求人サイトに求人広告を掲載して募集を開始したものの、なかなか応募が集まらない…。そんな経験はありませんか?せっかく費用と時間をかけて掲載した求人の反応が悪く、ショックを受けたことのある採用担当者も多いかと思います。
実は、「応募が来ない求人広告」には共通点があります。
今回は、求人に応募が集まらない時に対処したい原因の3ポイントとその改善に役立つ「ターゲティング」を意識した採用方法についてご紹介します。
目次
求人広告に応募が来ない原因の3ポイント
求人広告に応募が来ない原因として、下記の3つが挙げられます。
①他社条件に劣っている
②応募ハードルが高い
③求人が魅力的でない・情報が不十分
それぞれ解説していきます。
①他社条件に劣っている
求人広告の掲載でよく耳にする失敗のひとつが、「競合他社に条件面で劣っている」ことです。
求人を募集する時に、自社の採用要件や求める人材の条件は作り込んでいても、「他社がどんな求人を出しているか」までは意外とリサーチできていない企業が多いようです。
「給与」「待遇・福利厚生」「勤務時間・休日数」「有給消化率」「残業時間の少なさ」等といった条件が同業種・同職種の他社求人よりも下回っている場合には、求職者に比較された時に条件面で負けてしまっている可能性があります。
求人広告を出す際には同業他社の募集条件や、掲載を検討している求人媒体の平均給与等、比較検討される可能性のある他求人の内容を把握したうえで、自社で掲載する求人の募集条件を設定できると良いでしょう。
②応募ハードルが高い
求人広告に興味を持ってもらえたとしても、「求める条件が多すぎる」、「必要とするスキルレベルが高すぎる」等、応募ハードルが高くなっているためになかなかエントリーに結びついていないケースがあります。
また、「記載が曖昧で、自分が応募資格を満たしているのか分からない」といった時にも応募数が獲得しづらい傾向があります。
- 給与と応募ハードルが見合っているか:(例)経験者募集なのに給与レンジが低い
- 応募資格が多すぎないか:必須・歓迎・求める人物像の3つに分けそれぞれ3つ以内に留めておくのが望ましい
- 自己評価しづらい曖昧な条件になっていないか:(例)「やる気のある方」
上記を参考にしながら自社求人の「応募資格」欄を見直してみましょう。
③求人広告が魅力的でない・情報が不十分である
求人に応募を集めるうえで一番気に留めておきたいのが、求人広告そのものの内容や情報量です。
下記のような点がないかチェックしてみましょう。
- 写真の印象が暗い、実際に働くメンバーが映っていない
- 仕事内容が明確でない
- 社内の雰囲気、一緒に働くメンバーの雰囲気が伝わらない
- 仕事を通じてどんな成長ができるか伝わらない
求人の情報が不足していると、閲覧した求職者の志望度を形成することができず、応募を検討してもらうことすらできなくなってしまいますので要注意です。
応募が来ない原因として挙げられるのは以上です。
これらの原因を的確に把握し改善策が打てれば、応募数アップが期待できます!
…とは言っても、全ての項目に一つ一つに対処していくのはなかなか骨が折れますよね。
実は、たった一つのポイントを意識するだけで先ほどご紹介した「求人に応募が来ない原因の3ポイント」を解決することができます。
上記に共通するのはズバリ、「ターゲティング不足」。ターゲティングを強化することで応募が来ない採用を脱却することに繋がります。次章では、このターゲティングについて解説していきます。
採用における「ターゲティング」とは?
そもそも「ターゲティング」とはマーケティング用語で、どの顧客層に自社製品を売り出すか選定することを指します。
市場規模や自社の強み(弱み)、参入障壁、競合の戦略など、さまざまな要素を考慮して「自社製品・サービスが訴求しやすい顧客層」=「ターゲット」を選定することで販売戦略が成立するのです。
これを採用に当てはめてみましょう。
すると、「ターゲット(顧客層)=採用したい人材の特性」「自社製品=自社そのもの・採用ポジション」と捉えることができます。
肝心なのは、「だれに何をどう伝えるか」を明確にしていくことです。
採用におけるターゲティングとは、「長期的に活躍してもらえる人材」の特徴を明確にし、彼らに対してどのような訴求ポイントを以ってアプローチしていくかを見極めることと言えるでしょう。
求人に「応募が来ない」原因はターゲティングで解決できる!
先ほどお伝えした「求人に応募が来ない原因の3ポイント」にターゲティングを当てはめてみます。
「①他社条件に劣っている」や「②応募ハードルが高い」は、競合の調査が不十分であったり自社の求める人材がどのような条件であれば魅力を感じるかの設計が足りていないため引き起こされていると考えられます。
また「③求人が魅力的でない・情報が不十分」についても、「誰に何をどう伝えるか」が明確になっていれば情報不足や訴求不足が解消できます。
ターゲティングの重要性がわかりましたか?次章からは採用におけるターゲティングの実践方法をお伝えします。
採用ターゲットを定めるためのフレーム

まずは、採用ターゲットを定めていきましょう。
ターゲットを定めるには入社する上で、「長期的な活躍が見込める属性」を定義し、その能力や性格を明文化することが必要です。
そのためには、各部署にヒアリングをし実際に活躍している社員(ハイパフォーマー)や、社風を体現するような社員に共通する特徴をピックアップすることで、スムーズな設計が行えるでしょう。
その他にも、「自社にまだいない特徴を持った人材」や「一緒に働く従業員と相性が良い人材」等、事業を推進する上でどんな立ち回りをする人物を採用できるとメリットになるかも考慮するポイントとなります。
「なぜ募集するのか」「どんな活躍をして欲しいのか」を意識して計画を立てると、誰を採用すべきかが見えてくるはずです。
また新卒採用と中途採用では、重視するポイントが変わってきます。
経験者募集がほとんどの中途採用はスキルや能力の比重が高くなりがちですが、
ポテンシャル重視となる新卒採用においては、性格・価値観といったパーソナリティをきちんと掘り下げておくことで、その後の選考基準を決定するときに役立ちます。
以上の点を考慮しながらターゲット像を設定していきましょう。下記に、ターゲット選定のフレームを紹介します。
採用ターゲットに求める条件ー基本項目(新卒・中途共通)
- 能力(学力・思考力)
- スキル(専門性、技術知識、保有資格)
- 経験(顧客折衝、企画、研究)
- 属性(性別、年齢、地域)
- 勤務条件(給与、勤務時間、勤務地)
- パーソナリティ(志向、価値観、性格)
上記の項目から求める人物像として挙げられるMUST(必須)WANT(歓迎)NEGATIVE(不要)の3項目を描き出してみましょう。
(例)ITベンチャー企業の新規営業担当
MUST
- パーソナリティ:IT業界への興味
WANT
- 能力:課題解決力
- 経験:飲食店等での接客経験
NEGATIVE
- パーソナリティ:変化を好まない性格
採用ターゲットに求める条件ー性格(新卒・中途共通)
- 開放性 ー 知的好奇心の程度
- 勤勉性 ー 自己統制力やまじめさの程度
- 外向性 ー 社交性や活動性の程度
- 調和性 ー 利他性や協調性の程度
- 神経症傾向 ー ストレス耐性度
こちらはそれぞれの志向性の程度を表すフレームです。
「高い・やや高い・普通・やや低い・低い」の、5段階で定義するのがおすすめです。
採用ターゲットに求める条件ー価値観(新卒・中途共通)
- 理念重視/ビジネス重視
- 自己評価/他己評価
- 過程重視/結果重視
- 専門追求型/組織貢献型
- 仕事重視/プライベート重視
- 給与重視/仕事内容重視
- 私仕混同/私仕分離
仕事をするうえで関わってくる価値観を表すフレームです。
2者択一になっていますので、どちらのタイプがよりターゲットに近いかを基準にします。
従業員にアンケートをとり、調査結果をもとに自社の特徴からターゲットを導き出すのも有効です。
採用ターゲットへの訴求ポイント
ターゲットが固まったら、自社の採用ターゲットにとって「入社の決め手」となるのはどのような事柄かを洗い出し、訴求ポイントをピックアップしていきます。
前述の「パーソナリティ」の部分を掘り下げておくことで、この作業をスムーズにすることができます。
訴求ポイントの例としては、下記の9項目です。
- 業界内での話題性・財務力が良好である
- ビジョンに共感できるか
- 業界でのシェア率など事業の優位性・成長性
- 専門性が身につく、やりがいがあるなど仕事内容の魅力
- 経営陣が魅力できてある、一緒に働きたいと思えるような社員がいる
- 堅実である、挑戦的であるなど社風の魅力
- 残業消化率やフレックスタイム制の導入など待遇・福利厚生
- オフィスの快適さや備品・設備の充実など就業環境
- 評価基準が明確である等制度に納得感があるか
スキルや経験を多く求めず、パーソナリティが重視される採用ターゲットである場合には、まず自社の強みを先に洗い出し、逆算する形で「その強みを魅力に感じてもらいやすい人材像」を洗い出してターゲットとする方法もあります。
ダイレクトリクルーティングを用いて「応募が来ない」採用を脱却しよう!

求人広告に応募が来ない時には、「ターゲティング」を見直すことで解決できるとご紹介しましたが、近年新卒採用市場でもシェアを広げている「ダイレクトリクルーティング」という採用手法はご存知ですか?
従来のように、応募や紹介を待つ採用方式ではなく、必要と判断される人材に「企業側から」コンタクトをとる方法です。求人媒体のスカウト機能や、オファー型、逆求人型と呼ばれるとような専門媒体、またSNSを使ったソーシャルリクルーティングや社員からの紹介を用いたリファラル採用もダイレクトリクルーティングのひとつと言われています。
ダイレクトリクルーティングを使えば、狙ったターゲットに自らアプローチをかけることができるので、応募を待つだけの採用と比較し、「ターゲティング」をより強化することが可能となります。
つまり、「ターゲティング」を駆使しダイレクトリクルーティングを効率的に運用することができれば、
これまで「待つ」ことしかできなかった候補者に自ら会いにいくことができ、
さらに、自社の求める人材とのマッチング効率のアップが実現できるのです。
下記の記事でダイレクトリクルーティングの特徴や向いている・向いていない企業についてご紹介していますのでぜひご覧ください
まとめ
今回は、求人に応募が集まらない時に対処したい原因の3ポイントを整理し、その解決策として採用におけるターゲティングの重要性についてお伝えしました。
近年SNSやWeb広告、動画サイト等の普及の影響を受け、人々はあらゆる情報に対して「自分のための情報」と感じるものを無意識に選び取っていく傾向が強まってきています。
そんな中で、多くの人の目につけばそれだけで応募者が増えると考えるのは非常に危険です。
自社の狙った人材像を明確にし、そのターゲットが魅力を感じ得るような訴求をしていくことで長期的な活躍が見込める人材とのマッチングが成立しますので、
ただやみくもにアピールするのではなく、「誰に何をどのように伝えるか」を念頭に置きターゲットに寄り添ったアピール方法を追求していきましょう。
