新卒採用の振り返り方|次年度の成功に繋げる進め方や対策のポイント

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新型コロナウイルスなど突発的な社会情勢変化の影響を受けて、毎年スムーズに振り返りができていないと悩む採用担当者は多いでしょう。採用活動を行って得た数値は、翌年度の新卒採用をする上で重要なデータです。

人手不足が深刻化している今だからこそ、基本的な振り返りの仕方を確認して、正しく行っていきましょう。この記事では新卒採用の振り返りの方法やデータの活用のポイントを解説します。

また、人事ZINEでは採用人数の目標に応じてチャネル別の必要人数を算出することができるExcelテンプレートをご用意しています。定量目標の振り返りにもご活用いただけますので、ぜひダウンロードしてみてください。

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新卒採用の振り返りを行う目的とは

新卒採用の振り返りを行う目的とは

新卒採用の振り返りと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?やみくもに採用に関するデータを集めたり、なんとなくレポート作成したりせずに、まずはどのような目的で振り返りをするのか確認してみましょう。

新卒採用の振り返りは主に、次の2点を目的として行います。

  1. 採用課題・失敗理由から自社の強み弱みを理解する
  2. 自社の強みと弱みを理解し、翌年度の採用計画に活かしながら新たな目標を立てる

以下で、振り返りの2つの目的について詳しく解説します。

①採用課題や自社の強み弱みを理解するため

新卒採用の振り返りの目的は、自社の課題を明確化することです。課題を把握するために、まず1年間の行動実績を定量・定性の両面で振り返り、目標に対してできたこと・できなかったことの棚卸しを行います。

次に、できなかった課題に対して「なぜできなかったのか」という理由を深掘りしていきます。課題を洗い出して、できなかった理由を言語化する過程で自社の強み弱みを正しく理解することができます。

「なんとなくできなかった」「なんとなく採用できた」ではなく、採用目的に見合った結果が出たかどうかを判断しましょう。

②翌年度の採用につなげるため

2つ目の目的は、分析した内容をもとに翌年度の採用計画や目標を立てることです。振り返りの中で見つけた自社の強み・弱みをもとに、課題の対策を立てます。

振り返りをしなければ、翌年度も同じ過ちを繰り返したり、効率の悪い採用活動で無駄なコストが発生したりと、円滑な採用活動ができない恐れがあります。改善案を出して取り組まなければ、弱みが放置されたままとなり採用計画は難航してしまうでしょう。

自社が行った新卒採用のデータを元に振り返りを毎年繰り返すことは、人材確保が困難となっていく今後には欠かせない作業と言えます。

新卒採用振り返りのよくある間違い

新卒採用振り返りのよくある間違い

新卒採用の振り返りをする際に、誤った方法で進めていたり振り返り目標が間違っていたりする会社も多く存在します。時間を費やして振り返りをしても、進め方が正しくなければ意味がありません。本章では、新卒採用の振り返りで起こりやすいよくある間違いを解説していきます。

上司に報告するために振り返っている

振り返りの目的が単なる「報告のため」になっている企業は少なくありません。社内で採用予算をとることが目的になったり、上司や役員に報告するレポートを作るためだったり、形式的に採用振り返りをするパターンは危険です。

新卒採用は長期にわたり、自社で活躍してくれる人材を採用するために行うものです。新卒で入社した人材を企業の中核人材として育て、事業を発展させる必要があります。上司に報告するための資料作りが目的になってしまうと、採用の本質目標からずれて適切な人材確保にはつながりません。「ターゲットとなる人材が採用できたのか」という視点を持って振り返りを行うことが重要です。

データに気を取られて中身を振り返りしていない

表面的な数値やデータに気を取られて、正しく振り返りができていない場合も多いです。数値だけでは採用活動が本当の意味で目標を達成したか検証できないため注意しましょう。

採用の振り返りは、次の2つの面から行う必要があります。

  • 定量…数値をベース
  • 定性…採用担当者の所感など

例えば、採用目標は3名と掲げている会社が、予定通り3名採用できたとします。数値だけを振り返れば、採用目標を達成と言えるかもしれません。しかし採用した3名全員が当初の採用ターゲットとずれた人物だった場合、採用活動が成功したと言えるのでしょうか。

会社説明会の集客数や応募数、採用数といったデータばかり注視してしまうと、採用活動の中身の課題に気付かないケースも多いです。定量と定性の面から実態を探り、「中身=質」がどうだったかを振り返ることを意識してください。

新卒採用の振り返りの進め方

新卒採用の振り返りの進め方

次に、振り返りの具体的な進め方についてみていきましょう。今回は大きく5つのステップに分けて、振り返りの手順を紹介します。

  1. 前期の採用目標・目的を再確認
  2. 採用フェーズごとにPDCAが回っていたかの確認
  3. 採用数・応募率や辞退率などデータを分析
  4. 自社の強み弱みを分析しまとめる
  5. 翌年度の採用計画を立てる

1つずつステップで確認していきましょう。

STEP1:前期の採用目標・目的を再確認

最初に、前期にどのような目標を立てていたのか確認を行います。確認すべき項目は、主に次の2点です。

  • 全体の目標(予算、採用予定人数、コスト)
  • 採用フェーズ(母集団、会社説明会、面接など)

新卒採用で何人採用する予定だったのか、採用コストはどのくらいだったのかなど採用計画全体を再確認します。

また、母集団をどういった手法でどのくらい形成するつもりだったのか、会社説明会や面接を実施する前の目標が何だったか思い出しましょう。最初の目的を洗い出すことで、実際の結果と比較し「なぜ思った通りの結果にならなかったのか」を探ることができます。

STEP2:採用フェーズごとにPDCAが回っていたか確認する

採用フェーズごとで区切り、次の事柄をチェックしましょう。

  • 採用目的・目標は正しく立てていたか
  • 母集団形成は目標通りできたか
  • 会社説明会からの応募率はどうだったか
  • 一次選考~最終面接までの歩留まりは
  • 内定後、内定者フォローは適切に実施できたか

採用の各フェーズで掲げた小目標に対して、「できた・できなかった・計画を変更した」といった実施状況を正しく振り返り確認します。新卒採用の振り返りはPDCAを回していくことが翌年度の採用活動を成功させるポイントです。

新卒でのPDCAとは次のようなイメージです。

(P)採用計画の立案

(D)選考の実施

(C)時間や費用といったコスト面や採用人数、応募者数、募集した人数の値を評価

(A)強みや弱み、課題などの対処法を検討し翌年度の採用計画を練る

新卒採用では応募者数やコストは重要なデータです。振り返りをきちんと行い、PDCAを回しましょう。

STEP3:採用数・応募率や辞退率などデータを分析する

採用フェーズごとに各数値を出したら、次は数値ベースの振り返りをします。分析する項目を以下にまとめました。

  • 集客数(会社説明会、オウンドメディア、ナビサイト、学校説明など採用経路ごと)
  • 集客数からの応募率(同上で採用経路ごとに数値を出す)
  • 一次~最終までの応募推移
  • 内定から内定辞退率

全体の数値を見ると応募率が良いものの、採用ターゲットからの応募率は悪かったということもあり得ます。各データを手計算で出すのは効率が悪いため、可能な限り採用管理システムなどを活用することをおすすめします。

STEP4:自社の強み弱みを分析しまとめる

ステップの4つ目は、データ分析をもとに自社の強みと弱みを突き止めることです。

  • PDCAの確認、データから見えた傾向をもとに改めて全体の総まとめをする
  • すべての課題を出すというより、「特に目立った課題」「今回よかった成功例」を抽出し、自社の強み弱みは何か言語化する

データを見ただけでは、すぐに強みが何かを探ることは難しいかもしれません。突出している課題や成功例に着目すると、強みと弱みが見つけやすくなるでしょう。よくある間違いでご紹介した通り、表面的な数値に気を取られすぎないよう、定性的な中身をまとめる意識が重要です。

STEP5:翌年度の採用計画を立てる

4ステップの振り返りをもとに、次年度の採用計画を立てましょう。振り返りは課題を出すことだけではなく、翌年度の採用方法を修正して次の行動に活かしていくのが本来の目的です。

「本年度の新卒採用でできなかったことが何か」→「なぜ達成できなかったのか」→「どうやれば達成できそうか」という流れで確認しながら次年度の計画を立てましょう。

また、振り返りにはYWTという手法もあります。

Y「やったこと」
W「分かったこと」
T「次にやること」

翌年度の採用計画は、次にやるべきことにあたります。分かったことを踏まえて採用計画を立て、振り返りを完了してください。

振り返りの成果を最大化するデータ活用術

振り返りの成果を最大化するデータ活用術

新卒採用の振り返りは、単なる結果の報告で終わらせてはもったいないです。集まったデータを深く掘り下げ、具体的な課題特定と改善策の立案に繋げることが、次年度の採用成功への鍵を握ります。ここでは、主要な採用課題に焦点を当て、データをどう活用すべきか具体的に解説します。

データから読み解く「内定辞退」の深層原因

内定辞退は多くの企業が直面する大きな悩みですが、その原因は一つではありません。表面的な辞退理由だけでなく、データを多角的に分析することで、真の原因を特定できます。例えば、選考フェーズごとの辞退率を比較することで、どの段階で学生の離脱が多いかを把握します。もし一次面接通過後の辞退が多いなら、その後の情報提供やフォローに課題があるかもしれません。

また、辞退者の属性や、選考中のコミュニケーション履歴、面接官の評価データと辞退率の相関を分析することも有効です。これらにより、「学生が何に不満を感じたのか」「どこで企業への魅力が失われたのか」といった潜在的な理由が見えてきます。

母集団形成のボトルネック特定と改善策

「応募者が集まらない」という課題は、採用活動の根幹に関わります。データ活用で、どこにボトルネックがあるかを特定しましょう。まず、各採用チャネル(ナビサイト、スカウト、大学、SNSなど)からの応募数と、その後の選考歩留まりを比較します。特定のチャネルからの応募が少ない、または歩留まりが著しく低い場合、そのチャネルでの情報発信やターゲティングに問題があるかもしれません。

また、企業説明会やイベントの参加率と、そこからの応募率を分析し、学生の興味関心を惹きつけられていたかを検証します。データを分析することで、どのチャネルに注力すべきか、どんな情報が必要とされているかといった具体的な改善策が見えてきます。

入社後活躍人材を増やすデータ活用法

採用活動の最終的な目標は、入社後に企業で活躍してくれる人材を確保することです。振り返りでは、選考データと入社後の活躍度データを連携させることで、「採用基準」の妥当性を検証できます。

例えば、選考時の適性検査結果や面接官の評価と、入社後のパフォーマンス評価、定着率を紐付けて分析します。特定の評価項目が高かった学生が本当に活躍しているのか、逆に評価が低かった学生の中に実は活躍者がいないかなどを検証します。これにより、「どのような学生を、どのように見極めれば、入社後に活躍するのか」という採用の勝ちパターンを言語化できます。データに基づいた採用基準のブラッシュアップは、未来の組織を強くする上で不可欠です。

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振り返るときの注意点

振り返るときの注意点

先ほどご紹介した5つのステップで進めていけば、スムーズに振り返りを実施でるでしょう。最後に、新卒採用の振り返り時に気を付けてほしいポイントを3つご紹介します。

1.前年と比較しすぎない

前年の数値と比較することは改善点の発見に役立ちますが、比較のしすぎは危険です。特に2021年卒~2022年卒の採用活動は新型コロナウイルスの影響など不確定要素が多い時期が続きました。コロナ以前も例年、経団連の発表で就活解禁スケジュールが何度も変わっていたため、採用スケジュールなどを前年比較しすぎても意味がないかもしれません。

ただし、振り返りをしなくても良いという意味ではありません。前年の動きを参考にしつつ、様々な事象に対する改善策やノウハウを蓄積し続けることで、独自の採用力が身に付いていきます。過度に前年比較をしすぎずに、1年単位で振り返りを進めていくと良いでしょう。

2.全部を無理に改善しようとしない

新卒採用の振り返りで発見した課題を、一度にすべて解決する必要はありません。採用課題に限らず、会社の課題は挙げ出したらキリがないものです。すぐに改善できそうなこと、とりわけ目立つ課題に焦点を当てて、優先順位をつけて改善を目指しましょう。無理にすべてを改善しようとすると、どの施策も中途半端になってしまい、改善が難しくなるケースも多々見られるためです。

3.社内ばかり見すぎない

採用の振り返りを行う際は、社内だけで完結しすぎないよう注意が必要です。社内では良しとされていた結果でも、同業他社と比較すると内定率が妙に低かったり、応募数が少なかったりするかもしれません。他社と比較しすぎるのも良くありませんが、まったく他社の情報を知らないのは危険です。大手人材会社が発表している新卒採用の動向データや、同業他社の個別の採用事例などは、適宜確認するよう心掛けましょう。

振り返りを「習慣」に変える組織的な取り組み

振り返りを「習慣」に変える組織的な取り組み

振り返りによる採用活動の改善は、継続して行うことが大切です。得られた知見を組織の財産として蓄積し、次年度以降の採用活動に活かしていくためには、振り返りを「習慣」に変える仕組みが必要です。ここでは、効果的な振り返りを組織に定着させるための具体的な方法を解説します。

振り返り会議の最適な設計と運営方法

振り返りを実りあるものにするには、ただ振り返るだけではなく、会議の設計と運営が重要です。まず、目的を明確にし、誰が参加すべきか(人事、現場社員、経営層など)を定めます。単なる結果報告に終わらせず、「なぜそうなったのか」を深掘りし、具体的な改善策を導き出すためのアジェンダを準備しましょう。

会議中は、データに基づいた客観的な議論を促し、ネガティブな側面だけでなく、成功要因や自社の強みも共有します。ファシリテーターを立て、参加者全員が発言しやすい雰囲気を作ることも、建設的な振り返りには不可欠です。

採用管理システム(ATS)を活用したデータ蓄積・分析

効果的な振り返りには、正確で網羅的なデータが欠かせません。採用活動で発生するあらゆるデータを採用管理システム(ATS)に一元的に蓄積し、自動で分析できる環境を整えましょう。

応募者の流入経路、選考歩留まり、面接官の評価、内定辞退理由、入社後の活躍度など、多岐にわたるデータをATSで管理することで、手作業での集計の手間を省き、リアルタイムでの状況把握や多角的な分析が可能になります。データに基づいた客観的な振り返りは、感覚に頼りがちな議論に終止符を打ち、的確な改善策を導き出す強力な武器となります。

採用ナレッジの蓄積と次年度への継承

振り返りで得られた貴重な知見は、特定の担当者の中に留めず、組織の共有財産として蓄積し、次年度へと確実に継承していくことが重要です。

採用管理システム内の記録はもちろん、振り返り会議の議事録、成功・失敗事例の記録、面接官の評価基準の改善点などをナレッジベースとして体系的に整理しましょう。これらは新任担当者がスムーズに業務に慣れるためのマニュアルとしても機能し、属人化を防ぎます。これにより、過去の経験を活かし、年々採用活動の質を向上させていく「学習する組織」へと進化できます。

【サンプル】採用活動のKPIシート(記入例付き・Excel)
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採用活動のKPIシートは、どの採用チャネルから何名集める必要があるのか、などをシミュレーションすることで、採用に必要なマンパワーを事前に把握したり、採用活動の途中の進捗を確認するために活用することができます。
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まとめ

まとめ

新卒採用の振り返りをする目的は、採用課題や自社の強みと弱みを確認し、翌年度の採用活動につなげることです。上司への報告のために行ったり、うわべの数値に捉われて中身を振り返れていなかったり、間違った方法で行わないよう注意が必要です。

振り返りをするときは目的を再確認して、5つのステップに沿って進めましょう。また、前年と比較しすぎないように注意して、無理のない範囲で改善を加えていくことが翌年度の採用成功につながります。

新卒採用の振り返りに、こちらのテンプレートもご活用ください。チャネル別で採用人数の計画と実績の管理を簡単に行うことができます。

【サンプル】採用活動のKPIシート(記入例付き・Excel)
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採用活動のKPIシートは、どの採用チャネルから何名集める必要があるのか、などをシミュレーションすることで、採用に必要なマンパワーを事前に把握したり、採用活動の途中の進捗を確認するために活用することができます。
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人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。