【テンプレ・例文付】内定通知メールの書き方・送る時期や法的注意点を解説
内定通知は、候補者に採用の意思を伝える重要な連絡です。内定の旨を伝えるだけでなく、回答期限や今後の手続き、労働条件の案内など、候補者が入社を判断するために必要な情報を過不足なく伝えることが欠かせません。
本記事では、内定通知メールの種類や送る時期、記載すべき項目を整理し、新卒・中途それぞれのテンプレート・例文を紹介します。あわせて、誤送信や記載漏れを防ぐチェックポイント、内定通知に関する法的な扱い、作成・送信をスムーズに進めるための運用方法まで解説します。
人事ZINEでは、採用・不採用通知の文面をまとめたWord形式のテンプレートをご用意しています。メールや電話など場面別の例文も掲載しているため、自社の通知文を作成・見直す際の参考資料としてご活用ください。

目次
内定メールの種類

内定に関するメールは、企業から候補者へ送る「内定通知メール」と、候補者から企業へ返す「内定承諾・辞退・保留メール」に分けられます。それぞれの役割を確認しておきましょう。
企業が候補者へ送る内定通知メール
内定通知メールは、企業が選考を通過した候補者に対し、採用する意思を正式に伝えるメールです。最終選考の結果とともに、入社に向けて必要な手続きや今後のスケジュールを案内します。
メールには、内定の旨を明記したうえで、入社予定日、回答期限、内定承諾書などの提出書類、問い合わせ先といった必要事項を記載します。労働条件通知書や雇用契約書などを別途送付する場合は、その案内も添えます。
電話で先に内定を伝えた場合でも、認識の行き違いを防ぐため、メールや書面で正式な内容を残しておくのが一般的です。
候補者が企業へ返す内定承諾・辞退・保留メール
候補者から企業へ送る返信には、主に「内定承諾」「内定辞退」「回答保留」の3種類があります。企業側はそれぞれの返信を受けて、入社手続きや追加採用など次の対応を進めます。
内定承諾メールは、候補者が内定を受け入れ、入社する意思を伝えるものです。内定辞退メールでは、内定への感謝とともに辞退する意思を伝えるのが一般的です。回答保留メールは、すぐに承諾・辞退を決められない場合に、必要に応じて事情を伝えたうえで、回答期限について企業へ相談するメールです。
採用担当者は、候補者からどの回答が届いた場合でも速やかに確認し、必要な手続きや返信を行えるよう社内の対応フローを決めておくとよいでしょう。
内定通知の方法と適切な時期

内定通知は、候補者が結果を確実に把握でき、今後の手続きへ進める方法で行います。メールと書面はそれぞれ役割が異なるため、採用人数や選考フローに応じて使い分けます。
内定通知の方法
代表的な方法は次の2つです。
- 内定通知メールを送る
- 内定通知書を郵送する
メールは迅速に結果を伝えやすく、返信期限や問い合わせ先なども同時に案内できます。書面は通知内容を保存・確認しやすく、労働条件や承諾書などの関連書類とあわせて送る場合に適しています。
新卒採用では、内定から入社までの期間が長くなりやすいため、通知後のフォローも含めて設計します。
内定通知のタイミング
内定通知は、最終選考後に社内判断が完了したら、できるだけ早く行います。候補者は複数社の選考を並行している場合が多く、連絡が遅れるほど他社への入社を決めたり、志望度が下がったりする可能性があります。
内定通知を滞らせないためには、面接官の評価提出期限や最終承認者、候補者への連絡担当をあらかじめ決めておくことが重要です。最終面接から通知までの日数も採用フローに組み込むのも手でしょう。
なお、大学等の新卒採用では、政府の就職・採用活動日程ルールにより、正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降とされています。それ以前に採用意思を伝える場合は「内々定」と区別して扱います。

内定通知に関連する書類の違い
内定後に取り扱う主な書類には、内定通知書、労働条件通知書、内定承諾書があります。それぞれ目的が異なるため、候補者へ何を伝え、何を確認する書類なのかを区別しておきましょう。
内定通知書
内定通知書は、企業が候補者に対して内定を正式に知らせるための書類です。一般的には、内定した旨や入社予定日、今後の手続き、提出を求める書類などを記載します。
内定メールと役割は近いものの、書面やPDFとして発行すれば、候補者が通知内容を保存・確認しやすくなります。賃金や労働時間、就業場所などの条件は、別途、労働条件通知書などを用いて通知するのが一般的です。
労働条件通知書
労働条件通知書は、企業が労働者に賃金や労働時間、就業場所、業務内容などの労働条件を明示するための書類です。労働基準法では、使用者は労働契約の締結に際して労働条件を明示する必要があり、一定の事項については書面などによる明示が求められています。
内定通知書が「採用する意思を伝える書類」であるのに対し、労働条件通知書は「どのような条件で働くのかを伝える書類」です。入社後の認識違いを防ぐためにも、給与額や勤務時間、休日、就業場所などの条件を候補者が確認できる形で記載します。
出典:厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。」
内定承諾書
内定承諾書は、候補者が企業からの内定を受け入れ、入社する意思を示すために提出する書類です。企業側は、候補者の意思を確認したうえで、入社手続きや配属準備などを進めます。
書類には、内定を承諾する旨や氏名、提出日などを記載するのが一般的です。企業によっては、入社日や提出期限、誓約事項などを記載した内定承諾書・入社承諾書を用意する場合もあります。候補者が内容を十分に確認できるよう、提出を求める際は期限や手続きもあわせて案内しましょう。
内定通知メールに記載すべき項目

内定通知メールでは、候補者が「誰からの連絡か」「選考結果は何か」「いつまでに何をすればよいか」を把握できるようにします。
作成後は、次の項目が漏れていないか確認しましょう。
| 項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 1.候補者の氏名 | 氏名・敬称に誤りがないか |
| 2.会社名・自分の所属と名前 | 会社名・部署名・担当者名を記載したか |
| 3.あいさつ・選考へのお礼 | 選考参加への感謝を簡潔に伝えたか |
| 4.選考結果 | 内定であることを明確に記載したか |
| 5.今後の手続き・内定承諾の回答期限 | 回答期限や提出書類、今後の流れを案内したか |
| 6.問い合わせ先・返信方法 | 連絡先と返信方法を明記したか |
| 7.署名・歓迎の意 | 署名を記載し、入社を歓迎する姿勢を伝えたか |
1.候補者の氏名
メールの冒頭には、候補者の氏名をフルネームで記載します。氏名や敬称を間違えると、重要な内定通知に対する信頼を損ないかねません。
複数の候補者へ続けてメールを送る場合は、宛名だけでなくメールアドレスや本文中の氏名も確認し、別の候補者の情報が混在していないかチェックします。
2.会社名・自分の所属と名前
冒頭で会社名、部署名、担当者名を名乗ります。候補者が選考中にやり取りしていた担当者名を記載すると、連絡元を判断しやすくなります。
<例文>
株式会社〇〇 人事部の〇〇です。
3.あいさつ・選考へのお礼
選考に参加してもらったことへの感謝を、内定通知の冒頭で簡潔に伝えます。長い前置きは避け、選考結果へ自然につなげましょう。
例えば「先日は最終面接にお越しいただき、ありがとうございました」とすれば、どの選考に対する連絡なのかも分かります。
4.選考結果
最も重要な情報なので、前置きを長くせず、内定であることを明確に記載します。「今後も前向きに検討したい」など、結果が確定しているのか判断しにくい表現は避けます。
5.今後の手続き・内定承諾の回答期限
内定を伝えた後は、候補者が次に行う手続きを案内します。内定承諾の回答期限、必要な提出書類、今後予定している面談や入社手続きなどを記載します。
特に回答期限は、「〇月〇日までにご返信ください」のように日付を明記しましょう。まだ詳細なスケジュールが決まっていない場合も、「入社手続きについては〇月中旬までに改めてご案内します」など、次回の連絡時期を示しておくと候補者が予定を立てやすくなります。
6.問い合わせ先・返信方法
候補者が内定内容や入社手続きについて確認できるよう、問い合わせ先と返信方法を案内します。担当者名、メールアドレス、電話番号などを記載し、誰に連絡すればよいのか明記しましょう。
内定承諾についてメール返信を求める場合は、「本メールへの返信でご回答ください」と伝えます。専用フォームや内定者向けシステムを利用する場合は、URLや操作方法も案内しましょう。
労働条件や入社日など、候補者から個別の相談が想定される場合は、相談窓口も示しておくとスムーズです。
7.署名・歓迎の意
最後に、会社名、部署名、担当者名、電話番号、メールアドレスなどを記載した署名を入れます。候補者が後からメールを確認した際にも、連絡先をすぐに把握できる形にしましょう。
あわせて「〇〇様と一緒に働けることを社員一同楽しみにしております」など、入社を歓迎する一文を添えると、事務的な通知だけで終わらず、候補者を迎える企業の姿勢も伝えられます。

【新卒】内定通知メールのテンプレート・例文

新卒採用における内定通知メールのテンプレート・例文を2パターン用意しました。順番に見ていきましょう。
テンプレート・例文①総合職のケース
以下は、総合職で詳細な手続きが未定の場合の例文です。
〇〇 〇〇様
お世話になっております。株式会社●●の採用担当、●●です。
この度は、弊社の新卒採用選考にご応募いただき、誠にありがとうございました。
慎重な選考の結果、〇〇様を〇〇年度新卒採用において内定とすることを決定いたしました。ぜひ弊社の総合職としてご活躍いただきたいと考えております。
入社にあたり、今後の手続きやスケジュールについては現在調整中でございます。詳細が決まり次第、改めてご案内させていただきますので、お待ちいただけますと幸いです。
なお、ご質問やご相談がございましたら、採用担当(●●:電話番号03-●●●●-●●●●、メールアドレスrecruit@●●.co.jp)までお気軽にご連絡ください。
〇〇様と共に働ける日を、社員一同心より楽しみにしております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社●●
採用担当●●
テンプレート・例文②専門職のケース
以下は、IT専門職で、入社関連の手続きもアナウンスする際の例文です。
〇〇 〇〇様
お世話になっております。株式会社●●の採用担当、●●です。
この度は、弊社の新卒採用選考にご参加いただき、誠にありがとうございました。
厳正な選考の結果、〇〇様をエンジニア職として内定とすることを決定いたしました。判断にあたっては、特に〇〇様が大学で取り組まれた〇〇(研究や特定のWebアプリ開発経験など)を高く評価させていただきました。
つきましては、入社手続きに関して以下の内容をご確認ください。
【今後の手続き】
1.内定承諾書の返送
内定承諾書は、〇月〇日までに郵送させていただきます。必要事項をご記入のうえ、〇月〇日までにご返送ください。
2.入社に向けた書類準備
〇月〇日までに以下の書類をご用意ください。
・本人確認書類(※必要な場合)
・卒業見込証明書
・健康診断書
3.内定者オリエンテーション
内定者オリエンテーションを〇月〇日にオンラインで実施予定です。詳細な内容・時刻については追ってご連絡いたします。
【お問い合わせ先】
採用担当:●●
電話番号:03-●●●●-●●●●
メールアドレス:recruit@●●.co.jp
〇〇様と一緒に働ける日を社員一同楽しみにしております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社●●
採用担当●●
【中途】内定通知メールのテンプレート・例文

ここでは中途採用における内定通知メールのテンプレート・例文を用意しました。それぞれ見ていきます。
テンプレート・例文①総合職のケース
以下は中途採用で、手続きの詳細を追って連絡する場合の例文です。
〇〇 〇〇様
お世話になっております。株式会社●●の採用担当、●●です。
この度は、弊社のキャリア採用選考にご応募いただき、誠にありがとうございました。慎重な選考の結果、〇〇様を内定(総合職)とすることを決定いたしました。
〇〇様のこれまでの〇〇(例:マネジメント経験や事業改善実績など)を特に高く評価しており、ぜひ弊社の一員としてご活躍いただきたいと考えております。
入社手続きやスケジュールについては、〇月〇日までに改めてご案内させていただきますので、しばらくお待ちいただけますと幸いです。
また、ご質問やご不明な点がございましたら、下記の連絡先までお気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
担当:●●
電話番号:03-●●●●-●●●●
メールアドレス:recruit@●●.co.jp
〇〇様と働ける日を、社員一同心より楽しみにしております。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
株式会社●●
採用担当●●
テンプレート・例文②専門職のケース
以下は専門職の中途採用で、手続きも添える場合の例文です。
〇〇 〇〇様
お世話になっております。株式会社●●の採用担当、●●です。
この度は、弊社の中途採用選考にご参加いただき、誠にありがとうございました。慎重な選考の結果、〇〇様を専門職(〇〇職)として内定とすることを決定いたしました。
特に、〇〇様がこれまで従事されてきた〇〇(例:システム開発の実績やリーダーシップ)のご経験を高く評価しております。ぜひ、弊社でそのスキルを発揮していただきたいと考えております。
つきましては、入社までの手続きについて以下の内容をご確認ください。
【今後の手続き】
1.入社承諾書
必要事項をご記入のうえ、〇月〇日までにご返送ください。
2.入社に向けた準備書類
入社日までに以下の書類をご準備ください。
・本人確認書類
・健康診断書
・基礎年金番号が確認できる書類
・前職の源泉徴収票
(※上記は一例です)
3.入社日
入社日は〇月〇日を予定しております。当日は午前〇時までに本社(住所:東京都〇〇区〇〇)へお越しください。当日は配属先の担当者によってオリエンテーションを開催予定です。
【お問い合わせ先】
採用担当:●●
電話番号:03-●●●●-●●●●
メールアドレス:recruit@●●.co.jp
〇〇様とお会いできる日を、社員一同楽しみにしております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社●●
採用担当●●
なお、不採用の場合のメールの書き方・例文は以下のページにて紹介しております。
【サンプル】不採用・採用通知文のダウンロードはこちら
人事ZINEでは、不採用・採用通知文のテンプレートを準備しております。本記事と併せて、Wordファイルでダウンロードして実務でご活用ください。
資料ダウンロード内定通知や不採用通知の文面を一から作成する負担を減らしたい場合は、編集可能なテンプレートを用意しておくと運用しやすくなります。

内定通知メールを見直す際の注意点

内定通知メールは、ミスがあると候補者の不安や企業への不信につながる場合があります。宛先や記載内容だけでなく、テンプレートの差し替え漏れや表現、必要な案内まで確認してから送信しましょう。
連絡先・氏名・CCは間違いないか
メールアドレス、氏名、職種、入社日、返信期限などは特に誤りが起きやすい項目です。別候補者の情報が混入すると個人情報事故にもつながるため、宛先・CCと本文をセットで確認します。
件名・本文に誤字脱字・誤りはないか
内定通知は企業名義の正式な連絡です。内容の誤りのほか、誤字脱字のチェックも行いましょう。担当者本人の目視だけに頼らず、別担当者による確認や校正機能も組み合わせると、見落としを減らせます。
テンプレート文言が残っている箇所がないか
テンプレートを利用する場合は、仮の氏名や会社名、日付、職種名などが残っていないか確認します。「〇〇様」「〇月〇日」「株式会社〇〇」といった差し替え箇所は、送信前のチェック項目としてあらかじめ決めておくとよいでしょう。
また、過去の採用で使用したテンプレートを流用する場合は、回答期限や問い合わせ先、選考フローなどが現在の運用と一致しているかも確認します。文面をコピーしただけでは、古い情報がそのまま残る可能性があります。
内定承諾を急かす・囲い込みとみなされる表現はないか
内定承諾を求める際は、候補者が十分に検討できるよう、過度に回答を急かす表現を避けます。「本日中に回答してください」「他社の選考を辞退してください」など、一方的に意思決定を迫る書き方は候補者に不安を与えかねません。
回答期限を設定する場合は、具体的な日付を示したうえで、必要に応じて相談できることも案内します。他社の選考状況や労働条件を確認したい候補者もいるため、採用スケジュールとのバランスを取りながら判断期間を設定しましょう。
連絡事項に漏れがないか
返信期限、提出物、今後の日程、問い合わせ先などをチェックリスト化します。添付ファイルがある場合は、ファイル名と添付有無も確認項目に含めます。
最終チェック:候補者視点で読み返すチェックリストを作成する
企業側の伝達事項がそろっていても、候補者にとって分かりにくければ十分ではありません。「内定であることが明確か」「返信期限が分かるか」「質問先が分かるか」「不安を与える表現がないか」を候補者の立場で読み直します。

内定通知メールの送信前に知っておくべき法的扱い

内定通知は単なる選考結果の連絡ではなく、内容や候補者との合意状況によっては労働契約の成立に関わります。労働条件の明示や内定取消しの扱いも含め、採用担当者が押さえておきたいポイントを解説します。
内定通知によって労働契約が成立する場合がある
企業が応募者に対して内定を通知し、応募者がそれを承諾した時点で、法律上は「労働契約」が成立したとみなされる可能性があります。
労働契約法第6条は以下の通りです。
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する
出典:厚生労働省「労働契約法」
また、民法第522条でも「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(申込み)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」とされています。
出典:e-Gov 法令検索「民法」
過去にも、採用内定は「始期付解約権留保付労働契約」という特殊な契約として扱われた判例(大日本印刷事件など)がありました。この契約は「就労開始日(始期)までは、企業側が特定の理由において解約する権利(解約権)を留保しているが、労働契約自体は成立している」という状態を指します。
出典:全国労働基準関係団体連合会「大日本印刷事件」
内定通知メールを送る際は、法的拘束力を持つ意思表示であり、「場合によっては通知の時点で契約が成立する」あるいは「応募者の承諾によって直ちに契約となる」重要な行為であることを認識しておく必要があります。
メールによる通知でも労働契約が成立する場合がある
「正式な書面ではなく、メールでの通知だから法的効力は弱いのではないか」と誤解されることもありますが、メールであっても内定通知の法的効力は有効です。
日本の契約法において、契約の成立には必ずしも書面の作成を必要としない「諾成契約」(だくせいけいやく)が原則とされています(民法第522条第2項)。つまり、申込みと承諾の意思表示が合致していれば、その手段がメール、チャット、口頭のいずれであっても契約は成立します。
出典:e-Gov 法令検索「民法」
労働契約法第6条においても、契約形式については問われていません。裁判例でも、企業からのメールやメッセージによる通知が「雇用する意思の確定的な表示」と認められれば、書面での通知と同様に労働契約の成立が認定されています。そのため、メールで内定を伝える際も、書面と同様の慎重さが求められます。
出典:厚生労働省「労働契約法」
内定通知に加えて労働条件も明示する必要がある
内定通知メールだけで手続きを完結させず、候補者が働く条件を確認できるよう、労働条件を明示します。「労働条件明示事項」の例は以下の通りです。
- 入社予定日
- 契約期間
- 就業場所
- 業務内容
- 賃金
- 労働時間
- 休日
- 就業場所・業務の変更の範囲
労働基準法では、労働契約を締結する際に賃金や労働時間など一定の労働条件を明示することが企業に求められています。また、厚生労働省の新卒採用に関する指針でも、採用内定者には採用時期、採用条件、採用内定の取消事由などを明示するよう示されています。内定通知書や労働条件通知書などを用い、候補者が条件を確認できる状態にしておきましょう。
出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」
合意後の一方的な内定取消は法的リスクがある
内定によって労働契約が成立している以上、企業側が一方的に内定を取り消すことは「解雇」に準ずる行為とみなされ、法的制限を受けます。
判例上、内定取り消しが認められるのは、「採用内定の時点では知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるもの」に限られます。
▼取り消しが有効となる可能性がある例
- 重大な経歴詐称が発覚した場合
- 業務に支障をきたす健康状態の虚偽申告があった場合
- 企業の経営状態が急激に悪化し、整理解雇の要件を満たす場合
▼無効と判断されやすい例
- 「他に採用したい人材が見つかった」という理由
- 軽微な事業計画の変更
- 「社風に合わない気がした」といった主観的な理由
不当な内定取り消しと判断された場合、企業は債務不履行や不法行為として損害賠償を請求されるリスクがあります。特に、内定者が前職を退職していたり、転居の準備を進めていたりした場合は、企業の責任が重くなる傾向にあります。
出典:厚生労働省「新規学校卒業者の採用に関する指針」
内定通知メールをスムーズに作成・送信するためのポイント

内定通知を正確かつ迅速に送るには、メール文面だけでなく、候補者情報の管理やテンプレート、社内承認、内定後のフォローまで含めて運用を整えることが重要です。
採用管理システムで連絡・進捗を一元管理する
業務を効率化したい場合には、採用活動支援ツールを活用するのも一手です。採用活動支援ツールは、採用活動におけるさまざまな業務を支援し、企業と求職者の適切なマッチングを手助けしてくれます。
例えば、ATS(採用管理システム)を活用すると、各候補者の進捗状況や次回のアクションなどを一元管理できます。ツールによっては外部の媒体や連絡ツールとの連携が可能で、候補者によって連絡手段を使い分けることが可能です。「各候補者とどのようなやりとりをしているか」「次にどのような連絡が必要なのか」など、組織内での情報共有もスムーズになり、メールの作成・送付の手間を大幅に削減できるでしょう。
新卒・中途・職種別などのテンプレートを活用する
新卒・中途、職種、手続きの有無など、実務で発生するパターンごとにテンプレートを用意します。固定文面だけで運用せず、候補者名、職種、期限、問い合わせ先などを必ず個別に確認します。
内定通知メールの文面や作成時の考え方については、以下の動画でも解説しています。テンプレートをベースにしながら、候補者に合わせてどこを調整するかを考える際の参考にしてください。
社内承認フロー・送信担当者を決めておく
内定通知を滞りなく送るために、合否を誰が最終承認し、誰が候補者へ連絡するのかをあらかじめ決めておきます。承認者や確認項目が曖昧だと、最終面接が終わっていても社内確認に時間がかかり、候補者への連絡が遅れる原因になりかねません。
例えば、面接評価の提出期限、採用条件を確認する担当者、最終承認者、内定通知の送信担当者までを採用フローに組み込むのも手です。担当者が不在の場合の代理承認・送信ルールも決めておくと、特定の担当者に業務が集中せず、対応が遅れにくくなります。
内定者フォロー支援まで対応している採用支援サービスを使う
採用担当者の工数を抑えたい場合は、候補者との接点づくりから内定後のフォローまで対応できる採用支援サービスを活用する方法もあります。サービスを比較する際は、母集団形成や選考管理だけでなく、内定後にどのような支援を受けられるかも確認しましょう。
内定通知後には、労働条件や入社手続きに関する質問への対応、入社意思の確認、定期的な情報提供などが必要です。特に新卒採用では内定から入社までの期間が長いため、候補者との接点が途切れると不安や内定辞退につながる場合があります。
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まとめ

内定通知メールでは、候補者に内定の事実を明確に伝えるとともに、回答期限や今後の手続き、問い合わせ先などを分かりやすく案内することが重要です。新卒・中途や職種によって必要な情報は異なるため、基本のテンプレートを用意したうえで、候補者ごとに内容を確認して送信しましょう。
送信前には、氏名や連絡先、日付、職種などの誤りがないか確認し、候補者の判断を過度に急かす表現も避けます。また、内定通知の内容や候補者との合意状況によっては労働契約の成立に関わるため、労働条件といった重要な情報も添える必要がないか検討しましょう。
人事ZINEでは、不採用・採用通知文のテンプレートをWord形式で提供しています。メールや電話など場面別の例文を参考に、内定通知の文面を整備したい場合にご活用ください。

