フレックスタイム制のメリット・デメリットは?対策4つや注意点を解説

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労働基準法の改正で、従業員が1日の労働時間と出退勤の時間を決める「フレックスタイム制」に注目が集まっています。

そのため、働き方改革の一環として導入する企業も増えています。しかし、 人事担当者がフレックスタイム制のデメリットや注意点を知っておくことも大切でしょう。

そこで今回は、フレックスタイム制のメリットとデメリット、導入後にトラブルを起こさないための対策方法などについて解説していきます。

フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制の労働時間には「コアタイム」と「フレキシブルタイム」の2種類があります。

・コアタイム
従業員が1日の内で必ず勤務する時間です。

・フレキシブルタイム
従業員が自分の裁量で労働時間を決められる時間です。

フレックスタイム最大の特徴は「自由に出退勤できるフレキシブルタイム」といえるでしょう。自由度の高い制度ですが、コアタイムや総労働時間などの定めがあるため、すべてが自由になるわけではありません。

フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制の主なメリットを、3つご紹介します。

メリット①従業員の疲労や生産性の向上

フレックスタイム制の導入は、働き方の自由度を広げます。各自のライフスタイルに合わせて就業時間を決められるので、予定や体調に応じた調整も可能です。

通勤ラッシュを避けるように労働時間を従業員が調整すれば、通退勤時のストレス軽減につながるでしょう。従業員はリフレッシュした状態で仕事に取り組めるようになるため、生産性の向上も期待できます。

メリット②残業や休日出勤の削減

フレックスタイム制の導入は、従業員の効率的な時間配分を実現させます。一般的な勤務体系では、仕事が終わっても定時まで退勤できません。

しかし、フレックスタイム制を導入すれば、早めの退勤もフレキシブルタイム内で一定の総労働時間内であれば原則自由です。毎日の労働時間も自由度が高いので、不要な残業や休日出勤の削減にも役立ちます。

メリット③優秀な人材の確保  

働き方の自由度が高いフレックスタイム制は、採用時のアピールポイントにもなります。

給与の水準を上げることが難しい企業でも、優秀な人材に好待遇の条件として提示することが可能です。

特に近年では、給与よりも勤怠体系が重視される傾向にあるため、従来の採用方法では不可能だった優秀な人材の確保や定着が実現するでしょう。

フレックスタイム制のデメリット

フレックスタイム制のデメリット

導入を検討する前に、フレックスタイム制のデメリットを知っておくことも大切です。

デメリット①ルールを決めないとトラブルになりやすい

部署やチームでフレックスタイム制度のルールなどを設けずフレックスタイムを導入すると、初動の段階で業務の停滞やトラブルの要因になる可能性も否定できません。

しかし、ルールを設けすぎるとフレックスタイムの自由度が限定的になってしまい、制度本来の良さを活かせなくなることもあります。

デメリット②自己管理が苦手な従業員に向かない

フレックスタイム制の導入は、自己管理が苦手な従業員の生産性の低下につながる可能性もあります。なぜなら、自由度の高さがルーズな時間管理につながるからです。

デメリット③勤怠管理が難しくなる

従業員ごとに就業時間が異なるため、マネジメントが複雑になります。勤務態度の評価も難しくなるでしょう。また、「コアタイムの遅刻早退に対する規程」や「給与計算方法の規程」など、改めて勤怠規程を調整する必要があります。

デメリット④光熱費の増加

従業員の就業時間が一定ではないため、オフィスの総使用時間が増え、光熱費も増加します。特に中小企業では負担が大きくなるので注意が必要です。

デメリットに対する対策

デメリットに対する対策

ここからは、フレックスタイム制の導入で生じるデメリットの解決策をご紹介します。

対策①フレックスタイム制を取り入れる意義や目的の周知

フレックスタイム制の導入は、自意識自律性の高い従業員の定着と生産性の向上が目的であることを社内全体に周知しましょう。出退勤が楽になるという理由だけでは勤労意欲の低下を招き、ルーズな時間管理を引き起こすことになりかねません。

対策②ビジネスチャットを取り入れ社内のコミュニケーションを円滑化

各従業員の出退勤時間が異なるので、ビジネスチャットを導入してコミュニケーションの円滑化を図りましょう。プロジェクトメンバー全員で情報を共有すれば、コミュニケーション不足も解消できます。

対策③勤怠チェックシステムの導入

フレックスタイム制の複雑な勤怠を管理するためには、Web打刻やICカードなどを使ったツールの導入が有効です。代表的なツールとしては「クラウド勤怠」が挙げられるでしょう。

クラウド型の勤怠管理には、効率的に使えるデータ管理機能が実装されています。打刻はICカードだけではなく、従業員のPCやスマホ、タブレットなども含めたマルチデバイスに対応しているため、出退勤の管理も容易で正確です。

リモートワークや外回りの従業員に対しては、スマホやタブレットの位置情報を使って不正な打刻を防ぎます。給与計算ソフトとの連携が可能である点もメリットでしょう。

対策④オフィスのランニングコストを抑える環境づくり

稼働時間の長期化によるコストをおさえるために、人感センサー付きの照明やエアコンの導入を検討しましょう。

遮熱性に優れたカーテンもコストの削減に貢献します。わずかな工夫も年体位で見れば大きな差になるので積極的に取り組んでみてください。

フレックスタイム制導入の注意点

フレックスタイム制導入の注意点

フレックスタイム制は、企業が自由に導入できるわけではありません。合法的な導入のためには、就業規則で「始業・終業時刻を従業員の自主決定に委ねること」と規定することが必要です。

以下のように、労働組合との労使協定で5つの条件を定めてください。

1.対象従業員の範囲

「全従業員を対象とする」「○○課の正社員を対象とする」などのように、フレックスタイム制の対象となる従業員を明確にします。

2.清算期間と起算日

一般的には毎月1日から月末です。

3.清算期間内の総労働時間

定めた清算期間内の総労働時間を総枠の範囲内で決めます。

清算期間別の法定労働時間総枠は以下表のとおりです(※厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き)。

清算期間別の法定労働時間総枠

清算期間を1カ月以上にする場合は、所轄の労働基準監督署に労使協定を届け出る必要があるので忘れないようにしましょう。

なお、1週間の平均労働時間は法定労働時間で定められている40時間以下にしなければなりません。

以下のケースを参考にしてください。

1週間の平均労働時間は40時間以下にしなければなりません。

このように、働く時間が毎日異なっても、1週間の労働時間が40時間に収まれば問題ありません。また、水曜日の10時間労働に対する残業代も発生しません。

4.基準となる1日の労働時間

清算期間中の総労働時間を所定の労働日数で割って算出します。

5.コアタイム

従業員全員に出勤する義務がある時間帯です。設定は任意となり、設ける場合は「10時から14時」のように、開始時刻と終了時刻を協定で定めなければなりません。

6.フレキシブルタイム

従業員が労働する時間を決められる時間帯です。フレキシブルタイムの設定も任意となり、設ける場合は開始時刻と終了時刻を協定で定めます。

以下は、コアタイムとフレキシブルタイムの設定例です。

コアタイムとフレキシブルタイムの設定例

サービスによっては向かないものもあるといった理解が必要

フレックスタイム制に適していない業種もあるため、導入は慎重に検討しましょう。決まった時間に生産ラインが稼働している場合や、顧客に対面サービスを提供している業種は、フレックスタイム制の導入によって混乱が生じる可能性もあります。

従業員同士のコミュニケーションの悪化に注意が必要

従業員全員が同じ時間に就業しなくなるため、コニュニケーション不足に陥るケースもあります。上司が部下の悩みに気づきにくくなるというデメリットもあるでしょう。

社内のコミュニケーション不足は仕事に対する視野が狭くなり、営業機会の損失や顧客との信頼関係悪化にもつながります。円滑なコミュニケーションのためには、職場の従業員全員がそろう時間帯や機会を設定することが大切です。

フレックスタイム制のデメリットを理解して適切な運用を

今回の記事では、働き方改革の一環として注目が集まっている「フレックスタイム制」のメリットやデメリットについて、導入前の注意点も交えてお伝えしました。

フレックスタイム制は多くのメリットをもたらします。しかし、デメリットや導入に適していない業種もあるので慎重に検討する必要も。

今回ご紹介したデメリットへの対策や注意点を参考にし、フレックスタイム制のスムーズな運用と、企業全体の生産性向上に取り組んでいきましょう!

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。