新卒採用の人数割合とは?平均値・適正比率や採用人数の決め方も解説

必要な人材を無駄なく確保するには新卒採用の人数を慎重に決める必要があります。

全従業員数に対する新卒採用の比率を決める際の目安として、平均値を確認しておきましょう。適正な採用人数を決める手順や、考慮すべき要素についても解説しています。

一般的な新卒採用の人数の割合の目安

一般的な新卒採用の人数の割合の目安

新卒採用の人数を決めるための参考として一般的な目安を確認しましょう。新卒採用の全従業員に対する割合と、全採用人数に対する割合の両方を解説します。

全従業員に占める割合

まずは全従業員に対する新卒採用数の目安についてです。

2016年度の採用を対象に実施された「日経『スマートワーク経営』調査」によると、全正社員に占める新卒採用の比率は、調査対象の全602社平均で3.8%です。つまり企業規模100人あたりの新卒採用数は「3人か4人」が目安だといえます。

企業規模別に見ると以下の通りで、企業規模が小さいほど新卒を採用する割合が高い傾向です。

全採用人数に占める割合

次に全採用人数に対する新卒採用数の目安、つまり「新卒・中途」の比率を確認しましょう。

前掲「日経『スマートワーク経営』調査」によると、全正社員に占める新卒採用の割合は前述の通り3.8%で、中途採用は2.8%です。つまり全採用人数に占める新卒採用の割合はおよそ半数以上が目安といえます。

なお、以下の表のように大企業になるほど中途採用より新卒採用の比率が高くなる傾向があります。

5,000〜9,999人の企業では新卒3.3%に対し中途1.1%、10,000人以上の企業では新卒3.0%に対し中途1.4%。つまり全採用人数の約7割が新卒採用です。

逆にいえば小規模な企業ほど、中途採用の比率が高くなる傾向だと分かります。

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新卒採用の割合が高い企業のケース

新卒採用の割合が高い企業のケース

企業の状況によっては、前述の目安よりも新卒採用の割合を高くする場合があります。新卒採用が多くなる企業について、3つのケースを見ていきましょう。自社の水準が適正かどうかの判断材料にしてください。

成長企業

売上が上昇しているなどの成長企業は、新卒採用の割合が高くなる傾向があります。

成長企業では、受注の増加などの理由で業務の量が増え、新たな人材を必要とするためです。

成長企業でも即戦力を求める場合には中途採用が多くなりますが、「教育体制がしっかりしている」「2〜3年後の活躍を見据えている」などの企業では、新卒採用が増える傾向があります。

組織改革をしている企業

既存部署の縮小や、新規部署の立ち上げ・拡大などの組織改革をしている企業でも、新卒採用の割合が高くなることがあります。

例えば「IT化」や「RPAの導入」など、新しいシステムを導入する場合です。

「新システムの使い方を覚えられない」など、対応が難しい既存の人材を別の部署に回すなどの整理をして、「従来の考えに染まっていない新卒人材」を多く採用することがあります。

離職率が高い企業

離職率が高いという理由でも、新卒採用の割合が高くなることがあります。

離職率が高く、社員の勤続年数が短い傾向のある企業は、必要な人材を供給し続ける必要があるためです。

そのため「新卒採用の求人が多すぎる企業は要注意」と見られることがある点に注意しましょう。就職先を選ぶ側の目安として「求人数が全従業員数の20%を超えるなら、離職率が高くないか確認すべき」という意見もあります。

多くの新卒採用をする予定の場合、自社が離職率が高いという理由に該当しないなら、求職者にそのような印象を与えないよう「求人を出す理由を具体的に記載する」などの配慮が必要です。

参考:https://ascii.jp/elem/000/000/646/646274/

新卒新卒採用の割合が低い企業のケース

新卒採用の割合が低い企業のケース

続いて、新卒採用の割合が低くなる企業について、3つのケースを紹介します。自社の新卒採用が一般的な目安より少ない場合などの参考にしてください。

大手・安定企業

大手企業や、業績に大きな変化のない安定企業は、新卒採用の割合が低くなる傾向があります。「安定した企業は待遇がよいことが多く、離職率が低い」という点が1つの要因です。

また、大企業は業績拡大や組織改革などがあっても既存人員でまかなえることがあり、「新規人材を補充する必要性が低い」という点も要因として挙げられます。

スタートアップ・ベンチャー企業

即戦力を求めるスタートアップ・ベンチャー企業は、新卒ではなく中途採用の割合が高くなる傾向があります。

上記「全採用人数に占める割合」で紹介した通り、小規模な企業ほど中途採用の割合が高くなるのが一般的です。

スタートアップ・ベンチャー企業が必ずしも小規模とは限りませんが、立ち上げたばかりで教育体制が整っていないことも多く、新卒採用の割合が低くなる傾向があります。

ニッチ・少数精鋭企業

ニッチ産業に注力する企業など、社員の質を厳選している少数精鋭の企業も、新卒よりも中途採用が多くなる傾向があります。

全社員のほとんどに即戦力の専門スキルが要求され、教育にあてる人材がいないことも多く、中途採用の専門人材をあてるケースが多いためです。

少数精鋭企業が新卒採用を検討する際は、社内の教育体制が十分かどうか、十分に検討しておく必要があります。

新卒採用人数を決める手順

新卒採用人数を決める手順

新卒採用の人数を具体化するまでの一般的な手順を、4つの段階に分けて解説します。

事業計画・組織構成を把握する

最初の手順は現状把握です。会社としての事業計画や、現在の人員構成などの組織構成を確認し、整理します。

新卒採用をする主な目的は、会社の成長戦略の担い手となる人材を確保することです。事業計画を確認して、会社の方針をしっかり整理しましょう。

組織構成については「どの職種・年齢の社員が何人在籍しており、数年後にどうなるのか」など、長期的なスパンで検討することが重要です。

採用ニーズを調査する

次に採用ニーズの調査です。各部門や経営陣などに対して要員ニーズを確認してみましょう。

担当者に対して直接質問したり、アンケートを実施したりなどの方法で意見を集めます。「どのような人材が、いつまでに、何人ぐらい欲しいか」など、欲しい人材の質と量、補充の緊急度に関する情報を集めましょう。

例えば「人員が減ったが、現状で十分回せているので補充は不要」など、数字には出てこないような現場の声を集めることが重要です。

アンケートの際には、「すぐに欲しい」「どちらかといえば欲しい」など段階を付けて回答できるようにしておくと、採用の優先順位を決めやすくなります。

要員数を算出する

集めた情報をふまえて、具体的な採用予定人数を算出しましょう。算出方法としては以下の2種類が知られています。

  • トップダウン方式(マクロ的算定方式)
  • ボトムアップ方式(ミクロ的算定方式)

トップダウン方式とは、「目標売上高」や「適正人件費率」など会社全体の資金・リソースの数字をもとにして、「許容できる採用人数」を算定する方法です。キャッシュフロー全体を把握したうえで決定できるので、予算オーバーが発生しにくいというメリットがあります。

ボトムアップ方式とは、部署ごとや役職ごとに必要な人員を計算して合計するという方法です。トップダウン方式と比べて現場のニーズを満たしやすいというメリットがあります。

トップダウン方式だけでは現場の細かいニーズを反映しにくく、逆にボトムアップ方式だけでは予算オーバーになりやすいため、多くの場合2つの方式を併用して要員数を算出しましょう。

新卒割合を計算する

要員数が決まったら、人材を確保する方法を決め、新卒採用の人数を決める段階です。

人材確保の方法として「社内異動」「アウトソーシング」などの方法も検討し、目的や予算に合った方法を選択します。

採用が必要となれば、人材の要件に応じて新卒・中途の比率を決定しましょう。

新卒採用の割合を決める時に意識すべきポイント

新卒採用の割合を決める時に意識すべきポイント

新卒採用の際は、複数の要素を検討することが重要です。これまでの方法をそのまま続けていたり、経営層の意見だけを反映させたりなど一面的な意見だけを取り入れるやり方では失敗するリスクが高くなります。

新卒採用の人数を決めるうえで重要な、4つのポイントを確認しましょう。

人材要件

新卒採用の人数(量)だけでなく、「どのような人材が必要なのか」という質の要件を明確化しましょう。

新卒採用セオリーの1つとして、「不況期には質の採用、好況期には量の採用」という考え方があります。自社のビジネスが将来的に成長していく見込みがあるなら、長期的に育成できる新卒人材を増やした方がよい可能性が高くなります。一方、一時的にせよ業績が不安定な状況なら、少数の専門人材を中途採用する方が理にかなっているかもしれません。

人材の要件が固まれば、新卒・中途の比率は自然に決まっていくはずです。

採用単価

「1人あたりの採用にかかる費用」も考慮すべき要素です。

新卒採用は、中途採用と比べて採用単価の相場が低いとされています。「就職白書2019」によると、2018年度の新卒採用単価の平均は72.6万円で、中途採用はそれより高い84.8万円です。

とはいえ中途採用の方法も多様化しており、コストを抑えられるようになっているため、一概に高いとはいえません。

必要な人数と予算、採用単価を比較して、できるだけコストを抑えた方法を選択することも重要です。

参考:https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2019/05/hakusyo2019_01-56_0507up.pdf

採用効果

過去の採用データなどから採用効果、つまり採用によって会社にどのようなプラスの影響が出せるかも検討しましょう。

採用効果は定量化しにくい要素ですが、労働生産性に注目すれば、おおよその把握ができます。労働生産性とは、1人あたりの生産性を指す指標です。「生産量(付加価値)÷ 労働者数」の計算式で求められます。

労働生産性よりも1人あたりの人件費が上回っていないかどうか、新規採用によって低下していないかどうかを確認しましょう。

また離職率の推移も採用効果に関係する数値です。離職率が高い場合、採用した人材が入社から退職までに生み出す生産量(付加価値)が低下し、採用効果が悪化していることを意味します。離職率が高いなら、内部の管理体制などを見直して、離職率を改善した方がよいかもしれません。

育成体制

社内の育成体制について、育成コストと対応できる人数も考慮しましょう。

育成コストについては、研修や教材、担当者の人件費だけでなく、「採用してから戦力化するまで、ほとんど生産性がない」という点も計算に入れる必要があります。採用してから戦力化するまでの人件費が、そのまま育成コストに加算されると見ておきましょう。

そして新卒社員を獲得した後、「しっかり教育できるリソースがあるか」「何人までなら管理が行き届くか」を検討し、新卒採用の人数を決める必要があります。

まとめ

全社員数に対する新卒採用の比率

全社員数に対する新卒採用の比率は、平均値で見ると3~4%ほどが目安です。とはいえ、企業の規模や状況によって適切な人数は大きく異なります。あくまで目安として捉え、事業計画や育成体制など自社の現状を考慮することが重要です。そして採用単価と予算を比較し、中途採用など他の方法とも比較しながら、最適な人数を割り出しましょう。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

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