新卒採用の歩留まりとは?平均値・計算方法とフェーズごとの改善策を解説
新卒採用において、「母集団は集まっているのに内定承諾につながらない」「どのフェーズで離脱が起きているのか分からない」といった課題を感じている企業もあります。採用活動の成果を高めるためには、感覚ではなく数値をもとに課題を把握することが欠かせません。
本記事では、新卒採用における歩留まりの基本的な考え方や計算方法、フェーズごとの平均値を整理したうえで、歩留まりが低下する原因や具体的な改善策を解説します。さらに、実際に改善を進めるためのステップについても紹介します。
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目次
新卒採用における「歩留まり」とは

歩留まりとは、採用活動において、「あるフェーズから次のフェーズにどれだけの候補者が進んだか」を示す指標です。特に製造業界で使用されていた用語ですが、採用の現場でも選考ごとの通過状況を数値化するために用いられています。
新卒採用では、母集団形成、エントリー、書類選考、面接、内定、内定承諾といった複数のプロセスがあります。歩留まりを見ると、「どのプロセスで候補者が減っているのか」を把握することが可能です。
例えば、100人がエントリーし、そのうち85人が書類選考に進んだ場合、そのフェーズの歩留まりは85%です。さらに、二次面接を受けた20人のうち10人が最終面接に進んだ場合、その歩留まりは50%となります。
歩留まりが高いほど、途中で離脱する候補者が少ない状態です。一方で、特定のフェーズだけ歩留まりが低い場合は、その段階に課題がある可能性があります。自社の歩留まりをプロセスごとに確認すると、採用フローのどこを改善すべきか特定しやすくなり効果的です。
新卒採用の歩留まり率の計算方法・平均値

ここでは、新卒採用における歩留まり率の計算方法と、各フェーズにおける平均値を解説します。
基本的な計算方法
採用における歩留まり率の計算式は、以下の通りです。
歩留まり率=選考通過率÷選考対象数×100(%)
例えば、一次面接を受けた人数が85人で、二次面接に進んだ人数が38人であった場合の歩留まり率は、以下のように計算します。
38÷85×100=0.45×100=45(%)(小数点第2位まで四捨五入)
また、歩留まり率は応募から面接、内定、内定承諾までの各フェーズにおいて算出し、辞退者の多いフェーズがどこなのか把握することが大切です。各フェーズにおける歩留まり率の名称と計算式、おおよその平均値は以下の通りです。
| 各フェーズの歩留まり率 | 計算式(%) | 平均値 |
|---|---|---|
| 選考参加率 | 選考参加者数÷応募者数×100 | 20~30% |
| 面接通過率 | 面接通過者数÷面接受験者数×100 | 30~40% |
| 途中辞退率 | 途中辞退者数÷選考参加者数×100 | 20~30% |
| 内定率 | 内定者数÷選考参加者数×100 | 2~3% |
| 内定承諾率 | 内定承諾者数÷内定者数×100 | 30~40% |
選考参加率の計算方法・平均値
選考参加率の計算式は以下の通りです。
選考参加率=選考参加者数÷応募者数×100(%)
選考参加率は、応募した人数のうち、実際に選考へと進んだ人の割合です。主に「最終的な採用目標人数を達成するために、どのくらいの応募数が必要か」「応募者を選考参加に誘導する施策の成功度」を算出する目的で活用されます。新卒採用におけるおおよその平均値は、20~30%です。
面接通過率の計算方法・平均値
面接通過率の計算式は、以下の通りです。
面接通過者数÷面接受験者数×100(%)
面接通過率は、面接を受けた人数のうち、通過した人数の割合です。主に「採用目標人数を満たすために、面接を受験する人数が何人必要か」を逆算するため、「面接での絞り込みの厳しさ・緩さ」を測るために用いられます。新卒採用におけるおおよその平均値は、30~40%です。
途中辞退率の計算方法・平均値
途中辞退率の計算式は、以下の通りです。
途中辞退者数÷選考参加者数×100(%)
途中辞退率は、選考に参加した人数のうち、途中で辞退した人数の割合です。途中辞退が出た場合、自社よりも他社に魅力を感じたり、より良い条件を出されて他社を選んだりした可能性があるということです。途中辞退率はあえて算出しないケースもありますが、ターゲット層をうまく採用できていない企業は、ぜひ算出しておきましょう。
新卒採用における途中辞退率のおおよその平均値は、20~30%です。
内定率の計算方法・平均値
内定率の計算式は、以下の通りです。
内定者数÷選考参加者数×100(%)
内定率は、選考に参加した全学生のうち、最終的に内定が決定した人数の割合です。新卒一括採用の採用計画を立てる際に、最終的な目標値となる重要な指標といえます。新卒採用における平均値は、2~3%でしょう。
内定承諾率の計算方法・平均値
内定承諾率の計算式は、以下の通りです。
内定承諾者数÷内定者数×100(%)
内定承諾率は、内定を出した人のうち、内定を承諾した人数の割合です。内定には法的拘束力がなく、内定を出した学生が必ずしも入社してくれるわけではありません。例年の内定承諾率を把握しておくと、最終的な採用目標数を満たすためにどのくらい内定を出せばよいのか、目標を立てやすくなるでしょう。
新卒採用における内定承諾率の平均値は、30~40%です。
以下は歩留まり率の管理に活用できるKPIシート(Excel)です。ダウンロードのうえ、歩留まり率の計算や管理の際にぜひご活用ください。

新卒採用で歩留まり率が低下しやすいフェーズの原因・改善策

採用フェーズごとに、歩留まりが下がりやすい理由は異なります。「どこで候補者が離脱しているのか」を把握し、原因に応じて対策を講じることが重要です。ここでは、歩留まりが低下しやすいフェーズを挙げ、主な原因と改善策を紹介します。
説明会参加率
説明会参加率は、歩留まりが下がりやすい代表的なフェーズです。新卒採用では、学生が情報収集の一環として広くエントリーすることも多く、エントリー時点では志望度が高いとは限りません。そのため、応募後に参加までつながらないケースも普通です。
主な理由としては、「日程が合わない」「企業理解が浅い」「志望度が十分に高まっていない」「他社選考を優先している」などが挙げられるでしょう。特に、説明会予約後に参加メリットが伝わっていない場合は、優先順位が下がることがあります。
改善にあたっては、まず参加しやすい状態を整えることが重要です。例えば、「LINEやメールで事前にリマインドを送る」「予約変更をしやすくする」「オンデマンド説明会を併用する」といった方法があります。あわせて、「説明会で何が分かるのか」「参加する意味は何か」を明確に伝えるのもポイントです。
書類選考通過後の面接参加率
書類選考を通過しても、一次面接の参加につながらないことも多いものです。特に近年は、複数企業の選考を同時に進めている学生が多く、他社選考との日程重複によって離脱が発生します。
主な離脱理由としては、「日程調整が難しい」「企業理解が不十分」「志望度が高くない」「面接への心理的ハードルがある」などが挙げられます。
改善にあたっては、まず面接に参加しやすい環境を整えることが重要です。例えば、「面接予約システムを導入する」「オンライン面接を併用する」といった方法が考えられます。あわせて、「面接の流れ」「所要時間」「当日の雰囲気」を事前に共有し、前日にリマインドを送ることで、参加への心理的ハードルを下げるのも手です。
面接通過後の辞退率
一次面接や二次面接を通過した後でも、途中の辞退は発生します。この段階の学生は一定の関心を持っている一方で、他社選考との比較が進み、辞退につながることも少なくありません。
主な理由としては、「選考スピードが遅い」「他社の内定や選考進捗が先行している」「自社の魅力が十分に伝わっていない」などが挙げられます。特に、面接後の連絡が遅い場合は、志望度が高かった学生でも気持ちが離れやすくなります。
改善策としては、まず選考結果の連絡を早めることが基本です。そのうえで、面接後に補足のフォローを行い、「気になっている点」「判断に迷っている点」を解消できるようにします。必要に応じて社員面談を設け、業務内容や社風への理解を深めてもらえば、辞退の防止につながります。
内定承諾率
内定承諾の段階でも、歩留まりが発生します。新卒採用では、多くの学生が複数社から内定を得たうえで最終的な進路を決めるため、内定を出した時点で採用が完了したとは言えません。
主な辞退理由としては、「他社の条件が良い」「仕事内容に不安がある」「社風との相性に迷いがある」などが挙げられます。条件面だけでなく、「自分がその会社で働く姿を具体的に描けない」ことも辞退の要因になります。
改善するには、後述する「RJP」の考え方が有効です。また、社員面談や内定者イベントを通じて職場理解を深めてもらい、「入社後の働き方」や「キャリアパス」を具体的に示せば、納得感を持って承諾してもらえるでしょう。
新卒採用で歩留まり率が低下する理由・要因

歩留まりが低下する背景には、学生側の事情だけでなく、企業側の情報設計や選考運用の課題がある場合もあります。ここでは採用フェーズを問わず、新卒採用において歩留まりが低下する主な理由・要因を紹介します。
自社の魅力を十分に訴求できていない
歩留まりが低下する理由の1つが、自社の魅力を十分に伝えきれていないことです。
学生は限られた情報のなかで応募先を比較しているため、「どのような仕事ができるのか」「どのような社員が働いているのか」「入社後にどのような成長が期待できるのか」が見えにくい企業は、優先順位が下がりがちです。特に、事業内容や募集要項だけを伝えていても、働くイメージまでは持ちにくい場合があります。
そのため、採用サイトや説明会、面接を通じて、「仕事内容」「社風」「働く人」「成長機会」などを具体的に伝えることがポイントです。
採用情報に一貫性がない
採用情報に一貫性がないことも、歩留まりの低下につながります。
例えば、採用サイト、説明会、面接で伝えている内容にずれがあると、学生は企業理解を深めにくくなるでしょう。「説明会では若手が活躍すると聞いたのに、面接では年功序列の印象を受けた」といった違和感があると、不信感や迷いの原因になります。
また、仕事内容や求める人物像が媒体ごとに異なる場合も、志望度の低下につながるでしょう。採用活動では、「何を伝えるか」を事前に整理し、各接点での説明に一貫性を持たせることが欠かせません。
採用対応のスピードが遅い
採用対応のスピードが遅い場合も、歩留まりが下がる原因になります。
新卒採用では、多くの学生が複数社の選考を同時に進めています。そのため、説明会後の連絡や面接結果の通知が遅いと、その間に他社の選考が進み、自社の優先順位が下がることがあります。学生側に不安や不信感が生まれ、途中辞退につながるケースもあります。
特に、「次の案内が来ない」「結果がいつ分かるか分からない」といった状態は、離脱を招きかねません。改善にあたっては、選考ごとの連絡期限をあらかじめ決め、社内で共有しておく方法が有効です。
選考プロセスが多く長期間にわたる
選考プロセスが多すぎることや、選考期間が長いことも歩留まり率の低下につながります。
選考回数が多いと、その分だけ学生の負担が増えます。日程調整の手間も大きくなり、他社選考との両立が難しくなりかねません。また、選考期間が長引くと、その間に他社の内定が出たり、志望度が変化したりする可能性も高まります。
もちろん、見極めのために選考のプロセスは必要です。ただし、「本当に必要な面接回数なのか」「各プロセスに重複がないか」は見直す価値があります。「学生にとって負担が大きすぎないか」という視点で、選考プロセスを整理していくことが大切です。
担当者・面接官の対応品質が低い
担当者や面接官の対応品質が低い場合も、歩留まり率の低下につながります。
新卒採用では、学生にとって採用担当者や面接官とのやり取りそのものが、企業理解の材料です。「連絡が雑」「質問への回答が曖昧」「面接で威圧感がある」といった対応があると、企業全体への印象が悪化しかねません。
こうした問題を防ぐには、担当者ごとに対応のばらつきが出ないように運用を工夫しましょう。例えば、「連絡文面のルールをそろえる」「面接時の説明項目を整理する」「学生対応の基本方針を共有する」といった運用を徹底すれば、選考全体の印象も安定します。
評価基準が統一されていない
評価基準が統一されていないことも、歩留まり率の低下を招く要因の1つです。
面接官ごとに評価の観点が異なると、学生に対する質問内容や判断がばらつきます。企業側にとっては見極めの精度が下がるだけでなく、学生側にも「一貫性のない選考」という印象を与えかねません。
このような状況を防ぐには、「何を評価するのか」「どの観点を重視するのか」を事前に整理し、面接官間で共有しておくことが欠かせません。評価シートを統一したり、面接前後に認識をすり合わせたりすることで判断のばらつきを抑えられ、選考の納得感も高まります。
内定者フォローが不足している
内定者フォローが不足している場合も、内定承諾までの歩留まりが下がる原因になります。
内定を出した後も、学生は他社と比較しながら進路を検討することが普通です。内定通知だけで接点が止まってしまうと、「仕事内容が十分に分からない」「入社後の働き方が見えない」「この会社でよいのか判断しきれない」といった不安が残ります。
こうした離脱を防ぐには、内定後も継続して情報提供や接点づくりを行うことが有効です。例えば、「社員面談」「内定者懇親会」「職場見学」「入社までのスケジュール共有」などが考えられます。
家族や親戚から反対があった
家族や親戚からの反対によって、内定辞退に至るケースもあります。
新卒採用では、学生本人だけでなく、保護者や家族の意見が意思決定に影響することも珍しくありません。特に、「企業の知名度が低い」「仕事内容がイメージしにくい」「勤務地や働き方に不安がある」といった場合は、家族が慎重な姿勢を取り、学生本人の志望度が高くても周囲の反対によって迷いが生じることがあります。
そこで、学生本人に向けた情報提供だけでなく、家族にも説明しやすい情報を整理しておくことが有効です。例えば、「事業内容」「働き方」「福利厚生」「入社後のキャリア」などを伝えられる資料があると、家族への説明もしやすく、辞退を抑えられる可能性があります。
新卒採用における歩留まり率の改善方法

歩留まりを改善するには、離脱が起きた後に対応するのではなく、離脱しにくい仕組みを整えることが必要です。「学生がどの段階で不安や迷いを感じやすいのか」を整理し、採用広報、選考、内定後フォローまで一貫して改善していくことが求められます。ここでは、歩留まり率の改善につながりやすい代表的な方法を紹介します。
採用ブランディングを実施する
採用ブランディングとは、ターゲット学生へ効率的に接触して自社を選んでもらうため、戦略的な訴求を通して自社をブランド化する活動です。一貫した訴求を通して自社の魅力をターゲットに伝え、学生の入社意欲を喚起します。
採用ブランディングを強化すると、伝えたい自社の魅力をターゲット層へ的確に訴求でき、マッチ度の高い人材からの応募増加や、自社への入社意欲の向上が期待できます。その結果、途中辞退する学生が減り、歩留まり率の全体的な改善につながるでしょう。
具体的には、「採用サイトの設計を見直す」「SNSで社内の雰囲気や社員の様子を発信する」「社員インタビューで仕事内容や働き方を伝える」「オウンドメディアで事業内容やキャリア形成を紹介する」といった方法があります。
RJP理論を実践する
RJPは「Realistic Job Preview」の頭文字を取った言葉で、「現実的な仕事情報の事前開示」と訳されます。アメリカの産業心理学者ジョン・ワナウス氏によって提唱されたもので、採用活動において企業の良い面ばかりを訴求するのではなく、ネガティブな情報も包み隠さず開示することで、結果的に採用の質が向上するという理論です。
RJP理論を採用活動に取り入れると、事前情報と実際の労働条件や職場環境の間にギャップが発生しにくく、歩留まり率の向上が期待できます。また「情報を正直に開示してくれる誠実な会社」という印象につながり、学生からのイメージアップにもつながるでしょう。
例えば、「説明会でリアルな働き方を紹介する」「若手社員との座談会を設ける」「1日の業務内容を動画で伝える」「残業や繁忙期の実態もあらかじめ説明する」といった取り組みが考えられます。良い面だけでなく、入社後に感じやすい課題や求められる姿勢も含めて伝えることで、納得したうえで選考や承諾に進んでもらえるでしょう。
自社に合う母集団を形成する
歩留まり率が低い原因のひとつに、「自社に合わない学生が集まってしまっている」ことがあります。ターゲット外の層が多いと、選考途中の辞退や内定辞退が増えるのは自然な流れです。そこで重要になるのが、戦略的な母集団形成です。
【取り組むべきポイント】
| 取り組み | 内容 | ポイント |
| 採用ペルソナの設定 | 活躍している若手社員を参考に、理想的な人物像(性格・価値観・志向性など)を明確化 | 「誰を採用したいか」を具体的に定義する |
| チャネルの最適化 | ペルソナに合う媒体を選定 例:・成長志向層→スカウト型・共感重視層→SNS | 「どこで出会うか」を戦略的に決定する |
このように、ただ数を集めるのではなく「誰を、どこで、どう伝えるか」を最適化することで、自社と相性の良い学生との接点を増やし、歩留まり率を高めることが可能になります。
面接官の教育・マニュアルの整備を徹底する
面接後の歩留まり率を高めるためには、面接で学生にマイナスの印象を与えないよう、面接官の教育や面接マニュアルの整備をすることが効果的です。
学生にとって面接官は初期に対面する社員であり、いわば「会社の顔」ともいえる存在です。自分が一方的に学生を評価するのではなく、学生から選んでもらう立場でもあるという自覚を促し、言葉遣いや身だしなみ、NG質問についてマニュアルに明記しておくとよいでしょう。
また、面接の質を向上させる手法としては「構造化面接」の導入も有効です。構造化面接では、職種ごとに統一された面接マニュアルを用いて、その規定に忠実に面接を進めます。面接の属人化を防ぎ、面接官の手腕によらず評価結果を平準化できるでしょう。
連絡やメールをスムーズ・丁寧に行う
選考に関する連絡やメール・メッセージ返信などは、できるだけスムーズかつ丁寧に行うよう心がけましょう。単に対応のスピードが早いだけでなく、学生の質問には明確に回答したり、一人ひとりのフェーズに合わせたメッセージを送ったりなど、内容の丁寧さにも気を配ることが大切です。
また、返信する時間帯にも配慮が必要です。できるだけ早急に返信したいからといって、深夜や早朝にメールを送っては「長時間労働が当たり前の企業なのではないか」と、学生の不安につながる可能性があります。9時~18時など、一般的な就業時間内に連絡をするよう注意しましょう。
内定者フォローを十分に行う
内定後のフォローが不足すると、学生は他社との比較を続けるなかで不安を解消できず、内定辞退につながりかねません。そのため、内定通知後も継続して接点を持ち、企業理解や入社後のイメージを深めてもらうことが必要です。

出典:i-plug株式会社「どうなる?25卒・26卒新卒採用市場動向調査レポート(春版)」
弊社i-plug株式会社の調査では、内定後に学生が求めるフォローとして「人事との面談」が430件と最も多く、次いで「人事以外の社員との面談」が380件、「内定者研修」が377件となっています。他にも、「就業体験の機会提供」が346件、「電話やメールでのフォロー」が335件と続いており、単なる連絡だけでなく、社内の人と直接話したり、働くイメージを具体化したりできる機会が求められていることが分かります。
このことから、内定者フォローでは、情報提供だけで終わらせず、「人事との個別面談」「先輩社員との座談会」「就業体験」「内定者研修」などを組み合わせて設計することが有効です。学生が「この会社で働く自分」を具体的に想像できる状態をつくれば、入社に前向きになってもらいやすくなるでしょう。
学生からのフィードバックを反映する
採用活動を改善するうえで有効なのが、実際に選考に参加した学生の声を活用することです。
特に離脱した学生の意見には、企業側が気づきにくい「見えないボトルネック」が含まれていることが多くあります。
【フィードバック活用の具体策】
- 選考辞退時に簡単なアンケートや自由記述欄を設ける
- 内定者に対して選考全体の印象や改善点をヒアリング
- フィードバックを分析し、説明会・面接対応・連絡手段などを見直す
- 得られた意見をチーム内で共有し、翌年の採用設計に反映
学生視点のフィードバックを定期的に取り入れることで、主観に頼らない改善のサイクルが生まれ、歩留まり率の継続的な向上につながります。
ツールを利用する
新卒採用における歩留まり率の改善には、感覚ではなくデータに基づいた判断が重要です。採用管理ツール(ATS)を活用すれば、選考フロー全体を見える化し、どのフェーズで学生が離脱しているのかを明確に把握できます。
たとえば「一次面接の辞退率が高い」などの傾向がわかれば、面接官の対応や学生との接点の見直しといった、具体的な改善につなげられます。
| ツールの種類 | 主な役割 |
| ATS(採用管理システム) | 選考状況の一元管理、通過率の分析 |
| LINE連携ツール | 説明会や面接の自動リマインド通知 |
| チャットボット | 学生の質問対応や情報提供を自動化 |
上記のツールを活用するメリットは、以下のとおりです。
- 離脱ポイントの特定による改善策の立案
- 対応の自動化で人事の工数削減
- 学生とのタッチポイント強化で辞退を防止
このように、採用活動にテクノロジーを取り入れることで、効率化と学生との関係構築を両立し、歩留まり率の改善に直結します。
新卒採用で歩留まり率を改善する流れ

新卒採用の成功には、単に母集団を増やすだけでなく、「どこで」「なぜ」学生が離脱しているのかを把握し、改善していくプロセスが重要です。以下の4つのステップで、歩留まり率の可視化と改善を効果的に行いましょう。
1.採用プロセスごとに歩留まり率を算出する
まず最初に行うべきは、採用フローの各ステージごとに歩留まり率を数値化することです。主に以下のような項目が対象になります。
- 選考参加率(エントリー→説明会参加の割合)
- 面接通過率
- 内定率
- 内定承諾率
これらを定期的に集計し、時期や採用チャネルごとに比較分析することで、歩留まりが低いポイントを客観的に把握できます。
2.歩留まり率が低い課題を特定する
歩留まり率のデータをもとに、平均値と比較してどのフェーズで離脱が多いのか、なぜそうなっているのかを深掘りします。
【歩留まり率の平均値】
| 各フェーズの歩留まり率 | 計算式(%) | 平均値 |
|---|---|---|
| 選考参加率 | 選考参加者数÷応募者数×100 | 20~30% |
| 面接通過率 | 面接通過者数÷面接受験者数×100 | 30~40% |
| 途中辞退率 | 途中辞退者数÷選考参加者数×100 | 20~30% |
| 内定率 | 内定者数÷選考参加者数×100 | 2~3% |
| 内定承諾率 | 内定承諾者数÷内定者数×100 | 30~40% |
【具体例:課題の仮説】
- エントリー後に説明会参加者が少ない場合 → 学生との初期接点が弱い可能性
- 面接辞退が多い場合 → 面接日程調整や対応に問題がある可能性
- 内定承諾率が低い場合 → 他社に魅力で劣っている、もしくは情報提供が不十分な可能性
このように、各採用フェーズの数字と実際の運用を照らし合わせることで、「なぜ離脱しているのか」の仮説を立てやすくなります。
加えて、学生へのアンケートや選考辞退時のヒアリングを通じて、定性的な声も集めることで課題を特定しやすくなります。
3.課題を解決するアクションを実行する
特定した課題が明確になったら、次はそれを解消するための改善アクションを具体的に実行していきます。
歩留まり率の低下要因は企業によって異なるため、データに基づいたピンポイントな施策が効果的です。
【施策の具体例】
- 説明会参加率が低い場合:案内メールの件名や送信タイミングを見直す
- 面接辞退が多い場合:日程調整の柔軟化や面接官の対応改善
- 内定承諾率が低い場合:内定者フォローの強化や、企業の魅力を伝える動画・座談会の実施
重要なのは、単に施策をやってみるのではなく、「なぜそれを行うのか」「どんな結果を狙うのか」までを明確にすることです。仮説と目的を明確にして取り組むことで、次の検証ステップにつながる再現性の高い施策を行えます。
4.施策の効果を振り返る
改善施策を実行した後は、その結果を数値と実感の両面から検証するフェーズが欠かせません。
「やりっぱなし」で終わらせず、本当に効果があったのか、何がうまくいったのか、改善の余地はあるのかを分析することが重要です。
具体的には、以下のような指標をもとに振り返りを行います。
- 歩留まり率の改善幅(施策前後の数値比較)
- 採用プロセスの効率性(面接回数や所要期間の変化)
- 学生からのフィードバックや辞退理由の変化
さらに、関係部署や採用担当者間で情報を共有し、成功事例や失敗の原因をチーム全体で可視化することも、次の改善サイクルにつながります。この「振り返り」こそが、継続的に歩留まり率を高めていくための土台となります。
まとめ

新卒採用における歩留まりは、「採用活動のどのプロセスに課題があるのかを可視化する」のに役立つ指標です。各フェーズの数値を把握することで、「どの段階で離脱が発生しているのか」を特定し、適切な改善施策を検討できます。
実際に活用するうえでは、単に数値を確認するだけでなく、原因を分解し、施策の実行と振り返りを繰り返すことが重要です。説明会参加率や面接通過率、内定承諾率など、それぞれのフェーズに応じた改善策を講じることで、採用目標の達成につながります。
人事ZINEでは、「【サンプル】採用活動のKPIシート(記入例付き・Excel)」をご用意しております。採用チャネルごとの必要人数を整理し、進捗や歩留まりを一元管理できます。数値にもとづいた採用改善を進めたい方は、ぜひご活用ください。

