面接で性格・人柄を見極める質問例と効果的な活用方法・注意点

面接では相手の性格・人柄といったパーソナリティーを見極めることが大きな目的の1つですが、30分から1時間という短いなかで、初対面の相手を正確に見極めることは簡単ではありません。
効果的に見極めるには本音を引き出しやすい雰囲気作りや効果的な質問例を準備しておくことが大切です。本記事では主に新卒採用の面接で性格・人柄についての質問が重要な理由や、見極めるためのポイント、テーマごとに役立つ具体的な質問例を紹介します。また厚生労働省が示している「公正な採用選考の基本」というガイドラインに沿った注意点も解説します。
人事ZINEでは「面接質問例文マニュアル」をご用意しております。志望動機やキャリアといった性格・人柄に関連する要素について、面接で見極めるためのポイントやすぐに使える質問例も紹介しております。面接において効果的な質問をお探しの方はぜひご活用ください。

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面接で性格・人柄についての質問が重要な3つの理由

面接では短い時間内で候補者が自社にマッチした人材であるか、活躍してくれる可能性があるかなどを判断します。初対面の人同士が30分程度の時間の中で、相手の人柄を深く探ることは本来は難しいことです。
そもそもなぜ、選考の際に候補者の人柄を探る必要があるのでしょうか?人柄がわかる質問のコツをお伝えする前に、企業が候補者の人間性を知っておくべき背景について解説します。
①自社に適した人材を見極めるため
採用した後で自社に適した存在でなければ、早期離職のリスクが高まります。面接官は候補者が自社の企業文化や採用目的に適した人材かどうか、見極めをする重要な役割があるのです。
もし、経験やスキルが充分だったとしても、会社のカルチャーや指導方針が候補者に合わなければ、円滑な業務遂行は困難です。会社の風土に合っていなかったり、人間性の相性が良くなかったりすれば、周囲との軋轢を生みます。ミスマッチは業務の効率を下げる要因となるでしょう。
スキル・能力だけではなく人となりを見極めることは、採用のミスマッチを防ぐ上で重要なポイントになります。自社に合っている候補者かを見極めるさまざまな基準の1つとして、「人柄・性格・人となり」が含まれると考えられます。
②職種への適性を見極めるため
また、質問によって職種への適性を見極めたいという理由もあります。
性格・人柄といったパーソナリティーは、職種への適性に直結する要素の1つです。例えば、営業職やカスタマーサポートといった職種では、コミュニケーションへの積極性やストレス耐性といった要素が不可欠で、選考時にはこういった点を見極める必要があります。
なお、職種別採用の場合は合否の判定に細かいパーソナリティーの見極めが必要ですが、新卒採用のように入社後の職種・ポジションが未定の場合であっても、入社後の配属先を検討する際にパーソナリティーへの理解が必須のため、いずれの場合でも重要です。
③潜在能力を測るため
顕在的な知識・スキルだけでなく、潜在能力を見極めたいという理由も挙げられます。
特に新卒採用の場合は多くの職種がポテンシャル採用であり、選考時は専門スキルの有無を問わないことが普通です。仮に専門職採用であっても、今後の成長性を見込んで採用したいというケースもあります。
そこで「入社後に本当に長期的に活躍できるか」を判断するには、成長意欲や好奇心といったパーソナリティーを見極める必要があるのです。具体的には、「新しいことを積極的に学ぼうとする意欲」や「自ら問題を発見して解決に向けて取り組む主体性」、また「周囲の人物と助け合える協調性」といった要素の判断が重要になります。
面接で性格・人柄に関する質問をする前の雰囲気作りの方法

性格や人柄を面接で見極める重要性を整理しましたが、具体的にどのようにして相手から本音を引き出せばよいのでしょうか。ここでは質問の前段階として、面接の雰囲気作りについて紹介します。
質問・回答しやすい環境を作る
質問で性格・人柄を引き出そうとする前に、面接の雰囲気や環境を整えるのがポイントです。
基本として面接官も「笑顔」で相手と向き合いましょう。仏頂面で話をしている相手に自分の本音を話したいと思う人はいません。面接官は、鏡やビデオ録画でどのような表情をしているのか確認してみることがおすすめです。
面接のペースは早すぎず、ゆっくりと進めることも大切です。面接の相手が質問を正しく理解できるような時間を作り、落ち着いたペースを心がけて質問をするとよいでしょう。
また、新卒採用であれば相手は社会人経験がないため、自分よりも年齢の離れた相手と向かい合って、質問され続けるという特殊な環境になれていません。話しやすい雰囲気を積極的に作り、学生のストレスが軽減するような配慮をしましょう。
面接官の側から自己開示する
相手に自己開示してもらうには、面接官本人も自己開示が必要です。
面接官が相手に次々と質問していく場合、事務的な印象や「いかにも評価されている」という印象を与えてしまい、不要なプレッシャーを与えることがあります。そこで面接官が就活生だった時の不安や、当時の悩みや軽い失敗談などを話すだけでも相手はリラックスしやすくなります。一方的に質問をするのではなく、面接官も自己開示をし、相手の本音を引き出しやすくなる会話を入れてみてください。
面接で質問して性格・人柄を見極めるためのポイント

面接で性格・人柄を見極めるためには有効な質問を用意するだけでなく、面接の進め方や質問の方法にも意識するとなお効果的です。ここでは面接で相手を見極める際に意識しておくべきポイントをいくつか紹介します。
質問の意図を適宜伝える
まず、質問の意図を伝えることが挙げられます。
性格・人柄に関する質問は抽象的になることがあります。例えば規範意識を見極める目的で「コンプライアンスについての考えを教えてください」と質問した場合でも、相手は「時事問題や社会的関心のテスト」「組織運営や制度のあり方についての質問」といった解釈をする可能性もあるでしょう。これでは本来意図していた回答が得られません。
そこでさまざまな解釈が可能な質問については、質問の狙いをあえて添えることが効果的です。ただし質問の狙いを丁寧に伝えすぎると、本音ではなく模範回答が返される可能性もあります。そのため、あくまでも必要に応じて開示するのが有効です。
オープン・クローズドな質問を使い分ける
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けることも、性格・人柄を見極めるコツです。
オープンクエスチョンとは「〇についてあなたはどう思いますか?」といった、答えが限定されない質問です。選択肢が広いため相手から得られる情報を多く引き出しやすい特徴があります。しかし選択肢が多すぎるため、相手がどう答えればよいか分からなくなり、心理的なストレスになってしまうケースもあります。
それに対しクローズドクエスチョンとは、答えが「はい」「いいえ」の2つや「A・B・C」から選ぶなど、答えの範囲が狭くなるような質問を言います。この質問は回答がしやすい反面、得られる情報が少なくなりがちで、誘導尋問のような状況に陥らせるリスクも潜んでいます。
面接ではなるべくオープンを使い、相手が緊張して答えに窮しているようなときはクローズドを使って答えやすい空気を作るなど、使い分けると効果的です。
第三者による評価も聞いてみる
面接では、「友達や家族からはどう言われるか」「他人は自分をどう思っていると感じるか」といった、第三者による複数の視点を取り入れる工夫をしてみましょう。応募者が考える自分自身ではなく、「家族・友人⇒応募者」といった異なる視点から客観視してもらうことで、人物像が見えやすくなります。
同じ質問を別の角度から複数回問いかければ、自己分析と周囲の評価にズレがないかを確認でき、内面を正しく知ることにつながります。もしも相手が誇張表現をしていたり、事実に反する話をしていれば、上記のような質問をすることで見分けられるでしょう。
非言語的コミュニケーションを注視する
面接では相手の発する言葉だけではなく、非言語的コミュニケーションも注意深く観察しましょう。非言語的コミュニケーションとは、声のトーン、目線、話すスピード、ジェスチャーといった「言葉以外のコミュニケーション」を指します。
例えば、面接の最中に指先をそろえずモジモジと動かしていたり、あまり視線を合わせなかったりする時は、相手が緊張しているサインかもしれません。
- 人と目を合わせて会話ができるか
- 早口ではなく相手が聞き取りやすく話せているか
- 背もたれに深く腰をかけすぎていないか
など、些細なことも見逃さないよう非言語的コミュニケーションに気を配るとよいでしょう。もちろん自分自身の非言語的コミュニケーションを客観視しながら、リラックスできるコミュニケーションがとれるよう意識をして、相手の本音を引き出しましょう。
【テーマ別】面接で性格・人柄を確かめる質問例

面接では、相手の性格や性格・人柄を見極めるためにテーマ別の質問を用意しておくと効果的です。ここでは、主体性やコミュニケーションスキルといった定番の項目をテーマに、質問例をご紹介します。
主体性・リーダーシップを見極める質問
主体性とは誰かにやらされるのではなく自発的に考え行動する姿勢を指します。これは会社組織のなかで「受け身ではなく自身で必要な行動を取れるか」を見極めるのに効果的です。リーダーシップは主体性とも関連する要素で自ら周囲の人に働きかけ、時には自分がグループを率いることができる力を指します。
【質問例】
- 今まで学業やアルバイト・部活などで自身が行った改善・工夫の内容と、きっかけを教えてください
- 過去にグループ活動をした時のあなたの役割を教えてください
- 研究や部活など、これまでに取り組んだチーム活動のなかで困難だった課題とその解決策を教えてください
主体性を見極める際は、過去の行動だけでなく、そのきっかけや思いまで聞くと真剣度を確認しやすくなります。また、リーダーシップを確かめる際は直接的にリーダー経験について聞く方法もありますが、あえて「グループ活動」というキーワードに止めることでグループ内で担ってきた役割を自然に聞き出すことが可能です。
コミュニケーションスキル・協調性を見極める質問
コミュニケーションスキルとは、相手の意図を理解しながら自分の考えや意見を適切に伝える能力を指し、協調性はチームでの協力や関係構築において重要な要素です。
【質問例】
- グループのなかで議論がある時、どのように意見・提案をしますか?
- これまで異文化の人と交流した経験はありますか?その際どのように意思疎通をしましたか?
- 自分1人の力だけでは対処が難しい時はどのように解決しますか?
これらの要素は他の人との関わり合い方であり、「グループ内や自分とは異なる背景を持つ人との関係で、どのように考え行動しているのか」を確かめることが効果的です。特に「グループで意見の対立が起きた時にどのように対処するのか」を問うとその人のコミュニケーションの取り方の特徴が見えてきます。
成長・自己研鑽の意欲を見極める質問
成長意欲や自己研鑽に対する姿勢は、将来にわたって活躍してもらうために欠かせない要素です。自ら学び続けられる人なら、新しい知識やスキルを柔軟に吸収して将来的に高いパフォーマンスを発揮してくれると期待できます。面接では現在相手が持っている知識・スキルに加えて今後も成長していける人なのかを見極めます。
【質問例】
- ゼミでの研究テーマは米国経済ということですが、研究内容とそのプロセスを教えてください
- もともと苦手だったもので克服できたことはありますか?その時のきっかけや対処法も教えてください
- いま興味があるトピックはなんですか?その理由も教えてください
こういった自己研鑽に関する質問を行う際は、単に相手の意欲を質問するだけでなく、その裏付けとなるエピソードまで掘り下げるのが効果的です。「成長志向があり、それが具体的にアクションにつながっているか」も確かめられるような質問をしましょう。
志望度・入社意欲を見極める質問
相手の志望度や入社意欲を見極める質問も重要です。これは一見すると性格や人柄とは異なるようですが、パーソナリティーと自社のビジョンやカルチャーとのマッチは面接において非常に重要な要素であり、密接な関係にあります。相手の主体性やコミュニケーション、成長意欲といった要素と自社への志望理由が整合性があるか確認できれば理想です。
【質問例】
- 弊社に興味を持っていただいたきっかけや現在ご関心があるポイントを教えてください
- この業界・職種を目指すなかで、あなたの強みをどのように活かしていきたいですか?
- 入社後に取り組みたい事業内容やプロジェクトはありますか?
相手の志望度を確かめるためには、具体的な目標や興味を持っている事柄について話してもらうことが重要です。入社意欲が高ければ、自然に業界や自社についてリサーチをしているはずなので、「自身の言葉でそういった内容を語れるかどうか」も見ておくと効果的でしょう。
自律性・規範意識を見極める質問
自律性は社会人として適切なセルフコントロールをする力を指し、規範意識は法律や社内ルール、またモラルを遵守しようとする意識を指します。これらは会社の一員として責任感を持って行動できるかどうかを確かめるうえでも重要なポイントです。
【質問例】
- 資格勉強といった目標達成に向けて、どのような計画で取り組みましたか?
- 過去にミスをした時、どのような対応や反省を心がけていますか?
- ルールについて改善すべき点を感じた時、どのように対応しましたか?
自律性を確かめるにはさまざまな質問のパターンが考えられますが、基本的に自ら決めたスケジュールやその他の制約があるなかでどのように自分をコントロールしているのかを聞くのが効果的です。規範意識については、ルール・モラルそのものに対する考え方に加えて、「実際にどのような行動をとってきたのか」を聞くと相手の一面を理解できる可能性があります。
人事ZINEでは「面接質問例文マニュアル」をご用意しており、面接で見極めたいポイント別に具体的な質問例を紹介しています。志望動機やキャリアといった主要な項目を網羅しており、面接の質問を考える際にすぐにご活用いただけます。相手を見極めるうえで効果的な方法を模索されている方はぜひご活用ください。

面接で性格・人柄に関する質問をする際の注意点

採用面接で性格・人柄に関する質問を行う際には、いくつか注意が必要です。厚生労働省が定めているガイドラインもあり、人事担当者が熟知していることはもちろん、現場の面接官にも周知徹底する必要があります。ここでは主な3つのポイントを紹介します。
応募者の適性・能力のみにフォーカスする
厚生労働省「公正な採用選考の基本」によると、採用選考では以下の2点が推奨されています。
- 応募者の基本的人権を尊重すること
- 応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと
2点目に注目すると、採用選考で企業側が見極めるべきなのは、あくまでも「募集している職種や配属先で働いてもらうにあたって、応募者がその適性や能力を持っているかどうか」というポイントになります。
面接で性格・人柄を見極めようとすると、意図せず本人の価値観に踏み込んでしまう可能性もありますが、質問は職務上で必要な範囲にとどめ、個人的な内容には深入りしないことが重要です。例えば、応募者の協調性を見極める際には「チームで取り組む際に心がけていることはありますか」といった質問で、その仕事における適性を確認する方法が推奨されます。
配慮すべき事項に関する質問は避ける
また、上記の厚生労働省ガイドラインには「採用選考時に配慮すべき事項」があり、これらに関する質問も避ける必要があります。特に面接で注意すべきなのは以下の2点です。
- 本人に責任のない事項
- 本来、自由であるべき事項
「本人に責任のない事項」とは、例えば本籍や出生地に関することや、家族状況、生活、家庭環境といった項目が挙げられます。「本来、自由であるべき事項」とは、信仰や支持政党、人生観、尊敬する人物、思想といった内容です。
また、面接官にはその意図はなかったとしても、購読している新聞や雑誌、愛読書に関する質問も人生観や思想に直結する可能性があります。合理的な理由がない限り、こういった質問は避けるのが無難でしょう。
不要なプレッシャーをかけないようにする
性格・人柄を見極める目的であっても、不要なプレッシャーをかけないように注意しましょう。
性格・人柄や、過去の経験、入社意欲などを見極めようと、プライバシーに踏み込みすぎたり、相手の本音を確かめようと突っ込んだ質問をしたりする可能性もありますが、これらは圧迫面接と取られかねません。あくまでも中立的かつ穏やかなスタンスを徹底する必要があります。
ストレス耐性を見極めたい場合でも、面接内で不要な圧力をかけるのではなく、応募者の話し方やエピソードといった要素から手がかりを得るのが基本です。
まとめ

本記事では主に新卒採用の面接において性格・人柄を見極める質問をすることの重要性や本音を引き出すための雰囲気作りのコツ、また具体的な質問例や注意点をまとめて紹介しました。双方のマッチングの精度を高めるうえでパーソナリティーの見極めは極めて重要ですが、効果的な質問をするには、雰囲気作りや質問の事前準備が欠かせません。
人事ZINEでは「面接質問例文マニュアル」をご用意しております。新卒採用の面接においてパーソナリティーを見極めるための質問例とそのポイントを具体的に紹介しております。面接で実際に使える質問を検討する際はもちろん、面接官トレーニングにも活用いただけます。面接の精度を高める方法をお探しの方はぜひご活用ください。
