内定者フォローの事例16選!内定辞退を防ぐポイントを解説
売り手市場が続く昨今の採用シーンでは、多くの企業が内定者フォローに注力しています。学生の印象に残る施策を考えたいところですが、企画内容に頭を悩ませている採用担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、内定者フォローで実施されているユニークな施策や最近の動向、便利なツールなどを紹介します。
また、人事ZINEでは内定辞退を防ぐ内定者フォローのポイントを網羅的に解説した資料をご用意しています。こちらの資料もダウンロードしていただき、本記事とあわせて自社の内定者フォローにご活用ください。

目次
内定者フォローの基礎知識
はじめに、内定者フォローに関する基礎知識について解説していきます。
内定者フォローの定義
内定者フォローとは、内定辞退によって採用枠に空きが出ないよう、入社の動機付けを行って辞退を未然に防ぐための施策です。イベントや面談を実施して、入社に対して内定者が抱いている不安や疑問を取り除くよう働きかけます。
ほかにも、入社前後のギャップを無くして早期離職を防いだり、内定者の社会人スキルを向上させたりする効果も期待できます。
内定者フォローの目的
内定者フォローの主な目的は内定辞退を防ぎ入社につなげることです。
労働力人口の減少により、学生の売り手市場が続く昨今、学生は複数の会社から内定を獲得し、より条件のよい企業を選んでその他の内定は辞退する流れが主流になっています。
就職みらい研究所が行なった「就職プロセス調査(2022年卒)」によれば、就職内定率は9月1日の時点で90%を超える一方、10月1日時点の内定辞退率は63.5%という結果となっています。
売り手市場のなか、内定者に入社してもらうためにはさらなる対応が必要な状況から、多くの企業が内定者フォローを実施しているのです。
内定者が「嬉しかった」と感じる内定者フォローの事例10選

まずは、内定者フォローの一般的な施策例を紹介しましょう。
1.内定者懇親会
内定者懇親会は、内定者を集めて食事会やグループワークなどを実施し、内定者同士の交流を促すイベントです。他の内定者を知ることで「うまくやっていけそう」「このメンバーとなら楽しく働けそう」と感じてもらい、自社に対する思い入れや愛着につなげる狙いがあります。
2.社員との懇親会
先輩社員との交流を深める目的で食事会や交流会を開催することも、内定者の不安や疑問の解消につながります。先輩社員に直接質問や相談ができるだけでなく、「社員同士の仲が良さそう」「仕事にやりがいを感じているんだな」といった職場の雰囲気を感じてもらえ、入社後のギャップを解消する効果も期待できます。
3.内定者研修
内定者向けの研修では、社会人としての基本的なビジネスマナーや入社後に行う業務の基礎をレクチャーします。内定者は入社後に必要な知識・スキルを身につけたり仕事を体験したりすることで、「自分は本当に仕事をしていけるのか」という不安を解消でき、入社後のギャップ軽減にもなります。
また、企業にとっても入社後の教育負担を軽減できるというメリットがあります。
4.内定者インターン・内定者アルバイト
内定者インターンやアルバイトでは、内定から入社までの期間に就労を経験してもらいます。入社後に従事する業務の一部を経験したり、採用活動を手伝ってもらったりすることが一般的です。
自社の事業構造や職務内容の理解促進、社会人スキルの向上が期待できます。
5.人事や先輩社員との個人面談
懇親会や交流会など大人数での交流の場では横のつながりを強めることはできますが、内向的な学生は積極的に発言できないかもしれません。先輩社員や人事担当者と一対一の面談の機会を設けると、周囲を気にせず本音を話しやすいでしょう。
学生が抱えているちょっとした気持ちを汲み取りやすく、企業としても細やかなフォローを実施しやすくなります。
6.グループワーク
内定者同士や先輩社員を交えてグループワークを行ってもよいでしょう。コミュニケーションの機会が増えるだけでなく、ワークの内容によっては事業や業務内容の知識を深めることも可能です。
「新規事業を企画して経営陣にプレゼンする」「実際の事例を題材に提案書を作成してみる」といった内容が考えられます。
7.オフィス見学
オフィス環境の働きやすさや衛生環境は、内定者にとっても大きな関心事です。実際に社員が働いている様子や社内の雰囲気を確認できると、学生も安心感を得られます。
見学の際は先輩社員や人事が同行し、気になったことはその場で質問できるようにすると、よりフォローとしての効果が高まります。
8.社内イベントへの参加
運動会やレクリエーション、社員旅行などの社内イベントに参加してもらうのも一手です。社員もかしこまらずに普段通りのコミュニケーションがとれますし、学生に自社の社風を肌で感じてもらえます。
また、社内イベントに学生を招待することで「会社の一員として受け入れられている」という印象を持ってもらいやすくなるでしょう。
9.社内報
社内報を活用して学生のエンゲージメントを高めてもらう方法もあります。内定者のプロフィールやインタビュー、内定者同士の座談会を掲載して内定者にも共有すると、内定者の入社意欲が高まるだけでなく、先輩社員が内定者に関心を持ちやすくなる効果も期待できます。
また、内定者が、社内ニュースや取り組みなどが掲載された社内報に目を通すことで、自社や業界を理解しやすくなるでしょう。
10.資格取得支援
業務に必要な資格取得のための費用や書籍購入代などの支援制度を入社前から使用できると、内定者にとってインパクトがあるでしょう。社員のスキル向上を重視している企業の姿勢を伝えることができ、他社との差別化になります。
職務に直接関係のある資格だけでなく、簿記やTOEICなど今後生かせる可能性がある資格取得を幅広くサポートするのがおすすめです。
ユニークで面白い内定者フォロー事例3選
少し変わったユニークな企画を準備すると、学生の印象にも残り、入社意欲を高められるかもしれません。内定者に楽しんでもらえる、ユニークなフォロー施策を紹介します。
11.内定者による社内報の制作
紙面に登場してもらうだけでなく、内定者自身に社内報を作ってもらうのも一手です。企画や構成を考える過程で内定者同士のつながりを強めたり、人と協業しながら仕事を進める経験を積んでもらえたりできます。
また、先輩社員や経営者へのインタビューを重ねることで、事業構造や業務内容の理解も深まります。
12.内定者によるイベントの企画
社内イベントを内定者に企画してもらうと、グループワークとはまた違う形で結束を強められるでしょう。ただ参加するだけでなく、自分たちでイベントを企画した方が主体性も強まり、会場の予約やスケジューリングといった社会人スキルも身につけられます。
ただし、内定者に丸投げしてしまわないよう、人事や運営チームがサポートする姿勢は忘れないようにしてください。
13.合宿を実施
内定者だけでなく、人事や先輩社員も参加して合宿を開催する企業もあります。
例えば、オールアバウトでは内定と同時に同期同士で交流を深めてもらう狙いで1泊2日の内定式合宿を実施しています。研修やレクリエーション、グループワークなどにたっぷり時間を取れ、先輩社員とのつなが
オンラインでできる内定者フォローの事例3選
ここでは遠方に住んでいる学生にも対応できるオンラインでの施策例を紹介します。
14.オンライン見学会
社内に直接訪問してもらうことが難しい時勢により、オンラインでの社内見学を開催する企業もあります。
ワンゴジュウゴでは、自社サービスを利用しオンライン上で社内を自由に見学できる「360°バーチャルツアー」を実施しています。ツアー内では代表メッセージや先輩社員の一日を映した動画も見られるようになっており、内定者に楽しみながら社風を感じてもらえそうです。
15.eラーニングを用いた研修
eラーニングを活用すれば、研修もオンラインで実施することが可能です。業務に必要な知識や資格取得の勉強などをeラーニングで提供すると、内定者も空き時間を利用して効率的に学べるでしょう。
ただし、内定者の負担が大きくなりすぎないよう配慮が必要です。卒業間際の学生は多忙であるため、スケジュールについてよく相談し、一方的に押し付けないよう注意しましょう。
16.インタビュー動画の配信
社員へのインタビューや一日の流れを追った動画を作成する企業も増えています。社員紹介ページを採用サイトやパンフレットに掲載する企業は多いですが、動画だとよりリアリティを持って内定者に仕事のやりがいや楽しさを感じてもらえそうです。
楽天でも社員インタビュー動画を作成しており、採用サイトやYouTubeから視聴できるようになっています。
内定者フォローの設計の仕方

内定者フォローを成功させるには、目的や時期に応じた計画が重要です。以下の表のように整理して設計すると、全体像が見えやすく、実行もしやすくなります。
| 設計のポイント | 内容の例 |
|---|---|
| 目的を明確にする | ・辞退防止 |
| フェーズで区切る | 内定直後:不安解消 |
| 対象者に合わせる | 新卒・中途、職種別、勤務地別など、属性ごとに最適な内容を用意する |
| 運用可能にする | コストや工数に見合い、継続できる現実的な仕組みを考える |
内定者フォローの手順
ここからは内定者フォローを行う手順を解説します。
内々定の告知
内々定が確定したら、できる限り早いタイミングで学生に告知しましょう。前述の通り、売り手市場の昨今において、学生は複数の企業から内定をもらって条件を比較する流れが一般的になっています。「どうしても入社してほしい」という自社の熱意を伝える意味でも、内々定告知は早い方がベターです。
告知をする際は、「内定者のどのようなところを評価したのか」「どのような働きを期待しているか」などのメッセージを添えることで、入社意欲の向上を期待できます。
フォロー面談
通知を出した学生に対しては、フォロー面談を実施します。内定者が入社に対して抱えている不安や疑問をクリアにするための貴重な機会です。内定者の疑問・不安を丁寧に聞き出し、自社で働く魅力や仕事のやりがいを伝えましょう。
懇親会などコミュニケーション促進
内定者との関係性を構築し、入社まで内定者のモチベーションを維持する施策としては、懇親会などコミュニケーションの場を設けることが効果的です。
内定者同士の懇親会を企画して同期の仲を深めたり、先輩社員とのランチ会で自由に質問や相談できる場を作ったりすると、不安の解消だけでなく、自社に対する愛着を高められます。
内定式の実施
内閣官房「就職・採用活動に関する要請」では、正式な内定日を「卒業・修了年度の10月1日以降」とするよう記載されています。そのため、多くの企業が9月以前は内々定という形をとり、10月1日に内定式を実施することが通例となっています。
内定式を実施すると、内定者の社会人としての自覚が高まり、入社への意欲を深められます。
内定者アルバイトや事前研修
内定式から入社までのモチベーション維持や空いた期間の有効活用を目的として、多くの企業が内定者アルバイトや入社前研修を実施しています。内定者の業務スキルが向上するだけでなく、社会人としてのマインドセット構築や入社後のギャップ解消にもつながります。
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内定者フォローで内定辞退を防ぐポイント

内定者フォローで内定辞退を防ぐポイントは、以下のとおりです。
- 入社前後のギャップをなくす
- 働くことへの不安をなくす
- 会社の魅力を伝える
入社前後のギャップをなくす
入社前の期待と入社後の現実のギャップが大きいと、辞退や早期離職につながります。そのため、フォローの段階で仕事内容や職場の雰囲気を具体的に伝え、リアルなイメージを持ってもらうことが大切です。
例えば、現場見学や先輩社員との座談会を通じて、実際の仕事や人間関係を知る機会を用意しましょう。入社後の生活がイメージできるほど、安心して入社を決意できます。
働くことへの不安をなくす
多くの内定者は「自分にできるだろうか」という漠然とした不安を抱えています。こうした心理的不安を解消するには、定期的な面談やメッセージで相談できる環境を作り、疑問に丁寧に答えることが大切です。
新入社員研修の内容やサポート体制についても事前に説明し、準備のポイントを伝えると安心感が増します。小さな声を拾いながら支える姿勢が、信頼関係を築きます。
会社の魅力を伝える
内定者フォローでは「選んでよかった」と感じてもらえるよう、改めて会社の魅力を伝えましょう。ビジョンや今後の成長戦略、活躍する先輩のストーリーなど、入社後の可能性を感じられる情報が有効です。
特に同世代の活躍や自分との共通点が見える事例はモチベーションを高めます。イベントや動画配信など多様な手法で、入社までに会社への愛着や期待感を育てることが重要です。
内定者フォローで使える便利なツール

対面だけでなくオンラインでも効果的に内定者フォローを行うには、ツールの活用が必須といっても過言ではありません。コミュニケーションに使える便利なツールを3つ紹介します。
内定者専用SNS
内定者だけが使えるクローズドなSNSを利用すると、より密度の高いコミュニケーションを図ることが可能です。スマホでの利用が想定されており、セキュリティ面も対策されているものを選ぶと安心でしょう。コミュニケーションだけでなく、連絡やアンケート回収などもスムーズに進められます。
eラーニング
コロナの影響で内定者の出社が難しくなったことで、eラーニングでの学習促進に取り組む企業も増加しました。ExcelなどのOffice系ソフトやタイピング、ビジネスマナーといった基礎的な社会人スキルの研修がパックになった内定者向けeラーニングツールだと、eラーニングに馴染みのない企業でも導入しやすいでしょう。
YouTube
YouTubeは学生も日常的に使用しているツールであるため、作成した動画も気軽に見てもらえるでしょう。社員インタビューだけでなく、オフィス風景やランチ会、社内イベントの様子なども動画として配信すると社風を感じてもらえます。
まとめ
内定辞退率が上昇傾向にある昨今、内定者フォローの実施は新卒採用において必須のプロセスとなりました。学生の印象に残ることは重要ですが、奇をてらった施策を考える必要はありません。大切なのは、学生が抱えている不安や疑問をキャッチし、その気持ちに寄り添う姿勢です。
学生がどのような情報を欲しているのか、何が不安なのか汲み取り、その解消を目的として企画を考えるといいでしょう。
最後に、本記事では紹介しきれなかった内定者フォローのポイントはこちらの資料で解説しています。自社の内定者フォローにお役立ていただければ幸いです。


