新卒採用イベントとは?主な7種類と開催方法・成功させるポイント
新卒採用イベントとは、自社のことを学生に知ってもらい、エントリー数を増やすことを目的にした採用活動です。しかし、一口に新卒採用イベントといっても、合同説明会やインターンシップ、オンライン説明会など多くの種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、どの方法でどのように開催したらよいのか迷っている人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、新卒採用イベントの特徴と開催するメリット・注意点、7種類の開催方法とその特徴、オフライン開催とオンライン開催の違い、イベントを成功させるポイントなどついて解説します。新卒採用イベントを効果的に活用して、自社が求める人材との接点を創出しましょう。
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目次
新卒採用イベントとは
企業が開催する新卒採用イベントとは、就職活動をしている学生を対象に、自社についての関心・理解を持ってもらい、エントリー数を増やすために開くイベントです。
新卒採用イベントの形式は多様で、合同企業説明会や個別のスカウトイベント、座談会などさまざまな種類があります。また開催方法においても、外部の会場や社内で行うオフラインイベントだけでなく、インターネットを通じて開催するオンラインイベントも増えてきました。これらの種類や開催方法については後述します。
新卒採用イベントは、企業が人材を募集していることを広く知ってもらう採用広報の一種です。その時点では自社に関心を持っていない潜在層を含めて、幅広い学生との接点を持つ目的で選ばれることが多い傾向にあります。しかし、目的によっては、志望度の高い人材をターゲットにした少人数の新卒採用イベントも開催されています。
新卒採用イベントを開催する企業側のメリット
新卒採用イベントは応募者の母集団を増やし自社に合った人材と接触する方法として、多くの企業が導入している採用手法です。ここでは、その代表的なメリットとして興味関心の獲得、学生とのコミュニケーション促進、採用ミスマッチの防止の3つを解説します。
興味関心を獲得するきっかけになる
新卒採用イベントは学生からの興味関心を獲得するきっかけになります。複数の会社が集まる合同説明会は、自社を知らなかった学生にも興味を持ってもらえる機会です。はじめは他社志望の学生であっても、自社の魅力を訴求することでエントリーにつなげられる可能性もあります。
興味関心の獲得は求人広告や採用サイトでもできると考える人もいますが、直接企業と接触する新卒採用イベントはやはりインパクトが違います。対面イベントであれば登壇者の話しぶりや表情などで熱意が伝わりやすいものです。また、商品に実際に触れてもらったり、近い年代の現役社員と交流してもらったりすれば企業を身近に感じてもらえるでしょう。
学生からの質問を受ける機会になる
新卒採用イベントは学生の質問を受けるうえでも良い機会です。例えば、小規模な新卒採用イベントであれば、対面形式で質問に答えられます。また、大人数が参加するオンラインイベントでも、Web会議ツールのチャット機能で質問を受け付けて登壇者が回答できるでしょう。
質疑応答の時間を設けると、自社が伝えたい情報と学生が聞きたい情報のギャップを埋められます。特に1対1で質問に答える場合は、学生の知識や志望度に合わせて回答内容を柔軟に変えられるのがメリットです。
結果として、企業は学生の疑問や不安を解消でき、本採用へのエントリーにつなげやすくなります。また、学生の意見や反応を今後の採用活動に活かせる点も魅力です。
採用ミスマッチの防止になる
新卒採用イベントによって自社への理解を深めてもらえると、採用のミスマッチを防止できます。新卒採用イベントは内容の自由度が高いため、仕事内容や待遇といった定型的な情報以外の訴求も可能です。例えば、自社の商品を詳しく説明したり、先輩社員の1日を紹介したりするなど、学生が採用後の自分をイメージできる内容を加えることが考えられます。
「自社がどのような企業か」を学生に伝える重要性は高まっています。仕事に対するやりがいや仕事を通した自己実現、ライフワークバランスなどを重視する学生が増えるなど、若い世代の価値観は多様化している状況です。マッチング度の高い応募者を集めミスマッチによる早期離職を防ぐために、新卒採用イベントを役立てられるでしょう。
新卒採用イベントを開催する2つの方法
新卒採用イベントの開催方法は、大きく分けて合同イベントに参加する方法と自社で単独イベントを開催する方法の2つがあります。それぞれ一長一短があるため、自社に合った方法を選ぶことが大切です。
合同イベントに参加する
合同イベントとは、イベント会社や大学などが主合同イベントとは、イベント会社や大学などが主催する複数の企業が参加するイベントです。合同イベントには以下のような特徴があります。
メリット |
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デメリット |
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自社でイベントを開催する
自社で新卒採用イベントを開催する方法は、自社に関心がある学生だけを集めて行うイベントを指します。自社イベントのメリット・デメリットをまとめたのが以下の表です。
メリット |
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デメリット |
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主な新卒採用イベント7種類
ここでは新卒採用イベントの種類を7つ紹介します。
- 合同企業説明会
- スカウトイベント
- 大学主催の合同説明会
- 個別企業説明会
- 座談会・セミナー
- インターンシップ
- ミートアップ
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、アプローチしたい学生の人数や範囲、自社の採用戦略に合った種類を選びましょう。
合同企業説明会
合同企業説明会とは、複数の企業が合同で行う説明会です。規模やターゲットによって、以下の3つに分類できます。
- マス型イベント
- 業界別イベント
- 学生の属性別イベント
マス型イベント
マス型イベントとは、特にくくりなく数十~100社以上の企業が出展するイベントです。認知度の低い企業でも学生にアピールするチャンスがあります。
しかし、数多くの企業が出展するなかで埋もれないために他社との差別化を工夫する必要があります。例えば、ブースデザインやグッズ配布などで目立つ工夫をしたり、事前にSNSやメールでアプローチしたりすることが効果的です。
業界別イベント
業界別イベントとは、特定の業界にフォーカスしたイベントです。「業界研究セミナー」という形で開催されることもあります。業界を絞ることで、自社にマッチする学生と出会える可能性が高いのが最大の特徴です。
ただし、このようなイベントでも業界大手・有名企業に学生が集中しやすい傾向があるので、まだ自社の認知度が高くない場合は魅力をアピールする必要があります。例えば、自社の強みやビジョンを伝えたり、現場社員や先輩社員の声を紹介したりすることが効果的です。
学生の属性別イベント
学生の属性別イベントとは、所属している学科や志望する職種など、学生の属性に合わせたイベントです。業界別イベントと同様、あえて属性を絞ることで、ニッチな業界でも学生とマッチしやすいという特徴があります。
ここでは、ある程度の予備知識がある学生に対して具体的かつ魅力的なアピールが求められるため、訴求方法には工夫が必要です。例えば、現場社員も同席して具体的な仕事内容やキャリアパスを伝えたり、実際に使う機器やソフトウェアを見せたりすることが効果的です。
スカウトイベント
スカウトイベントとは、合同企業説明会からそのまま面接に進むタイプのイベントです。より短期間で求める人材とマッチングできるというメリットがあります。
学生側も企業側も準備が必要なため、事前に応募条件や面接手順を決めておく必要があります。例えば、エントリーシートや履歴書を事前に提出してもらったり、面接官や面接時間を決めておいたりすることが効果的です。
大学主催の合同説明会
大学主催の合同説明会とは、大学が主催して行う説明会です。学生側の参加ハードルが低く、ある程度の参加率を見込めるというメリットがあります。
しかし、大学とのコネクションがないと参加が難しいという注意点もあります。例えば、大学キャリアセンターと連携したり、OB・OGが大学側にコンタクトを取ったりすることが効果的です。
個別企業説明会
個別企業説明会とは、企業が独自に開催する説明会です。より詳しく自社の魅力を訴求できるメリットがあります。
しかし、知名度が低いと学生を集めるのが難しいというデメリットもあります。対策として、事前にSNSやメールで告知したり、大学の研究室などにアプローチしたりする方法が考えられます。
座談会・セミナー
座談会・セミナーとは、学生からの質問に先輩社員が直接答えるなど、双方向のコミュニケーションを目的にしたイベントです。志望度の高い学生が対象になることが多く、「自社の仕事内容や社風などを深く伝えられる」「学生との信頼関係を築きやすい」「内定辞退率の低下が期待できる」などの利点が挙げられます。
注意点としては、準備や運営に手間がかかることや、参加者数が限られることが挙げられます。効果を発揮するためのポイントは、以下の通りです。
- 事前に学生のプロフィールや質問内容を把握しておく
- 適任の先輩社員の選定・研修を行う
- 座談会・セミナー後にフォローアップを行う
インターンシップ
インターンシップとは、学生に職業体験をしてもらうイベントです。1日のみの1dayインターンシップや数ヶ月にわたる長期インターンシップがあります。
メリットとしては、学生の実力や適性を直接把握できる点や、学生に自社への興味や応募意欲を高められる点が挙げられます。注意点としては、インターンシップ内容やスケジュールの設計に工夫が必要なことや、参加者への評価やフィードバックに責任が伴うことが挙げられます。
効果を発揮するためのポイントは、以下の通りです。
- インターンシップ内容を明確にし、学生に事前説明する
- インターンシップ中に先輩社員やOB・OGなどと交流してもらう
- インターンシップ後にアンケートや面談を行い、今後に向けた改善点を見つける
ミートアップ
採用活動におけるミートアップ(Meetup)とは、交流会形式で実施される採用イベントです。広い意味でのミートアップは共通の目的や関心を持った人が集まる交流の場を指し、人事領域以外でも使われます。
ミートアップ形式の新卒採用イベントを開催するメリットは、以下の通りです。
- 企業と学生がフランクな雰囲気で対話できる
- 企業と学生の距離を縮めてエントリーにつなげやすい
- 自社の商品やサービス、技術などを積極的にオープンにすることで志望度を高められる
上記メリットを最大化するため、ミートアップは少人数で開催するのが一般的です。例えば、OB・OGが大学を訪問して就活生と交流したり、ワークショップ型イベントを自社で開催したりします。求職者が多い場合には、採用担当者がマッチング度の高い人材に声をかけてミートアップを開催する方法も良い選択肢でしょう。
新卒採用イベントの開催方法
新卒採用イベントの開催方法は、オフライン型とオンライン型に分かれ、それぞれに特徴があります。ここでは自社に合う新卒採用イベントを選択するにあたって、それぞれのポイントを紹介します。
オフライン開催
オフライン開催とは、イベント会場や自社の会議室などで対面で開催する方法です。オフライン開催の特徴や注意点は以下の通りです。
- 社内の雰囲気や先輩社員の人柄を直接感じてもらえる
- 会場費や人件費がかかる
- 地方在住の学生は参加しにくい
オフライン開催では、学生に対して直接話しかけたり資料・デモを見てもらったりできます。社内の雰囲気や先輩社員の人柄を直接感じてもらえるのは大きなメリットです。
一方、オフライン開催では、会場費や人件費などがかかり、会場選びや設営・撤去などの手間がかかります。また、離れているエリアに在住している学生は交通費や時間などを考えると参加しにくいのも事実です。
オンライン開催
オンライン開催とは、ウェブ会議システムや動画配信サービスなどを利用してインターネット上で開催する方法です。コロナ禍以降、オンライン開催が注目されてきました。オンライン開催の主な特徴や注意点は以下の通りです。
- 学生が場所を気にせず参加できる
- 志望度の低い学生も多く関係性の構築が難しい
オンライン開催では、学生が場所を気にせず参加できることが最大のメリットです。地方在住の学生や忙しい学生でも気軽に参加できます。また、録画して後から見返してもらうことも可能です。
一方、志望度の低い学生も多く参加する可能性があり、画面越しでは表情や声色なども伝わりにくいので、エンゲージメント強化や関係性の構築は難しい可能性があります。
オフライン開催・オンライン開催いずれも特徴があるので、用途に合わせて使い分けることが大切です。
オンラインの新卒採用イベントを開催する方法
近年浸透しつつあるのがオンライン形式の新卒採用イベントです。Web会議システムや動画配信サービスなどを利用してインターネット上で開催します。リアルタイムでの配信の他、録画して自由な時間に視聴してもらうことも可能です。
オンラインとオフラインの違いを以下に示します。
オンライン | オフライン | |
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メリット |
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デメリット |
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オンライン形式の新卒採用イベントは「多くの企業のイベントに参加できる」「交通費や移動時間がかからない」などの理由で多くの学生から支持されています。学生ニーズに応えて参加者を集めるためには、オンライン開催を実施するのも手です。
オンライン説明会については、以下の記事で詳しく解説しています。
新卒採用イベントのデメリット・注意点
新卒採用イベントには多くのメリットがありますが、人的リソースが不足したり、開催費用がかさんだり、採用に直結しなかったりする場合もあります。これらのデメリット・注意点を解説します。
準備・当日の人的リソースが必要
新卒採用イベントでは事前準備や当日の運営のために人的リソースが必要です。社内開催では合同説明会への参加費用や会場費などはかかりませんが、人的リソースをゼロにはできません。
以下に例を挙げます。
【事前準備】
- 資料作成
- リマインドメール送信
- 会場手配、準備
【当日運用】
- 受け付け対応(出欠席確認、資料配布など)
- 司会進行、説明
- 質問受け付け、座談会対応
新卒採用イベントは企業の第一印象を左右する場になるため、本業に支障が出ないようにしながら、十分なリソースを確保することが必要です。
人員が足りない場合は、採用活動の一部を支援してくれる採用代行(RPO)サービスを利用する方法もあります。人員補充だけでなく専門的な知見やノウハウを提供しているところもあるので、必要に応じて活用するとよいでしょう。
参加費用・開催費用がかかる
合同説明会では参加費用がかかります。また、社外で開催する場合には会場費が必要です。この際、会場内に広告を掲示する場合は、追加費用が発生する場合もあります。
大手人材企業が主催する合同説明会の場合、費用相場は開催地域によって異なりますが、参加費と会場費併せて50万~150万円程度が相場とされています。また、イベントホームページへの広告出稿やチラシ配布、ブースデザイン変更などでは、別途オプション料金が発生します。
こうしたコストを削減するにはオンライン開催にしたり、社内開催にしたりする方法もあります。しかし、この場合でも配信機材の購入やパンフレットの制作などで、ある程度の費用は必要です。
選考に直結するとは限らない
新卒採用イベントはエントリーや選考、採用に直結するとは限りません。採用を急ぎたい場合や、大量雇用が必要な場合など、目にみえる大きな成果を求める場合には不向きの可能性があります。
新卒採用イベントの参加者のなかには、興味本位で気軽に参加している学生や、自社をよく知らないで参加している学生もゼロではありません。このため、単なる交流会のようなイベントでは、エントリー・選考につながらなくなるでしょう。
したがって、離脱者を減らすには工夫が必要です。企業によっては、新卒採用イベントと選考会をセットにしたり、希望者との交流会や1対1の面談を開催したりして、次のステップにつなげています。
新卒採用イベントを成功させるポイント
新卒採用イベントの成功のカギは採用課題の明確化、適切なイベント選択、独自性の追求、そして適切なフォローです。以下では順番に見ていきましょう。
自社の採用課題を明確にする
新卒採用イベントを行う前に、まず自社が抱える採用課題を明確にする必要があります。採用課題とは、自社が求める人材像と応募者のニーズとのギャップや、競合他社との差別化要因などです。採用課題を明確にすることで、イベントの目的やターゲットを整理でき、効率的な採用活動につながります。
また、採用課題に応じたメッセージやコンテンツを作成することで、着実に自社の魅力や強みを伝えやすくなります。
目的やターゲットに合ったイベントを選ぶ
先述のように、新卒採用イベントにはさまざまな種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。自社の目的やターゲットに合わせて、最適なイベントを選ぶことが重要です。
例えば、自社のブランド認知度を向上させたい場合は大規模な合同就職説明会に出展し、多くの学生に接触することでブランドの露出を高めるといった施策が考えられます。一方、志望度の高い学生と深く関わりたい場合は、自社主催の小規模なイベントを実施し、個別にコミュニケーションを取ることで関心を深めることが効果的です。
企業文化・採用方針に沿った独自のプログラムを作る
新卒採用イベントで学生に好印象を持ってもらうには、自社の企業文化・ビジョンを反映した独自のプログラムが効果的です。
例えば、チームワークを重視する企業文化を持つ企業の場合、体験型ワークショップとしてグループディスカッションやチームビルディングのアクティビティを行うとよいでしょう。学生が共同作業を通じてコミュニケーションをとることで、具体的な仕事のフローや雰囲気を理解してもらうことが可能になります。
また、ワークライフバランスを採用方針として掲げている企業であれば、社員のライフスタイルを紹介するセッションや、フレックスタイム制度やリモートワークなどの福利厚生に関するパネルディスカッションを設けることが考えられます。
応募までのフォローを充実させる
新卒採用イベントの成功には、イベント後の応募者へのフォローも大切な要素です。フォローとは、お礼メールやSNSでの情報発信などが考えられます。
具体的には、「イベント終了直後に、イベントの概要や特に注目すべきポイント、次のステップにも触れてお礼メールを送る」などがあるでしょう。これにより、学生はイベントの内容を再確認し自社への興味を持続してもらう効果が期待できます。
まとめ
新卒採用イベントは、学生の興味関心を獲得し、志望度を高めてもらうために欠かせない施策です。自社をよりよく理解してもらえば、採用ミスマッチの防止にもなります。
本記事の重要ポイントをまとめると以下の通りです。
- 採用戦略に合ったイベントの種類と開催形式を選ぶ
- オフラインとオンラインを使い分ける重要性が高まっている
- 企業文化・採用方針に沿った独自のプログラムを作る
- 人的リソースや諸費用を事前に見積もっておく
- 単なる交流イベントに終わらせず応募までのフォローを充実させる
これらのポイントも参考にしつつ、効果的な新卒採用イベントの実施につなげてください。
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