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「採用計画」の策定方法と手順・留意ポイントをHR調査機関が伝授

採用担当を任されたばかりの方の中には、「採用計画を立てるように言われたけれど、作成方法が分からない」とお困りの方もいらっしゃると思います。

本稿ではそんなみなさまのために、採用計画の立て方や手順、注意したいポイントなどについて、採用担当初心者の質問に編集部企業・団体のHR(人事)領域に関する調査・研究機関であるHR総研が答える形で紹介していきます。

※本稿は企業・団体のHR(人事)領域に関する調査・研究機関であるHR総研監修のもと作成しております。
図2

 

|採用計画を立てなければいけない理由って? 本当に必要なの?

はじめに、採用計画を策定する人が最初に突きあたる壁、「採用計画そのもの」についての疑問にお答えしていきます。

○採用計画とは「採用活動の指標となる計画」のことを指す。

採用担当(以下ST)―― 採用計画とはそもそも何ですか?

HR総研編集部(以下H)―― 採用計画とは、「どの部署に・いつ・何人・どのような人を・どのような方法で採用するのか」といった目標を設計した『採用活動の指標となる計画』のことを指します。採用だけでなく人事全般を俯瞰した上で、人材を効果的に採用・異動・配置するための計画と言い換えることもできます。

採用計画と称していても、経営戦略の実現、事業の成功を目指すための人材戦略に通じる計画ですから、企業にとって非常に大切な計画といえますね。

ですから、策定にあたっては自社の経営方針や事業計画を正しく把握しておく必要があります。

○採用計画を立てることで、「採用活動のモノサシ」ができる。

ST―― なるほど、思っていたよりもとても重要なものだったのですね。

H―― そうですね、採用市場での人材獲得が年々厳しくなるなか、中小企業はいままで以上に工夫を求められています。優秀な人材を確保するためには、綿密な採用計画を立てる必要があるわけです。自社の採用ニーズを明確にすることで、求める人材を採用しやすくするのが採用計画の存在価値といえます。

また、採用活動の進捗度を測れるというメリットもあります。「計画通りに進んでいるのか」「無駄は生じていないか」計画とのズレを認識できるため、早期に改善策を立てやすくなります。

ST―― 逆に採用計画がないと、どんなデメリットがあるのでしょうか?

H―― 計画を立てずに行き当たりばったりで採用活動をしたり、計画に問題や不備があったりすると、「まったく採用できなかった」「結局、人数が足りなかった」といった失敗が起こりがちです。採用できたとしても、現場から「思っていた人物と違う」など不満が出ることもあります。

|採用計画を立てるために必要なステップ

この章では実際に採用計画を立てるために具体的な話をします。

○採用計画を立てるにあたり、押さえておく事前準備とは

ST―― すぐに採用計画をつくりたいと思いますが、準備はとくに必要ないですか

H―― 事前に準備することはいろいろあります。順番に説明していきます。

①自社の事業計画の把握
事業計画と照らし合わせて、「今後、どこに・どのような人材が・何人必要になるのか」 を検討します。経営層の要員ニーズと現場の要員ニーズとは異なる場合があるので、しっかりヒアリングすることが大切です。

②自社の採用課題を把握・前回採用の振り返り
無理のない実現可能な目標設定のためには、これまでの採用実績を振り返り、次に挙げるような項目を把握しておくことが必要です。

・スケジュールに無理はなかったか
・採用活動中にクレームや事故はなかったか
・求人媒体やツールの費用、その配分は適正だったか
・候補者が自社を選んだ理由はなんだったのか
・内定辞退者の辞退理由はなんだったのか
・入社後、期待通りの活躍をしているか(求める人材の定義・選定基準が適切だったか)

などです。入社前だけではなく入社後にも目を向け、希望する人材について足りなかった要件はないか、しっかり活躍できているかなどをヒアリングしておくとよいですね。

③学生・採用市場の動向・採用競合の調査
一言でいえば、「求める人材がどのような志向をもって就職活動をしているか」「競合他社はどのような採用をしているか」を調べることです。

自社が属している業界の状況、最新の採用マーケット状況、学生の動向を把握することは、戦略的な採用計画立案において大変重要です。自社に有利な状況をつくるためにも、比較・分析し自社を選んでもらえる施策の検討をしましょう。同業他社はもちろん、他業種でも職種・勤務地・待遇などで競合する場合がありますので、視点を広くする必要があります。

④採用コストの把握
人件費や交通費といった「内部コスト」、求人媒体掲載料や紹介サービスの紹介料といった「外部コスト」があります。とくに外部コストは慎重に見直したいですね。複数使っている場合は費用対効果を精査し、必要かつ効果の高いメディアを選ぶことが大切です。

ST―― そのような情報は具体的にどうやって集めれば良いでしょうか?

H―― 求人市場全体のマクロデータは厚生労働省から出される求人倍率調査などを参考に分析するとよいでしょう。また、新卒採用に関する企業や学生の動向は、さまざまな就活・採用支援サイトから調査データが出ていますので幅広くリサーチし、役立ててください。

競合他社をリサーチする方法としては、新入社員がいれば入社前に比較した企業についてヒアリングするといいですね。「応募時に何を重視したのか」「応募・比較検討企業名」「入社を決めた理由」「印象的な説明会や面接」などから、競合他社の存在や動向を知ることができます。

口コミサイトから情報を得るのもひとつの手です。「エントリーを検討している理由」「辞退した理由」「退職した理由」「入社前と入社後のギャップ」など、必ずしもポジティブな情報だけではないですが、反面教師的に役立つかもしれません。

○採用計画立案の手順

事前準備が整ったところで、次に計画を実際に策定していきます。本章ではその手順を紹介します。

ST―― まず大枠のステップについて教えてください。

H―― 大枠は次のようになります。

ステップ1=採用目標・目的の設定
ステップ2=中長期的な採用ニーズの把握
ステップ3=求める人物像の設定
ステップ4=選考基準・方法の検討・策定
ステップ5=採用体制の構築
ステップ6=採用手法・募集媒体の選定
ステップ7=スケジュール作成
ステップ8=内定者フォロープログラムの作成

ST―― 具体的に計画立案をどのようにしていけばよいでしょうか。

H―― ステップごとに説明していきましょう。

ステップ1=採用目標・目的の設定
「どの職種で何人必要か」
「どういった仕事をしてもらうか」
「どういったスキルが必要か」
「どういった行動特性を持つ人物か」

など採用目標・目的を、経営方針や事業計画に基づき設定します。組織強化、組織拡大、技術やノウハウの継承を目的とすることが多いですね。

ステップ2=中長期的な採用ニーズの把握
経営計画に基づき、どのような組織づくりをしていかなければならないか、3年~10年後に想定される人員構成をシミュレーションしましょう。業績や今後の業務拡大を見据えたうえで「いつ・どの部署で・何人くらい必要か」という採用ニーズを把握します。

ステップ3=求める人物像の設定
経営層および配属予定部署にヒアリングを行い、求める人物像を明確に定義してください。新卒採用の場合はポテンシャル採用のため「能力(思考力・コミュニケーション力)」「カルチャーマッチ(志向・価値観・性格)」「スキル(専門知識:専攻・保有資格)」について、それぞれ設定するといいでしょう。

ステップ4=選考基準・方法の検討・策定
面接官によって選考基準に差異が出ないように、採用の規模やターゲット像が見えてきた段階で、求めている要素を能力・適性・意欲などで細分化していき、絶対に必要な要素を「MUST」、あると望ましい要素を「WANT」として、評価項目を作成するとわかりやすくなります。

求める人物像を明確にした採用基準を設定し、共有することが大切ですね。

また、選考方法は次のようなものが考えられます。
・書類選考(意欲や能力を測る)=エントリーシート、自己PRなど
・筆記試験(知識や適性を測る)=一般常識試験、適性検査、小論文など
・面接試験(総合的な人物像の評価)=集団面接、個人面接、グループディスカッションなど

ステップ5=採用体制の構築
人事部だけで採用活動をするのではなく、経営層をはじめ全社で協力体制を敷けるように手配しましょう。とくに応募者に直接かかわる会社説明会の会場運営・プレゼンターや面接官、リクルーターの人選は重要です。

ステップ6=採用手法・募集媒体の選定
採用目標、ターゲット層にあわせ、費用対効果も考えて最適な手法・メディアを選ぶことが大切です。手法としては次のようなものが挙げられます。
自社HP・SNS(Facebook、Twitter)など
就活支援サイト
人材紹介
大学アプローチ
リファラル採用

ステップ7=スケジュール作成
社内の受け入れ体制状況と競合他社の動向なども鑑み、具体的なスケジュールを立ててください。採用活動を始める日から入社日までの全体スケジュールと、会社説明会・選考・内定者フォローなどタスクごとのスケジュールに分けて考えるとよいでしょう。

それぞれのタスクに、「いつまでに何が必要か」をリストアップしていくとわかりやすくなります。また、1年間の流れを「見える化」することも大事で、年間を一覧できる採用カレンダーをつくると便利です。

ステップ8=内定者フォロープログラムの作成
内定出しから入社までの期間、内定者のモチベーションを保ち続けるために「フォロープログラム」を用意するとよいでしょう。内定出しをゴールとするのではなく、入社後スムーズに会社に溶け込み、活躍できるようにするフォロー計画はとても大切です。

○採用計画を立てるときは、柔軟な思考で。

ST―― 採用計画の立て方はイメージできました。注意しなければいけないポイントはありますか。

H―― 採用計画は、綿密に立てることに越したことはありません。ただし、ガチガチに固めすぎて、ちょっとでも予定がズレたらその後は全部ダメになるような計画にはしないでください。

途中で変わることも見越した余裕のある無理のない計画を立てることが大切です。進捗状況を見ながら、臨機応変に柔軟に対応できるものにしましょう。計画と並行してKPIを設定しておくと役立つと思います。

○採用計画書を作成する

ST―― 採用計画書のテンプレートはありますか?

H―― 残念ながら、そのままそっくり利用できる無料テンプレートはないですね。Excel、Googleスプレッドシートのテンプレートを加工して作成する方法が簡単なのでお勧めです。

Excelの場合は【ファイル→新規→オンラインプレートの選択】と進み、「ガントチャート」「ビジネス計画書」「分析シート」を使用すると便利です。

Googleスプレッドシートの場合には、右上をクリックすることでテンプレートギャラリーに進めますので、そこから適したものを選んで使用できます。

いずれもカスタマイズが必要ですが、簡単な加工で済みますので試してみてください。計画書に記載する、採用計画の要素項目を次に挙げますので参考にしてください。

採用目標・予算=募集背景、求める人物像、市場調査、採用予算
選考方法・評価方法=選考ステップ、評価シート、ステップごとの評価、内定・合格基準
募集ツール=募集メディア、業者、メディア予算
採用活動スケジュール=採用カレンダー、掲載期間、選考期間

|まとめ

採用にかかる費用を削減しつつ、自社に合った人材を採用したいと考える担当者は多いでしょう。そのためには具体的な採用計画が欠かせません。

本章では、「採用計画とは何か?」から紐解き、その存在理由、採用計画作成の手順や留意ポイントを解説してきました。

採用計画は、経営戦略の実現、事業の成功を目指すための人材戦略に通じる、企業にとって非常に大切な計画です。採用計画を策定するためには、事前に経営計画・事業計画の把握や自社の採用課題の振り返り、採用マーケット・競合他社の動向把握などを行わなくてはなりません。

実際の策定でも、採用体制の構築、採用チャネルや募集メディアの選択、予算編成など、留意しなくてはならないことが多々あります。

採用計画は、会社の未来を設計する大切な計画です。紹介した採用計画の立て方を参考に、自社に合った採用計画を立て、スムーズな活動と採用成功に役立ててください。


2021年2月22日公開