合が多く、実施予定企業のうち47.7%の企業が実施予定という結果です。一方、タイプ4の実施を予定している企業は2.2%でした。
なお従業員規模別に見ると、実施予定であると回答していた割合は、1,000人以上の企業は65.5%である一方、300人未満の企業では38.2%にとどまりました。
インターンシップの実施時期
前掲「採用活動中間調査 データ集 2025年卒」によると、タイプ3の実施時期で最も多いのは8〜9月でした(それぞれ62.1%、42.4%)。
学生側としては、夏休みで予定を入れやすく、また就職活動への意識が高まってくるタイミングです。なお外資系企業の場合は、夏前にオープンになる「本選考のエントリー」に備えて、ゴールデンウィーク頃からインターンシップを実施するケースもあります。
またタイプ1、タイプ2についても8〜9月がピークで、次が12月という結果です。
いずれのタイプも3年生の夏休み、次点で冬休みに動きが活発であることが分かります。
インターンシップでおすすめの内容例

インターンシップの内容を企画する際には、期間に応じて内容を設計しましょう。以下に、数日間、5日以上、長期間といったインターンシップのそれぞれのケースについて、具体的な内容の例を解説します。
数日間のインターンシップの内容例
数日間の場合は、短期間のなかで就業体験や専門性を発揮してもらう内容は難しいため、業界事情・仕事内容や企業文化・職場の雰囲気を知ってもらうプログラムが向いています。例えば、「学生に向けて業界事情やトレンド、自社情報をセミナー形式で伝える」「特定の職種への理解を深めるために簡易的なワークショップを用意する」といったものが考えられます。
【プログラム例】
1日目
- 企業説明
- オフィスツアー
- 業界事情や仕事内容についてのセミナー
2日目
- ビジネス課題に関するグループワーク
- グループワークの成果発表
- 社員からのフィードバック
ワークショップでは、以下のようなテーマも考えられるでしょう。
- 現役社員との座談会
- ビジネスアイデアコンテスト
- 新商品開発体験
5日間以上のインターンシップの内容例
5日間以上のプログラムの場合、業界事情や仕事内容の説明にとどまらず、実践的な内容を組み込むことが可能です。実際の業務を数日間にわたって体験してもらうプログラムを用意すれば、学生には業務内容や仕事の魅力を深く理解してもらい、充実度・満足度を高めやすくなります。
また、5日間以上であればキャリア形成支援の取り組みのうちタイプ3の要件の一部を満たし、採用直結型インターンとして実施することもできます。この場合、学生には業務を体験して仕事の理解を深めてもらう一方で、企業側は学生の態度やスキルを評価し、今後の採用選考に活用することも考えられるでしょう。
以下は、Webマーケティングをテーマにしたインターンシップのプログラム例です。
【プログラム例】
Webマーケティング体験プログラム
1日目
- Web業界について、ビジネスモデルや近年の業界動向を講義
- 広告手法やブランディングといったWebマーケティングの基礎知識を講義
2〜3日目
- 少人数のグループ決め・アイスブレイク
- 「ECサイトの売上アップ」という目標の共有
- 自社オウンドメディアやその流入アナリティクスデータ、インターネット広告でのパフォーマンスといったデータをもとに、現状の課題分析
- 市場調査やターゲット分析
4日目
- プロモーション戦略やCV最適化施策の検討
- 具体的なビジネスプランの策定のとりまとめ
5日目
- グループごとに、課題分析や目標達成に向けたプランをプレゼンテーション
- 他の参加者や社員によるフィードバック
- 座談会
長期間のインターンシップの内容例
2週間から数ヶ月程度といった長期間のインターンシップでは、学生に現役社員と同様の業務を体験してもらうことが可能です。
学生にとっては業界知識やスキルの獲得につながり、将来的なキャリア形成の材料になります。企業側にとっては、自社が求める人材を早い段階で発掘・育成でき、学生による新しい視点・アイデアを取り入れることも可能です。また、長期間現場で働いてもらい、双方のマッチングの精度を高める効果もあります。
長期間のインターンシップのプログラムを検討する際は、こういった「学生の育成・成長」「学生によるフィードバックの活用」「双方のマッチング」といったポイントを認識してプログラムを組むのが手です。
2週間以上のインターンシップの場合、企業のキャリア形成支援の取り組みとして「タイプ3」(専門活用型インターンシップ)の一部要件を満たし、採用直結型インターンとして活用する方法もあります。
【プログラム例】
社内システム実装体験プログラム
1週目
- 企業説明・社内見学・運営メンバーの紹介
- IT基礎研修(プログラミング基礎、開発環境セットアップ、業務ツールの使い方)
- 簡単なタスクを通じて業務環境に慣れる
2〜3週目
- 小規模なプロジェクトにて仕様書の理解やドキュメント整理
- エンジニア社員の開発サポート
- テストプログラムの作成
4〜6週目
- 自社内システムにおいて一部機能の新規実装
- 設計〜開発・テスト、テスト環境実装まで
- 随時、エンジニア社員によるコードレビューや進捗確認
7週目
- 最終成果発表
- 成果物・現状スキルや今後の成長に向けた取り組みについてフィードバック・アドバイス
インターンシップ内容を企画・設計する際のポイント

インターンシップの内容を企画・設計する際は、ターゲット像や目的を明確にすることが重要です。以下では、企画・設計にあたってのポイントを解説します。
ターゲット像を明確にする
インターンシップの成功には、ターゲット像を明確にすることが第一歩です。
「自社をそれほど知らない潜在層」と「自社を認知している準顕在層」では、それぞれインターンシップの方針は大きく異なります。またインターンシップの現場では、参加する学生のスキルレベルとプログラムにギャップがあり進行が難しいというケースも珍しくありません。ミスマッチを避けるには、参加学生のスキルレベルや専攻分野といった属性を事前に明確にし、それに合ったプログラムを設計することが重要です。
ターゲット設定にあたっては、目的から逆算する方法が考えられます。仮にインターンシップの主な目的が「直接的な母集団形成」である場合、募集する職種に関連するスキルを持つ人材をターゲットとするのが一般的です。例えば、マーケティング職の採用を目的とする場合、データ分析や市場調査に興味がある学生を対象にしたプログラムが適しています。
インターンシップの目的を整理する
1つ目と関連して、インターンシップの目的を事前に整理し、関係者間で共有しておくことも大切です。
採用ブランドの向上を目的としている場合、必ずしも直接的な母集団形成を目指す必要はありません。一方で、採用直結型のインターンシップの場合、参加者が選考に進んでもらうことを目指すため、エントリーへの導線設計が不可欠でしょう。また、採用要件を整理し、ターゲット人材が集まるような企画を検討することも必要です。
このように目的が違うとインターンシップのテーマ選び・プログラム設計に大きく影響するため、関係者間での合意形成は欠かせません。
目的に合う内容・形式・期間を検討する
ターゲット像とインターンシップの目的が明確になった段階で、目的に合った内容・形式・期間を検討します。
例えば、企業の認知度向上を目的とするインターンシップであれば、企業・職種紹介が適しているかもしれません。一方で、採用直結型インターンシップであれば、現場実習型や研修型の内容にして、5日以上、場合によっては数週間の長期にわたるプログラムが効果的です。
プログラムには短期体験型、研修型、長期実習型、オンライン型などさまざまなタイプが存在し、それぞれ最適な目的や期間が異なります。コンセプトに応じて最適な形を選ぶのがポイントです。

インターンシップの企画に参考になる事例

インターンシップを企画する際は、他者の事例を参考にすると良いヒントが見つかることがあります。ここでは豊富なラインナップを用意している2社のプログラム例を紹介します。
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、学生のスキルやキャリア志向に合わせた多彩なインターンシッププログラムを用意しています。1Dayの短期プログラムから5日以上の実践型プログラム、さらには数ヶ月にわたる長期プログラムまで、幅広い選択肢があります。またビジネス職、エンジニア職、クリエイター職など、職種ごとに異なる内容を企画しており、意欲や専門性が高い学生とのマッチングもできるようなラインナップです。
【プログラム例】
- ABEMAテキストデータ活用プロジェクト
- ABEMAの機械学習エンジニアプログラム
- ゲームビジュアルインターンシップ
- 内定直結型ゲームUIインターンシップ
全日本空輸(ANA)
全日本空輸(ANA)は、航空業界の幅広い職種を体験できるプログラムを用意しています。総合職や客室乗務職、運航乗務職など、それぞれの職種ごとに異なる内容となっています。
CA(客室乗務員)といった特定の職種の仕事を理解できる短期プログラムがあり、5日以上のプログラムでは「整備技術・運航技術」に加えて「オペレーション」「ビジネス・マーケティング」「コーポレート」といった航空業界のビジネス職を掘り下げるコースもあります。
【プログラム例】
- ANAグローバルスタッフ職 Winter Internship
- 1Day Program ~ Discovery ANA CA ~
- ANA自社養成パイロット Winter Event
まとめ

本記事ではインターンシップの近年の動向を整理したうえで、おすすめの内容例やプログラム内容を企画・設計する際のポイント、企業事例を紹介しました。インターンシップの目的は企業によってさまざまであり、またターゲットのニーズによって最適なプログラム内容は大きく異なります。
自社の採用要件や学生に発信できる魅力、そして学生のニーズを把握したうえで、自社と学生双方が有意義になるような内容を選ぶことが大切です。
人事ZINEでは「学生を惹きつけるインターンシップの作り方 開催後のフォロー対策も紹介」を用意しております。学生にとって魅力があるインターンシップの作り方やその後のフォローのコツまで網羅しており、これからインターンシップを企画したい方にも役立つヒントをまとめております。インターンシップの内容を整理する際はぜひご活用ください。
