5分で変わる 学生が“つい”話したくなる採用対話術|ベテラン人事に学ぶ現場ノウハウと実践

5分で変わる 学生が“つい”話したくなる採用対話術
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2025年1月、OfferBox主催のオンラインセミナー「5分で変わる 学生が“つい”話したくなる採用対話術 ベテラン人事に学ぶ現場ノウハウと実践」を開催しました。当記事では、セミナーの講演パートを一部抜粋してお届けします。

人事ZINEでは、候補者との対話力を上げたい担当者の方のために「面接官マニュアル」をご用意しています。社内メンバーの面接・面談トレーニング用配布資料としてもおすすめです。ぜひダウンロードしてご活用ください。

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セミナー趣旨

当セミナーでは、学生とのコミュニケーションを格段に深めるノウハウを具体的に解説。トヨタ・パナソニックにて人事・採用に従事されたご経験をもつ、川下俊輔氏(現・株式会社フリースタイルエンターテイメント 人事・採用マネージャー)をゲストとしてお招きしました。学生とのコミュニケーションに関する質問に対して「大手企業」と「中小企業」のケースに分けて回答する形式で進行します。

  • 「初めて会う学生と何を話せば良いの?」
  • 「緊張感のある面談になってしまう」

このように、学生との面談や面接でのコミュニケーションに悩む人事担当者の方におすすめのセミナーです。

講義を通じて、以下3つのポイントを紹介します。

持ち帰っていただきたいポイント


以下、詳しく説明します。

1:学生と向き合う上で採用担当者として意識すべきこと

Topic_1

川下氏

「大手企業」でも「中小企業」でも、私が採用担当者として意識してることに変わりはありません。私が意識していることは「目の前にいる学生さんが適材適所を見つけ、社会に出た時に活躍できるかどうか」です。もし、自社とマッチしないと感じた場合は、学生さんが本当に活躍できるところを一緒に見つける気持ちでいます。

採用基準にとらわれず「志」でつながれる学生を探す

前本

「超売り手市場」「人材不足」と言われるなか、採用評価基準を下げてでも採用したいと考えている企業が増えてきたように感じます。そういった企業にはどのような意識を持って採用することをおすすめしますか?

川下氏

「人は一つの基準をもって高い低いの判断できない」ということを前提に考えた方が良いと思います。さまざまな基準が交差するうえで、一人ひとりの強みと弱みがあるのです。だからこそ、一つの基準で測って人をレベル分けするべきではないでしょう。
「志」を確認することが最も大切です。想いや志をしっかり持っている若者のポテンシャルは無限大ですよ。
実際、志を強く持ったうえで社会人になり、別人のように成長している学生さんを多く見てきました。だからこそ、「志ベース」でつながれる学生さんを探すと良いのではないでしょうか。

前本

自社の魅力の伝え方や意向の上げ方などの話はよく聞きますが、「志ベースでつながる」という観点は初めて聞きました。すごく難しくも感じたのですが、何から始めるべきなのでしょう。

川下氏

難しく考えなくても大丈夫です。企業と学生さんが目指しているものが、共感し合えるかが大切。
例えば、私はライフテーマとして「はたらくをもっと素敵に」を掲げています。働く人って一生懸命頑張っているけれど、つらそうに働いている人も多いのが現実です。もっと楽しそうにイキイキと働ける人が増えたら良いな。そんな社会になったら楽しそうだと思いませんか?

前本

素敵な未来です!

川下氏

この会話で良いのです。描いてる未来に共感できるかどうかが「志ベースでつながる」ということだと思っています。描いているものに共感できたら、話を深掘りしていくのです。「xxな未来になって欲しいから、自社ではこんなサービスを展開しているんだ」「xxさんが学生時代頑張っている活動って、この未来に繋がるよね」などです。

前本

なるほど。学生さんと話す時に意識するポイントって、考えすぎて複雑に捉えてしまっていたように感じました。学生さんが思い描く「理想の未来」に対して会話をしていくということが、大切なことなのですね。

2:人事として採用課題を解決した具体的な取り組み

人事として採用課題を解決した具体的な取り組み

自社の存在意義と志を正しく伝える

川下氏

私がトヨタに在籍していた時の話です。当時は内定辞退率が高いことが大きな課題でした。当時は「グローバル企業」ということを売りにしていました。しかし、「グローバル企業」という観点だけでは採用文脈ではトヨタより強い企業が他にもたくさん存在していました。
本当に自社の強みは「グローバル」なのかを見直してみました。そうすると、採用広報で伝えなくてはならない一番の強みであり大切にしていることは、トヨタが掲げる「志」ではないかとが見えてきたのです。「グローバル」ではなく企業理念の一つでもある「産業報国(産業の発展を通じて社会に貢献)」、日本においては「基幹産業である自動車産業を守ることで、日本社会に貢献する」という志です。志がトヨタの「存在意義」にもつながっていることに気がつきました。志ベースで採用活動をすることで、志に共感して集まってくださる人が多くなり、結果的に内定辞退率の低下にもつながりました。

前本

競合他社との向き合い方に悩んでいる企業が多いように感じます。どのように向き合いながら、自社の良いところをどのように学生さんに伝えていましたか?

川下氏

自社の志がわかったら、そのために自分たちが何をしてるのかを明確に伝えるべきです。志のためにしなければいけない、泥臭い仕事なんてたくさんあります。言葉で伝えるだけではありません。当時の私は、パンフレットやプレゼン資料も全て変えました。
学生さんが想像する「グローバル企業」のキラキラしたものではなく、少し色味などを落ち着いたものにしたのです。極端な例にはなりますが、最初に感じるイメージから変えていくことは大切です。

納得して入社できるようなコンテンツを提供

前本

イメージを変えたということですが、学生さんとのコミュニケーションの取り方も変えたのでしょうか?

川下氏

当時は大手企業だったので、学生さんからのエントリーは多かったのです。一方で、「ワクワクする」「楽しみ」と感じるコンテンツを用意できていませんでした。志に向かって働くやりがい楽しさを伝えたいと思い、ビジネスゲームの実施を開始しました。一般的なビジネスゲームではありません。半日間でトヨタの仕事を擬似体験できるようなゲームを独自開発してもらいました。これが本当に素晴らしかったんです。

前本

そのビジネスゲーム、とても気になりますね。どんなゲームですか?

川下氏

各チームを一つの部署と仮定して、各々に与えられた部署の課題を解決するゲームです。解決のためには、各部署の連携も必要になってきます。自部署本意になってくると、うまくいかないのです。社内のメンバーにゲームを実施してる様子を見てもらった時に「まさに今会社で起きている状況だ」などのコメントもあったくらい、リアルに近いものが体験できるゲームでした。
人は実践で体感しないと納得しない、腹落ちしないことが多いと思っています。納得して入社してもらうためには、体感してもらうことが重要だと感じました。
例えば「この仕事はコミュニケーション能力が必要」などという説明がよくされます。実際にゲームを通して、コミュニケーションの重要性を体験してもらうこともできます。体験することで本当の意味が理解できるということです。そのなかで、志のつながりが段々と強くなっていくと感じました。「また参加したい」「もっと聞きたい」が深まるコンテンツの用意も一つの方法です。

前本

良いコンテンツというのは、内容が面白いというだけでないのですね。納得して入社を決めてもらうためのコミュニケーション設計ができていることが大切だと感じました。

川下氏

まさにその通りです。ビジネスゲームでも、各チームとうまく連携できないことが当たり前にあります。あえて、良いところも悪いところも経験してもらうようにすることがポイントです。
社外の口コミをあえて見せるコンテンツも実施したことがあります。その口コミに対して、社員がどう感じているかを話してもらうのです。良いコメントも悪いコメントもバランスよく集まるのは、大手企業だからこそできることかもしれません。

前本

私が学生だったら、全てを見せてくれて、言い訳をしない企業の姿勢に誠実さを感じますね。

3:“つい”学生が話したくなる人事になれるトレーニング

学生が話したくなる人事になれるトレーニング

「印象が良い」と感じる人事

前本

印象の良い企業、担当者ってどういう人のことなのでしょう?

川下氏

大前提、学生さんにマウントとらないことです。自分の方が先輩なので、どうしても学生さんに教えてあげたいと思ってしまう気持ちもわかります。ただ、上から目線にならないように気をつけたいですね。

少しの気遣いでも印象は変わると思います。例えば、質問にきて列をなしている学生さんたちに座って待ってらもうよう声をかける。同じ質問をしようとしてる人がいるかもしれないので、みんな一緒に質問を聞いてもらうなどです。

深掘りではなく問いかけを意識する

前本

面接や面談などでコミュニケーションを取るなかで意識するポイントはありますか?

川下氏

深掘りするのではなく問いかけを意識するようにしましょう。
面接官をしていて、真剣になるにつれてどんどん深掘りをしてしまうものです。ただ、相手からすると詰められていると感じてしまうことがあります。そうすると「正解を言わないと」と学生さんは焦ってしまうのです。これは少しの工夫で解決できます。「なぜ?」「どういうこと?」ではなく「xxということですかね」「その時こんなことなかったですか?」と問いかけるだけで良いのです。そうすることで学生さんは「そうなんです!」「そこは少し違ってxxでした」などと答えやすくなるように感じます。本音ベースでの対話が生まれてくるでしょう。

前本

わざと答えやすい質問とは違い、本音を語りやすい質問を問いかけるということですね。

川下氏

相手とどう接したら良いかを考えるために、私は「16Personalities」を活用することをおすすめしています。相手がどのようなことを考えているのか、経験したのかを想像するために使っています。しかし、診断結果を信じすぎないよう気をつけましょう。
「16Personalities」はとても流行っているので、かなり多くの学生さんが診断を受けています。プロフィールに書いていることも。学生さんと私たちの共通言語になるので、せっかく書いてくれているなら、そこに触れて相手を知ろうとする姿勢も大切です。

毎日5分でできるトレーニング

前本

本日のセミナーを通して、私は川下さんとの会話がとても心地良いと感じています。相手が心地良いコミュニケーションを取るために、トレーニングの方法とかありますか?

川下氏

口角をあげることです。割り箸を加えて、口角をあげるトレーニングを毎日5分間実施しています。大人になってくると口角って上がらなくなってくるんですよ。特に、面接で真剣に話していると特に。口角をあげるだけで、印象って変わってくるのでやってみてください。

面接も日常会話と同じ

前本

なるほど。真剣な話をすればするほど、怖い顔になってしまいがちですよね。口角をあげるべきだと思っていても、意識して習慣化することが大切だと感じました。
これまでは、人事としての姿勢や準備の話をしていただきました。いざ、学生さんと対面すると「何から話したら良いかわからない」という声を耳にします。どうすべきでしょうか?

川下氏

難しく考えないで大丈夫です。普段の会話と同じですよ。「朝何食べた?」などの日常の会話でOK。日常で初めて会った人と会話をする時、何を話しますか?普段何をしているかなどの会話から、少しずつ相手のことを知ろうとしますよね。

就活のために作り込まれたプロフィールだけでなく普段の姿を見る

前本

会話が進むうちに学生の本音を引き出したいと考えている人事も多いはずです。川下さんは、採用担当者としてどういった意識を持って働くことが重要だと思いますか?

川下氏

エントリーシートに書かれたものだけを見て判断することはおすすめしません。学生さんは、エントリーシートを一生懸命作り込んでくるので、一人ひとりの特徴や個性が出てこないことが多いです。そうではないものを見ることがおすすめです。例えば、学生さんが作った作品を見るなどです。プロフィールを見ていると、Web上に公開されていると書いてくれている学生さんもいます。そういったものは、必ず見にいくようにしましょう。そういった観点だと「OfferBox」のプロフィールは普段の姿に近い情報がたくさん詰まっていて良いですよね。写真もたくさん載せられるので、写真をきっかけに会話を進めるのもおすすめです。
豊富な学生のプロフィール

前本

会話を広げるためにできることは、他にもたくさんありそうですね。当セミナーは、川下さんのお話を通して、学生さんとコミュニケーションを取る時に必要な意識と心構えをお伝えできたと思っています。本日学んだ施策や考え方は、明日からの採用活動に取り入れていただけると嬉しいです。川下さん、ありがとうございました!

学生さんと直接繋がれるOfferBox

OfferBox(オファーボックス)」とは、企業から学生に直接オファーを送ることができる新卒スカウト型サービスです。

川下氏も採用担当者時代、学生さんと出会うために積極的に活用していたとのことです。

OfferBoxならターゲット学生に直接アプローチできるため、企業の学生認知度に左右されずに、自社の魅力を高確率で届けることができます。

川下氏

オファーを「学生さん一人ひとりのプロフィールを見ながら、この方ならこんなオファー文章を入れたら刺さるんじゃないのか」と考えながら送っていました。工夫を重ねていると自然と学生さんのことを知りたい気持ちが強くなってきますよ。「絶対にこの学生さんには会いたい」「会ったらこれを聞きたい」など、採用担当者として熱が入りますね。
新卒オファー型就活サイトOfferBox

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最後に人事ZINEでは、候補者との対話力を上げたい担当者の方のために「面接官マニュアル」をご用意しています。社内メンバーの面接・面談トレーニング用配布資料としてもおすすめです。本記事と合わせてご活用ください。

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「面接官マニュアル」は、面接についての基本的なスタンスや流れ、面接で聞くべきことやNGな質問について、わかりやすくまとめております。
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開催概要

  • イベント名:5分で変わる 学生が“つい”話したくなる採用対話術 ベテラン人事に学ぶ現場ノウハウと実践
  • イベントURL:https://offerbox.jp/company/event/event_old/31366.html
  • 日時:2025年1月15日(水)1月21日(火)※終了しました。
  • 講演者:
    株式会社フリースタイルエンターテイメント 人事・採用マネージャー 川下 俊輔氏
    トヨタにて採用グループ長、パナソニックにてキャリアクリエイトセンター企画部長として、採用活動全般及び組織開発、社員育成に従事。
    現在は株式会社フリースタイルエンターテイメントにて、人事採用と事業開発を担当。 「はたらくをもっと素敵に。」をライフテーマに、働くすべての人が「適材適所」で「いきいき」と輝ける社会実現へ向けた土台づくりに取り組み中。並行して、これまでのキャリアで得た知見を活かし、研修講師及びコンサルタントとして複数社の組織開発、採用・育成支援に従事。

    株式会社i-plug 法人マーケティンググループ 前本 貴生
    2016年4月、新卒でオフィス機器やシェアオフィスを運営する専門商社へ入社。新規開拓営業/法人パートナー営業ののち新卒採用担当として従事。 25名の採用をするため年間約1500名と面接・面談。一次選考・二次選考・初回接触から内定承諾までのフォローを担当。23卒では内定承諾率100%に。
    採用活動をしながら出身大学でゼミ2クラスの就活講座を行う。
    2022年10月〜現職。株式会社i-plugに入社。カスタマーサクセスとしてのOfferBox運用・採用に関する包括的なサポートを経験を経て、現在は法人マーケティンググループに所属。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。