新卒内定率の推移から見るコロナ禍の採用活動|22卒最新値つき

新型コロナウイルスの影響で新卒内定率はどのように推移しているのでしょうか?コロナ以外に、どのような要因が内定率を左右するのか気になる方も多いでしょう。

今回は、株式会社ディスコやリクルート、マイナビなど大手人材会社が毎月発表している就活に関連した調査データをもとに、直近の就活市場の状況を解説します。内定率を始め、内定辞退率や内定承諾率の変動など、一緒に確認していきましょう。

20卒~22卒の内定率で押さえておきたい数値

20卒~22卒の内定率で押さえておきたい数値

20卒は新型コロナウイルスの影響を受けませんでしたが、21卒の就活中には緊急事態宣言が初めて発出され、就活市場が一変しました。22卒は21卒と同様に、選考のオンライン化や時期変更など多数の影響を受けています。

売り手市場と言われているものの、選考の方法が大きく変わり内定取り消しの不安を抱えている就活生が多い中、内定率はどのように推移しているのでしょうか。

本章では20卒、21卒、22卒の7月時点の内定率がそれぞれ何%だったのか株式会社ディスコの調査から傾向をご紹介します。内定率に加えて内定辞退率と内定承諾率の数値も合わせて解説します。

①22卒7月の内定率は80.1%/前年77.7%よりも向上 

22卒の内定率は7月時点で80.1%となり、前年よりも2.4ポイント高い数値となりました。2年ぶりに7月の内定率は8割を超えていますが、新型コロナウイルスの影響を受ける前の20卒は84.0%でした。

22卒の7月時点の内定率は前年21卒よりは上昇したものの、20卒と比較すると3.9ポイント下回っています。20卒~22卒で比較すると7月時点の内定率が最も高かったのは20卒となりました。

②21卒の最終内定率はコロナ前と同水準

21卒の卒業時点の内定状況を見ると内定率は96.1%です。これは20卒と同水準であり、コロナ前と変わらない内定率となりました。

21卒は4月~秋口までの内定率の伸びが鈍化していましたが、最終的にはコロナ前の20卒と同じ結果です。このことから、22卒も現時点では20卒よりわずかに減少傾向(84.0%→80.1%)ですが、卒業時点では20卒同様になると予想できます。

参考:就職プロセス調査(2021年卒)「2021年3月度(卒業時点) 内定状況」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article/20210326001/

③内定取得後も就活を続ける人は3割以上

直近の2022年卒の内定取得後の動きを見て見ると、内定取得後に就活を継続する人は32.6%となりました。内定をもらって就活を終了する人は全体の67.4%となっており、内定取得後も3割以上は就活を継続するというデータが出ています。7月時点の同数値を、振り返ってみると以下の結果となりました。

  • 2020年卒…28.0%が内定取得後も就活継続
  • 2021年卒…37.9%が内定取得後も就活継続
  • 2022年卒…32.6%が内定取得後も就活継続

年度でバラツキはあるものの、直近の2年間では3割以上の学生が、内定獲得後も不安を感じて就職活動を継続していることがわかります。

上記に加えて、売り手市場だと考えている22卒の学生は約2割強となり、コロナ前の20卒と比べ半数にとどまりました。実態としては求人数が就活生の人数を上回る状況ですが、就活生のほとんどが売り手市場の実感がないと回答しているのは、新型コロナウイルスによる影響が大きいと予測できます。

参考:キャリタス就活 2022 学生モニター調査結果(2021 年 7 月発行)『7 月 1 日時点の就職活動調査〈速報〉』
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/07/202107_gakuseichosa_soku.pdf

参考:キャリタス就活 2021  学生モニター調査結果(2020 年 7 月発行)『7 月 1 日時点の就職活動調査〈速報〉』https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/202007_gakuseichosa_k.pdf

参考:キャリタス就活 2020  学生モニター調査結果(2019 年 7 月発行)『7 月 1 日時点の就職活動調査〈速報〉』https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/07/201907_gakuseichosa.pdf

内定率に影響を与えている要素

内定率に影響を与えている要素

内定率は社会情勢によって大きく変動するものです。22卒の7月内定率は主に3つの要素が関係したと考えられます。何が内定率に影響したか、本章で確認していきましょう。

公務員志望者が微増

「公務員として就職したい」と回答したその他地域の学生は全体の18.8%に上りました。公務員志望者の数値は、20卒よりも8.6ポイント増加しています。関東・中部・近畿で公務員を志望する学生は減少していますが、その他地域の学生はおよそ2割が公務員志望な点は特徴的です。

地方公務員試験は例年夏以降に進むため、現在の内定率には算入されず、20卒よりも7月時点の内定率が減少につながったと考えられます。

地域格差がある

7月時点の内定率は地域でも異なり、関東・中部・近畿が8割前後、その他地域では77.7%と都心部よりもやや低い結果です。これは就職活動の開始時期が地域によって違うことが要因と言えるでしょう。関東・中部・近畿の学生は半数以上が2020年の8月以前には就活をスタートしています。特に近畿の学生は66.4%が2020年の8月以前に就活を開始していました。

一方でその他地域の学生は47.8%となり、近畿と比較すると18.6ポイントの大きな開きがあります。地域による就活スタートの格差が、今回の内定率に影響を及ぼしたと推察できます。

志望業種

内定率に影響した3つ目の要素は、就活生が志望する業種の偏りです。就職プロセス調査2022年8月によると、21卒、22卒ともに「情報・通信」を志望する人が全体の3割弱となり、次いで製造業(機械以外)、サービス業に人気が集中しました。それに対し、教育・学習支援業、電気ガス熱供給水道などのインフラは、人気のある情報通信に比較すると10倍ほどの開きがあります。

株式会社ディスコの2021年7月調査でも、1位は同じく情報通信業で、文理ともに情報通信・ソフトウェアが人気業種です。業種により応募者数が偏ることが内定率にも影響した可能性があるでしょう。

参考:株式リクルート『就職プロセス調査 (2022年卒) 「2021年7月1日時点 内定状況」』https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/naitei_22s-20210707.pdf

内定率とあわせて確認したい内定辞退率と内定承諾率

内定率とあわせて確認したい内定辞退率と内定承諾率

内定率だけではなく、内定辞退率と内定承諾率も把握しておくことが、新卒採用の傾向に応じた施策を進める上では重要です。企業が内定を出しても、全ての学生が内定を承諾して入社するわけではありません。内定を出した学生が複数社からも内定を獲得している場合は、その学生から辞退される可能性もあります。

ここでは内定辞退率と内定承諾率の持つ意味と、それぞれの数値やオンライン選考が、内定辞退にどのような影響を与えたのか解説します。

内定辞退率は6割強を推移

「内定辞退」とは、内定を出している学生から入社を辞退されることを指します。複数企業から内定をもらっている学生や、選考時にギャップを感じたため辞退するというケースが多いです。

内定が出された学生数に対し、内定辞退した学生数をもとに内定辞退率を計算することができます。

リクルートキャリアが21年卒を対象に行った就職プロセス調査では、2020年10月1日時点の内定辞退率が60.6%、20卒は65.6%と2年連続で6割を超える結果となりました。

また、2021年8月に同様の調査を実施したところ、22卒の内定辞退率は60.9%で同時点での21卒の内定辞退率53.9%を上回っています。

この数値から、依然として売り手市場が続いていることは明白です。優秀な学生には内定が集中しやすいため内定辞退率が高くなっている現状を受け止め、積極的に内定辞退の対策を検討しなければならないでしょう。

内定承諾率はおおよそ3割強

内定承諾率を算出したデータはありませんが、22卒の9月時点の内定辞退率が62.1%から算出すると、内定承諾をしている割合は3割~4割と受け取れます。

株式会社リクルートが2021年8月に実施した調査では、内定辞退企業数が2社以上とする就活生が31.3%、21卒では27.5%、20卒は33.9%です。22卒は20卒と似た数値となりました。平均して学生1人につき1社、内定辞退をすることが同調査によってわかっています。

全体の内定率からは多くの学生がスムーズに就活を終えているように見えますが、内定辞退率と内定承諾率をあわせて確認すると、次のように要点をまとめられます。

  • 売り手市場に新型コロナウイルスによる就活生の不安が増大し、複数内定を保有する傾向がある
  • 複数内定を保有したまま就活継続をする学生が多いため、結果として内定辞退率も6割強と高くなっている
  • 内定を早期に出しても3割しか承諾しない事実を受け止め、内定後フォローの施策も入念にならなければならない

内定辞退の要因を突き止め、内定者へのフォローを実施し内定率改善につなげるよう対策を練ることが、今後はますます重要となるでしょう。

参考:株式会社リクルート『就職プロセス調査 (2022年卒) 「2021年9月1日時点 内定状況」』https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/09/naitei_22s-20210913.pdf

参考:株式会社リクルート『就職プロセス調査 (2022年卒) 「2021年8月1日時点 内定状況」』https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/03/naitei_21s-20210326.pdf

オンライン選考が内定辞退率に与える影響

オンラインによる選考は会社の雰囲気をつかみづらく、人との関わりも薄くなりがちです。学術研究によると、オンラインと対面ではオンラインのほうが「伝達感」は低くなります。伝達感とは、自分の話を相手に理解してもらえているという感覚や、自分が相手の話をしっかり受けとっているという感覚のことです。つまり、オンライン選考では「企業が自分自身についてわかってくれていない」「企業について自分の理解が不十分だ」と学生が思ってしまう確率を高めます。

新たな選考の様式に乗り切れず、その結果、辞退にいたるケースもあるでしょう。全体の内定承諾率は好調に見えても、ミクロの視点で個別に観察すると、実はオンライン選考で動機づけなどに苦戦して内定承諾率を落としている企業もあるのです。

まとめ

内定率の推移と内定承諾率、内定辞退率

内定率の推移と内定承諾率、内定辞退率について統計データをもとに解説しました。新型コロナウイルスは就活の在り方を変えましたが、調査の結果、コロナウイルスによる影響を受けなかった20卒と21卒の最終内定率は同水準という結果になっています。

しかし、ミクロで確認すると企業によってはオンライン選考に苦戦しているケースもあり、企業ごとで内定率改善のための対応が必要でしょう。内定辞退率は時期により変動しますが、ピーク時には6割を超えており、この数値が急激に改善することはあり得ません。

自社の内定率と他社を比較して現状を把握し、必要な施策を講じて採用計画を立ててみてください。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部