新卒採用フローを徹底解説!フェーズ別に課題を整理し、設計の見直しを

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新卒採用の選考フローにおいて大事にしたい採用指標の「数」と「質」。新卒採用の内定者が充足しているか?求めている人物像にアプローチできているか?どちらも両立することが難しいという採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、一般的な採用フローの全体像を説明しながら、元採用担当者の経験をもとに各フェーズのポイントやフローを見直すアイデアなどを紹介していきます。

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前提条件:人材要件定義をしっかりする

前提条件:人材要件定義をしっかりする

新卒採用のフローを紹介する前に、大事なポイントをお伝えします。

採用したい学生像を明確にする「人材要件定義」をしながれば、効果的な採用活動が難しくなります。

なぜなら、採用したい学生像を言語化しないまま抽象的な定義を行うと、後々トラブルが発生しやすいからです。

例えば、「母集団形成」のフェーズでは採用したい学生像を意識しながら、ひとりひとりの学生と向き合うコミュニケーションをしないと、学生にも刺さらず相手にされません。

「選考」「内定者フォロー」のフェーズでは、採用担当者間で求める学生像のイメージを共有しておかないと、本来採用したい学生を不採用にしたり、入社後のミスマッチが発生します。

以上のことから、新卒採用フローを設計する前提条件として、「求める人物像」を定義しておくことが重要です。こちらの『「求める人物像」を獲得できない3つの原因と企業がおこすべき現実的なアクション』にも詳しく執筆してありますので、よければチェックしてみてください。

新卒採用の選考フロー

ここからは本題の新卒採用フローを紹介します。新卒採用フローは以下の大きく3つのフェーズに分類されます。

  • 集める(母集団形成)
  • 選考する
  • フォローする

フェーズ1「集める(母集団形成)」

フェーズ1「集める」

採用フローの1つ目として、「集める」のフェーズがあります。

「集める」の手法では広報活動や会社説明会があり、企業の求人情報や事業内容などを学生に認知してもらい、選考を希望する母集団形成が目的です。

広報活動

広報活動では、自社が採用活動を行っていることを学生に知ってもらい、企業と接点を作ることを目的に活動します。広報活動も含まれる採用手法では、オーディション型とオファー型に大きく分けることができます。

オーディション型では、求人を出した企業に対して学生が応募する従来の採用手法です。ナビサイトや求人媒体が代表的で、合同説明会も広報手法に含まれます。

オファー型では、ナビサイトとは異なり採用担当者から学生にアプローチします。「攻めの採用手法」とも呼ばれており、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用などがあります。

弊社が運営している新卒オファー型就活サイト「OfferBox」もダイレクトリクルーティングの手法の一つです。

会社説明会

プレエントリーもしくは本エントリーが終了した学生に対し、企業と学生の理解を促進し、採用したい学生に選考に進んでもらうための会社説明会を実施します。

一般的にプレエントリーしている学生に対して説明会を行う場合は、求人広告だけでは分からない情報を共有します。学生の企業理解が深まった状態で候補者の集団形成するのが目的です。

また、企業理解以上に学生との相互理解を目的とするケースでは、座談会といった双方向のコミュニケーション機会が重要です。相互理解をさらに深めたい場合は、1対1の面談も有効でしょう。

流行に流されないことが大事

「集める」のフェーズでは学生と接点作りの様々な手段が取り上げられています。

大事なのは「色々な人事メディアで取り上げられているから自社でやってみよう」といった流行に流されないことです。

流行を過信するのではなく、採用担当者の方が「自社の目的に合っているのか?」を意識してジャッジしていきましょう。固定的でありながら、一方で移り変わりが速く多くの手法が出てくる「集める」のフェーズでは、目的を明確化して実践していきましょう!

フェーズ2「選考する」

『選考する』フロー

採用フローの2つ目として、『選考する』フローがあります。

『集める』フローは候補集団を選考を通して、本当に採用したい候補者を決定することを目的に実施します。

対面以外の選考(書類選考・適性検査など)

『選考する』フローの1つ目に、対面以外の選考があります。

対面以外の選考の目的は、後の採用担当者、部署の部長、役員など対面で人が直接関わるまでに採用したい人物像との最低限要件はクリアしているかなど、スクリーニングを兼ねたチェックが目的の1つとしてあります。

例えば、エントリーシートなど書類選考、一般教養を問う筆記テスト、職業適性、性格特性など測る適性検査などが挙げられます。

集団選考

『選考する』フローの2つ目に、集団選考があります。

集団の選考の目的は、学生の人との関わり方や、関わる上での選択した役割などを理解し、以降の選考へ進む学生を選出することなどがあります。

集団選考の例を挙げると、集団選考の種類は、グループディスカッション、グループワーク、集団面接などがあります。

発表内容よりも「この学生さんは、どんな人か?」に注目

「この学生さんは、どんな人か?」など、学生の人物像を重点的に見るようにしていましょう。

集団選考を採用フローに組み込む場合、本当はできる限り個別選考したいけれども、採用担当者の人的リソースに限界があるので、集団選考で対応する場合があります。

グループディスカッションを例に挙げると、採用担当者が学生を見るポイントは、人の話を聴けるか? 話を回す人なのか? サポートする人なのか? グループディスカッションの課題に対してのアウトプットのレベルの高さよりも、学生がそのグループでいるときに、どういう関わり方するのかを知ることができます。

もちろん、企業によっては集団選考時のアウトプットのレベルの高さを重視する場合もあるので、集団選考の目的は企業毎に異なるでしょう。

個別選考

『選考する』フローの3つ目に、個別選考があります。個別選考以降では、相互理解の過程を経て採用したい学生を確定する『内定出し』があります。内定出しの手前に、学生1人に対して双方向のコミュニケーション機会を設ける個別選考は、『選ぶ』フローの中でも最も欠かせないフローです。

1度の個別面接で全てを把握しようとしないこと!

個別選考のポイントは、1度の個別選考で学生の全ては把握しようとしないことです。

理由は、面接で学生の過去のエピソードなど聞く場合、1回30分〜60分程度の面接では、学生の特性、パーソナリティー、能力などを多方面の要素を判断することが難しいからです。熟練の採用担当者でも短時間で複数の要素を正確に判断することは難しいでしょう。

1次面接、2次面接、最終面接などでそれぞれ違う採用担当者が学生の全ての要素を評価するよりも、各面接で要素を分割することが有効です。

例えば、1次面接など初期は基本能力を判断します。採用担当者の質問にきちんと答えられているかなどの要素が挙げられます。

2次面接はパーソナリティーを判断します。採用フローに入る前提条件として作成した人材要件定義を元に、学生の経験を深掘りして行動特性などの理解を深めます。

最終面接は候補者集団の相対的なレベル感を判断します。最終面接になり、内定出しをするフローになると、今までのフローとは異なり安易に次のフローに進めるのは難しくなります。

最終面接まで残っている学生同士を比較した上で、本当に採用したい学生を決定する必要があります。判断としては、最終面接まで残った学生の相対的なレベル感が1つの分け方として挙げられるでしょう。

フェーズ3「フォローアップ」

『フォローアップする』フロー

採用フローの3つ目として、『フォローアップする』フローがあります。

『フォローアップする』フローでは、『選考する』フローで学生との相互理解を踏まえた上で、本当に自社で採用したい学生を決定し、入社まで学生をフォローしていきます。『フォローアップする』フローの目的は、本当に入社してほしい学生に入社してもらうことです。

内定出し

『フォローアップする』フローの1つ目に、内定出しがあります。内定出しは、『選考する』フローで最終的に採用したい学生にのみ内定通知します。

ストップ!!不採用の連絡のタイミングに注意!

内定出しのポイントは、勿論自社の合格基準を満たしている事が前提ですが、繰上げ合格の余地を残しておくことです。例えば、採用したい『優先度:高』学生が辞退した場合、『優先度:中』学生を繰上げることなどです。

しかし、『優先度:高』学生の内定承諾を確認する前に、『優先度:中』学生に不採用を送ることがあれば、貴重な候補者集団を減らすだけでなく、もう1クール採用フローを実施しするなど負担が重くなったり、そもそも目標採用人数を達成することが難しくなる場合があります。

内定者フォロー

『フォローアップする』フロー2つ目に内定者フォローがあります。内定者フォローは、内定出しをして、内定承諾した学生に対して入社するまでのモチベーション向上、入社までの離脱回避などを目的としてフォローアップを行います。

学生を放置せずにコミュニケーションを取り続けること

内定者フォローのポイントは、入社するまで学生を放置せずに、学生とコミュニケーションを取り続けることです。

例えば、社内外のイベントがあれば声をかける。イベントスタッフとして参加してもらったり、単純に参加者として関わってもらったりすることもあるでしょう。

また、FacebookやLINEのメッセージで、年末年始どう過ごしたか内定者に聞くなども有効です。お互いのプライバシーに配慮して程良い距離感を保ちつつも、学生に質問を強制するのではなく、必要な限り採用担当者も同じく答えたりするなど、一方的ではなく双方向にコミュニケーションすることが大切です。

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自社の課題に合わせて採用フローを設計し直しましょう

一般的な採用フローをそのまま自社に転用するのではなく、自社の採用課題に合わせて設計し直すことが必要です。

以降では、企業の採用課題を踏まえた上で、一般的な採用フローを設計し直した一例を紹介します。

【課題①】専門性の高い希少人材の確保が難しい場合

候補者集団形成は全体として目標達成見込みはあるものの、一部専門性が高い希少人材の採用が難しいケースを採用課題の例に挙げます。

昨今の新卒採用市場では、とりわけ理系人材の希少価値が高く、機電系、IT系など専門性を有した学生は競争倍率が高いです。

採用フローの工夫なしには、専門性が高い人材の採用、とりわけ接点を持つことは難しいでしょう。

【対策】採用担当者が希少人材に会いに行く!会いに来てくれるのを待たない!

対策として、特に『集める』フローの工夫が必要です。希少人材が自社に応募してくるのを待つ従来の手段に効果が見られなければ、異なる手段が必要でしょう。

例えば、ダイレクトリクルーティングを利用して学生データベースを探しに行く、専門職である既存社員の後輩を紹介してもらい会いに行く、SNSで情報発信している専門性がある学生にDMを送るなど、採用担当者が待たずに会ってみたい学生に自ら会いに行く手段は、工夫次第で数多くあるでしょう。

当然、求人広告よりも、人的リソースが必要になることは留意点です。しかしながら、そもそも希少人材の応募がない場合は、採用担当者が、希少人材に直接会って口説きに行く泥臭い攻めの姿勢が必要になる可能性が高いです。

【課題②】中小企業で候補者群形成が難しい場合

採用課題として、候補者集団形成が難しいとされている中小企業を例に挙げます。

有効求人倍率で判断すると、採用市場において中小企業は、大企業よりも厳しい現実があります。特定の事業領域の学生認知が高いなど、認知度に優位性がある中小企業以外は、候補者集団形成が難しいかもしれません。

【対策】1on1で面談。相互理解するため候補者群形成までで「会う」を大事にする

候補者集団形成が難しい課題に対して、採用フローの対策は、1対1のコミュニケーションで学生にできるだけ会いに行くことを念頭においてフローを設計することが大切です。

理由は、学生がそもそも企業認知がない場合、戦略なしに求人広告を出稿しても、学生優位の新卒採用市場では求人や企業自体に関心が持たれづらいからです。

不特定多数の学生に自社を認知してもらう考えから少し離れて、地道に1人ずつコミュニケーションしていくことが有効でしょう。

例えば、戦略なく合同説明会など広報を兼ねた説明会を実施するのみでは、学生の関心の度合いは上がりにくいでしょう。学生の関心を向上してもらうために、まずは1対1で双方向のコミュニケーションできる場を設定しましょう。

1対1でコミュニケーションできる場を設定する口説き文句(口頭、メッセージなど)として、「弊社の〇〇事業で現在〇〇職を募集してまして〜」など、口説き文句全体として自社の事業内容や求人内容を一方的に使えたり、「〇〇さんの経験拝見しました。ぜひ、一度カジュアルにお話しませんか?」など簡素に『まあとりあえず会ってみるか』といった企業の都合を一方的に押し付ける業務的なやり取りは、双方向でコミュニケーションを取れている状態とは言い難いです。

「〇〇さんの〇〇な経験が弊社の〇〇事業で活躍いただけるのではないかと思いメッセージしました。〇〇さんの〇〇な経験についてもっと詳しく知りたいです。ぜひ、一度弊社に遊びに来られませんか?」など、こちらはあくまで一例ですが、「あなたが活躍できる手伝いをできるかもしれない、あなたのやりたいことができる環境かもしれない、あなたのことをもっと知りたい」など、個別面談する機会を設ける工夫をしていくことが大切です。

初期段階で1対1の面談機会を設定して、双方向のコニュニケーションを意識して企業にとって採用したい学生か、学生にとって実は活躍できそうな企業か、すり合わせを行いましょう。

【課題③】内定辞退が多い場合

採用課題として、内定辞退は多い課題の一例を挙げます。

内定辞退が多い理由は数多く考えられます。

例えば、選考段階の場合、選考を進めていく中で学生の志望度が高かったものの、内定出し段階で学生の不安などが生じて離脱したパターン(他社の内定承諾した)など、そもそも志望度が高くない状態のまま内定通知を受けた(滑り止め)など様々なパターンはあると思います。

また、候補者集団形成段階の場合、学生を担保できていて内定辞退率が多いパターンと、候補者集団形成できていなくて内定辞退も高いなどのパターンにも課題が分けられると思います。

【対策】全フローで内定辞退に至るまでの懸念や不安を減らす

内定辞退の対策も課題パターンによって様々ですが、候補者集団形成を担保できていて内定辞退者が多いと判断したパターンで考えます。

この場合、採用フローの初期段階での学生とのコニュニケーションを改善する必要性が考えられます。内定辞退の要因として誰にでも魅力的なメッセージによって、採用したい学生ではない候補者集団が形成されているのかもしれません。つまり滑り止め利用や、何となく良さそうだから取り敢えず選考を受けてみるなどの学生の割合が多いかもしれません。

企業認知がある大企業では、採用したい学生へのメッセージを意識して打ち出すことにより、そもそも志望度の低い学生と、本来採用したい欲しい学生の住み分けがより明確になることが考えられます。

一方で、そもそも候補者集団形成自体が難しいかつ内定辞退が多い場合は、採用フローにおいて最初から最後まで1対1のコミュニケーションでとことん臨みましょう。

すでに説明しましたがダイレクトリクルーティング・リファラル採用など、手段に固執しないで必要に応じてその都度手段を考え、採用の可能性がある学生ならどんどん声をかけます。会社のことを知ってもらったり、学生のことをより深く知る環境設定に注力しましょう。

例えば、選考前に1対1など深いコニュニケーションが取れる個別面談、実際の社員や働くイメージが抱きやすく不安を払拭する目的の座談会や1dayインターン、可能であれば長期インターンなど自社に取って最適な手段で積極的に機会を作ります。選考段階でも配属が考えられる現場社員や年の近い若手社員と面談を挟むなど、常に相互理解を計りましょう。

留意点としては、選考の通過に関しては、選考で企業と学生の相互理解を深めていく中で、当然今回の求人とは縁がない場合もあります。選考時の潜在的なミスマッチを放置したまま入社すると、ミスマッチが顕在化して早期離職も考えられ双方win×winの状態は難しいでしょう。ですので、選考の通過率は上がり過ぎても危惧する必要があります。

候補者集団形成の『数をさばく』ことを必要な限り最小化し、人的リソースを1人1人の学生と向き合うリソースに割り当てることで、結果的に採用の可能性が高い候補者集団を形成し、選考フローにおいても不必要な離脱も軽減でき、内定辞退へのアプローチとして有効でしょう。

まとめ

本記事では、一般的な採用フローを紹介しながらも各フェーズにおけるポイントとフローを再設計するためのアイデアを紹介してきました。

ぜひこの機会に、現状の新卒採用の課題の洗い出しを行なってみてください。手法はある程度固まってきますが、毎年振り返りを行いPDCAサイクルを回していくことが大切です。

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どうなる?24卒・25卒 新卒採用 市場動向調査レポート(春夏版)
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米田 彩香

米田 彩香

新卒で入社した前職の老舗中小企業にて人事・採用を5年間担当。紋切り型の就活スタイルに疑問を持ち、OfferBoxの理念に共感したため2019年3月に株式会社i-plug入社、インサイドセールスチームに所属。夢は子供が独立したあとに学生街で食堂を開くこと。