新卒採用手法の一覧・課題やトレンド別に成功に導く選び方
新卒採用の計画を立てる際、「どの求人媒体を選択するか」「スカウト型の採用手法が効果的か」「リファラル採用は可能か」など、採用手法の選定に悩むことは多いのではないでしょうか。
本記事ではダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティング・ナビサイト、SNSなど、主要な採用手法を網羅解説します。母集団不足、ミスマッチ、内定辞退など、採用課題別の手法の選び方や組み合わせ方・最新トレンドを徹底解説しているのでぜひチェックしてみてください。
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目次
新卒採用の主な手法一覧

ここでは新卒採用で使われることが多い採用手法を順に紹介していきます。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業側が学生のプロフィールやアピールポイントなどの情報を見て直接アプローチする採用手法です。企業側が採用したいと思う学生だけにアプローチする仕組みなので、初期選考の工数を削減しながら効率的に採用活動を進められます。料金は成功報酬型が一般的で、一人当たり30万円ほどが目安です。内定辞退があった場合には返金されるなどの仕組みもあります。
| メリット | ・採用要件にマッチしており選考通過率の高い人材のみに直接アプローチするため採用活動が効率的 |
|---|---|
| デメリット | ・大量に採用する場合にダイレクトリクルーティングばかりに頼ると費用がかさむことがある |
就活ナビサイト
就活ナビサイトは、新卒学生向けの求人広告を掲載するオンラインプラットフォームです。多くの学生が登録しているため、広範囲の学生にアプローチできます。掲載料は約80万円からで、通常は事前に掲載料を支払う必要があります。プランやオプションによって料金が異なり、優先表示や広告スペースの拡大には追加料金が発生します。
| メリット | ・登録者が多いので学生に広くアプローチでき、知名度がある企業は掲載するだけでエントリー数の増加も見込める |
|---|---|
| デメリット | ・利用頻度が低い場合でも一定額の掲載料はかかるため費用対効果が低い場合もある |
人材紹介
人材紹介は、エージェントに学生を紹介してもらう手法です。専門のエージェントが企業のニーズに合わせて学生をスクリーニングし、適した人物を紹介します。多くは成功報酬型で、一人当たり約80万円からの料金が発生します。内定辞退があった場合には返金されることもありますが、初期費用は少なく、成功報酬型のためリスクは比較的低いのが特徴です。
| メリット | ・学生側は自分から動かなくても企業を紹介してもらう仕組みのため、就活に慣れていない層にも接触できる |
|---|---|
| デメリット | ・成功報酬型なら一人当たり80万〜100万円程度、第二新卒・中途では初年度年収の3割程度が相場で特に理系は100万円超のケースもある |
大学内イベント出展・研究室訪問
大学内での企業説明会や研究室訪問は、特定の大学や学部の学生に直接アプローチする手法です。特定の専門知識を持つ学生を対象にするのに有効です。イベント出展料は無料から数万円程度と比較的抑えやすいのが特徴です。ただし、大学との関係構築や参加する学生の集客が課題となります。
| メリット | ・専攻・研究内容が分かっているため自社と親和性が高い研究をしている学生のみに接触できる |
|---|---|
| デメリット | ・合説イベント同様、学内イベントへの学生の参加率も下がっている |
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
X(Twitter)やYouTube、LinkedInなどのSNSを活用して学生にアプローチする手法です。幅広い層にリーチでき、企業のブランドイメージを発信しやすいのが特徴です。基本的に無料でアカウントを作成できるため、低コストで始められます。ただし、広告を出す場合にはその都度広告費が発生します。
| メリット | ・日頃からSNSを利用している幅広い層にアプローチでき、従来の採用活動では接点を持てなかった潜在層までリーチを広げられる |
|---|---|
| デメリット | ・SNSの発信がエントリーにつながったか測定するのは難しく効果測定がしにくい |
インターンシップ
インターンシップは、学生に実際の業務を体験してもらうことで企業を理解してもらう手法です。学生に早期に接触でき、長期的な関係を築くのに適しています。インターンシップ自体は外部コストなく実施できますが、ナビ媒体に掲載する場合は掲載料がかかります。また、受け入れの準備やプログラム実施には工数が必要です。
| メリット | ・就業体験を通して会社の風土や仕事内容を深く理解してもらえるため、ギャップを感じて途中で辞退される確率が下がる |
|---|---|
| デメリット | ・開催スケジュールやプログラムを立案・策定し現場に受け入れを依頼するなど、受け入れの準備には工数がかかる |
リファラルリクルーティング(リファラル採用)
リファラルリクルーティング(リファラル採用)とは、社員が大学の後輩を紹介する採用手法です。マッチング精度が高く、社風に合う学生を確保しやすいのが特徴です。紹介してくれた社員に対して数万円を給料・賞与に上乗せして支給する場合がありますが、外部サービスを利用しないため、基本的には低コストで運用できます。
| メリット | ・社員が紹介する学生なのでマッチング精度が高い |
|---|---|
| デメリット | ・新卒採用の場合、今いる社員の「後輩」に当たる人材を紹介する必要があり、1〜3年目までの社員のみが紹介者となるため、紹介できる母数は少ない |
採用オウンドメディア
自社のホームページや採用ブログなどで採用情報を発信する手法です。フォーマットにとらわれず、企業の魅力や社風を自由に伝えられます。メディアを運用すること時代は低額でも可能ですが、メディアの構築やコンテンツの制作・更新には時間と手間がかかります。SEOや広告を併用する場合には、その分の費用も見込んでおきましょう。
| メリット | ・フォーマットが自由なので社風や雰囲気といった定性的な情報であっても自社の魅力を存分に伝えやすい |
|---|---|
| デメリット | ・過去情報の更新・削除や新規コンテンツの追加など、運営に時間と費用がかかる |
就活イベント
合同説明会やマッチングイベントなど、複数の企業が参加する就活イベントに出展する手法です。イベントに参加している学生に一度にアプローチできます。また、自社単独で実施する単独説明会という手法も一般的です。
合同説明会や外部のマッチングイベントに参加する場合は出展料がかかり、イベントの規模や場所によって料金が変動します。一般的には数万円から数十万円程度が必要です。
| メリット | ・学生と直接コミュニケーションを取ることで企業理解を深めてもらいやすい |
|---|---|
| デメリット | ・競合他社も同時に参加するため、学生の注目を引くには工夫が必要 |
ミートアップ
少人数制のカジュアルな交流イベントで、学生と企業が直接対話する機会を設ける手法です。学生の本音を引き出しやすく、関係性を深めやすいという特徴があります。開催場所や規模によりますが、社内の施設を使うなどして比較的低コストで実施することも可能です。会場費や飲食費などの実費が主な費用となります。
| メリット | ・特定の分野に興味のある学生と交流できる |
|---|---|
| デメリット | ・定員が限られるため、多くの学生にアプローチできない |
新卒採用の主な課題と最適な採用手法

ここまで新卒採用の主な手法を紹介してきましたが、採用計画を立てるにあたっては自社の課題に合った採用手法を選ぶことが欠かせません。ここでは新卒採用の主な課題と、課題解決に役立つ採用手法を紹介します。
課題1.十分な母集団形成
新卒採用の第一の課題は、十分な母集団を形成することです。多くの学生にアプローチし、応募者数を確保するためには、次のような採用手法が有効です。
- 就活ナビサイト
- 就活イベント
- 大学内イベント・研究室訪問
- ソーシャルリクルーティング
就活ナビサイトには、就活生の大半が登録しているため、広範囲にアプローチできるのが大きな特徴です。特に知名度のある企業や魅力的な条件の企業は、掲載するだけでエントリー数が増えることが期待できます。就活イベントは、特に就職活動の初期段階で広く知名度を上げるために有効です。大学内イベントや研究室訪問では、特定の大学や学部の学生に直接アプローチでき、大学・学部規模によっては広く接触できます。ソーシャルリクルーティングでは、SNSを利用している多くの就活生層にリーチでき、従来の手法では接点を持てない層とも出会える可能性があります。
課題2.理系・専門人材の確保
あらゆる業界でデジタル化が進むなか理系や専門知識を持つ人材の確保も、いまや多くの企業にとって大きな課題です。特定のスキルや知識を持った学生にアプローチするためには、以下の採用手法が効果的です。
- ダイレクトリクルーティング
- 大学内イベント・研究室訪問
- 人材紹介
ダイレクトリクルーティングでは、学部や専攻内容で対象を絞り込み、直接アプローチできます。プロフィールでプログラミング経験や使用言語などを確認できるため、適切なポテンシャルの人材を選定するのに有効です。大学内イベントや研究室訪問は、研究内容を事前に確認でき、自社に必要な知識を持つ人材に効率的に接触できる手法です。人材紹介は、専門知識を持つ人材を絞り込んで紹介してもらえるため、理系・専門人材の採用に適しています。
課題3.自社が求める人材の獲得
自社の採用要件に合った人材を確保するためには、ターゲットを明確にし、効率的にアプローチする手法が求められます。以下の手法が有効です。
- ダイレクトリクルーティング
- リファラルリクルーティング
- インターンシップ
ダイレクトリクルーティングでは、事前にプロフィールや自己PRを確認し、自社の要件に合った人材だけに直接アプローチできます。リファラルリクルーティングは、既存社員からの紹介を通じて、企業文化にマッチする学生を発見することが可能です。インターンシップは、実際の業務を通じて学生の適性を見極め、自社にマッチする学生と早期に関係を構築できます。
課題4.選考・内定辞退率の改善
選考過程での内定辞退を減らすには、学生からの興味関心や自社で働くことへの意欲を高めることが重要です。有効な手法には以下が挙げられます。
- ダイレクトリクルーティング
- インターンシップ
- 人材紹介
ダイレクトリクルーティングは、個別のオファー文を通じて特別感を演出でき、学生のエンゲージメントを高めることができます。インターンシップは、学生との相互理解を深め、内定辞退を減らす効果があります。人材紹介は、エージェントが学生の他社選考状況を把握し、定期的に連絡を取ることで内定辞退を防ぎます。
課題5.一人当たり採用単価の最適化
一人当たり採用単価を抑えるためには、自社の状況に合わせて効率的な手法を選ぶことが重要です。以下の手法が有効です。
- ダイレクトリクルーティング
- リファラルリクルーティング
- 就活ナビサイト
ダイレクトリクルーティングは、ターゲットを絞ってアプローチするため、無駄なコストを削減できます。リファラルリクルーティングは、社員紹介による採用で外部コストを抑えることが可能です。就活ナビサイトは、多くの学生にアプローチできるため、数十人〜数百人単位で採用する場合は結果的にコストパフォーマンスが良くなる可能性があります。
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新新卒採用における採用手法のトレンド

新卒採用のトレンドは、以下の3つの観点にまとめられます。
- 個別採用+マス型採用による質の高い母集団形成
- SNSを活用する企業の急増
- 選考のオンライン活用
まず、「個別採用+マス型採用」の併用によって、母集団の量だけでなく質を高める手法がトレンドとなっています。新卒採用の売り手市場化がますます進み、求人を掲載して応募を待つという受け身型の採用手法では採用計画を達成できない企業が増えているなか、攻めの手法であるダイレクトリクルーティングが注目され、導入数も増えつつあります。その一方で、マス型採用により母集団の量を確保する動きも健在。大規模説明会だけでなく、ターゲットを絞りやすい学内セミナーなども人気の傾向にあります。
また学生がSNSで情報収集するのが当たり前になった点にも注目です。学生とより幅広く接点を持てる可能性が高まったことから、SNSでの情報発信に注力する企業も増えています。
コロナ禍をきっかけに採用活動にオンラインを取り入れる動きが広がり、現在でも会社説明会や面談・面接などにオンラインを活用することは当たり前という状況です。企業側にとってはコスト削減や遠方の学生にもアプローチできるといったメリットがあり、学生側にとっても遠征費用の節約や複数企業の選考に参加しやすいという面があります。オンライン活用は今後も継続する可能性があり、各企業は今後もオンラインの最適な活用方法を模索する必要があるでしょう。
自社に合う新卒採用手法を選ぶ際のポイント

新卒採用では、企業の規模や業種、求める人物像によって最適な採用手法が異なります。効果的な採用を実現するためには、自社の状況に合わせた戦略が重要です。大企業はマス型採用で多くの学生にアプローチできる一方、中小企業は個別採用に注力しターゲットを絞ることが有効です。専門性の高いスキルを求める場合は、ダイレクトリクルーティングや、大学との連携、専門求人媒体の活用が効果的です。
また、企業の理念や魅力を伝えるために、採用オウンドメディアやSNSを活用して社員の声やリアルな社風を伝えることが有効です。
オンライン選考は時間や場所の制約を軽減し、学生と企業双方にメリットがあります。採用活動の効果測定を行い、改善を繰り返すことで、効率的な採用を実現できます。
こういったポイントを踏まえ、自社に最適な採用手法を選び、効果的な採用活動を行いましょう。
採用した人材の定着率向上と入社後の早期活躍も重要

新卒採用の真の成功は、内定を出すことでは終わりません。採用した新卒社員が貴社で長く活躍し、組織に貢献してくれることこそが、人事担当者の最終的な目標です。
しかし、「せっかく採用した若手がすぐに辞めてしまう」「入社してもなかなか戦力にならない」といった声は少なくありません。ここでは、採用活動の「その先」を見据え、新卒社員の定着率を高め、早期に戦力化するための効果的な手法と運用戦略を掘り下げて解説します。
内定者期間を最大限に活かすエンゲージメント施策
内定を出してから入社するまでの期間は、学生にとって期待と同時に不安が募りやすい時期です。この期間に企業との心理的な繋がりを強め、入社へのモチベーションを維持することが定着の鍵となります。
内定者交流会の実施
定期的なオンライン・オフラインでの懇親会やグループワークを通じて、内定者同士の横の繋がりを構築します。これにより、入社後の安心感や一体感が生まれます。
先輩社員とのメンター制度
内定者一人ひとりに先輩社員をメンターとして割り当て、仕事内容や社風、キャリアに関する疑問を気軽に相談できる機会を提供します。これにより、入社後のギャップや不安を解消しやすくなります。
入社前研修・勉強会
必須ではありませんが、会社のビジョンや事業内容、業界知識など、入社前に知っておくと役立つ情報を提供する勉強会を開催します。これは、入社後のスムーズな立ち上がりにも寄与します。
企業のリアルを発信するオウンドメディア/SNS活用
企業の良い面だけでなく、社員の挑戦や乗り越えた課題、普段の働き方などを定期的に発信し、等身大の姿を伝えます。これにより、入社後の「こんなはずじゃなかった」を未然に防ぎ、共感に基づくエンゲージメントを育みます。
入社後のオンボーディングと育成プログラムの確立
新卒社員が企業にスムーズに適応し、早期に戦力となるためには、入社後の体系的なサポートが不可欠です。単なる研修で終わらせず、継続的な成長を支援する仕組みを構築しましょう。
体系的な導入研修とOJT
入社後、会社のビジョン、組織体制、主要な業務知識、ビジネスマナーなどを学ぶ座学研修に加え、現場でのOJT(On-the-Job Training)を通じて実践的なスキルを習得させます。新卒社員一人ひとりの理解度や成長段階に合わせた丁寧な指導が重要です。
メンター制度の導入
直属の上司とは別に、気軽に相談できる先輩社員を配置することで、業務以外の悩みや社内ルール、人間関係など、新卒が抱えやすい不安を解消します。これにより、孤立を防ぎ、安心感を持って業務に取り組める環境を整備できます。
定期的な面談とフィードバック
新卒社員の成長を促すためには、定期的な1on1面談を実施し、目標設定、進捗確認、フィードバックをきめ細やかに行うことが不可欠です。彼らの強みや課題を明確にし、成長に向けた具体的なアドバイスを提供しましょう。
キャリアパスの提示と機会提供
入社直後から将来のキャリアパスや、社内でどのような成長機会があるかを示すことで、長期的な視点でのモチベーションを維持させます。挑戦できるプロジェクトや研修制度への参加を促し、成長意欲を刺激しましょう。
定着・活躍を測る指標と改善サイクル
施策の効果を客観的に評価し、継続的に改善していくことが、採用力強化には不可欠です。
定着率のモニタリング
入社後3ヶ月、6ヶ月、1年といった節目での離職率を定期的に測定し、その変動要因を分析します。
エンゲージメントサーベイの実施
新卒社員の会社への満足度、モチベーション、エンゲージメントレベルを定期的に調査し、課題を特定します。
パフォーマンス評価とフィードバック
入社後の業務パフォーマンスを適切に評価し、フィードバックを通じて成長を促します。
改善サイクルの確立
これらの指標を定期的に確認し、課題が発見された場合は、内定者フォローやオンボーディングプログラム、育成体制など、どの段階に問題があるのかを特定し、PDCAサイクルを回しながら改善策を実行します。
まとめ

新卒採用にはさまざま手法がありますが、自社の課題に応じて採用手法を選び、効果的に活用することが成功のポイントです。ダイレクトリクルーティングや就活ナビサイト、人材紹介など多岐にわたる手法を駆使し、母集団形成から選考、内定辞退率の改善につなげましょう。
人事ZINEでは人事・採用担当者の方に向けて「採用課題別 解決集」をご用意しております。「候補者が集まらない」「選考の精度が低い」「辞退者が多い」といった課題の原因やその対策について、具体例も挙げながら分かりやすくまとめております。新卒採用のお悩みを解決するヒントをお探しの方はぜひご活用ください。

