オンラインインターンシップの主な内容・事例と企業が実施するメリット

オンラインインターンシップ
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昨今では、面接や説明会だけでなく、学生に実務を体験してもらうインターンシップにもオンライン化が見られるようになりました。オンラインインターンシップ導入を検討されている、人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、オンラインインターンシップの導入方法をわかりやすく解説していきます。プログラム内容や他社の事例、実際に参加した学生の本音なども紹介していくので、ぜひ導入・運用にご活用ください。

また、人事ZINEでは、学生を惹きつけるインターンシップの設計について詳しく解説した資料をご用意しています。開催のポイントを盛り込んだ資料となっています。インターンシップを検討中または改善したいと考えている人事・採用担当者の方はぜひダウンロードしてご活用ください。

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目次

オンラインインターンシップとは

オンラインインターンシップとは

オンラインインターンシップは、従来の対面型とは異なり、文字通りオンラインのプラットフォームだけで完結する新しい形式です。ここでは、オンラインインターンシップの概要や、注目されている背景を解説します。

オンラインインターンシップの概要

オンラインインターンシップとは、職業体験(インターンシップ)をオンラインで実施する取り組みです。従来のインターンシップは、学生が企業のオフィスに直接足を運んで実際の業務を体験する対面型が主流でした。しかし近年では、新型コロナウイルス感染症の流行やビデオ会議ツールの普及などさまざまな背景があり、オンラインで完結させる企業も出てきています。

株式会社学情の調査によれば、インターンシップをオンラインのみで実施している企業は全体の20%程度です。「オンライン:対面=5:5」でインターンシップを実施している企業は、全体の10%程度となっています(いずれも2024年卒採用)。

オンラインインターンシップが注目されている背景

オンラインインターンシップが注目されるようになった背景は、新型コロナウイルス感染症の拡大です。感染防止の観点から対面での実施ができず、その問題を解決する手段としてオンラインインターンシップが選ばれるようになりました。

オンラインプラットフォームの台頭など、テクノロジーの進化も背景として挙げられます。例えばZoomやMicrosoft Teamsといったコミュニケーションツールが普及し、オンラインで簡単にやり取りができるようになりました。企業側・学生側が、それほど手間をかけずに環境を整えられるため、実施のハードルも低めです。

なお、上記の学情の調査によると、感染症対策の緩和に伴い、2023年卒採用から2024年卒採用にかけて、オンラインより対面型を重視する動きが見られました。

企業がオンラインインターンシップを実施するメリット

企業がオンラインインターンシップを実施するメリット

企業がオンラインインターンシップを実施する主なメリットは、以下の3点です。

  • 対面のインターンシップと比べてコストを抑えやすい
  • 学生にとって参加のハードルが低くなる
  • さまざまな学生と関係を築ける

それぞれのメリットを詳しく解説します。

対面のインターンシップと比べてコストを抑えやすい

企業がオンラインインターンシップを実施する主なメリットは、対面のインターンシップと比べてコストを抑えやすい点です。オンラインインターンシップでは、インターン生をオフィスに迎え入れる必要がないため、デスクや椅子などの物理的な設備にかかるコストを削減できます。

対面のインターンシップでは、遠方からのインターン生に対して交通費や宿泊費のサポートが必要な場合があります。しかしオンラインインターンシップでは、そのようなコストも発生しません。

オンラインプラットフォームを利用することで、紙の資料などもデジタル化できるため、印刷やコピーにかかるコストを削減できるのもポイントです。

学生にとって参加のハードルが低くなる

学生にとって参加のハードルが低くなるのも大きなメリットです。オンラインインターンシップは、地理的な制約が存在しないため、どこからでも参加できます。特に地方に住んでいる学生や、海外留学中の学生にも参加してもらえるのは企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

参加するための環境要件がそれほど厳しくないのも重要なポイントです。オンラインインターンシップは、PCやインターネットなどの環境が一通り揃っていれば参加できます。物理的な移動や時間の制約が少なく、「興味はあるが実際には参加しにくい」と感じていた学生も、気軽に参加できるでしょう。

さまざまな学生と関係を築ける

上記2つのメリットにより、地域を問わず、多様なバックグラウンドを持った学生と接点を持てるようになります。本来参加できなかった海外留学中の学生や、対面のインターンシップであれば参加していなかった学生など、取り込める層は多種多様です。

オンラインインターンシップは、企業のブランドやカルチャーを多くの学生に紹介する機会になり、将来的に自社に合った人材を採用できる確率が高まります。さまざまな背景を持つ学生との関係を築けば、企業は新しい視点やアイディアを取り込むことにもつながるでしょう。

オンラインインターンシップのプログラム内容

オンラインインターンシップのプログラム内容

オンラインインターンシップの主なプログラム内容としては、

  • グループワーク
  • 社内会議への参加
  • 工場見学
  • 資料作成
  • 実務の体験

などがあります。

ここからは、それぞれの内容の詳細を解説していきます。

内容①グループワーク

グループワークは、インターンシップの基本プログラムとして最も多く実施されている内容です。

株式会社ディスコ「キャリタスリサーチ」の調査によると、2024年卒の学生モニターのうち、全体の7割以上がグループワーク形式のインターンシップに参加したという結果でした(「対面のみ」は70.4%、「オンラインのみ」は80.7%)。

グループワークは、オンラインでも基本のプログラム内容はほぼ同じです。グループの部屋割りはZoomのブレイクアウトルーム機能が便利なので、対面と変わらないグループワークを実現できます。

内容②社内会議への参加

テレワークの機会が増えた昨今、オンラインによる社内会議を実施する企業は非常に多いです。

Web会議の環境が整っている会社なら、学生に参加してもらうこと自体に大きな手間はかかりません。また、学生は自宅にいながら社内の雰囲気を体感でき、企業と学生どちらにもメリットの大きいプログラムといえるでしょう。

内容③工場見学

自社製品の製造過程を知ってもらう目的で、オンラインによる工場見学を実施している企業があります。

工場見学のメリットは、一度に大勢の学生を誘致できる点です。ツールによっては1回で数百人単位の見学が可能になるので、より多くの学生に自社をアピールしたい企業におすすめの方法です。

内容④書類作成

会議資料や社内報などの書類作成は、マンツーマンで実施できる内容の1つです。

画面共有をすれば対面とほぼ同じ要領で進められるので、従来の指導内容を大きく刷新せずに実施できます。また、誰が・いつ・どこで使用する資料なのかを伝えることで、学生は社員一人ひとりの役割や部署の相関などをイメージしやすくなります。

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内容⑤実務の体験

実務はインターンシッププログラムにおいて、学生が企業の実際の業務を体験する部分を指します。特定のプロジェクトにアサインされるプロジェクトワークや、日常業務など、企業によって内容はさまざまです。

実践的なスキルを習得しつつ、業界や職種に関する具体的な理解を深めてもらえるのが、実務の体験をしてもらうメリットです。

オンラインインターンシップを実施するうえで意識すべき4つのポイント

オンラインインターンシップを実施するうえで意識すべき4つのポイント

オンラインインターンシップは、従来の対面型に比べて参加のハードルが低く、より多くの学生に参加してもらえるのが魅力です。

一方で、参加人数が多くなることで学生一人ひとりの積極性や本音を引き出しにくいというデメリットもあります。

デメリットを克服し、かつメリットを最大限に生かすため、実施の際は以下4つのポイントを意識することが大切です。

  1. 学生がインターンシップに参加する目的を知ること
  2. 採用ターゲットとなる学生を集めること
  3. 対面のインターンシップよりも短い時間で実施すること
  4. リモートワークの実態を見せること

ここからは、それぞれのポイントを具体的に説明していきます。

ポイント①学生がインターンシップに参加する目的を知ること

まずは、株式会社マイナビが2024年卒の学生を対象に実施した以下の調査結果をご覧ください。

このうち、上位を占める目的は以下5つです。

  • どの業界を志望するか明確にするため
  • どの職種を志望するか明確にするため
  • 視野を広げるため
  • 特定の企業のことをよく知るため
  • 自分が何をやりたいかを見つけるため

この結果からわかることは、インターンシップに参加する時点で希望の業界や職種が定まっていない学生が多いということです。

学生がインターンシップに参加する一番の目的は、どのような業界があり、自分にはどのような職種が合うのかを知ることです。学生が「自分に合っている」と感じたら、その業界への興味が深まるうえ、就職への意欲も高められるでしょう。

自分の可能性を模索して参加している学生のため、企業側は知見を広めるサポートをしてあげるというスタンスでインターンシップを実施するのが理想です。

ポイント②採用ターゲットとなる学生を集めること

インターンシップを実施するにあたり、企業は「自社の求める人材を確保する」という最終目標を達成しなければなりません。

そのためには、会社の理想にふさわしい人物像を明確にし、ターゲットとなる学生が集まるプログラムを実施する必要があります。

学生を集めるには、インターンシップの内容が学生のニーズに合っていることが必要条件です。学生を対象にしたイベントでは、「自社が伝えたいこと」という視点でプログラム内容を決定しがちですが、それだけでは学生のニーズに応えることは難しいでしょう。

プログラムを企画する際は、「学生のニーズに答えられる内容かどうか」という視点で内容を決定していくのが望ましいです。

ポイント③対面のインターンシップよりも短い時間で実施すること

オンラインでインターンシップを実施するデメリットの1つが、対面型に比べて疲れやすく飽きやすいという点です。

自宅から参加する学生は集中力が途切れやすく、主催者側の説明する時間が長ければ長いほど意識は散漫しやすいです。対面のインターンシップよりも短い時間で実施し、オンラインのデメリットを克服していく必要があります。

また、学生のなかには参加人数が多いと質問しにくいと感じる人もいます。消極的な学生に対しては、少人数で開催したりチャットツールを活用するなどして参加しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。

ポイント④リモートワークの実態を見せること

リモートワークの重要性が問われる昨今、企業がどこまでオンライン対応をしているかは学生にとっても興味深いポイントです。

自社で採用しているオンラインツールの活用方法など、リモートワークの実態を見せることは企業としての対応力をアピールするチャンスです。

特に、現代の学生はデジタルネイティブとして、オンラインのツールや環境に慣れています。そのため、「企業がどのようにこれらのツールを活用しているのか」「どのようなオンライン文化を築いているのか」は、学生にとっても気になる部分です。

インターンシップでリモートワークを体感してもらい、オフラインと同様の働き方が実現できることを伝えていきましょう。

オンラインインターンシップの実施事例

オンラインインターンシップの実施事例

オンラインインターンシップを実施するにあたり、採用担当者様は学生に魅力的に映るプログラムを企画したいと考えていることと思います。

ここからは、他社が実施した企画例を3つご紹介していきます。

事例①完全在宅のグループワークで新製品の企画を立案する

実施企業

株式会社Works Human Intelligence

プログラム内容

グループワーク(新製品の企画)

参加者

33名

期間

2日間

活用ツール

Zoom・Google Spreadsheet・Slack

引用元 完全オンラインインターンを開催して、令和の新しいかたちが見えてきた

チームごとに新製品の企画書を作成し、現場レベルのレビューを突破することを目的とした内容です。

個人の力を集結し、組織としての意思決定をすることを目標としたプログラム構成で、学生たちは個人よりもチームで考えた企画の方がよりよいものが仕上がることを学習したようです。

会議室としてZoomのブレイクアウトルームを、連絡手段としてSlackを活用。グループワークではスプレッドシートを使用し、共同作業をしながらディスカッションが進められます。

完全在宅かつ短期間のインターンシップですが、参加した学生からは「実際の業務に近い体験ができた」「学生同士楽しみながら参加できた」というコメントが多く寄せられています。

事例②オンライン工場見学で食品包装用フィルムパッケージの品質管理を学ぶ

実施企業

株式会社カナオカ

プログラム内容

工場見学

期間

1日

引用元 フィルムパッケージ製造工場の品質管理職を知る!1DAYオンライン仕事研究

パンやお菓子、冷凍食品など食品包装用フィルムパッケージの製造過程を見学できるオンラインインターンシップです。「品質管理」という職種を通して、身近な包材の素材や製造のしくみを理解してもらうプログラム構成です。

現場社員の解説や研修を中心に進められますが、午前と午後で自己紹介とグループワークを実施。企業理解を深めつつ、学生同士でコミュニケーションを取れるプログラムも盛り込まれています。

社員と座談する時間ももうけられているので、1日という短いインターンながら学ぶことの多い時間を過ごすことができます。

事例③採用担当者への営業活動を通じて企業の採用事情を学ぶ

実施企業

株式会社i-plug

プログラム内容

営業体験

参加者

3名

期間

スポットインターン

活用ツール

Zoom・Google Meets

引用元 今、急増している「オンラインインターンシップ」とは? <OfferBoxを運営するi-plugが実際にやってみた!>

企業が学生に直接オファーできる新卒採用サイト「OfferBox」の企業向け営業にオンラインで参加するインターンシップです。

営業活動の前には事前説明会を実施。インターンシップへの参加目的と、実際の営業活動で成し遂げたいことをヒアリングします。

学生はOfferBoxを利用する企業3社への営業活動に同席。採用活動の課題や施策について打ち合わせし、企業向けの営業活動について理解を深めてもらいます。

営業同席後には振り返り会を行い、事前説明会で立てた目標を達成できたかを発表。複数社の打ち合わせに同席することで、実際の営業活動でしか得られない感覚を身につけられるのが営業体験の大きな魅力です。

オンラインインターンシップを開催する際の注意点

オンラインインターンシップを開催する際の注意点

オンラインインターンシップを開催する際の主な注意点は、以下の4点です。

  • 環境整備を徹底する
  • 禁止事項は事前に担当者間で共有しておく
  • 適切な時間・タスク量のプログラム内容を心がける
  • 学生の集客からエントリーまでの導線を準備しておく

それぞれのポイントを詳しく解説します。

環境整備を徹底する

オンラインインターンシップを開催する際、環境整備はとても重要です。

事前に学生に対して、インターンシップに必要なデバイスやソフトウェアを明確に伝えることで、当日のトラブルを避けられます。例えば、ビデオ会議ツールやチャットツールといった特定のソフトウェアのインストールやアカウント作成を要求する場合、それを事前に通知してきましょう。

ただし、全ての学生が必要なデバイス・ソフトウェアを持っているとは限りません。状況に応じて、企業側からデバイスやソフトウェアの提供を検討するのも1つの方法です。

企業側もWebカメラやマイクを用意し、クリアな映像・音声でコミュニケーションが交わせるように準備しておきます。事前にネットワークの速度や安定性を確認し、必要に応じて改善するのも重要です。

禁止事項は事前に担当者間で共有しておく

インターンシップを実施するにあたり、当然ながらコンプライアンスに反する発言には注意しなければなりません。

学生の発言を強く否定する、学生を性別で区別するなど、ハラスメントと捉えられる発言を禁止事項とし、インターンシップ開催前に担当者間で共有しましょう。

また、インターンシップによって会社の機密情報が漏洩しないよう守秘義務に関する指導を徹底することも大切です。口外しないことはもちろんですが、SNSで発信することへの注意喚起も行ってください。

適切な時間・タスク量のプログラム内容を心がける

適切な時間・タスク量のプログラム内容を心がけるのも重要なポイントです。オンラインでの集中は、対面と比較して難しい可能性があります。短いセッションは学生の気を引き締め、集中力を維持するのに効果的です。

短時間のプログラムは、学生のスケジュールに組み込みやすく、参加のハードルを低くするといった利点もあります。より多くの学生と関係を築きたい場合は、プログラムの実施時間を緻密に計画しましょう。

集中力を損ないにくい工夫を考えるのも重要です。例えば企業側からの一方的な説明で学生に発言の機会が少ないと集中力が落ちやすくなります。簡単なクイズを出して主体的にかかわってもらうなど、集中力や緊張感が途切れないようなコンテンツを用意するとよいでしょう。

学生の集客からエントリーまでの導線を準備しておく

「インターンシップ終了後から本選考までの学生をフォローするのが難しい」と悩んでいる担当者の方は、学生の集客からエントリーまでの導線を準備することを意識しましょう。

オンラインインターンシップを開催する際は、まずターゲットとなる学生を集客するところから始めます。学生がなぜオンラインインターンシップに参加するのかを考え、ターゲットを明確化しつつ、適切なPRを打ち出しましょう。

オンラインインターンシップ終了後も、定期的なコミュニケーションを維持します。例えばイベント情報や業界ニュースなどをシェアする、ワークショップ・セミナーに招待するなど、さまざまな施策が考えられます。情報発信から興味・関心の喚起、エントリーへの誘導、フォローアップの流れを意識するとよいでしょう。

最後に

オンラインインターンシップ 最後に

この記事では、オンラインインターンシップの主催者側が意識すべきポイントと企画事例をご紹介しました。

インターンシップの企画は、企業が「学生に伝えたいこと」「知ってもらいたいこと」という内容になりがちです。特に、オンライン開催がはじめての企業様では、会社説明をメインとしたプログラムに偏りやすい傾向にあります。

インターンシップの最終的な目的は、学生に自社の興味づけをして自社に合った人材を確保するところにあります。一方通行な内容にならないよう他社の事例を参考にしながら、自社の魅力をアピールできる内容を検討していきましょう。

また、インターンシップについて開催のポイントを詳しく解説したこちらの資料もあわせてご活用ください。

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人事ZINE 編集部

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人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 人事・採用に関する役に立つ情報や手法を発信します。 就活生の3人に1人が利用する新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。