【すぐ使える】面接で人柄を見抜く7つの質問例とは?進め方も紹介!
「面接でスキルは確認できたが、人柄までは見抜けなかった」「入社後にカルチャーマッチしていないことが発覚した」といった悩みを抱える採用担当者は少なくありません。短い面接時間のなかで、応募者のパーソナリティを正確に把握するには、感覚任せではなく、意図を持った質問設計と進行が不可欠です。
本記事では、面接で人柄を見抜くことの重要性を整理したうえで、価値観・協調性・適応力などを見極めるための具体的な「7つの質問例」を紹介します。さらに、回答の深堀りから評価の共有、面接自体の改善サイクルまで、選考の精度を高めるための一連のフローを詳しく解説します。
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面接で人柄を見抜くことの重要性

面接で人柄を正しく見抜くことができれば、採用の質の向上や効率化を目指すことも可能です。具体的には、以下のようなメリットがあげられます。
入社後のミスマッチを防ぐ
採用活動において最も回避したいのが、入社後のミスマッチです。どれほど高いスキルを持った人材であっても、企業理念や社風が社員の価値観・人柄とマッチしていないと、本来の能力を十分に発揮してもらうことはできないでしょう。ミスマッチは早期退職の原因にもなり、企業側だけでなく応募者にとっても避けたいものです。
面接において応募者の考え方や本音を把握することができれば、このような事態を回避することにつながります。
長期的に成長・活躍できる人物か確かめる
スキルは入社後の教育で習得可能ですが、成長意欲や素直さ、困難に対する耐性といった「人柄」に起因する要素は、そう簡単に変容しにくいものです。そこで、面接段階で「失敗から学ぶ姿勢があるか」「変化を前向きに捉えられるか」といった資質を見極めることが重要です。
「長期的に自社で成長し、活躍し続けられるポテンシャルを持った人材かどうか」を判断するには、表面的なスキル以上に人柄の確認が欠かせません。
社会人・組織の一員としての適性を知る
会社員として成果をあげるためには、チームの一員として周りと円滑なコミュニケーションをとることができ、協働できる人柄であることも大切です。社会人として最低限のモラルやマナーを守って相手を尊重したり、足並みを揃えたりできる人材であることは、企業全体の生産性にも影響を与えます。
コミュニケーション能力が高く、チームの雰囲気をプラスに変化させてくれる人物がいると、組織全体の士気を高めてくれるため、採用において協調性を重視する企業が多くなっています。
面接で人柄を確かめるための質問例

面接では、応募者が自社の求める人物像の要件にマッチしているかを確かめる質問をすることが重要です。それでは、自社とマッチする人柄を持った人材を見極めるためにはどのような質問が効果的なのでしょうか。具体的な質問例を紹介していきます。
価値観を確かめる質問
応募者の労働に対する価値観や長期的なビジョンを確かめることで、自社の企業理念や社風、組織風土にマッチするかどうかを確かめることができます。どれほど高い能力を持った人材でも、目指す方向性が一致していなければ、求める成果を出してもらうことはできません。
早期離職を防ぐためにも、価値観のすり合わせはしっかり行うようにしましょう。
<質問例>
- やりがいを感じるのはどのような状況ですか
- 入社後、どのような成果をあげたいですか
- 当社に応募した理由はなんですか
- 影響を受けた人や目指している人はいますか
向上心・成長意欲を確かめる質問
長期的に成果を出し続けるためには、今の自分に満足せず向上心を持って能力向上に励む姿勢が必要です。現状に甘んじて向上心を忘れてしまう人柄だと、周りの変化に適応できず、いつしか成果が出せなくなってしまいます。
特に、グローバル化や情報化が急激に進む昨今では、ビジネスシーンの変化が激しくなったことから、より成長意欲が重要視されています。
<質問例>
- 情報収集にはどのようなツールを使うことが多いですか
- 今読んでいる本はありますか
- 最近関心を持ったニュースはなんですか
- 10年後、どのような人物になっていたいですか
協調性を確かめる質問
チームと信頼関係を築き、協働できる資質を持っていることはチーム全体の生産性においても重要です。適切なコミュニケーションをとれるだけでなく、ルールやマナーを守って相手に敬意を示せる人物でなければ、周りから信頼してもらうことができません。
面接では、具体的な人間関係や過去に受けた評価などに触れるといいでしょう。
<質問例>
- 物事に取り組むとき、周囲の人とどのように協力することが多いですか
- 周りからどのような人物と評されることが多いですか
- 上司や先輩と接するとき、どのようなことを大切にしていますか
- どのような人を苦手だと感じますか
責任感を確かめる質問
長く仕事を続けていれば、想定外の出来事が起こって計画が崩れてしまう事態は何度も訪れます。そのような状況でも途中で投げ出さず、対処法を考えて最後まで完遂する力がなければ、長期的に成果を出すことはできません。そのため、責任感が強く、最後までやり抜ける人物かどうかを面接で見極める必要があります。
応募者の責任感を確かめるには、過去の具体的な経験について聞くのが効果的です。これまでどのようなことをやり抜いてきたか、1つの物事を長期的に継続してきたかどうか質問しましょう。
<質問例>
- 過去に大きな失敗をしたとき、それをどのようにカバーしましたか
- 年単位で長く続けている活動はありますか
規範意識を確かめる質問
昨今ではコンプライアンス意識を重視する企業が増えています。社内ルールや法令などを理解し、遵守する姿勢を持てるかどうかだけでなく、最低限のネットリテラシーがあることも重要です。
ただし、学生相手だとまだコンプライアンスというものに実感が沸いていないことも多いため、深い知識を求めるのではなく、「ルールは守るもの」という意識がしっかりあるかどうかに焦点をあてましょう。
また、質問だけではなく面接時の最低限のマナーを守れているか、服装や髪型などの身だしなみもチェックすることもおすすめです。
<質問例>
- コンプライアンスという言葉の意味を知っていますか
- 社内ルールはどの程度守る必要があると思いますか
- 当社には「会社で知った情報をSNSに記載してはいけない」というルールがありますが、具体的にどのようなことに気をつければよいと思いますか
適応力・柔軟性を確かめる質問
ビジネス環境の変化が激しい現代において、想定外の事態や新しい環境に柔軟に対応できる力は必須です。現状に固執しすぎず、状況に合わせて行動を変えられるかを確認します。
<質問例>
- これまで経験したことのない課題に直面した際、どのように対処しましたか
- 急な予定変更やトラブルが起きたとき、まず何を意識して動きますか
- 新しい環境やツールに慣れるために工夫していることはありますか
リーダーシップを確かめる質問
リーダーシップとは役職経験だけでなく、周囲に働きかけて目標を達成する力を指します。「主体性」や「巻き込む力」があるかを確認することで、将来的な組織の中核候補かを見極めます。
<質問例>
- チームで目標に向かう際、あなたはどのような役割を担うことが多いですか
- 周囲と意見が対立した際、どのように合意形成を図りましたか
- 誰からも指示されていない状態で、自ら課題を見つけて動いた経験はありますか
- チームの士気が下がったとき、どのような行動をとりますか
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人柄を見抜くための面接の流れ・進行方法

面接で応募者の人柄を見抜くには、行き当たりばったりの質問ではなく、あらかじめ「どの段階で、どんな情報を引き出すのか」という流れを設計しておくことが重要です。ここでは、人柄を理解するための効果的な面接フローを紹介します。
導入フェーズで応募者の緊張をほぐす
面接序盤は、応募者が最も緊張しやすい時間です。この時点で本題に入ってしまうと、表情やリアクションに固さが残り、人柄をつかみにくくなります。そこで、最初の数分は軽いアイスブレイクを挟み、自然な会話のテンポに引き込むことが効果的です。
例えば、「道中は迷わず来られましたか?」「今日はお忙しいなかありがとうございます」といった短い声かけでも十分です。こうした一言があるだけで、応募者の緊張がゆるみ、回答のトーンや表情にその人らしさが現れやすくなります。
特に、面接開始から3分ほどは応募者の「素」が出やすい時間帯です。形式的な質問に入る前に、小さめの会話のキャッチボールを挟んでみましょう。
オープンクエスチョンを意識する
オープンクエスチョンとは、「はい/いいえ」の2択では答えられない多角的な質問です。「周りからどのような性格といわれますか」「挫折したとき、どのように立ち直りましたか」など、5W1Hを使って質問します。答えが限定されないため応募者の考えを自由に話してもらうことができ、内面を深堀しやすくなります。
一方、「はい/いいえ」で答えられる「クローズドクエスチョン」は直感的に答えることができ、相手に負担を与えず会話を広げることができます。まずはクローズドクエスチョンで場の雰囲気を作り、次第にオープンクエスチョンを増やして発展させていくなど、使い分けるようにするといいでしょう。
背景やエピソードを掘り下げる
回答の表面だけで判断せず、構造化して深堀りすることで人柄を見抜きます。「初期質問(オープン)」から始まり、「事実確認・反実仮想・第三者視点」で掘り下げ、最後に「評価」を行うフローが有効です。
例えば価値観を知るために「報われなかった経験」を聞いた場合、「誰に相談したか(事実)」「今戻れるならどうするか(反実仮想)」を問いかけます。これにより、「他責にしていないか」「再発防止策は具体的か」「周囲を適切に巻き込めるか」といった行動特性をあぶり出し、評価の手掛かりにするのが手です。
傾聴・承認と組み合わせる
応募者の内面を探ろうとするあまり質問攻めになってしまうと、相手が委縮してしまい、うまく本音を引き出せないことも。話しやすい雰囲気を作り、応募者にリラックスしてもらうには、コーチングの基本テクニックである「傾聴・承認・質問」を意識すると効果的です。
傾聴は、相槌を打ちながら徹底的に相手の話を聞き、「しっかり聞いていますよ」とメッセージを送ること。承認とは、「あなたの話は分かりますよ」と理解を示し、安心感を与えることです。傾聴と承認を組み合わせながら質問すると、相手も安心して本音を話してくれるようになります。
クロージングで応募者の印象・価値観を確認する
面接の終盤では、「これまでの選考を通じて、当社の印象に変化はありましたか」「他社の選考で特に印象に残っていることは何ですか」といった質問を投げかけます。これにより、「応募者の企業選びの軸にブレがないか」「率直に意見を言える誠実さがあるか」を再確認します。
また、最後に行う「逆質問」も重要な判断材料です。質問の内容そのものだけでなく、言葉選びなどの「配慮」や、質問に至るまでの「論理性」を観察することで、準備の綿密さやコミュニケーションの力を見抜きやすくなります。
面接後に評価内容を共有・集計する
面接終了後は、記憶が鮮明なうちに評価を残します。この際、「雰囲気がよかった」といった主観的な感想ではなく、「〇〇という質問に対し、具体的な数字を用いて説明していた」といった「発言根拠」や「行動事実」ベースで記録することが重要です。
また、複数の面接官で評価を持ち寄り、「なぜその評価になったのか」をすり合わせることも大切です。評価コメントを比較・検討することで、面接官ごとの偏りを補正し、組織としての評価基準を統一させていきます。
面接を振り返り質問・観察の精度を改善する
面接のやりっぱなしを防ぐため、定期的に面接自体のレビューを行います。録画が可能な場合はそれを活用し、あるいは上席担当者が同席するなどして、「面接官が話しすぎていないか(候補者の発話比率の確認)」「質問の順序は適切だったか」を客観的に振り返り、面接官の育成に活用します。
また、「どの質問が人柄をうまく引き出せたか」をデータとして蓄積し、質問リストをブラッシュアップしていくPDCAサイクルを回すのも有効です。面接の質を属人化させず、組織全体で採用精度を高めることにつながります。
まとめ

面接で人柄を見抜くことは、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐための最重要課題の1つです。限られた時間で応募者の本質に触れるためには、価値観や適応力など見極めたい項目ごとに具体的な質問を用意し、回答を深堀りするプロセスを確立する必要があります。
また、面接官個人の感覚に頼るのではなく、事実に基づいた評価の共有や面接自体の振り返りを行うことで、組織全体の選考レベルを底上げできます。本記事で紹介した質問例や進行フローも参考にしながら精度を高めていくのがおすすめです。
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