新卒採用での戦略の重要性・立案方法やフレームワークを紹介
新卒採用では、就職ナビサイトやスカウト型サービス、インターンシップなどに加えてSNS採用、人材紹介といった手法が増える一方で、「どの手法をどの順番で使い、どこに工数や予算を配分するか」を慎重に検討する必要があります。採用活動が早期化・長期化するなかで場当たり的に施策を増やすだけでは、必要な母集団を確保できなかったり、選考途中の離脱が増えたりしやすくなります。だからこそ、自社の採用目的やターゲットに沿って、採用活動全体を設計する戦略が欠かせません。
本記事では、新卒採用における戦略の考え方や採用計画との違い、戦略が重要になる背景を整理したうえで、具体的な立て方を解説します。あわせて、3C分析やSWOT分析、ペルソナ設計など、戦略立案と運用に使いやすいフレームワークも紹介します。
人事ZINEでは、採用活動の進捗管理や歩留まり改善に役立つ資料として、採用活動のKPIシートをご用意しています。採用チャネルごとの必要人数や進捗を整理したい場合や、KPIを設計してPDCAを実行したい場合は、あわせてご覧ください。

目次
新卒採用における戦略とは

新卒採用における戦略とは、採用目的から逆算して、学生に情報を届ける方法や選考の進め方を設計する方針です。ここでは、新卒採用における戦略の基本を解説します。
新卒採用の戦略で決めること
新卒採用戦略では、まず採用目的と求める人物像を明確にします。そのうえで、学生に伝えるメッセージ、活用する採用手法、年間スケジュール、KPIなども決定します。
例えば「理系学生に会いたい」というだけでは、「どの媒体を使うべきか」「どのタイミングで面談を行うべきか」「何を訴求すべきか」が曖昧になります。新卒採用の戦略立案においては、採用目的から逆算し、誰に、どの時期に、どの情報を届けるのかまで決めておくことが大切です。
新卒採用戦略と採用計画の違い
新卒採用戦略は、採用活動の大まかな方向性を決めるものです。一方、採用計画はその戦略を実行するための計画で、人数や時期のほか、予算や施策内容まで具体的に決めます。
| 項目 | 採用戦略 | 採用計画 |
|---|---|---|
| 役割 | 採用目的やターゲット、訴求方針を決める | 人数・時期・予算・担当・施策を具体化する |
| 主な課題 | 誰を、なぜ、どの手法で採用するか | いつ、誰が、いくらで、何を実行するか |
| 見直す場面 | 市場変化やターゲット変更があったとき | 進捗や歩留まりが計画からずれたとき |
戦略が曖昧なまま計画だけを立てると、前年踏襲の施策一覧になりやすいため、まず方針を整理してから実行計画へ落とし込みましょう。
新卒採用において戦略が重要な理由

新卒採用において戦略が重要になっている背景を紹介します。
採用活動が早期化・長期化している
新卒採用では、学生との接点づくりが早期化し、内定後フォローまで含めた活動期間も長くなっています。早い時期に接触できなければ、候補者の比較検討に入れない一方で、接点を増やすだけでは選考や内定承諾につながりません。そのため、「いつ学生に情報を届け、どのタイミングで選考へ案内し、内定後にどうフォローするか」までを設計する土台となる採用戦略が重要です。

出典:株式会社i-plug「28卒 新卒採用市場予測レポート」
株式会社i-plugが発行している「28卒 新卒採用市場予測レポート」では、採用活動を「第1クール」「第2クール」に分けて考える方法を紹介しています。例えば、第1クールでは早期接触やインターンシップを通じて企業理解を深め、第2クールでは選考案内や内定承諾に向けたフォローを強化する、といった設計が考えられます。
このように期間を分けて考えると、各時期で行うべき施策が明確になります。途中で未充足が発生した場合も、「どのクールで母集団形成や選考移行に課題があったのか」を特定できるため、採用戦略の見直しにもつなげやすくなります。
売り手市場で学生との接点づくりが難しくなっている
新卒採用では、企業の採用意欲が高まり、学生へのアプローチも早期化しています。学生側も複数の企業から情報を受け取るため、求人を出して待つだけでは、自社が求める学生に十分な情報を届けにくくなっています。
このような状況では、ダイレクトリクルーティング、採用広報、ミートアップ、社員発信など、学生との接点を増やす手法も組み合わせる必要があります。ただし、手法を増やせばよいわけではありません。「誰に、どの媒体で、どのような情報を届けるのか」が曖昧なままでは、担当者の工数が増えても、選考や内定承諾にはつながりにくくなります。
だからこそ、新卒採用では事前に戦略を立てることが重要です。採用ターゲットや訴求内容を整理したうえで、就職ナビサイト、スカウトなど各手法の役割を決めておけば、学生との接触機会を採用成果につなげやすくなります。
出典:株式会社i-plug「市場から読み解く『28卒早期化』のリアル 売り⼿市場においてOfferBoxが『求められる理由』」
学生の情報収集行動・価値観が変化している
学生は企業サイトだけでなく、採用媒体やSNS、口コミなど複数の情報源を使って企業を比較しています。そのため、企業側も採用サイトや求人票だけでなく、スカウト文面やイベントで伝える内容まで整理しておくことが欠かせません。
人事ZINEの調査では、27卒学生の75.8%が就職活動で生成AIを利用したと回答しています。学生が生成AIを使って企業情報を整理する可能性を踏まえると、企業側もLLMO(大規模言語モデル最適化)やAIO(AI最適化)といった観点で、公式情報や採用メッセージを人にもAIにも分かりやすく整えておくことが大切です。
媒体ごとに伝える内容がずれていると、学生は比較検討する際に不安を持ちやすくなります。新卒採用戦略では、どの媒体でも同じ採用方針や企業理解につながる情報を届けられるよう、発信内容に一貫性を持たせましょう。
新卒採用における戦略の立て方

新卒採用戦略は、採用市場や競合の状況を見たうえで、採用目的から採用手法、スケジュールまでを設計する必要があります。ここでは、新卒採用戦略を立てる際の基本的な手順を解説します。
採用市場・競合の状況を把握する
有効な戦略を立案するためには、前提となる情報が必要です。
有効求人倍率などの統計データだけではなく「競合他社はどのような採用手法を用いているのか」「学生が就職先に求めている要件は何か」も重要です。利用媒体、学生が重視する情報、自社の認知状況も把握しましょう。
これらの情報を分析し、ターゲット学生に届きやすい手法や、他社との違いが伝わる情報発信などを戦略に盛り込むことが新卒採用の成果向上につながります。
採用目的を明確にする
新卒採用における戦略の出発点は、新卒採用の目的を明確にすることです。
目的が明確になれば、これまで行ってきた採用活動のそれぞれの重要度も明確になります。そこで、目的に合わせた活動に労力や予算を重点配分することで成果の向上を期待できます。また、明確になった目的を効率よく達成するための新しい採用活動を考案することも可能です。
すでに採用戦略における目的が設定されている場合でも、外部環境や自社が求める人材要件が設定当時とは変わっている可能性があるため、目的を見直す価値があります。
採用ターゲット・ペルソナを具体化する
採用ターゲットは、「営業職志望」「理系学生」といった大きな分類だけでなく、志向や経験も含めて具体化します。情報収集の方法や、入社後に期待する役割まで整理しておくと、採用手法や訴求内容を決めやすくなります。
ターゲットを絞る目的は、応募者を狭めることではなく、自社の採用要件に合う学生と出会える接点とメッセージを設計するためです。一方的に条件を並べるのではなく、学生にとって応募を検討する理由まで言語化しておく必要があります。
ターゲットに響くメッセージをつくる
採用メッセージは、説明会やスカウト文面だけで完結するものではありません。面接や内定後フォローまで一貫して伝わることが大切です。
ターゲットに対して、仕事内容や成長環境をぶれずに伝えます。評価の考え方や働き方もあらかじめ言語化しておくと、学生が入社後のイメージを持ちやすくなります。
メッセージ作成では、自社が伝えたいことだけでなく、学生が企業選びの際に気にするポイントも押さえましょう。仕事の具体的な魅力や「配属後にどのような経験を積めるのか」を示し、採用手法ごとに適した形で伝え方を調整することが大切です。
採用手法とスケジュールを選ぶ
採用手法は、前年と同じ媒体を選ぶのではなく、ターゲットと採用時期に合わせて組み合わせます。就職ナビサイトは募集情報の掲載に向き、インターンシップは早期接点づくりに使いやすく、スカウトは個別アプローチに向いています。
各手法の役割を分けると、「いつ何を実行するか」を決めやすくなります。スケジュールは、学生の活動時期に合わせて逆算しましょう。早期接点と応募促進の時期を分け、選考や内定後フォローまで見通しておくことが大切です。
採用手法は一度決めて終わりではありません。説明会予約、面談化、内定承諾などの進捗を見ながら、時期ごとに調整しましょう
新卒採用の戦略立案・運用に使えるフレームワーク

新卒採用の戦略立案や運用にあたっては既存のフレームワークを活用するのが有効です。ここでは使いやすいフレームワークを紹介します。
3C分析で市場・競合・自社を整理する
3C分析とは、「市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から環境を整理するフレームワークです。新卒採用では、学生の動き、競合企業の採用活動、自社が訴求できる強みを確認する際に使えます。
- 市場:学生の動向や就職活動の開始時期、価値観の変化など
- 競合:他社が活用している採用手法や、学生への訴求内容・条件など
- 自社:自社の採用要件や、ターゲット学生に提示できる独自の魅力・強みなど
例えば競合が早期インターンシップを強化しているのに、自社が3月以降の就職ナビサイト公開だけという場合、学生との関係構築で遅れやすくなります。分析結果は整理するだけでなく、「活動の開始時期を前倒しする」「訴求内容を見直す」など具体的な採用施策に落とし込むことが重要です。
SWOT分析で採用上の強み・弱みを整理する
SWOT分析とは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの観点から、自社の強み・弱みと、外部環境の機会・脅威を分けて整理するフレームワークです。
採用においては、以下の4つの要素で考えます。
- 強み:事業の成長性、社員との距離の近さ、独自の技術力など
- 弱み:知名度の低さ、採用体制の不足、労働条件の課題など
- 機会:早期接点の増加、採用手法の多様化、競合他社の動向変化など
- 脅威:競合の採用強化、労働人口の減少、学生の活動量や価値観の変化など
分析後は、強みをそのまま並べるのではなく、学生に伝わる言葉へ置き換えることが重要です。例えば「社員との距離が近い」という強みは、「若手でも相談しやすい環境」「入社後に現場社員から学びやすい体制」のように具体化できます。
ペルソナ設計で採用ターゲットを具体化する
ペルソナ設計とは、採用したい学生像を具体的に描き出すフレームワークです。「理系学生」「営業志望」といった大きな分類だけでは、「どの媒体を使うか、どの情報を届けるか」を判断しにくくなります。
採用では、学部やスキルだけでなく、「就職活動で重視すること」「企業選びで不安に感じやすいこと」「情報収集の方法」まで整理しましょう。ペルソナが明確だと、使う媒体、面談に参加する社員、選考中に伝える情報を決めやすくなります。
作成後は、現場社員や配属予定部門とすり合わせておくと、マッチングの精度を高めやすくなります。
カスタマージャーニーで学生接点を設計する
カスタマージャーニーとは、相手が認知から意思決定に進むまでの行動や心理の変化を時系列で整理するフレームワークです。新卒採用では、学生が企業を知ってから内定承諾へ進むまでの流れを整理する際に使えます。
採用活動では、以下のような観点で整理すると実務に落とし込みやすくなります。
- どのタイミングでどの情報を伝えるか(理解促進)
- どの選考ステップで何を評価するか(見極め)
- 面接や面談の設計がターゲットと合っているか(マッチング精度)
- 選考フローが長すぎたり、無駄な工程がないか(効率性)
KPIツリーで戦略を行動指標に落とす
KPIツリーとは、最終目標から逆算し、必要な指標を段階ごとに分解する考え方です。新卒採用では、採用人数から逆算して、どの段階でどれだけの人数が必要かを整理する際に使えます。
例えば、以下のような指標を確認します。
- 応募数
- 説明会参加数
- 面談数
- 選考通過率
- 内定数
- 内定承諾数
指標を分解すると、「応募が足りないのか」「選考通過率が低いのか」「内定辞退が多いのか」といった課題が分かります。
採用活動においてKPIツリーを使う目的は、単に数値を並べることではなく、「どの工程を改善すべきか」を判断するためのものです。課題のあるポイントが見えれば、施策の優先順位も自然に整理できます。
新卒採用の戦略実行で活用できる採用手法

ここでは、新卒採用の戦略を実行する際に使える採用手法を紹介します。それぞれの手法には得意なフェーズや活かし方のポイントがあるため、自社の採用目標やターゲット像に合わせて組み合わせることが重要です。
ダイレクトリクルーティング・スカウト
ダイレクトリクルーティングは、企業側が学生データベースをもとに、自社の採用要件に合う学生へ直接アプローチする手法です。新卒採用戦略では、採用ターゲットを明確にしたうえで活用すると、求める学生と出会いやすくなります。
ダイレクトリクルーティングを含むスカウト型採用では、採用ターゲット、オファー文面、面談設計を戦略から逆算して設計します。送信数、開封率・面談化率、選考通過率といったKPIも確認しやすく、「どの段階で歩留まりが下がっているか」を把握しやすい点も特徴です。数値を見ながら、ターゲット設定、オファー文面、フォロー内容を見直せるため、採用活動の改善にもつなげやすくなります。
OfferBoxは、企業から学生にオファーを送れる新卒向けダイレクトリクルーティングサービスです。学生登録数は毎年20万人以上で、自社が求める学生にアプローチするための機能が豊富にあります。また、専属担当によるサポートもあり、採用戦略や計画の立案から実行、振り返りまで相談しながら進められます。

企業のオファー送信数と学生のオファー受信数に上限があるため、メールの開封率は72%の高水準という点が大きな特徴です。2024卒の就活生は246,000人が利用しており、理系・文系問わず全国の幅広い大学群・学部に所属する学生が利用しています。
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就職ナビサイト・求人媒体
就職ナビサイトや求人媒体は、募集情報を広く掲載し、学生に自社を見つけてもらう手法です。母集団形成や採用情報の整理に向いていますが、認知度が低い場合、掲載するだけで十分な成果が出るとは限りません。
活用する際は、ターゲット学生が知りたい情報を整理し、他社と比較された際に自社の特徴が伝わる内容にすることが重要です。仕事内容、求める人物像、選考フロー、説明会やインターンシップへの導線もあわせて設計しましょう。認知度が高くない企業は、就職ナビサイトだけに頼らず、スカウトや採用広報と組み合わせて接点を増やすことも必要です。
インターンシップ・イベント
インターンシップやイベントは、企業が学生に対して実際の業務内容や働く環境を体験してもらうことで、相互理解を深めるとともに、早期に接触して自社への関心を高める手法です。株式会社i-plug「28卒 新卒採用市場予測レポート」では、企業の77.5%がインターンシップを実施予定、学生の92.1%が夏期インターンシップに参加予定と回答しています。
ただし、開催するだけで本選考につながるわけではありません。「参加後に面談へ案内するのか」「特別選考につなげるのか」「追加情報を届けるのか」まで決めておく必要があります。学生との関係を一度きりで終わらせず、次のアクションを用意しておくことが重要です。
出典:株式会社i-plug「28卒 新卒採用市場予測レポート」
採用広報・社員発信
採用広報や社員発信は、学生が応募前に企業理解を深めるための手法です。社員インタビューや仕事紹介を発信すると、学生は仕事内容、働く人、職場の雰囲気を具体的にイメージしやすくなります。
発信内容を決める際は、ターゲット学生が知りたい情報と、自社が採用戦略上伝えたい情報を照らし合わせましょう。例えば、入社後の成長機会、職種ごとの働き方、選考で重視する観点などが考えられます。
成果を見る際は、閲覧数だけで判断しないことも大切です。「説明会予約につながっているか」「スカウト承諾後の面談化に成功しているか」なども確認しましょう。
SNS・ソーシャルリクルーティング
SNS・ソーシャルリクルーティングは、SNSを通じて学生に自社の雰囲気や働く人の考え方を伝える手法です。採用サイトや求人媒体では伝えきれない日常的な情報を発信できるため、学生が企業を身近に感じるきっかけになります。
活用する際は、投稿内容を思いつきで決めるのではなく、採用ターゲットに合わせて発信テーマを設計しましょう。社員紹介、イベント告知、社内の取り組み、選考に関するFAQなど、学生が知りたい情報を継続的に届けることが重要です。
継続運用には、担当者任せにしない体制づくりも欠かせません。投稿ルール、確認フロー、返信方針を決めておけば、誤解を招く投稿のリスクを抑えながら情報発信を続けやすくなります。
新卒紹介サービス
新卒紹介サービスは、採用ターゲットや職種要件を事前に共有しておくことで、紹介会社から自社の採用要件に合う学生を紹介してもらう手法です。
利用前には、料金体系や紹介範囲を確認しておきましょう。「成功報酬型かどうか」「紹介後のフォローをどこまで受けられるか」などによって、採用コストや運用負担が変わります。
就職ナビサイトと組み合わせて活用すると、従来の手法だけでは出会いにくい学生とも接触しやすくなります。
新卒採用において戦略を実行する際のポイント

新卒採用の戦略は立てて終わりではなく、実行しながら見直すことが大切です。ここでは新卒採用において戦略を実行する際のポイントを紹介します。
KPIを設定しながら進める
まずは適切にKPIを設定することです。
新卒採用は複数フェーズにまたがるため、「課題がどこで起きているか」が見えにくくなります。例えば、応募数が足りない場合と、面接後の辞退が多い場合では、取るべき施策が異なります。前者であれば接点づくりや訴求内容の見直しが必要になり、後者であれば選考中の情報提供やフォロー体制を確認することが欠かせません。
このように、フェーズごとに課題を切り分けるためには、応募数、説明会参加数、内定承諾率などのKPIを設定しておく必要があります。KPIを設定する際は、採用人数から逆算し、現在の課題に直結する指標を取りこぼさないようにしましょう。
採用フロー全体を最適化する
新卒採用では、説明会、面談・面接、内定、入社前フォローまでを一連の流れとして設計します。各フェーズの対応がつながっていると、学生に必要な情報を届けやすくなり、選考中の離脱や認識のずれも抑えられるでしょう。
例えば、応募数が増えても、面接日程の調整が遅れると学生の志望度が下がりかねません。面接官ごとに評価基準が異なる場合は、求める人材を一貫して見極めにくくなります。こうした課題は、個別の施策だけでなく、採用フロー全体の設計として確認する必要があるのです。
採用フローを見直す際は、KPIをもとに、どの段階で離脱や歩留まり低下が起きているかを確認しましょう。そのうえで、採用担当者、面接官、現場が同じ基準で対応できる状態を整えます。このように、採用フロー全体を改善する意識が欠かせません。
社内を巻き込み戦略を現場に浸透させる
新卒採用戦略を実行するには、人事だけでなく、経営層、配属予定部門、面接官の協力が必要です。「どのような学生を採用したいのか」「なぜその人材が必要なのか」を関係者とすり合わせ、採用活動の前提を揃えておきましょう。
経営層には、採用市場の変化や競合状況、採用目標への影響を数字で示すと、戦略の必要性を共有しやすくなります。現場には、面接や社員面談への協力が、配属後の活躍やミスマッチ防止にどうつながるかを具体的に伝えます。
あわせて、関係者ごとの役割も明確にしておきましょう。面接官には評価項目と質問の意図を共有し、配属予定部門には求める人物像や受け入れ体制を確認します。戦略を実行するうえでは採用活動に関わる人が同じ基準で学生と向き合える状態にすることが大切です。
採用活動後に戦略を見直す
採用活動が終わったら、採用人数の達成状況だけでなく、プロセス全体を振り返ります。応募数、説明会参加数などの各種KPIを確認すると、次年度に改善すべき点を把握しやすくなります。
数字だけでは分からない情報もあります。学生の反応、辞退理由、媒体別の成果、面接官や現場の声もあわせて確認し、「どの施策が成果につながったのか」「どこに改善余地があったのか」を整理しましょう。
振り返りでは、成功した施策と見直しが必要な施策を分けたうえで、次年度の戦略や活動計画に反映します。採用戦略を毎年更新していけば、市場変化や学生の動きに対応しやすくなります
新卒採用戦略に関するよくある質問と回答

新卒採用戦略について、採用担当者が疑問に感じやすい点を紹介します。
新卒採用戦略とは何ですか?
新卒採用戦略とは、採用目的やターゲットを整理し、自社が求める学生と接点を持つための方針です。採用人数だけでなく、「誰に、どの手法で、何を伝えるか」まで決めます。戦略を明確にすると、就職ナビサイトやスカウト、インターンなどの施策を目的に沿って選びやすくなります。
新卒採用戦略はいつから立てるべきですか?
新卒採用戦略は、採用広報やインターンなどで学生と接点を持つ前に立てておくのが理想です。採用活動が早期化しているため、本選考の直前に準備を始めると、ターゲット設計や訴求内容の整理が間に合わない場合があります。次年度の採用人数や職種が見えた段階で、市場情報や年間スケジュールを整理しましょう。
採用戦略に使えるフレームワークは何ですか?
新卒採用戦略では、3C分析やSWOT分析、ペルソナ設計、カスタマージャーニー、KPIツリーなどを活用できます。3CやSWOTは市場・競合・自社の整理に、ペルソナ設計はターゲット設定に役立ちます。カスタマージャーニーは学生接点の設計、KPIツリーは採用人数から必要な行動指標を逆算する際に使いやすい方法です。
まとめ

本記事では、新卒採用戦略の重要性と立案方法、実務で使いやすいフレームワーク、戦略実行に活用できる採用手法を紹介しました。新卒採用では、市場環境や学生の情報収集行動が変化するなかで、単発の施策だけでは安定した成果を出しにくくなっています。採用目的を明確にし、手法・スケジュール、KPIまで一貫して設計することが、戦略を立案・実行するうえで重要です。自社に合った採用戦略を確立するには、現場を巻き込みながら運用し、採用活動後に振り返りと改善を繰り返すことも欠かせません。
人事ZINEでは、採用活動のKPIを整理しやすい記入例付きのKPIシートを提供しています。採用チャネルごとの必要人数や進捗、歩留まりを可視化する際に便利です。戦略を運用につなげる際の資料としてご活用ください。

