リアリティショックとは?よくある例と企業ができる対策を解説

リアリティショック
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仕事に対する理想と現実のギャップからくる不満や落胆などによって、新入社員が当初のやる気を失ってしまう「リアリティショック」。生産性の低下や離職につながるため、企業にとっては見過ごせない問題です。

「どのような時に」「何を理由に」リアリティショックが起きてしまうのか、そして「どのような対策が有効なのか」気になる方もいるのではないでしょうか。

当記事では、リアリティショックの定義や起きやすいタイミングを紹介したうえで、リアリティショックの原因と影響、対策を解説します。

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リアリティショックとは

リアリティショックとは

リアリティショックとは、新入社員が理想と現実のギャップに衝撃をうけることで、特に現実が理想より望ましくない場合を指します。リアリティショックは1980年代のアメリカで組織心理学者E.C.ヒューズによって提唱された概念です。理想とまでは言えなくても「大体、このようなものだろう」と想像しているものとのギャップも含みます。

特に新卒社員は社会人経験が少ないため、入社後にリアリティショックを経験する可能性が高いと言えますが、リアリティショックは新卒社員特有の現象ではありません。転職の場合や、あるいは中堅社員やベテラン社員でも昇進・昇格による人間関係や業務内容の変化からリアリティショックが起きる可能性があります。

リアリティショックが起きやすいタイミング

リアリティショックが起きやすいタイミング

「環境が大きく変化する時期」は、リアリティショックが起きやすいタイミングと言えます。「学生から社会人への変化」「転職による変化」といった入社時に加え、「昇進・昇格時」や「長期休暇からの職場復帰時」も起きやすいタイミングです。

入社直後

新卒・中途を問わず、入社直後はリアリティショックが起きやすいでしょう。入社前に想像していたものと入社後の現実に差があることが原因です。

給料・報酬や業務内容、休日や残業などについて、入社前に聞いていた情報と現実のギャップからリアリティショックが起きることがあります。また、説明や資料だけでは伝わらない社風や人間関係が想像とかけ離れていることが理由となる場合もあるでしょう。

特に、新卒社員の場合は提示されていた情報と現実にギャップがなくても、思い込みや誤解からリアリティショックが起きることもあります。例えば、新卒社員が所得税や社会保険料が差し引かれた手取り額の少なさに驚くケースもあるようです。

昇進・昇格時

昇進・昇格時もリアリティショックが起きやすいタイミングです。

昇進・昇格により部下を持ったり、増えたりすることから部下との人間関係にリアリティショックが起きることがあります。特に初めて部下を持つ場合は、業務に対する意欲の度合いやジェネレーションギャップからリアリティショックにつながることが考えられるでしょう。また、接する幹部職員の顔ぶれが変わることも原因となりえます。

リアリティショックは人間関係だけでなく、期待していた業務に対する裁量権が認められなかったり、参加しなければならない会議が増えたりするなど、想像していた業務内容と異なる場合にも起きる可能性があります。

さらに、昇進・昇格時に限らず、異動により部署や住居が変わる場合には、環境が大きく変わるためリアリティショックが起きやすいタイミングと言えます。

職場復帰時

長期休暇からの職場復帰時もリアリティショックが起きやすいタイミングです。

1〜2週間の休暇であれば、その間の環境の変化は大きくありませんが、長期休暇では業務の引継ぎや人員の補充などが行われるため、復帰後に業務内容や環境が変わることがあります。その結果、「自分の居場所がない」と感じたり、人間関係に問題が生じたりすることがあり、リアリティショックが起きやすくなります。

休暇の理由はさまざまですが、労働基準法や育児介護休業法が定める長期の法定休暇には産前・産後休業や育児休業、介護休業などがあります。重大な傷病の場合には長期の傷病休暇も考えられるでしょう。

リアリティショックの例・よくある原因

リアリティショックの例・よくある原因

リアリティショックが起きる原因は、社員が抱いている理想や期待によってさまざまあります。ここでは、リアリティショックの例・よくある原因を紹介します。

残業が多い・休みが取りにくい

「残業が多い」「休みが取りにくい」など労働時間がリアリティショックの原因となる場合があります。

労働時間が長いこと自体に苦痛を感じるほか、プライベートな時間を重視する社員の場合、想像していたよりも自由な時間を持てないことに対してリアリティショックが起きます。

残業や休日出勤が強制ではないとしても、「他の社員が働いているから休みにくい」ということも原因となりえるでしょう。

逆に、時間外労働による給与を期待している社員にとっては、残業や休日出勤が少ないという現実がリアリティショックにつながることもあります。

給料・報酬が少ない

「給料・報酬が少ない」といった給与や評価もリアリティショックにつながる可能性があります。

給料や報酬などは入社前に確認しやすい内容ですが、給与体系が歩合制の場合では、募集の告知に記載されていた高収入の例などを期待して入社した結果、現実の給料に対してリアリティショックが起きます。

ボーナスは企業の業績や社風などによって支給の有無や金額が変わるものですが、「給料○○ヶ月分が必ず出る」と社員が期待している場合にはリアリティショックが起きる可能性が高いでしょう。

また、昇給や昇進・昇格のスピードにリアリティショックが起きることもあるようです。

人間関係・社風が合わない

「人間関係・社風が合わない」こともリアリティショックを引き起こしやすい原因です。

募集の告知や外部からは見えにくい人間関係や社風は入社後に初めて体感することが多いため、リアリティショックを起こしやすいと言えます。

「職場の雰囲気などの社風が自分の性格に合わない」「受け入れられない性格の上司や同僚と接する必要がある」といった場合に苦痛を感じるのは当然ですが、事前の情報がなければ入社前に想像することは難しいでしょう。

リアリティショックを起こす人間関係は、一方的に悪いものばかりではありません。飲み会やプライベートの誘いが多いことや、面倒見がよいことなど、これらが苦手な社員にとっては原因となりえます。

仕事にやりがい・達成感がない

「仕事にやりがい・達成感がない」といった業務内容に対してリアリティショックが起きることがあります。

仕事が簡単すぎたり単純すぎたりする場合、やりがいや達成感がないことがリアリティショックの原因になります。一方、仕事が難しすぎたり、自分に比べて同僚のスキルが高すぎたりする場合も原因となるでしょう。

「配属先が希望通りでない」や「自分のスキルを生かせない業務につく」「想像していた裁量権がない」などは入社前に活躍している自分をイメージしている社員にとって、期待が大きい分リアリティショックを起こす可能性が高くなります。

なお人事ZINEは、Z世代を考慮した近年の新入社員の特徴や、新入社員研修のフレームワークについて詳しく解説した資料をご用意しました。ぜひご活用ください。

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リアリティショックの影響・引き起こす結果

リアリティショックの影響・引き起こす結果

社員にリアリティショックが起きた場合の影響・引き起こす結果について解説します。

社員の生産性の低下

リアリティショックは社員の生産性の低下につながることがあります。

リアリティショックの原因が給料や人間関係といった限られた要因であっても、それらへの不満や落胆が業務に対する自信や意欲に影響し、生産性を低下させてしまいます。

また、それまでのパフォーマンスを発揮できないだけではなく、意欲の低下から本来期待できた成長の可能性を妨げてしまうことも考えられるでしょう。

リアリティショックにより一部の社員の意欲が下がることは、本人の生産性の低下とともに、他の社員やチーム全体の生産性にも影響するため、企業にとって深刻な問題です。

離職率の増加

リアリティショックの影響から離職率が増加することも考えられます。

リアリティショックが大きい場合、挫折感や失望から「続けていく自信がない」「働きやすい環境に移りたい」と考えるようになり、離職につながる場合があります。

特に、新卒社員は望まない現実に関して比較する対象や経験が少ないため、入社時のリアリティショックの程度が大きくなりやすく早期離職につながりやすいでしょう。

離職率が増加することは採用コストの増加だけでなく、事業の遂行に支障が出るため、リアリティショックを防ぐための対策は重要です。

企業イメージの悪化

リアリティショックによって社員が不満や失望を感じた場合、それをSNSを通じて発信され企業イメージが悪化することがあります。

リアリティショックの程度が大きい場合、会社の方針や上司、組織に関する不信感からエンゲージメントが低下し、ストレス発散のはけ口としてSNSなどで発信する可能性があります。

現役社員や離職後の元社員の発信内容には説得力があり、他者からの参考にされやすいため、影響力が大きくなります。企業イメージの悪化は消費者の購買意欲に影響するとともに、採用活動にも大きく影響するため注意が必要です。

リアリティショックを防ぐために企業側ができる対策

リアリティショックを防ぐために企業側ができる対策

リアリティショックは自社の生産性や離職率、採用活動に大きく影響する可能性があるため、これを防ぐ対策が重要です。ここでは、企業側ができる対策を紹介します。

RJP理論を意識した採用活動をする

リアリティショックを防ぐための対策として、RJP理論を意識した採用活動の実施が挙げられます。

RJP(Realistic Job Preview)理論とは、入社前の応募者に対する情報提供において、リアル(ありのまま)なジョブ(職場環境や業務内容など)をプレビュー(事前に確認)してもらうことで、入社後の離職率が低下するという採用理論です。

リアリティショックが起きるのは「現実よりも期待が過剰である」ことが一因です。企業が応募者にとって不都合なことも含め、正確な情報提供を心がけることにより、リアリティショックの防止が期待できます。

新入社員のサポート・フォロー体制を構築する

リアリティショックが起きやすい新入社員のサポート・フォロー体制を構築することで、リアリティショックの軽減や、モチベーション低下の防止につなげられます。

理想や期待は人それぞれのため、全てのリアリティショックを防ぐことは困難です。しかし、リアリティショックが起きた際に相談できる相手がいることで不満や失望の軽減が期待できます。定期的な1on1面談や先輩社員によるメンター制度などが有効です。

また、リアリティショックが起きやすい原因についてあらかじめ研修を行い、ショックを緩和することも役に立ちます。

まとめ

リアリティショック まとめ

理想と現実のギャップから起きるリアリティショックは、社員の生産性の低下や離職などにつながる可能性があります。入社時などの環境が大きく変化するタイミングには注意が必要です。

リアリティショックを予防、軽減するためにRJP理論の導入やサポート・フォロー体制の構築などが有効です。また、リアリティショックの原因によっては、自社への理解を深めてもらう取り組みや、業務に必要なスキルの習得を目的にした研修もよいでしょう。

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人事ZINE 編集部

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