採用マーケティングの定義とは?メリット・進め方や3つの企業事例
採用競争が激化するなか、「従来通りの求人掲載だけでは学生が集まらない」「自社にマッチした人材に出会えない」と悩む採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
新卒採用で成功するためには、マーケティングの視点を取り入れ、認知から採用までを一貫して設計する「採用マーケティング」の考え方が有効です。本記事では、採用マーケティングの定義や従来手法との違い、取り組むメリット、具体的な進め方や企業事例を解説します。
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目次
採用マーケティングとは?従来手法との違い・注目される背景

採用マーケティングは、自社が求める人材を引きつけ、採用するためにマーケティングの手法を取り入れる活動全般を指します。ここでは、その定義や採用ブランディングとの違い、昨今注目される背景を解説します。
採用マーケティングの定義
採用マーケティングは、自社が求める人材を引きつけ、採用するために行う一連の取り組みです。マーケティングのフレームワークを取り入れている点が特徴で、候補者が認知から応募、入社、定着に至るまでのプロセスをファネル(フィルタリングする工程)として捉えます。
採用マーケティングのファネルは、求職者が経験する内容を図式化したもので、以下のようになっています。
- 認知:企業を知る段階
- 興味:企業に興味を持ち、さらなる情報を求める段階
- 検討:自身のキャリア目標や職務要件と、企業の職務内容を具体的に照らし合わせる段階
- 応募:興味と検討の結果、実際に応募を行う段階
- 選考:書類選考・面接の段階
- 採用:最終的な合否決定が行われる段階
上記のファネルを通じて、企業は採用プロセス全体を最適化し、自社に合った人材を効率的に採用します。
採用ブランディングとの違い
採用ブランディングは、企業が自社を魅力的な職場として認知してもらい、自社に合った人材を惹きつけるための戦略です。さまざまなチャネルで情報を発信し、長期的にブランディングしていくことを目的としています。
一方で採用マーケティングは、ターゲティングやブランディングのもと、具体的な求人に対して適切な候補者を引きつけ、採用するというマーケティング活動全般です。採用ブランディングは、採用マーケティングの活動の一部であるといえます。
従来の採用手法との違い
従来の採用手法と採用マーケティングの主な違いは、ターゲットとする層です。求人媒体やエージェントを利用する従来の採用手法は、主に現在積極的に就職・転職活動を行っている顕在層を対象としていました。一方で採用マーケティングは、顕在層に加えて、まだ具体的な活動を起こしていない「潜在層」もアプローチの対象に含めます。
潜在層とは、新卒採用であれば「まだ本格的な就職活動を始めていない低学年層」や「自社の業界を認知していない学生」、中途採用であれば「良い機会があれば転職を検討する社会人」です。採用マーケティングでは、これらの層に対してもソーシャルメディアやコンテンツを通じて早期から接点を持ち、企業イメージを構築していきます。
また、従来の手法が応募から採用までのプロセスにフォーカスしているのに対し、採用マーケティングは応募前の認知・興味の段階や、入社後の定着までを一貫して見据えている点も違いの1つです。
採用マーケティングが注目される背景
採用マーケティングが注目を集める主な背景として、「売り手市場による採用競争の激化」「採用手法の増加」「働き方の価値観の多様化」の3つが挙げられます。
採用市場は学生優位の売り手市場が続いています。採用競争が激化するなか、他社と同じように求人を出すだけでは自社の魅力を届けきれません。さらに、SNSやダイレクトリクルーティングなど採用手法が多様化しており、ターゲットに合わせて適切なチャネルを選択し、戦略的にアプローチするマーケティング思考が求められるようになりました。
また、終身雇用が当たり前ではなくなり、「多様な経験を積みたい」「ワークライフバランスを整えたい」など、働き方の価値観も多様化しています。候補者一人ひとりのニーズに応じた情報発信を行うためにも、採用マーケティングの視点が必要とされている状況です。
採用マーケティングに取り組む3つのメリット

採用マーケティングは、単なる応募数の増加ではなく、母集団の質向上や志望度のアップ、コストの最適化まで目指せる手法です。従来の「媒体に掲載して応募を待つ採用」との違いを踏まえ、3つのメリットを解説します。
採用ミスマッチ・早期離職の防止になる
採用マーケティングでは、ターゲット・ペルソナ像と情報発信方法を事前に細かく設計するため、入社前の認識ギャップを減らせます。従来型の採用では企業側の情報発信が限定的になりやすく、学生がイメージだけで応募してしまい、入社後にミスマッチが発生するケースも少なくありませんでした。
そこで採用マーケティングの観点を取り入れ、仕事内容や評価制度、カルチャーなどを具体的に発信すれば、学生が働くイメージを明確に持てるため、「自社にマッチする人材」からの応募が集まりやすくなります。またオウンドメディアのコンテンツやスカウト・面談といった複数の接点を活用して候補者との相互理解を深め、志望度を段階的に高めていくナーチャリングも可能です。
このように選考段階で認識ギャップを解消していけば、結果として内定承諾率の向上だけでなく、入社後の早期離職を防ぐことにもつながります。
潜在層への訴求・母集団形成がしやすくなる
採用マーケティングを実践すると、今すぐ応募する顕在層だけでなく、情報収集段階の潜在層にもアプローチが可能です。一般的に、中小企業は知名度の面で不利になりやすく、従来のナビ型求人媒体だけでは接触できる学生の数に限界があります。
採用マーケティングの考え方に基づいてオウンドメディアやSNS、スカウトなどを活用し、検索・閲覧・接触といった複数の接点を持てば、接点の総量を広げることも可能です。単に応募数を増やすのではなく、自社に興味を持った状態の母集団を形成しやすくなるのもメリットといえます。
採用コストの最適化につながる
採用マーケティングの視点を持つことで、求人媒体に依存した採用活動から脱却し、自社でコントロールできる集客チャネルを育てられます。自社コンテンツや採用データを蓄積していくと、継続的に応募を獲得できる仕組みを構築でき、長期的に採用コストを抑制できる可能性もあるでしょう。
また、流入経路や応募率、選考通過率などのデータをファネルごとに可視化できる点もメリットです。「どのチャネルからの応募が採用に結びついているのか」「どの採用プロセスで歩留まりが低下(悪化)しているのか」を分析するなかで費用対効果の高い施策へ予算・工数を集中させられるので、コスト最適化にも役立ちます。
採用マーケティングの具体的な進め方

採用マーケティングを実践するには、事前の調査から効果測定までを順序立てて行う必要があります。ここでは、採用活動で成功するための具体的なステップを解説します。
自社の現状分析を行う
採用マーケティングに取り組む際は、自社の現状分析が最初のステップです。自社が現在置かれている状況を理解し、採用に関する強み・弱みといった内部要因や、「自社が市場でどのような立ち位置にあるのか」などを分析します。
自社の採用目標と市場の動向を照らし合わせれば、より効果的な採用戦略を立てやすくなるでしょう。現状分析の際は、STP分析やSWOT分析など、マーケティングで使われるフレームワークを使うと効率的です。具体的なフレームワークは後述します。
ターゲット・ペルソナを明確にする
次に、「誰」をターゲットとするかを決めます。入社してもらいたい人物像を仮想的に定義した「ペルソナ」設定も重要でしょう。
ターゲットを設定する際は、「どのような人材が必要で、どのような人材なら活躍できるか」という要件を定義します。例えば人材ヒアリングシートを用いて各部門にヒアリングし、求めるスキルや価値観を分析したうえで、理想の採用人物像(ペルソナ)を確定するというフローが有効です。
ターゲット・ペルソナが具体的であるほど、アプローチの手法や訴求軸がブレにくくなり、採用活動を効果的に進められます。
訴求軸を整理する
ターゲット・ペルソナを決めたら、求人情報や説明会などでターゲットに訴求する内容を決めます。効果的な訴求ポイントを用意するためには、「自社分析」と「求職者のニーズ分析」が必要です。自社分析では、経営理念や戦略、自社の強みなどを分析します。
求職者のニーズ分析も欠かせません。例えばワークライフバランスを求めている人には「年間休日」や「福利厚生」など、魅力的な労働条件や職場環境を訴求します。SNSでの調査や、説明会でのアンケートなど、さまざまな手法を使ってニーズを調べるのがおすすめです。
チャネルを選定する
「どのような」採用手法を使うかを選択します。設定したターゲット・ペルソナと伝えたいメッセージに基づいて、最も効果的なチャネルや手法を選びます。例えば、若い世代にアピールしたい場合は、若年層ユーザーが多いSNS(InstagramやTikTokなど)を活用するのが有効です。
採用手法に関する戦略を考える際は、AIDMAや5A理論などのフレームワークが役立ちます。複雑な問題やプロセスを整理し、一貫性のあるアプローチをとるためには、フレームワークを活用することが有効です。
採用ファネルとKPIを設計する
選定したチャネルを通じて、候補者が「認知」から「応募」そして「入社」に至るまでの採用ファネルを設計します。各ファネルへの移行率を高めるために、フェーズごとにKPI(重要業績評価指標)を設定し、目標数値を明確にしましょう。
例えば、「説明会参加数」「面接通過率」「内定承諾率」などの具体的な数値をKPIとして設定します。このようにプロセスを数値化しておくことで、「どの段階で候補者が離脱しているのか」といったボトルネックを特定しやすくなります。
効果測定と改善を行う
採用施策を実行した後は、設定したKPIに基づいて効果測定を行います。「当初の計画通りに進んでいるか」「想定したターゲット層から応募が集まっているか」をデータで振り返りましょう。
目標を下回っている項目があれば、訴求メッセージの変更やチャネルの見直しなど、具体的な改善策を検討します。採用マーケティングは一度実施して終わりではなく、データを基にPDCAサイクルを回し、施策の精度を継続的に高めていくことが重要です。
採用マーケティングと相性の良い採用手法

採用マーケティングの考え方を活かすには、ターゲットに対して企業側から能動的に働きかけたり、継続的な情報発信を行ったりする手法が適しています。ここでは、相性の良い採用手法を解説します。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者のデータベースを検索し、自社の要件に合う人材へ直接スカウトを送る採用手法です。特定のスキルや志向を持つターゲットを事前に選定し、1to1でピンポイントのアプローチを図るため、採用マーケティングにおける「ペルソナ設定」と相性が良いのが特徴です。
従来のナビサイトや採用イベントは応募を待つ形式が中心で、母集団の質をコントロールしにくい側面がありました。一方、この手法ではマッチする人材にのみ接触できるため、選考の歩留まり改善や採用効率の向上につながります。
加えて、自社の認知がない潜在層にもアプローチ可能です。「条件が合えば検討したい」層に対し、カジュアル面談などで接点を持てるため、母集団の幅を広げられます。
さらに、ターゲット選定から動機付け、内定承諾までを自社で担うことで、採用ノウハウを社内に蓄積することも可能です。料金は主に定額型と成功報酬型があり、運用次第でコスト最適化も図れます。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員から友人・知人を紹介してもらう採用手法です。社員自身が自社のカルチャーや業務内容を理解したうえで、マッチしそうな人材に声をかけるため、「入社後のミスマッチが起こりにくい」という利点があります。
採用マーケティングの観点では、社員自身が企業の魅力を伝える「アンバサダー(伝道師)」の役割を担います。外部の媒体を通さずにターゲット層と接触でき、方法次第では採用コストを抑えながら質の高い母集団形成を行うことが可能です。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングは、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSを活用して採用活動を行う手法です。日常的な情報発信を通じて、企業のカルチャーや働く社員のリアルな姿を届けます。
まだ本格的に自社を検討しているわけではない潜在層とも接点を持ちやすく、長期的な関係構築(ナーチャリング)に向いている手法です。SNS上で企業への親しみや共感を持ってもらうことで、採用ファネルにおける「認知」や「興味」にもつながります。
オウンドメディア・ブログ記事
オウンドメディアや自社の採用ブログを運営し、仕事のやりがいや社員インタビュー、社内制度などを発信する手法です。求人媒体の決められたフォーマットでは伝えきれない、自社ならではの深い情報を提供できます。
作成した記事はストック型のコンテンツとしてWeb上に蓄積されるため、検索経由で中長期的に候補者を集める「資産」にもなります。スカウトメールやSNSといった他の採用手法と連携させて詳細情報を補完する側面もあり、候補者に企業理解を深めてもらうのにも有効です。
採用マーケティングを成功させるポイント

採用マーケティングを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは、データやツールの活用など、採用マーケティングを成功させるためのポイントを解説します。
ターゲット・ペルソナを明確化する
採用マーケティングを成功させるには、「ターゲットやペルソナをどれだけ具体化できるか」が重要です。ペルソナが曖昧なままでは、発信するメッセージが誰にも響かず、「どのチャネルを活用すべきか」という判断も定まりません。
現場の社員へのヒアリングや活躍している人材の傾向分析も行い、ペルソナの価値観や情報収集の方法までを具体的に設定しましょう。解像度の高いペルソナを設定して初めて、的確なアプローチが可能になります。
データやツールを活用する
データやツールを活用し、効果的に学生を採用できる仕組みを整えることも欠かせません。学生が持っている能力や価値観など、あらゆるデータを収集・分析し、ターゲットに対して最適な情報を提供できるような体制を作ることを目指します。
担当者の負担を軽減するためには、ツールの導入も欠かせません。採用管理システム(ATS)など、さまざまなサービスがあるため、比較検討しながら導入します。ツールの詳細については、後の項目で詳しく解説します。
自社に合う採用手法を選定する
売り手市場が続く新卒採用において、自社の採用力やターゲットの特性に合わせた手法を選定することも欠かせません。知名度で大手に劣る中小企業が、大手と同じナビ媒体だけで勝負しても、十分な母集団を形成するのは難しい可能性があります。
ナビ媒体のような「待ちの手法」から脱却するためには、リファラル採用やSNS運用なども候補に挙がりますが、これらは社内体制の構築や効果が出るまでに時間がかかるという課題もあります。
もし「自社の魅力が伝わりにくい」「即効性のある施策を打ちたい」と感じる場合は、学生のプロフィールを読み込み、1to1で個別にメッセージを送れるダイレクトリクルーティングを活用するのも手です。
組織のあり方を見直す
新卒採用における採用マーケティングを通して、組織のあり方を見直す姿勢も重要です。例えば、部署間の連携ができておらず、応募してくれた学生に迷惑をかけるといったケースもあります。
採用は人事担当者が中心となりますが、他の部署からの適切なサポートも欠かせません。
採用マーケティングがより効果を発揮するのは、魅力的な企業・組織の存在が前提となります。社内体制を見直し、一丸となって採用マーケティングに取り組めるようなシステムを整えておくのが大切です。
採用マーケティングで活用できるフレームワーク

採用マーケティングで活用できる主なフレームワークは以下の通りです。
- STP分析
- SWOT分析
- 3C分析
- AIDMAモデル
- 5A理論
- カスタマージャーニー
ここでは、それぞれのフレームワークの特徴と、採用活動での具体的な活用場面を解説します。
STP分析
STP分析は、「セグメンテーション:Segmentation」「ターゲティング:Targeting」「ポジショニング:Positioning」の頭文字を取ったものです。採用マーケティングで分析するのは、主に以下の3つとなります。
- 細分化された市場:学生を分類
- 自社が狙うべきセグメント:ターゲットなる学生を明確化
- 市場内での自社のポジショニング:自社の魅力の訴求方法の言語化
通常のマーケティングで用いられるフレームワークですが、新卒採用にも応用可能です。採用においても、学生のカテゴライズやターゲットの明確化、ポジショニングの確認ができます。
SWOT分析
SWOT分析は、内部要因「強み(Strength)・弱み(Weakness)」と、外部要因「機会(Opportunity)・脅威(Threat)」から自社を分析するためのフレームワークです。新卒採用においては、以下の例のように用いられます。
- 強み:高いシェアを持つ自社製品、若手が活躍できる柔軟な組織
- 弱み:ブランド認知度の低さ、充実しているとはいい難い福利厚生
- 機会:同社の事業領域への関心の高まり
- 脅威:海外企業の参入、人材流出
SWOT分析を行えば、訴求ポイントや自社の立ち位置を明確化しやすくなります。
3C分析
3C分析とは、「Customer:顧客」「Competitor:競合」「Company:自社」の頭文字をとったもので、それぞれの観点において重視すべきポイントを洗い出すフレームワークです。
採用マーケティングでは、「どこをターゲット層とするのか(Customer)」「学生はどのような企業と自社と比べているのか(Competitor)」「自社の優位性はどこなのか(Company)」を分析する時に役立てることができます。
より掘り下げるなら、「Customer:顧客」の項目では、ターゲットの学生が、入社先の企業に求めているものを具体的に分析します。「Competitor:競合」では、ターゲットが競合他社のどこに魅力を感じているのかを明確化しましょう。最後に「Company:自社」で、競合と比べて優れている点を言語化し、学生のニーズを満たすための訴求ポイントを考えます。
AIDMAモデル
AIDMA(アイドマ)は、「Attention:注意」「Interest:関心」「Desire:欲求」「Memory:記憶」「Action:行動」のことで、消費者の代表的な購買プロセスモデルとされています。
このプロセスを学生の企業認知に応用して、「各プロセスにおいてどのようにアプローチするべきか」「自社の採用マーケティング活動のどこに課題があるのか」を洗い出すことができます。
具体的には、以下のように考えます。
| Attention:注意 | 自社の存在を知ってもらう |
|---|---|
| Interest:関心 | 自社に興味を持ってもらう |
| Desire:欲求 | 自社に入社したいと考えてもらう |
| Memory:記憶 | 自社を記憶している |
| Action:行動 | 自社に実際に応募・入社する |
5A理論
採用マーケティングに取り組む際は、コトラーの「5A」理論における消費者行動の5つのステップを用いて、採用活動に応用するのも有効です。
- AWARE(認識する、知る)…HPなどで会社に出会う
- APPEAL(記憶や印象に残る)…会社に興味を持つ
- ASK(調べる)…応募する
- ACT(購入する)…選考・内定を獲得する
- ADVOCATE(周りにすすめる)…ご家族にも納得してもらって入社、入社したら周りにも会社への入社をすすめる。
入社前の不安にどのように寄り添うか、自社のスタイル・候補者へのフォロー、顧客への経験や、人材紹介会社のアドバイス・ナビサイト・他社情報も参考にしながらそれぞれのフェーズに合わせた行動をデザインしてみてください。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、候補者が企業を認知してから入社に至るまでの一連の体験を以下のように「旅」に見立てて可視化するフレームワークです。企業側の目線ではなく、候補者側の視点に立って行動や感情の変化を整理する際に役立ちます。
- 認知
- 興味
- 応募
- 選考
- 内定
特に有効なのは、候補者が「どのような情報を探しているか」「どのような不安や疑問を抱いているか」をマップ上に配置することです。例えば、「選考中」のフェーズで「実際の社風が分からない」という不安があるなら、カジュアル面談を挟むといった具体的な施策を立案しやすくなります。
このように採用プロセス全体を候補者目線で俯瞰すると、自社のコミュニケーションの抜け漏れや課題を客観的に洗い出しやすく、選考の歩留まり低下や内定辞退の防止にも役立つでしょう。
採用マーケティングに役立つツール

先ほどの項目でも触れたように、採用の現場では状況に応じてツールを活用するのもおすすめです。ここでは、新卒採用の採用マーケティングに役立つツールを4つ紹介します。
採用業務を一元化する「ATS」
ATS(Applicant Tracking System)は、採用に関する業務を一元化できる「採用管理システム」です。ATSには以下のような機能が搭載されています。
- スケジュール管理
- 選考状況の可視化
- 各種求人媒体との連携
- 媒体ごとの効果測定
- 内定者の管理
ATSを導入すれば採用業務の効率化が実現するだけではなく、情報の共有不足による機会損失も防げます。
マーケティングプロセスを自動化・効率化する「MA」
MAは、「Marketing Automation」の頭文字を取ったもので、採用マーケティングプロセスを効率化・自動化するためのツールです。必要なタイミングで学生に情報を提供したり、採用マーケティングのプロセスを可視化したりなどに役立ちます。
例えばMAのツールには、ログ分析機能がついているものもあり、ターゲットとなる学生の興味・関心を分析できます。「ターゲットが特定の職種の求人だけを見ている」といった情報を把握でき、「その職種で働いている社員の実際の仕事内容を発信する」といった柔軟な施策が可能です。
ユーザーニーズの理解に役立つ「Google Analytics」
Google Analytics(「Google Analytics 4」)を活用すればページごとのアクセス数や滞在時間、離脱率などをチェックできるので、応募を検討している学生がどのような内容に興味や関心を持っているのかがわかります。
年齢や性別、地域を確認すれば、採用ページの改善に役立てることも可能です。ターゲットとしている年齢や地域と閲覧者の属性が大きく乖離している場合には、戦略そのものの見直しを検討する必要もあります。
簡単にWebサイトの作成ができる「CMS」
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、Webサイトの作成や管理ができるツールです。代表的なサービスとしては、WordPress(ワードプレス)が挙げられます。他にも、Joomla!(ジュームラ)、Jimdo(ジンドゥー)などがあります。
CMSであれば、HTMLやCSSなどの知識がなくてもホームページを作成可能です。新卒採用では、主に採用ホームページを立ち上げるのに活用できます。高価な広告費をかけずに、情報の発信や認知向上をする際に役立つでしょう。
採用マーケティングを実践している企業事例

採用マーケティングの視点を取り入れ、自社の価値観や働き方、社員の情報を継続的に発信している企業の事例を紹介します。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、採用活動の一環としてオウンドメディア「mercan(メルカン)」を2016年から運営しています。メルカリの「いま」を正しくかつ広く届け、共感の総量を高めることを目的に、働く人やチーム、事業、社内の出来事などを継続的に発信しています。
募集要項だけでは伝わりにくい組織の雰囲気や事業内容、現場の取り組みなどを記事として公開しており、候補者が応募前に企業理解を深められる作りになっています。記事は「会社・事業」「職種」などのカテゴリで整理されており、関心のあるテーマから情報にアクセスしやすい構成です。
このように、自社の情報を蓄積しながら、候補者との接点を増やし、企業理解や共感形成につなげている点が特徴です。
フリー株式会社
フリー株式会社(freee)は、採用サイトと採用ブログを組み合わせて、候補者の理解を段階的に深める設計を行っています。採用サイトではミッションやカルチャー、制度、職種ごとの役割などを提示し、企業全体の方針や考え方を把握しやすい構成です。
カルチャーページでは「マジ価値(ユーザーにとって本質的な価値を提供すること)」を中心に据え、その実現に向けた指針として「理想ドリブン」「アウトプット→思考」「Hack Everything★」「ジブンゴーストバスター」「あえて、共有する」といった価値観を明文化しています。
一方、採用ブログでは社員インタビューや職種別の記事、新卒・中途の入社事例などを掲載しており、現場の仕事内容や働き方をより具体的に紹介。採用サイトで全体像を理解し、ブログで個別の情報を補完する構成にすることで、候補者が情報収集を進めやすい設計になっています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、採用サイト全体を候補者の理解プロセスに合わせて設計しています。サイト内では「基本を知る」「事業を知る」「仕事を知る」「人を知る」「職場を知る」といったカテゴリに情報を整理し、企業理解を段階的に進められる構成です。
同社が採用において重視していることは「マッチング」であり、会社が個人に期待することと、個人が会社に期待することのバランスを明確に提示しており、応募前の段階から双方の認識をすり合わせる設計になっています。
また、人材要件についても、カルチャーの体現、行動指針に沿った行動、役割遂行能力といった観点で言語化。企業理解と評価基準が連動する構造で、候補者が求められる役割や期待値を具体的にイメージできる点が特徴です。
まとめ

本記事では、採用マーケティングの定義や従来手法との違い、取り組むメリットや具体的な進め方について解説しました。
売り手市場による採用難が続くなか、企業は待つだけの採用手法に依存せず、ターゲット層に対して能動的・戦略的にアプローチする必要があります。自社のペルソナを明確にし、複数のチャネルを組み合わせて接点を構築することで、ミスマッチの防止や採用コストの最適化を図ることが可能です。
適切な採用マーケティングを行うには、今後の採用市場がどのように推移していくのかを予測し、施策に落とし込むことが大切です。人事ZINEでは、2027年卒の採用市場の動向予測や、Z世代の学生が持つ価値観・特徴を詳しく解説した資料「2027年卒の市場を分析!これからの新卒採用戦術」を無料でご提供しています。これからの新卒採用を成功させるための具体的な戦略立案に役立つ内容です。ぜひダウンロードしてご活用ください。

