コアコンピテンシーとは|意味や類義語、活用例をわかりやすく解説
人事や採用の領域において、近年目にすることの増えた「コアコンピテンシー」というキーワード。
意味を理解しているつもりでも、実際の業務に活用するためにはどうすればよいか悩んでいる人事担当者は多いでしょう。
そこで、この記事では
「コアコンピテンシーはどのようなシーンで活用できる?」
「コアコンピテンシーの例が知りたい」
このような疑問や要望に回答するため、コアコンピテンシーの意味や活用例をわかりやすく解説していきます。
また人事ZINEでは、現場で活躍する社員へのヒアリングを通じて、自社独自のコンピテンシーの評価基準を作成することができる「コンピテンシー評価基準作成シート」をご用意しています。ダウンロードしてぜひご活用ください。
目次
コアコンピテンシーの意味|自社の核となる技術や能力
コアコンピテンシー(=コアコンピタンス)は、米国の経営コンサルタントであるゲイリー・ハメル氏によって創設された比較的新しい概念です。
コアコンピテンシー(Core competency)を直訳すると「核となる能力」という意味です。核となる能力とは、すなわち「企業の得意分野」や「他社には真似できない独自の技術」のことです。
そのため、核となる能力を高めることは、自社能力や商品の付加価値、企業の競争力を高めることにつながります。これは経営において非常に重要なポイントです。
まずは、コアコンピテンシーの例を紹介します。
コアコンピテンシーの例
コアコンピテンシーの例として、以下が挙げられます。
- HONDAのエンジン技術(自動車・バイク・F1・発電機・船外機など)
- SONYの小型化技術(ウォークマン)
- NIKEのスニーカー(ブランドそのものの価値)
これらはすべて、他社では提供できないその企業独自の技術や価値です。
コアコンピテンシーの基準項目
コアコンピテンシーの基準項目は以下のとおりです。
- 顧客に利益をもたらす技術(能力)である
- 他社が真似できない技術(能力)である
- 幅広い市場や分野で活用できる技術(能力)である
上記3つの項目は、コアコンピテンシーの概念を広めたゲイリー・ハメル氏が定めたものです。これらすべての項目を満たす技術(能力)が自社のコアコンピテンシーといえます。
コアコンピテンシーの類義語
コアコンピテンシーとよく似た言葉で、厳密には意味が異なる類義語をまとめました。
コアコンピテンシー | 企業の核となる技術や能力(得意分野、強み) |
---|---|
コンピテンシー | 優秀な人材に共通して見られる行動特性 |
ケイパビリティ | 優秀な人材に共通して見られる行動特性企業(組織)が得意とする組織的な能力 |
スキル | 専門的な技術や能力 |
アビリティ | 技術や能力 ※スキルほど専門性は高くない |
ここからは、それぞれの言葉の意味をわかりやすく説明していきます。
類義語①コンピテンシー(優秀な人材に共通して見られる行動特性)
コンピテンシーとは、職務において優秀な成果や業績を上げる社員に共通して見られる行動特性のことです。
具体例には、以下のようなものがあります。(※コンピテンシーは職種によって異なるので、あくまで一例としてご理解ください)
- 良好な人間関係を築ける
- 環境適応力が高い
- 論理的思考ができる
- ムードメーカーである
コンピテンシーは、採用活動や人材育成のシーンで活用されることが多いです。自社のコンピテンシー分析は、人材評価の公正性や社員の会社貢献度を高めることにつながります。
類義語②ケイパビリティ(企業が得意とする組織的能力)
ケイパビリティとは、「企業全体の組織的な能力」を意味する言葉です。
経営戦略において、他社と差をつけるために必要な要素であり、主に作業スピードや効率、品質などを指します。
自社の強みという点ではコアコンピテンシーと同じ意味で使われることがありますが、厳密には以下の点が異なります。
- コアコンピテンシー…企業の核となる強み(特定の技術や商品、サービスなど)
- ケイパビリティ…事業を成功させるために必要な組織的な能力
HONDAを例に挙げると、優れたエンジン技術がコアコンピテンシー。そして、エンジン技術を製造・開発し、流通させるまでの包括的な戦略がケイパビリティです。
類義語③スキル(専門的な技術や能力)
スキルとは、経験やトレーニングを通して得られる技術・能力のことです。
専門性が高く、ある程度訓練しなければ身につけられないものです。より高度な能力を指す場合に使われ、「熟練」「手腕」などの言葉に置き換えられます。
コアコンピテンシーとスキルは、よく似た意味をもつ言葉です。しかしコアコンピテンシーが企業(組織)に使われるのに対し、スキルは個人の能力を指す点で決定的に異なります。
類義語④アビリティ(力量・能力)
アビリティには「上手にできること」という意味があり、転じて「能力」を指す時に使われるようになった言葉です。
スキルとアビリティは、どちらも「能力」を意味しますが、スキルの方がより高度かつ専門的です。意識的に訓練して身につけた力と説明するとわかりやすいかもしれません。
一方アビリティは、もともと備わっていた技量という意味合いが強いです。
人事領域でコアコンピテンシーを活用できるシーン
コアコンピテンシーの定義がわかったら、次は人事領域での実務に活用していきましょう。
人事担当者がコアコンピテンシーを活用できるシーンには、以下の2つがあります。
- 面接
- 内定者研修
ここからはそれぞれの活用シーンをより具体的に解説していきます。
活用シーン①優秀な人材を見極めるための「面接」
従来の面接では、実績やスキル、自己PRなどから応募者を総合的に判断するのが一般的でした。
しかし、学歴や資格だけでは「技術や売上向上につなげられる人材かどうか」を見極めるのは困難なこともあります。そこで活用したいのがコアコンピテンシーです。
採用面接では、まず自社のコアコンピテンシーを伝えます。その上で応募者の共感レベルを把握し、技術向上のためにどのような行動ができるかを質問します。
その際、より具体的な質問をすることで、応募者の回答に矛盾や誇張表現がないかが見抜きやすくなるでしょう。
活用シーン②自社の強みをアピールできる「内定者研修」
コアコンピテンシーを人事領域で活用するなら、内定者へ自社の強みを伝える内定者研修がおすすめです。
なぜなら、自社の強みやセールスポイントがわからなければ、自社技術を高めたり社外にアピールしたりすることができないからです。内定者にはまず自社への理解を深めてもらう必要があるので、コアコンピテンシーについて丁寧に説明する必要があります。
内定者研修では「自社のコアコンピテンシーが何であるか」「活用できる市場や分野」の2点を説明します。その上で自社のコアコンピテンシーが他社を圧倒する理由と、具体的なデータを示せると、なおよいでしょう。
コアコンピテンシーを理解する上での注意点
コアコンピテンシーがあることは、競合他社と差をつけたり市場で優位に立てたりする点では大きなメリットです。
しかし、コアコンピテンシーがあるからといって、必ずしも高い業績を上げられるわけではありません。優れた技術や商品を生み出し、世間に評価されるためには、開発や製造、マーケティングなどの条件がすべてそろうことが大前提となります。
また、コアコンピテンシーの構築には長い年月がかかるため、短期間で自社の強みを作り上げようとすることは困難です。日々の工夫や改善の積み重ねがコアコンピテンシーとなるので、会社全体が一丸となり(人事は優秀な人材の獲得を目指し)自社の強みを高めていくことが大切です。
まとめ
コアコンピテンシーは、経営戦略を成功させる上で必ず知っておくべき考え方です。
経営やマーケティングの要素が強い言葉ですが、人事領域では社員や内定者研修にも活用できます。また、コアコンピテンシーを高めるためには自社に合った人材獲得が必須なので、採用基準を定める際の参考にすることもよいでしょう。
コアコンピテンシーとよく似た言葉にコンピテンシーがありますが、こちらは面接や人材評価など人事領域で役立つ概念です。優秀な人材採用に活用し、コアコンピテンシーの強化にお役立てください。こちらのOfferBoxの無料ダウンロード資料「コンピテンシー評価基準作成シート」では、Excelに現場社員へのヒアリング内容を記載することで、コンピテンシー評価基準を策定できます。