ポテンシャル採用の特徴や実施メリット・デメリットと3つの成功ポイント

ポテンシャル採用
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人材採用は企業の成長を左右する重要な要素です。人材採用にはさまざまな手法がありますが、ポテンシャル採用は、人材の個々のスキルや経験よりも、潜在能力や成長性を重視する採用方法を指します。

本記事では、ポテンシャル採用の特徴やメリット・デメリットを明らかにしたうえで、成功の3つのポイントを詳しく解説します。これらのポイントを理解し、適切に実施することで、企業はより効果的に自社が求める人材を採用できる可能性があります。

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ポテンシャル採用の特徴とは?3つの基本ポイント

ポテンシャル採用の特徴とは?3つの基本ポイント

ポテンシャル採用とは、求職者の潜在能力を評価基準とする採用方法です。ここではポテンシャル採用の定義や他の採用方法との関係、注目される背景といった基礎知識を振り返ります。

ポテンシャル採用の定義

ポテンシャル採用は、求職者のポテンシャル(潜在能力)を評価基準とする採用方法です。「即戦力かどうか」ではなく、将来的に花開くであろう力に期待して人材を選考します。

多くのケースで対象となるのは新卒学生や第二新卒者です。例えば、技術職やコーポレート職など専門性が求められる職種で、専門知識がない学生や該当業務未経験の中途人材を採用する際に、「ポテンシャル採用」と呼ぶことがあります。

なおポテンシャル採用には、社会人年数や業種などについて共通の定義があるわけではありません。上記のように新卒においても用いられることは多く、特に専門知識が必要な分野、例えば人材不足が深刻なIT系の業種・職種でこの用語が用いられるケースが目立ちます。

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ポテンシャル採用と他の採用方法との関係

ポテンシャル採用には、比較されることが多い採用手法がいくつかあります。ここでは「新卒採用」「第二新卒採用」「中途採用」の3つについて、その関係を紹介します。

ポテンシャル採用と新卒採用の関係

新卒採用は、大学・専門学校などの学卒者を採用することを広く指します。

新卒者なので業務未経験なのが当たり前ではありますが、特に薬学や情報、工学といった理系専門職採用においては、ポテンシャルではなく学生の専攻や研究内容・成果を評価することも珍しくありません。

本来はそのような要件を設定するのが普通の職種であっても、必ずしも専攻分野・研究内容を問わず、潜在能力を選考基準として応募を受け付ける場合はポテンシャル採用と呼ばれることもあります。

ポテンシャル採用と第二新卒採用の関係

「第二新卒採用」とは既卒3年程度〜遅くとも20代後半の人材を対象にする採用方法です。通常、転職者の採用であればスキル・実績を求めるところですが、業種・職種未経験者も可として採用後に育成するケースはポテンシャル採用と呼ばれます。

ポテンシャル採用と中途採用の関係

中途採用とは、社会人経験のある転職人材を採用することを指します。その中途採用において、第二新卒のように年齢に制限をかけるわけではなく、業種・職種未経験者も応募OKとする場合は、「ポテンシャル採用」という言い方がされることがあります。

中途採用の場合、すでにスキル・経験がある即戦力人材を募集するケースが普通ですが、ポテンシャル採用ではスキル・経験を必須要件とせず、潜在能力や本人のやる気を重視します。

ポテンシャル採用が注目される背景

近年、あらゆる業種・職種で人手不足が深刻化し、求人倍率が高まるなか採用競争は激化しています。特に即戦力となる人材の採用競争は激しく、企業は即戦力人材の採用を行いたくても売り手市場のなかで満足に人材を確保できない状況が続いています。

厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和5年5月分)や独立行政法人労働政策研究・研修機構の「早わかり グラフでみる長期労働統計」(図14 有効求人倍率、新規求人倍率)によれば、有効求人倍率・新規求人倍率ともに、コロナ禍直前は、1990年頃のバブル期以来の高い水準であり、コロナ禍により一時的に落ち込んだものの、2023年5月時点でコロナ禍前の水準に戻る勢いで回復している状況です。

このような背景から、ポテンシャルのある人材を獲得し、社内教育によって中長期的に活躍する人材を育成するという考え方のもと、ポテンシャル採用が注目されています。

また、ポテンシャル採用は第二新卒や海外大学の卒業者、海外留学・ワーキングホリデー経験者など、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用するための方法としても注目されています。詳細は後述します。

企業がポテンシャル採用を行うメリット

企業がポテンシャル採用を行うメリット

ポテンシャル採用は、組織の新陳代謝の促進、自社の社風・業務方法の浸透、人材の多様性確保など、さまざまなメリットを見込めます。ここでは企業がポテンシャル採用に取り組むメリットを紹介します。

組織の新陳代謝を推進できる

1つ目のメリットは組織の新陳代謝の推進です。

即戦力の人材だけをターゲットにしていると、中途人材が中心となり、組織の平均年齢が上がる可能性があります。新卒で専門職人材を採用するという対策もありますが、専門職人材の母数は少なく、獲得競争も激しいため、若くかつ専門性がある人材を大量に確保するのは困難です。

しかし、ポテンシャル採用にも取り組むことで若い世代も取り込み、組織の健全な新陳代謝(若返り)を促すことが可能になります。新卒採用では一部の専門職に限定されがちな採用対象を、ポテンシャル採用で広げることで、組織に新鮮な風を吹き込み組織活性化やイノベーション創出につながる可能性があります。

自社の社風・業務方法を浸透させやすい

次に、自社の社風・業務方法を浸透させやすいという点も挙げられます。

専門職採用や中途採用は、既に一定の知識・スキルがある即戦力人材をターゲットとしますが、既存の仕事のやり方が染み付いている人材では、自社の考え方や価値観の浸透が難しいことがあります。

一方、ポテンシャル採用では、まだ該当の職種・業務に染まりきっていない人材を採用します。そのため、社風・価値観や自社の業務方法を素直に受容・継承してもらえる可能性が高いのです。

多様な人材を確保できる

人材の多様性というメリットも挙げられます。

ポテンシャル採用では、スキル・経験だけでなく、個々の潜在能力や適性を重視します。専門職採用や中途採用では、特定のスキル・経験を持つ人材を優遇する傾向が強いですが、これまでの採用の傾向とは異なる専攻の学生や、異業種からの転職者、キャリアチェンジを希望する人材など、従来の採用方法では見過ごされがちな人材にも間口を広げることで、多様なバックグラウンドを持つ人材を確保することが可能です。

特に新規事業の立ち上げや組織の再編など、変化が求められる状況では、社内にさまざまな考え方・視点があることは強みになります。新たな視点を持つ人材を常に取り込むことで、組織の強靭性を高められるのです。

人材獲得競争を回避しやすい

さらに、人材獲得の競争を避けられるというメリットもあるでしょう。

ITエンジニアやデータサイエンティストなど、特定のスキル・経験を持つ専門人材は競争が激しく、採用は簡単ではありません。仮に採用できたとしても、「当初の想定を超えた工数・費用がかかってしまっていた」というケースも珍しくないでしょう。

ポテンシャル採用では、これらのスキルを持っていないものの、成長の可能性を秘めた人材を採用し、社内で育成することで専門性の獲得を目指します。こうすることで、上記のような専門人材の激しい獲得競争を回避することが可能です。

幹部候補を確保・育成できる

幹部候補の確保・育成につながるという利点も挙げられます。

幹部候補となる人材の要件のうち、特に重要な項目の1つが、「企業の価値観・ビジョンや社風を継承していること」です。中途採用では即戦力のスキル・経験が求められ、中途採用ばかりに偏っていると長期的な育成や組織文化の浸透は難しいことがあります。

一方、ポテンシャル採用は、将来のリーダーやマネージャーとなる潜在能力を秘める人材を、社会人として早い段階から教育して組織文化への適応を促すことで、幹部候補人材に育成することが可能です。

企業がポテンシャル採用を行うデメリット

企業がポテンシャル採用を行うデメリット

ポテンシャル採用には、「教育・育成コストの増加」や「戦力化までの期間の増加」などのデメリットが存在します。ここでは企業がポテンシャル採用を行う主なデメリットを紹介します。

教育・育成コストが増加する

ポテンシャル採用では、人材の教育・育成に時間とコストがかかるという問題が生じることがあります。

専門職採用や中途採用では、スキル・経験を持つ即戦力人材を採用するため、教育・育成コストは比較的抑えられます。

しかし、ポテンシャル採用では、入社直後に新人研修やOJTなどの教育プログラムを設ける必要があり、これらのプログラムの開発や運営にはコストがかかります。また、新人のフォローアップなどにトレーナーやマネージャーの工数が必要です。

戦力化まで時間が必要になる

ポテンシャル採用では、採用した人材が実際の業務に携わるまでに時間がかかることもデメリットの1つです。

専門職採用や中途採用では、もともと即戦力人材を絞り込むため、採用後すぐに業務に携わってもらえます。しかしポテンシャル採用は業種・職種の未経験者である以上、最低でも2〜3ヶ月の入社後研修などの教育プログラムを経て業務に携わることになり、さらにOJTも経る場合は、自立できるまでに2〜3年かかることもあります。

短期的にはコスト先行となるため、「財政的な余裕があるか」「現場の人材ニーズに対して、教育の期間を待つことができるか」は検討しておきたいポイントです。

ミスマッチが生じるリスクがある

ポテンシャル採用では、採用した人材と企業との間にミスマッチが生じるリスクがあります。

中途採用・専門職採用では、採用前にその人材のスキルや経験を具体的に評価するため、少なくともスキル・適性という点においてその職種へのミスマッチのリスクは比較的抑えられるでしょう。

しかし、ポテンシャル採用では、パーソナリティや素養といった要素でしか判断できず、ミスマッチのリスクは排除できません。採用時にはポテンシャルがあると評価した人材でも、実際の業務に携わってもらうとその力が発揮できない場合もあり、注意が必要です。

人事評価・給与体系の見直しが必要になる

ポテンシャル採用では、人材の意欲・スキルや成長を適切に評価するための人事評価体系や、その評価に基づいた給与体系の見直しが必要になることがあります。

中途採用・専門職採用では、評価項目を具体化しやすいため、入社後の評価基準も明確しやすく、既存の人事評価体系や給与体系の見直しは不要というケースも普通です。

しかし、ポテンシャル採用は人事評価の対象となる「スキル」「実績」といった要素が少ないため、入社後の数年間は評価が曖昧、または低くならざるをえないこともあるでしょう。そこで、人材がやる気を失わないように、意欲や成長を評価するKPIの設定や、そのKPIに基づいた給与体系の設定が必要になることがあります。

企業がポテンシャル採用を成功させる3つのポイント

企業がポテンシャル採用を成功させる3つのポイント

ポテンシャル採用を成功させるためには、「自社が求める人材の要件を明確にする」「育成・教育体制を整備する」そして「最適な採用手法のポートフォリオを設計する」という3つのポイントが重要となります。

自社が求める人材の要件を明確にする

ポテンシャル採用では、素養やパーソナリティ、可能性や成長性を重視しますが、「それらの要素が何を指すのか」「どのような点を評価基準とするのか」を明確に定義する必要があります。具体的には、コミュニケーションスキル、問題解決能力、仕事への意欲など、具体的な行動指標とともに設定することが有効です。

これにより、選考プロセスが客観的になり、適切な人材を見極めやすくなります。また、自社が求めている人材像を求職者側にも伝えやすく、ミスマッチのリスクを減らすことが可能です。

育成・教育体制を整備する

ポテンシャル採用の場合、もともとのスキル・経験がなく即戦力とはならないため、入社後の育成・教育体制の整備は必須です。

入社後の教育プログラムやメンターシップ制度、定期的なフィードバックの仕組みなどを用意して、自社の業務や文化を理解したり必要な業務知識・スキルを習得したりするサポートを行うなど、潜在能力を最大限に発揮できる環境を整備することが求められます。

最適な採用手法のポートフォリオを設計する

ポテンシャル採用を成功させるためには、最適な採用手法を選択し、それを組み合わせたポートフォリオを設計することが求められます。

ポテンシャル採用にあたっては、例えば新卒ナビサイトや転職サイト、リファラル採用など、さまざまな採用チャネルがあり、自社が求める人材にアプローチするために適した手法を組み合わせるのが大切です。

特にダイレクトリクルーティングは、属性情報や学生時代の活動内容などさまざまな学生情報をもとに、自社の求める人材像に合う人材を絞り込めるサービスで、ポテンシャルをもとに採用したい場合でも、スキル要件をもとに絞り込みたい場合でも効果的です。

また、自社のブランドや文化を理解し、共感してくれる人材を引き寄せるためには、マッチングの手法だけでなく、採用広報活動も重要です。自社のビジョンや価値観を伝え、カルチャーにマッチした人材が自然に集まるような採用ブランディングを行うことで、自社で活躍するポテンシャルが高い人材の確保につながります。

ポテンシャル採用を実施している企業事例

ポテンシャル採用を実施している企業事例

エンジニアやコンサルタントなどの専門職でも、ポテンシャル採用を活用している企業は存在します。

例えば、ヤフー株式会社では、「新卒・既卒・就業者(応募時30歳以下かつ入社時18歳以上)」を対象に、ポテンシャル採用を実施しています。「新卒研修有り」となっており、入社後に専門的なスキルを身につけてもらう流れです。

また、コンサルティングファームの株式会社エスネットワークスでは、コンサルタント職の募集において、同社採用ページにて「コンサルタントとして経験がなくてもキャリアアップしていただくことは可能」「士業に関する資格は不要」と明記しています。教育体制も整備しており、プロジェクトや部門のマネージャーとの1対1のフォロー体制を通じて、未経験者でもコンサルタントとしてのスキルを磨いてもらう体制です。

まとめ

ポテンシャル採用まとめ

ポテンシャル採用は、人材の素養・意欲などをもとに潜在能力や成長性を重視する採用方法です。慢性的な人手不足で特に専門人材の獲得競争が激しいなか、間口を広げることで自社で活躍できる可能性のある人材を確保する方法として注目されています。

ポテンシャル採用を成功させるためには、「自社が求める人材の要件を明確にする」「育成・教育体制を整備する」そして「最適な採用手法のポートフォリオを設計する」という3つのポイントが重要です。

3つ目の採用手法選びでは、ダイレクトリクルーティングも手法の1つに組み込むと効果的な可能性があります。学生時代の活動やキャリア志向といった潜在能力に関わる部分と、専攻や研究内容といった知識・スキルに関わる部分の両方から求める学生を絞り込むことができ、精度の高いマッチングが可能です。

OfferBoxでは、自社の採用条件とマッチする学生を事前に選定してオファーを送ることが可能です。面談や選考を通して相互理解を深められ、入社後のギャップを低減できる採用方法ですので、ぜひ検討してください。

最後に、自社で定着・活躍してくれる新入社員を採用するには、最新の学生の特徴や動向を押さえておくことが重要です。24卒学生のデータを元に、新卒採用市場を分析した資料をご用意していますので、こちらもぜひ併せてご活用ください。

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人事ZINE 編集部

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人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 人事・採用に関する役に立つ情報や手法を発信します。 就活生の3人に1人が利用する新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。